1回目
2回目
「っていう記事を前やったんですよ」
「…………」
「え? ああ、この頃はまだ学マス無かったんですよね」
「…………」
「たしかに、学マスが増えたり、他のブランドも曲いっぱい増えたしな……」
「…………」
やるか、もう一回。
俺はナ月P(上でぬいぐるみと話している男の方)。アイドルマスターのオタクだ。アイドルマスターの曲を紹介したいライターを集めてアイドルマスターの曲を好き勝手に紹介しようという記事をやったことがある。
これをまたやる。なぜならアイドルマスターの曲は今現在大雑把に数えて1700曲以上あるし、増え続けているからだ。
今回の記事は今までで一番うるさい。また今回も曲かぶりが発生している。好き勝手語る記事だから。
あと今回も公式の試聴動画やサブスクの配信がある曲は添えるが、無いやつも普通に紹介する。好き勝手に語る記事だから。
〜今回紹介するのはこちらのメンバー〜
世界一可愛い私
ともすれば、(中略)アイドル
Darkness
Hide & Attack
Swing Your Leaves
魔法をかけて!(REM@STER-B)EGO
ホムラインビテーション
チョコデート・サンデー
DIAMOND JOKER
Anniversaryコントラスト
L.U.V
ハナムケのハナタバ
Clean.Clean up
Shine In The Sky☆Campus mode!!
コンテンポラリのダンスコントラスト
1/3
Destiny
Twinkle way
シークレットジュエル~魅惑の金剛石~
君のステージ衣装、本当は…
アルバム「彼方」
Light Year Song
ナ月のおすすめ
世界一可愛い私:藤田ことね
アイマスをアイマスで例えて恐縮だが、学マスの各ソロ一曲目を聞いた時は如月千早でいうところの『約束』とか『細氷』レベルの曲をいきなり持ってきているような印象を受けて度肝抜かれまくりだった。見事に全部すごい。その中でも今回語りたいのが藤田ことねの『世界一可愛い私』だ。
明るく楽しく超可愛い、アイドル曲らしいアイドル曲。見せ場はなんといってもサビのコールアンドレスポンス。アイドルが「世界一?」と聞いてくるところを我々オタクが全力の大声で「可愛い!!!!」と返すことで曲が完成する楽しすぎる仕掛けになっている。いいよね。765ASの『アマテラス』みたいな仕掛け(アイマスをアイマスで例えている)。
この『世界一可愛い私』が藤田ことねのために作られた藤田ことねを象徴する曲であることは「世界一可愛い私」コミュの1~3話を見れば疑う余地もない。
だが聞くたびに「頼むからこの曲を他のアイドルや他マスにも貸してくれ~~!」と悶え苦しんでしまう。この曲、あまりにもアイドルマスターすぎるから。聞くたび「こんなの一曲に凝縮されたアイマスじゃん」ってなる。
アイドルマスターがどんなゲームなのか。今や色々なアイマスがあるが、共通して言えることは「俺が育てたアイドル超可愛い」と思いながらニヤニヤする。という要素だと思う。
古くはアケマスのタワーで後ろでベガ立ちしてる人々やゲーセン内をたまたま通りかかった人に俺のアイドルを見せびらかしている時の「見て、俺が育てたアイドル超可愛い」という気持ち。
ゲーム内のライブを見ながら「俺が育てたアイドル超可愛い」と一人ため息をついている時の気持ち。
アイマスのスクショをSNSに投稿する時の「ほら見て、俺が育てたアイドル超可愛い」という気持ち。
このアイドルマスターの楽しさ重要な要素である「俺が育てたアイドル超可愛い」という気持ちを我々P側が大声で叫べる上にその「俺が育てたアイドル」と共有して確認し合える曲。それが『世界一可愛い私』だ。
考えてみればステージ上のアイドルだけでは曲が完成しない、客席の我々Pがいて成立するという構成も、アイドルとプロデューサーがいて初めて成立するアイドルマスターそのものを思わせる。
だから頼む~~この曲貸してくれ~~~~!! 輿水幸子とか水嶋咲とか!! 客席から「可愛い!」って叫びたいアイドルがアイマスにはいっぱいいる。あと可愛い系アイドルに限らず何より担当に向かって叫びたい。
そして言うまでもなく「こんなの一曲に凝縮されたアイマスじゃん」みたいな曲を背負えるアイドル藤田ことねは、本当にすごい。会長が気にいるはずだわ。
なんだかもうアイマスに限らず、あらゆる「可愛い」って言われたい人たちに歌い継がれてほしい歌。
ともすれば、(中略)アイドル:灯里愛夏
ヴイアライヴ(動画配信を中心に活動してるアイマスのアイドルの人たちです)の灯里愛夏のソロ曲。アイドルマスターには珍しいタイプのゴリッッッゴリにキャラソン寄りの曲。
ナ月Pは面倒臭いオタクなので
アイドルマスターの楽曲って~!
キャラソンじゃなくって~!
そのアイドルが作中の世界でアイドルとして歌ってる歌で~!
それはキャラソンとは違うじゃないですか~!
いや、キャラソン寄りの歌もあるけど~!(あんずのうたとか)
それも現実のアイドルがキャラソン的なのをやる時(現実のアイドルソングにもたまに本人達をテーマにしたキャラソンみたいな曲があるじゃないすか)みたいな〜!
