本物のミュージシャンに採点してもらいました

 

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(左)『オワリカラ』タカハシヒョウリさん、(右)『THEラブ人間』金田康平さん

 

というわけで、5人の妄想バンドマンが考えたアルバムジャケットを、ミュージシャンに見てもらいました。本物のバンドマンは、妄想バンドにどのような点をつけるのでしょうか?

 


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BUDDHA SOUND SYSTEM/『平和がいちばん怖い……。』

 

icon_omocoro_k「あぁ! ありそうだな~このデザイン。90年代のインディーズっぽいね」

icon_omocoro_t「デザインは悪くないけど、フォントが雑かなぁ。駆け出しの頃って、ジャケットのデザインにはこだわるけど、フォントは適当に選んじゃうっていう弱点があるんですよね」

icon_omocoro_k「あるある。フリーフォントとか使っちゃうよね。そんな細かい部分を見て、売れてるバンドかどうか判断されたりもするんで、こだわった方がいいと思います」

 

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icon_omocoro_k「7曲目(『敗戦』)から8曲目(『復帰戦』)が流れになってますね。『復帰戦』をインストにして、9曲目の『もしかしてエイドリアン PARTⅡ』に繋げられたらきれいかも」

icon_omocoro_t「ただジャケットだけを見て、売れる・売れないを判断すると、残念ながら売れないと思う」

icon_omocoro_k「点数を付けるなら……20点くらいかなぁ、すいません」

icon_omocoro_t「低い(笑)。でも、そんなものだと思います。BUDDHA SOUND SYSTEMさんには悪いけど」

 

フォントが意外に大事というのは盲点でした。確かに今回の企画では、ほぼ全員がフリーフォントを使用しています。

 


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The American Spirits/『Music Farm』

 

icon_omocoro_k「はっははははは! 正直に言っちゃっていいのかなぁ……これは、ダサいです!」

icon_omocoro_t「点数をつけるのが大変だぞ(笑)。どう言おうかな」

icon_omocoro_k「まあまあ、まずはバンドの設定を見てみようよ。え~っと、ネイティブアメリカンの末裔という設定なんだって」

icon_omocoro_t「そういうコンセプチュアルなのは良いんじゃない? ただ、僕の心はそのコンセプトに対して1ミリも動いてない。びっくりするくらい無風状態」

 

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※無風状態のヒョウリさん

 

icon_omocoro_k「解散後はソロ活動やスタジオミュージシャン……ドラムの人はアパレルブランドを立ち上げてそこそこ成功してると」

icon_omocoro_tアパレルね。これ実は、ミュージシャンにとっては“あるある”なんですよ。実際、僕の周りにもいるからコメントしづらい」

icon_omocoro_k「じゃあアルバムジャケットの話に戻る? 気になってたのが、この音楽性なら、掘り起こしてるエフェクター、こんなにもディストーションを下げないよね。“わかってない感”がハンパない」

 

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※エフェクターのディストーションはこのつまみのこと

 

icon_omocoro_t「バンドやり始めた頃ってこんな感じで、機材をジャケットに使いたがるんだよね。気持ちがわかるからこそ、見てらんない」

icon_omocoro_k「この音楽性なら、ネイティブアメリカンの文様とかにしちゃった方がいいかな。今のままだと、ジャケットが音楽を語れてない

icon_omocoro_t「これにも点数つけるの? 加点できるようなポイントがひとつもないんだけど……」

icon_omocoro_k「じゃあ、申し訳ない! アメリカンスピリッツさんの点数は……0点ということでお願いします!」

 

なお、自分のバンドのジャケットを発注して、こんなのが挙がってきたらどうします?との問いには「そのデザイナーとは一生仕事しません」とのことです。

 


 

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銀河詠人withギャラクシーエクスプロージョン/『宙(そら)からのおくりもの』

 

icon_omocoro_t「あぁ~、これは良いジャケットだわ。いつの時代でも通じるし、音楽性もなんとなく見えてくる

icon_omocoro_k「良いね。まさかアメリカンスピリッツのあとに、こんなにクオリティの高いものがくるとは思わなかったな」

icon_omocoro_t「アメスピさんの悪口はやめなよ」

 

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icon_omocoro_k「一点だけ言うと、ローマ字で大きく『UTAHITO GINGA』って書いてあるんだから、下に銀河詠人って文字を入れる必要はなかったかな」

icon_omocoro_t「確かに。ちょっと説明くさくて野暮ったい。読み方がわかりにくいということで入れたんだと思うけど、それは帯でやるべきだったね」

icon_omocoro_k「あと『オーガニックなサウンドで、似ているバンドは山崎まさよし』なのに、曲のタイトルが『酒と拳とマイギター』とかって、昭和の不良みたいな感じなのが不釣り合い。米兵とケンカし過ぎだし。方向性がブレブレ!

 

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icon_omocoro_t「ただ、期待できそうなポイントもある。ドラマーの J さんが死んだあとはドラムマシーンを使ってるんですよね? それは、こういうフォーク系のバンドにしては珍しいから、音楽的には良い個性になると思う」

icon_omocoro_k「期待はできるよね。点数つけるとしたら何点?」

icon_omocoro_t「アルバムのジャケットは圧倒的に良い。音楽もたぶん良い。ストーリーも個人的には好きだった。う~ん……80点かな」

icon_omocoro_k「全体の方向性はブレブレなんだけど、ひとつひとつはクオリティが高かった」

icon_omocoro_t「ボーナストラックまで入ってて、昭和の不良のくせに意外にサービス精神旺盛なのもポイントが高い」

 

ちなみにイラストはカメントツが描きましたが、下部に『銀河詠人』と親切な文字を入れたのはギャラクシーです。それにしても、帯に情報を入れる、というのは一般人には想像がつかないのではないでしょうか。