あくまでも「作中のアイドルソング」で~!!
と勝手に思っている。(俺が思っているだけであるということは強調しておきたい)
「アイドルソング」の形も時代と共にどんどん変わっていく。特にここ数年で急激に広まったVチューバー、バーチャルライバー。そしてそんな活動を通じたアイドルであるところのバーチャルアイドル。みんなもバーチャルアイドルの曲をどこかしらで聞いたことがあると思うが
バーチャルアイドルの曲って、特に最初の方の曲は本人のキャラクターそのものを歌詞の題材にした「ザ・キャラソン」みたいな曲がち。
架空のキャラクターでもあり、現実に活動するアイドルでもあるところのバーチャルアイドルの曲が「ザ・キャラソン」みたいな感じになっていくのは納得だ。
そんなバーチャルアイドルの流れを汲んでいるアイマスで、アイドルマスターの世界と現実の交点で活動しているヴイアライヴ。
ヴイアラにとっての「作中」って半分はこの現実だし、現実のバーチャルアイドル(現実のバーチャルアイドルって言葉変)の曲ってキャラソンがちなので、この『ともすれば、(中略)アイドル』はアイマス的な「作中のアイドルソング」であることと「ゴリゴリのキャラソン」であることが両立している。
とにかく、すごい時代になったな……と思わせてくれる一曲だ。これがPROJECT IM@S 3.0 VISIONか〜!
灯里愛夏の配信ネタをこれでもかと詰め込んだ歌詞にオタク心くすぐるやや難易度高めのコール、極め付けにこの最高のPV。ありがとう森キノコさん。隅から隅までとにかくPを楽しませることに全力な曲で本当に楽しい。
灯里愛夏はこんなアイドルですという名刺がわりの一曲としても最高なのでとりあえずPVを見てほしい。
Darkness:白菊ほたる
白菊ほたるちゃんのソロ2曲目です。よろしくお願いします。本当にすごい曲貰ったな……。
タイトルの通り、暗い。曲調も歌詞も、元気な人が聞いたら落ち着くくらい暗い。全アイマス曲の中でも多分一番暗い。
見えていた気がする光も見えなくなり、出口がどちらなのかもわからなくなった、真っ暗な洞窟で闇雲にボートを漕ぐ。みたいな内容の歌詞。最後まで聞いても救いが訪れるわけでもない。そんな歌だが、これが「もう本当にダメです」みたいな気分の時に聞くとなんだかやけに励まされる。
人間生きているとやることなすこと全然上手くいかなくて「どちらに行けばいいのか、どうすれば救われるのか。全然わかりません。お先真っ暗です」みたいな状態になることがある。暗闇の洞窟で迷子も同然。
そんな時、じゃあどうするのか。正解かどうかもわからない方向に向かってでも、とりあえず進んでみるしかない。この曲の一番底にはそんな熱さ、諦めの悪さがあると思っている。
とにかく暗い、どん底みたいな曲だし救いもないけど、かといって絶望はしていない。「あきらめない」ではなく「あきらめられない」という言葉選びが白菊ほたるすぎて最高。
「あーーーー今俺は落ちるところまで落ちた。もう頑張れと言ってくれる応援歌すら今は辛い」みたいな時に聞いてみてほしい。CD買わないとフル聴けないから買ってほしい。
俺はしょっちゅう人生に絶望するのでこの歌によく助けられている。
ちなみに、この曲はCDだと『バラカストーリア 〜月と太陽に祝福を〜』という曲のカップリングになっている。出会うはずのない月と太陽二つの光が出会う壮大な歌でめちゃめちゃいい。月と太陽が出会っている裏が暗闇の歌なのめーっっちゃめちゃ良くないですか。
バラカストーリアもいい曲だし貼っとこ。
Hide & Attack:ストレイライト
シャニのめちゃめちゃかっこいいユニット、ストレイライトの曲。
「和風サイバーパンク好き?」という会話を生まれてから今まで一度もしたことがないため、和風サイバーパンクが嫌いな人というのを今まで聞いたことがない。ということは、多分みんなも和風サイバーパンクが好きなんだと思う。何か俺おかしいこと言ってますか。だからこの曲もみんな好きだと思う。曲を聴く前からこのビジュアルでまず好きになって、曲を聴いたら超好きになるのではないか。そうに決まっている。
とにかく超かっこいい。一口にかっこいい曲といっても色々あるけど、何かオタクの本能的なところを刺激してくるかっこよさだ。ヒロイックで、ダークで、いい意味でケレン味に溢れていて。
このかっこよさの正体は何か。数年前のMOR(アイマス関係者がアイマス曲の話をする最高のラジオ)でこの『Hide & Attack』の作詞を担当された下地悠さんがこの曲についてこういう言葉を残されていた。
「仮面ライダーストレイライト」
この言葉を聞いた瞬間の「あ~~!! なるほど~~~~!!」という気持ちよさは今でも忘れないし、そんなもの無いはずなのにオープニングを見た気がしてきたし、たしかあさひの変身ポーズがキレキレすぎて子供が真似できなかった気もしてきた。仮面ライダーグミのCMもあった気がする。ということは鎧武以降か? いや、でもどっちかといえば平成1期って感じしない? じゃあCMは見てないか。
今でもこんな感じで頭がない記憶を掘り返し始めてしまう。バンダイナムコ様、ベルト売ろう。CSMにしてベルトからHide&Attack流せるようにしよう。
Swing Your Leaves:FRAME
SideMの元公務員ユニットFRAMEの曲。大変健康的なお兄さん達のユニットで大変健康的なイメージのデビューCDの次にお出しされたユニット曲にしてこのセンチメンタルさ。アイドルマスターの「このアイドルこういうのもいけるんだ……」みたいな瞬間は総じてヤバい。
FRAMEのPが「まずそっちじゃなくて普通に『勇敢なるキミへ』とか聞いてからそっち聞いてほしい」と言っている気がする。わかる。アイマスをアイマスで例えて恐縮だがアルストロメリア聞いてからギミサモ(Give me some more…というめっちゃいい曲のオタク省略語、下で鬼谷さんが紹介している)聞いてほしいみたいな感覚だ。ギャップがあったから余計に刺さったのはたしかだけど、でもこの一曲だけいきなり聞いても凄さが十分伝わると思う。
「くらえこのセンチメンタルさを」というようなギターのイントロ、カツカツと早足で歩くようなドラムとシンプルなピアノ伴奏の歌い出しから始まり、AメロBメロとサビに向かって少しずつ丁寧に音色が増えて盛り上がっていく構成になっている。
そして「ああいよいよサビだな」と思っていると「はいじゃあ、ここまで丁寧に盛り上げてきたからここでものすごい超特盛が出てきてもみなさん大丈夫ですね」と超特盛のセンチメンタルさが耳から流し込まれてくる。
健康的なお兄さんたちからこんな繊細かつ力強いファルセットが!! 何回聞いてもサビで「ヒィ~~!!」ってなる。
インターネットに「鳥肌がたった」って書くのなんか大袈裟で恥ずかしいけど、本当に鳥肌がたつものは仕方がない。ニコニコ動画だったらサビ前に誰かが「※鳥肌注意」みたいなデカいコメントをしてくれるに違いない。
なんだか90年代のドラマの主題歌みたいな古臭さも30代に刺さる刺さる。一度聴いたら一年はサビが頭から離れないし、一度聴いた人は大抵一年以内にもう一度聞くので死ぬまで頭に残り続ける。
ライブのダイジェストでサビだけ聞けるから貼っとこ。
『勇敢なるキミへ』も貼っとこう。こちらが健康的なデビュー曲。
魔法をかけて!(REM@STER-B):如月千早
原曲の「魔法をかけて!」を貼ってもあまり意味がないくらい別物だし当然配信にもないし現状CD買って聴いてもらうしかないのでとりあえず日本コロムビアのCDページを貼っておきます
如月千早さん武道館単独ライブ開催おめでとうございます。
プロデューサーとしても鼻が高い。いや、こんなの想像もしなかった。如月千早役の今井麻美さんならまだしも、如月千早本人が武道館ライブをやるのはゲームの中の出来事だ。20年続けるとゲームの出来事が現実になるの何なんだよ。そんなわけないだろ。
これはもう、如月千早の話をしなくてはならない。
みんなは初期の千早とアニメやミリオンライブあたり以降の千早とどっちが好きかな!? どっちも千早だし共通の魅力もあれば、大きく違うところもある。
ナ月Pはどうしても「俺が育てた俺の千早はこっち!」というイメージがあるので初期の千早が好き。千早で一番好きな曲は『眠り姫』だ。今回眠り姫の話はしないけど。
初期千早といえば歌が上手い狂犬というイメージがある方も多いかもしれない。低ランクの狂犬っぷりも初期千早の魅力の一つだが、苦労して高ランクまで育て上げた千早の甘っっっっっ甘さ!! 育てるのがめちゃめちゃ難しい代わりに狂犬から甘っっっっっ甘になる。今では考えられないほどの、健康に害がありそうな甘さ。
これこそが初期千早の最大の魅力で、その甘甘甘甘甘千早を曲で味わえるのがこの『魔法をかけて!(REM@STER-B)』だ。
無印アイマスの名曲『魔法をかけて!』のアレンジ版で、元々可愛い曲をさらにパステルカラーにして上から生クリームを5リットル絞りました! というような、やり過ぎなほど可愛くて甘いアレンジになっている。
それを如月千早に歌わせるという最高の人選で、「初期の甘甘甘甘甘千早ソング」が出来上がっている。今聞いても甘すぎて脳が溶けそうになる。
ぜひCDを買ってでも聞いてほしい。
間奏のセリフが本当にすごいから。
鬼谷のおすすめ
EGO:花海咲季
学園アイドルマスターの大黒柱・花海咲季が歌うエレクトロスウィングです。
オシャレで余裕のある曲調でありながら、歌詞の内容は「自分が信じたやり方を貫いていけ!」というとにかく強気な姿勢。いかにも “王者” という風格にうっとりします。
サビの歌詞「ストレート」で小節を踏み越えていく強引さが曲のテーマを表しているようで気持ちいい! 俳句でいう句またがりみたいな塩梅の難しいことをしていると思うのですが、そのバランスがばっちりハマってます。
彼女の声質による低音のコーラスも好きで、多重に聴き甲斐があるので是非何度も聴いてみてください!