 


 

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そもそも論/『論より証拠』

 

icon_omocoro_k「実際にいそうな感じがすごい! 中高生の支持がすごく高いんだろうね」

icon_omocoro_t「ニコ動とかでウケそうだな~」

icon_omocoro_k「全員が高学歴っていうのも、なるほどって思っちゃった。その方向だとあるあるだね」

icon_omocoro_t「これを妄想した人がどういう人物かわからないけど、たぶん音楽の世界の人じゃないよね。同じサブカルでも、外部のセンスを感じる」

※これを妄想したダ・ヴィンチ・恐山は小説家としても活動する人物で、実際あまり音楽を聞きません

 

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icon_omocoro_k「今の時代はこういうバンドが人気出るんだろうね。Twitterの盛り上がりもすごく想像がつく

icon_omocoro_t「ファンは“論者”、アンチは“論敵”、ライブは“ゼミ”。細かいところまでコンセプトを作りこんでる感じが好きだな。良い意味で頭でっかちなバンドですね」

icon_omocoro_k「6曲目の『安易なノスタルジーに訴える浅薄なロック』とかは、いかにもサブカル好きが書きましたって感じ」

icon_omocoro_t「メンバーのみやみや(vo & Key)は女性でしょ? 9曲目の『素数ゼミ』はテクノポップみたいな曲で、みやみやが歌ってるね、きっと」

 

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icon_omocoro_t「僕も、自分が中高生ならこういうのを好きになってたろうな。ちょっと背伸びして、頭の良い人の音楽を聴いてみたい感じね。で、“論者”仲間と語り合いたい」

icon_omocoro_k「さっきの『銀河詠人』さんが80点だっけ? でもセールスでは『そも論』が上だと思う。自分では買わないかもしれないけど」

icon_omocoro_t「じゃあ点数をつけよう! 僕は、90点だと思います! ヘビーなサブカル層や音楽マニアには評価されないかもしれないけど、やっぱり中高生の支持は強いんじゃないかな」

 

プレゼンではどちらかというと不評でしたが、本物のミュージシャンからは、まさに「絶賛」。90点という高得点を叩き出しました。

 


 

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両眼 喰男(りょうまなこ くわれお)/『ハゲタカの害(げぇ)』

 

icon_omocoro_k「(笑)音楽をナメてますね、この人!」

icon_omocoro_t「悪ふざけでしょ!」

 

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icon_omocoro_k「ただ実は、最下位ではないかなと。アメリカンスピリッツよりマシ。なぜなら喰男(くわれお)さんのアルバムジャケットは、手に取っちゃうから

icon_omocoro_t「確かに無視はされにくいよね。アルバムジャケットは、良くも悪くもないというのが一番ダメ」

icon_omocoro_k「あと、今まで見てきた4作品は、本人の顔出しがなかったですよね? その意味では好きです。本人が顔を出すっていうのは“背負ってる”感じがする

 

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icon_omocoro_t「4曲目、『俺は暗い夜道を歩いてる時に逆に人の営みの暖かさを感じたりもするが君はどうだ』、これなんか良い詞なんだと思う。ただ、曲は良くないだろうね

icon_omocoro_kそれは聴かなくてもわかる(笑)。音楽性はまったく期待できない」

icon_omocoro_t「そもそもギターを弾いてないからね。語り部? まぁ、本当に目をついばまれてしまった人の語りは、胸に響きそうだけど」

 

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icon_omocoro_k「血が止まってないのが気にならないですか? いつ治るんだと。休めよ」

icon_omocoro_t「せっかくだからもっと両眼が喰われてることを推すべきだったかな。アルバムジャケットは目のアップでよかったかもしれない。それを考慮して、点をつけるなら……5点ですね」

icon_omocoro_k「じゃあ僕も5点を加えて、10点でいい? おそらくこの企画的にはこっちをオチに考えてたと思うんだけど、マジでアメリカンスピリッツの方がダメ。手に取る気が起きないから」

icon_omocoro_t「アメスピさんの悪口はやめなよ」

 

ナメてる、悪ふざけ、と言われながらも、結局は手にとってもらえなければスタートラインに立てない。アメリカンスピリッツよりはマシということで、10点を獲得しました!

 

 

結果発表

 

というわけで、本物の有名ミュージシャンに評価してもらった結果、第一回『妄想バンドのアルバムジャケット選手権』の優勝は……

 

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ダ・ヴィンチ・恐山が考えたバンド……そもそも論『論より証拠』に決定しました!

 

■結果発表

1位 そもそも論/『論より証拠』|90点

2位 銀河詠人withギャラクシーエクスプロージョン/『宙(そら)からのおくりもの』|80点

3位 BUDDHA SOUND SYSTEM/『平和がいちばん怖い……。』|20点

4位 両眼 喰男(りょうまなこ くわれお)/『ハゲタカの害(げぇ)』|10点

5位 The American Spirits/『Music Farm』|0点

 

 

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この記事をご覧のレコード会社の皆さま、『デビューさせてみたい!』というバンドがあったら、是非ともお声がけください。お待ちしております。

※ただし存在していません。

 

 

告知!「下北沢にて’16」開催

 

今回アルバムジャケットを審査してくれた、『オワリカラ』タカハシヒョウリさんと『THEラブ人間』金田康平さんも出演するイベント、『下北沢にて’16』が開催されます!

 

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公式サイト

 

2016年12月3日(土)に開催されるこちらのイベント、なんとオモコロも参戦して何かしらやります!

漫画家・カメントツがデザインしたオフィシャルTシャツも販売中!

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「下北沢にて’16」の最新情報は下記の公式Twitterをチェックしてみてください。

 

 

 

おわり