エレクトロスウィングでいうと、アルストロメリアの「Give me some more…」もめっちゃオシャレでおすすめだよー☆(甘奈!?)(えへへ、お仕事の邪魔しちゃったかな?)(いや、邪魔なんてことはないが……! アイドルがエレクトロスウィングを歌うのは実際すごく良いよな)(にへへ……褒められた……)(甜花もいたのか!)(わぁ、楽しそうなお話が聞こえてきちゃった♪)(千雪まで!まったく、記事の途中だっていうのにアルストロメリアが勢揃いじゃないか)(一同、笑う)
この曲は11月の夜の表参道みたいな雰囲気をまとっており、なんかすげーいい匂いのする人といい感じになってる気分になって脳がとろけます。
なんか店内が暗くて、テーブルにキャンドルがあるような店で……。お酒を飲みながら話し込んでいるうちに自分はいつの間にかぼーっと火を見てしまっていて、ハッと顔を上げると相手は自分の顔を見つめていて「(やっと気づいた)」みたいな顔でニヤッと笑い、こっちも照れながらはにかむ、みたいな。
そういう日を思い出す曲です(そんな日はない)。
ホムラインビテーション:HOMURAーGIRLS(芹沢あさひ、黛冬優子、和泉愛依、七草にちか、緋田美琴)
日清のインスタント食品「炎メシ」とのタイアップで誕生したユニット「HOMURAーGIRLS」による曲です。
とにかく炎メシの魅力を歌い上げるんですが、終始笑っちゃうぐらいの熱量。「辛うまのユッケジャンの味(ウェイ!)」と言われましても!
歌詞の内容は宣伝文句だけだから、普通に生活してたら到底心の中に生まれないフレーズばかりが歌われていて、「みんなしっかり仕事をして偉いぞ!」という気持ちになって楽しいです。緋田美琴の「Oh ガーリックオニオンでコクましまし」という本人に無さすぎる語彙で固められたパートとか最高。
ジャケットもなんかすごく面白いんですよね。明朝体を虹色で縁取りするのってすごいアイデアだと思う。みんなちゃんと炎メシを持っていて偉いし、この一枚の中に小さい「炎メシ」が16個書かれてるのもすごい。
……という感じで、ひとしきり笑った後に冷静になって聴き続けると、やがて「これ普通に良い曲じゃね……?」と気づくようになります。「最初はただ面白いから聴いてたはずだけど、いつの間にか曲の良さに惹かれてリピート再生してる俺がここにいね……?」となるんです。
過去に6周年ライブの大阪公演でだけ披露されたことがあるのですが、かっこよすぎて大爆笑しました。生歌唱も振り付けも激アツで、私は配信で見ていましたが現地もすごい盛り上がり方をしていて羨ましかったです。にちかパートの「うまうま♪」の振りもめっちゃ良かった。今後も定番曲としてやってほしいぐらいなんですが、やるたびに露骨に炎メシを宣伝することになってしまうので、日清食品がスポンサーになってくれないと披露できない気がします。
日清食品さん!毎回スポンサーになってくれー!そんでガチの炎を出す演出で見せてくれー!あと来場者全員に炎メシ配るみたいなやつやってくれー!(自分は今までに7個ぐらい炎メシ食べてます!実際うまいっすよね!)
タイアップ曲つながりだと、学園アイドルマスターがアニメイトとコラボした『古今東西ちょちょいのちょい』もかなり名曲です。ちょっと古めのロックナンバーといった曲調で、その明るさが妙に沁みる!これも最初は「愉快なイベントでいいねえ」という感じで聴いてましたが、「純粋に曲として良いじゃんか!」と気づいてきたパターンでした。
このときのタイアップでは学マスの声優さんが全国47都道府県のアニメイトを訪問するという企画があったのですが、それにちなんでこの曲でも全ての都道府県に合わせて歌詞を変更したバージョンが47種類リリースされています。すごい。
タイアップ曲は商材のイメージを向上させるためにあるから明るくてなんぼというか、いつもとは少し違う筋肉の使い方で楽しくさせてくれるのが嬉しいですよね。今後もあらゆる企業様とのタイアップ曲制作を心よりお待ちしております。
チョコデート・サンデー:園田智代子
チョコアイドル・園田智代子が歌う、カフェデートをする日曜日の高揚や葛藤を描いた曲。週末が終わってしまうことを悲しむ「月曜が近いよ」という歌詞を切り取り、日曜19時にSNSで投稿するアカウントが注目され、ミームとしても広く認知されました。
その歌詞を書いたのは、ハロプロをはじめとして多くのアイドル曲を作詞してきた児玉雨子さん!そう!あるんです!アイマスにも児玉雨子曲が!
中高生らしい、自分の視野を世界のすべてと捉えちゃうような飛躍した恋愛観が楽しく表現されていて唸ります。私は「ワガママを聞いて!」「かまって!」といった感情を抱いたことがないので、その湧き出る気持ちと全力で向き合う人物像を感じ取り、ジッと目を閉じ夢想します。智代子、私の知らない心を教えてくれてありがとう。(いえいえ!恐れ入ります!歌詞を書かれたのは児玉雨子さんですし!)(そうか……。児玉雨子さんも、ありがとう)
そんな児玉雨子さんが作詞したアイマス曲はほかにもありまして……
こちらも園田智代子と同じくアイドルマスターシャイニーカラーズより、三峰結華のソロ曲『プラスチック・アンブレラ』。曲の系統をハロプロで例えると、さっきのチョコデート・サンデーがカントリー・ガールズなら、プラスチック・アンブレラはJuice=Juiceです。
ビニール傘を差して夜の都会を一人歩く歌。ビニール傘は降ってくる雨を遮る道具でありながらその隔たる壁は透明で、「誰かに見てほしい気持ちを抱きつつも自分を守ることがやめられない」という苦悩が象徴されています。でもさ、その傘を手放す覚悟がなければ世界とは接触できないんだよ……。
「頭痛」「驟雨(しゅうう)」「無数」と、口を大きく開かないウ段の繰り返しで踏まれる韻は独り言のような内向的な印象の音で、意識を自己に向けている様子が伝わってきます。
ここまで来たらさらにもう一つ児玉雨子曲を!
『スペードのQ』は、恋愛感情で沸騰しきって目が据わった状態で相手に結婚を迫る歌。
「なぜ心刺したの?」という問いに双方の気持ちのズレの全てが表れているようで……。相手としてはきっと心を刺すほどのつもりはなくて、動機は気まぐれか好奇心か弱さか知らないけど「この水面を揺らがせたらどう波打つんだろう」ぐらいの気持ちで投げ込んでしまった小石が、結局は隕石のようなインパクトを与えたんだろうと思います。きっかけを生んだのは相手だとしても、その後のエネルギーの爆発すべてに責任をもつ必要があるかといったら難しいところで、その非対称性ゆえに話がこじれる理不尽さを感じます。心は数式ではないから複雑。
上記の動画はショートver.ですが、フルで聴くとラスサビにかけて感情が振り切れていき、それまで不気味なほど冷静だった声色に人間らしいほころびが生まれるんです。そこで「あれっ、怖かったけどやっぱりかわいいところもあるんじゃん」と思わされてしまって、そう油断した直後にトドメを刺されて終わります。押して押して押して、ふと引いた瞬間の相手の反動を使って押し倒す、柔道技のような駆け引き。
己の人生に心当たりがある人はいますか? 強く生きましょう。
DIAMOND JOKER:伊吹翼、徳川まつり、四条貴音、所恵美
心の武装になる曲です。
連帯を求めずに自力で頑張らなくてはいけない場面ってあると思うんですけど、そういうときに聴くと体に芯が通ります。あらかじめ何度か投与して、必要なときすぐ全身に浸透させられるよう受容体をインストールしておいてください。
振り付けもクールなのでして! グッと正面をフォーカスして「前に進むぞ!」という意志がビシビシ伝わってきます。
DIAMOND JOKERのダンスに関しては、ヴイアライヴの上水流宇宙さんが「10分間で振り付けを覚えて踊る」という配信をしていたので見てみてください。
すごいことしてるし、ダンスの練習動画としても結果的にかなり有用なので各自踊れるようになりましょう。これはあなた自身を鼓舞するための踊りになる。
ダイヤモンドつながりで言えば、『真夏のダイヤ☆』も名曲!
萩原雪歩の「おい!いつまで傷心少女」という、否応なしに顔を上げさせられるキラーフレーズでいきなりテンションブチアゲ。韻の踏み方がずっと耳心地よく、私は家の中でしょっちゅう「Can’t take it back 完璧じゃん」と呟いています。
双海真美の「団体様ご案内」(このときの振り付けも最高)から渡される田中琴葉・百瀬莉緒の渋いラップパートを通過してパーッと明るいサビに返ってくる展開も痺れます。遊びたい気分のサマーアンセム。
Anniversary:アルストロメリア
これまでの人生や出会いを受け入れ、これからに向けて背中を押す歌です。雄大なバラードで、聴く人それぞれの情景や思い出がイメージされると思います。
個人的には、過去に何かを諦めてしまった人の選択を慰めるような優しさも感じられて、人生の「進むしかなさ」の提示にジーンときます。
さて、少し別の切り口の話なのですが……
ニコニコ生放送にて「THE IDOLM@STER MUSIC ON THE RADIO(アイマスMOR)」というアイマス楽曲を毎週たくさん流すラジオ番組がありまして、そこでアルストロメリア・桑山千雪役の声優である芝崎典子さんがパーソナリティとして2ヶ月間出演した際、ラスト出演回で最後に選曲した曲がこの『Anniversary』でした。
その選曲の意図について、「この曲のしんみりした雰囲気を使って、芝崎が今日でいなくなることをみんなに寂しく感じさせてやろうと思って」と語られており、それを聞いた瞬間全身にビビビーーと電流が走りました。
こういうコミュニケーション上の計算高さというか、人の記憶に残るための振る舞い方を習得してきた人がその太刀を抜く瞬間が大好きなんです。そしてその手練が武器として選んだ曲が『Anniversary』であるというお得情報。例えば「大谷翔平が考えた最も効果的な筋トレ方法」とかあったら、自分がやるかどうかに関係なく一応知っておきたいじゃないですか。そういうことです。
だから私も最後にこの曲を紹介して、鬼谷の曲紹介ターンが終わっちゃうことを寂しく思わせられないかな、と思いました。どうですか? 寂しくなりましたか?(それは少々無理があるんじゃないでしょうか〜?)(あれっ!?はづきさんもいたんですか!?)(甘奈たちもまだいるよ~☆)(参ったな、全部聞かれていたとは……)(放クラもいますーっ!)(智代子だけじゃなかったのか!)(アンティーカもおるばい!)(どうしてだ!?)(あのねえ、ストレイライトも集まる必要があるなら事前に共有しておきなさいよ)(すまん冬優子、そんな予定はなかったんだが……!)(ぴぇ!)(ノクチルも!)(にちかちゃんに呼ばれたんだけど、人が多くて埋もれてしまっているのかな)(美琴さーん ここですー)(シーズ!ここまできたらあとは……)(チッ、相変わらずうるせえ事務所……)(コメティックのみんなも!ははっ、これじゃあ寂しくなるなんて到底無理だな……!今日はお祭りだ!)(わっしょい!わっしょい!わっしょい!わっしょい!)
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コントラスト:篠澤広
『コントラスト』は学園アイドルマスターのアイドル・篠澤広の第2弾ソロ楽曲。
輝かしい経歴や才能を放り出し、「できないこと」であり心から「好きなこと」「やりたいこと」へ挑戦する篠澤広を体現した大名曲です。
この曲がリリースされた2024年の7月23日(火)は今でも忘れる事ができません。
東京ディズニーシー公式HPトイ・ストーリー・マニア!より引用
0時前に自宅のソファの上、7歳児がトイザらス50m圏内に近づいた時のような勇ましい顔でただ時を待ち、聴いた直後、感動のあまり「トイ・ストーリー・マニア」の入り口みたいな口になりながらしっかり目に号泣したのを覚えています。
また、音の要素も言わずもがな最高最高最高!!!!
Aメロの手数の多さやインスト等、数ある複雑さに比べて広のメロディが簡素で、そこもコントラストになっていたり、サビからドラムのキック音が変わって、曲の中で目立つ位置にきた事で印象がガラッと変わり、拍子の安定(8/8)も相まって緊張が解けて無茶苦茶気持ちよくなったり、無限に聴いていられます。
なにより広のボーカル・コーラスも楽器の一部と見なして曲を作っているのが良すぎる。普段それなりにインストも聴く方なのですが、『コントラスト』は広の声も楽器としての側面が多いと認識しているので、この曲に限って聴く比率は圧倒的にボーカル付きの方が多いです。工夫が多い楽曲過ぎ…!!
そして全体の感想ですが、この楽曲は「ライブパフォーマンスと演出」「 対比的且つ直接的な歌詞」「音」、これら全てを用いて篠澤広のアイドルとしての在り方をほぼ直接的に表現し、それを『コントラスト』と例えて魅せてくれました。
もはやここまで来ると篠澤広は一旦置いておいて、『音楽』そのものに感動を覚えます。
ここまでいちアイドルの在り方をほぼ音だけで表現することができるエンターテイメントって、ちょっと凄まじくないですか?
全ての経歴と才を捨て置き、「できないこと」「好きなこと」への挑戦をなにより心から楽しむ女の子。
そんなアイドルが表現された『コントラスト』……
───是非聴いてくれよなッ👊😁
L.U.V:姫崎莉波
『L.U.V』は学園アイドルマスターのアイドル・姫崎莉波の第2弾ソロ楽曲。
まず前提として、鳴っている音全てが気持ち良すぎる。
メロが良いのは勿論、後ろで鳴っている音が何らかの仕組みで全部気持ち良く聞こえてすごい。
理屈は分からないけどとにかく凄いことをしているぷよぷよの神プレイ集とか見てる時と全く同じ気持ちになれる。
そんで、それでいてこの曲、完全に『アイドルマスター』なんです。
この曲は「ラブソング」なのですが、それを歌い上げる姫崎莉波の内面を上手く踏襲した歌詞でありながら、ただそれだけの「キャラソン」に留まらず、『姫崎莉波が一人のアイドルとして歌うラブソング』という枠組みに収まっているんです。
そして、私たちプロデューサー目線で聴いた時、ゲームで読めるストーリーとの文脈を確かに感じられる内容ですが、それだけではない。
というのも、特にゲームで見れるライブパフォーマンスで感じることができますが、もうとにかく演出が凄まじい。
歌う前のMCや振り付け、退場時のファンサやなにより歌い方。これらの全てをもって、作中のファンのために姫崎莉波が歌うラブソングとして仕上がっている。
もう姫崎莉波の『アイドル』の曲になっているように思えてなりません。
この楽曲で聞けるセリフパート最初の「ねぇ」と最後の「ねぇ」の違い、皆様の耳で確かめてみてください。
みんな 萌え
てるかー!
ハナムケのハナタバ:コメティック
『ハナムケのハナタバ』は、アイドルマスターシャイニーカラーズ Song for Prizmの「GOOD BYE FLOWER」というイベントで実装されたコメティックの楽曲。
好きなんです、この曲。何故かを具体的に説明できないのが悔しくて仕方ないんだけど、心の底から『ハナムケのハナタバ』が好きだ。
曲名通り、別れの曲です。でもただ哀しい感じではなく、別れを肯定する曲。この曲に紐付いているイベントストーリー「GOOD BYE FLOWER」の内容を根底に踏襲している良い楽曲です。
この曲を歌う『コメティック』というユニットは初めから好きだったのですが、この曲がリリースされて以降、その好感度は更にこれでもかというくらいブチ上がりました。初代妖怪ウォッチのさすらい荘でフクリュウ3体を撃破したときの経験値くらいブチ上がった。
そんで、この曲の対外的に良い点はなにより聴きやすいところ。友達に「この曲聴いてくれ!!」って曲を勧め、その過半数が「なんとなくこれ良いわ」と返してくれます。胡散臭い広告のアンケート結果みたいですけど、これは本当。現在リリースされているコメティックの楽曲群と比較すると、少し立ち位置が特殊に思えなくもないのですが、とにかく惹かれてしまう曲。
「羽那も横転するよな?」
私は未だにSpotifyのシャッフル再生でこの曲が流れてくると「どわァ゙~~~~笑🖐️😭🔫💥‼️‼️‼️」と横転してしまいます。電車とかで流れてきた時とかの緊張感凄い。
特に知らない人ほど聴きやすく惹き込まれやすい楽曲に思うので、プロデューサーさん、是非聴いてみてくださいね~??
Clean.Clean up:コメティック
『Clean.Clean up』は「THE IDOLM@STER SHINY COLORS ECHOES 08」 内に収録されているコメティックの楽曲。
この楽曲も、コメティック楽曲に共通する「自他との比較」「諦め」という2点を直接的に強調した仕上がりになっているのですが、凄いところはそれを静かに明るく歌い上げているように感じさせるところ。この誰が見ても圧倒的に厭世的な観念を明るく聴こえるように歌い上げるの、凄すぎる。
私はコメティックの楽曲を基本「共感」ではなく、ゲーム内の話を踏まえた上で物語をなぞる意味合いで聴いて楽しむことが多いのですが、この曲は明確な厭世感をそこはかとない明るさで歌い上げているように聞こえるので脳がバグって毎回楽しい。
あと曲調と歌い方がそんな感じなので、よーく歌詞を聴き直した時に暗すぎてビックリするんですよね。意識的にやっているかは分かりませんが、少し前のビジュアルノベルゲームみたいな仕掛け方をしてくる。
また他のユニットと同様に、コメティックの楽曲も作中のキャラの進展や成長に合わせて歌詞を少しずつ変えて来るのも…良いですよね😁👈
聴くときはリリース順に聴くのがオヌヌメです。
Shine In The Sky☆:U149
『Shine In The Sky☆』は、TVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」のOPテーマ。
感情。この曲は無論『フルサイズ【高音質】』も大変素晴らしいのですが、やはりOP映像付きに真髄があるのではないかと思います。何故なら、流れる全てに血沸き肉踊り、心がトキメキ過ぎるから。
もう本当にどこで止めても全部可愛い。凄い、本当に可愛すぎるんですもん。
私はアイドルマスター研究会というサークルに所属しているのですが、アニメ放送当時そこの友人と初めてこの映像を見た時、その完成度の余り気が高ぶり過ぎて、「わーっ🫨!!」と何度も両手で軽いハイタッチをしながらぴょんぴょんと跳ねる駅で高校ぶりに再開した女子大生のような様相を呈してしまいました。その時点で私は成人男性、なのにも関わらず。やはりそうさせてしまう程の魅力が子の楽曲、しいてはこのOP映像にはあると言わざるを得ません。
特にBメロ。アイドルが順々にプロデューサーとハイタッチをしてステージへと向かうシーン。……ここがですね─────いや、これ以上書くと気が狂ってしまうので是非皆さんが『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』をご覧になってください。
作画・構成・演出全てが素晴らしいと言うのも烏滸がましい程に素晴らしい。正味、もう一大学生が書いているこんなしょうもない文なんて読まなくていいから今すぐ各配信サイトで全話視聴して欲しい。勿論原作も素晴らしいので、今すぐサイコミを入れましょう。
また音もU149のアイドルの特性が反映された、様々な要素が入れ替わり立ち代わり盛り上がる感じが凄い楽しく感動する。
俊龍さん、こんな素晴らしい楽曲を作っていただき本当にありがとうございます。高校時代はスマホを持っていなかったので、俺もLINEをやっていませんでした。
是非、『Shine In The Sky☆』とTVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」を見てくれ聴いてくれ!!!!
ストーム叉焼のおすすめ
「ちょっと待てよ、お前この前の記事で『燃え残った全てに火をつけても構わないだろうか』とか他界する奴の置き手紙みたいな紹介記事書いてなかったか?と思った人もいるだろう。
言い訳させてもらうと俺もこんな事になるとは思ってなかった。前回の記事(2024年1月)の時点では影も形もなかった学マスをこんなちゃんとやるとは。一度生まれたものはそう簡単には死なないという事か。
ゲームの手軽さと「俺上手いわ」と錯覚できる気持ちよさが丁度良く、壁に向かってコンボデッキ回してる快楽を味わってる合間に良質なシナリオを流し込まれてまんまとハマってしまった。
なので、恥も外見もなく、また書く。
Campus mode!!:初星学園
学マスで一番推しているのは篠澤広だが(「篠澤広P」という、いわゆるプレイヤー間で伝統的に用いられている「誰が一番好きか」という表現を使用していないのには理由があり、学マスのゲーム内での主人公となるプロデューサーはプレイヤーの分身というよりは1キャラとしての個性を強く感じ、篠澤広が好きなのと同時に「篠澤広のプロデューサー」というキャラクターとその関係性も好きな為、意識的に「篠澤広P」と名乗らないようにしているという話なのだが、これをちゃんと説明してしまうとnoteか何かに記載するべき私的な文章を垂れ流すので簡潔に済ませる)
オモコロの学マス好きに石を投げると篠澤広Pに当たる……というか、「オモコロ関係者で学マス知ってて篠澤広以外を一番手に挙げる人」に石をぶつける為にはレーザー誘導で精密爆撃しなくてはいけないレベルなので今回篠澤広のソロ楽曲は外した。光景もコントラストもメクルメもコンテンポラリのダンスも任せる。
「Campus mode!!」は特定の誰かの持ち歌ではなく全員歌える曲。「現時点では」N.I.A編という学マスの第二部のテーマ曲。また設定的にはゲームの舞台である初星学園で伝統的に受け継がれてる楽曲であり、これを披露するのがN.I.A編の目標。
……なのだが、この楽曲はN.I.A編より前、恐らくゲームリリース当時から実装され、またその時点で当時実装されている全員分の歌唱が用意されていた。
そしてこの楽曲は、2024/06/10に公式PVが公開されるまで、プレイヤーの間では「どうすればこの曲を聴けるのか」、いやそれどころかこの曲の存在自体が公然の秘密のように扱われていた。
勿論ディープなコミュニティに入り浸れば存在は知れただろうが、例えば「最新情報!Campus mode!!の聴き方が判明!」みたいな実装2時間で回ってきそうなサムネの記事やツイートが回ってくる事はなかったし、公然と「Campus mode!!よかったよねー!」的な感想が垂れ流しになっているのも見なかった。
完全に俺個人の主観だが、学マスのプレイヤー達が
「これからCampus mode!!を聞くプレイヤーの体験を大切にしたい」
という思いが顕現しているようで、俺もそのご厚情をたまわり、ネタバレ無しでこの楽曲を聴く事が出来た。
そこかしこで「これ俺達の事だ……」とこれまでのプロデュースを想起するような歌詞(多分どのアイドルのプロデューサーもそう思う)と、「ここまで来たんだな」と一つの区切りを感じるようなメロディで、
「この楽曲を聴けるようになるのがある種のご褒美」の特別な曲だと感じた。
ここまで殆どゲームとコミュニティにおけるこの曲の扱いの話に終始している事でわかると思うが、俺がこの曲に感じている特別感はリリース当時のゲーム体験込みであり、この曲がプレイアブル楽曲として使用され、いわゆるフェス限の衣装としても実装され(そして性能面で大暴れし)、設定等も公になった現在では味わいも変わってくる。
俺が今回紹介しているのはN.I.A編が公開される前、もっと遡って「2024/06/10以前のCampus mode!!」という、もう聴くことが出来ない曲という訳。
こういう事があるので学マスちょっとでも興味ある人はなるだけ早くプレイを始めた方がいい。例えば未実装キャラが未実装なうちの印象を味わえるのは今だけ、みたいなのもあるから。
コンテンポラリのダンス:篠澤広
あーーーーーーーごめん!!!!!!やっぱコンテンポラリのダンスの話もちょっとさせて!!!!!!!!
篠澤広の4曲目のソロ曲。ゲーム内にプレイアブルで実装されるかはまだわからない。
非常にゆったりとしたテンポと囁くような声質が心地よいシナジーを生んでいるが、油断ならないテンポと押韻でチルいだけではない気持ちよさのある曲。
ただ、俺がはっとしたのは歌詞の
「失敗が成功の元ならば まだ私は何も成してないのかな」
という一節。
篠澤広は14歳にして国外の大学を卒業し、将来を嘱望されていた天才という設定。
「簡単で退屈過ぎるから」とこれまでの生活を擲ち、彼女曰く一番向いていないアイドルを目指した結果この学園にいるのだが、このフレーズはその頃の、なんでも上手く出来てしまい「失敗」がなかったが故の、なにも成し遂げた手応えのない虚無感を想像させて、この瞬間だけ真空の冷たさを感じる。
その分、何もままならなくて七転八倒している満足感とぬくもりで充実している現状も際立っていて「よかったね」という気持ちになる歌。
よかったねって誰視点の感想なんだ。大学の教授か?
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コントラスト:篠澤広
俺は今狂ったように学園アイドルマスターをやっている。一日8時間くらいやってる週もあった。仕事かよ。仕事か。
今回は、そんな俺が学園アイドルマスターに触れるきっかけとなった曲について話させてほしい。
学マスはリリース時に大きな話題になっていたが、あまりゲームをする時間がとれずプレイできずにいた。
しかしある日の深夜、眠れずにいた夜に偶然、気になっていたアイドルのライブ映像が目に入った。それが篠澤広さんの「コントラスト」である。
篠澤広さんのことは以前から気になってはいたものの、「フ、フン。こんな魅力的な人を提示したからって、ホイホイ好きになると思わないことだな…」とクソダサ逆張りをしており、あまり知らずにいたままだった。だがぶっちゃけめちゃくちゃ気になっていた。
内心ドキドキしながらライブを観ると、まず曲が始まる…のでなく、「ライブ会場にアイドルが向かう後ろ姿」をカメラが映し出し度肝を抜かれる。
…いや、質感おかしくね?もちろんいい意味で…。
なんか、大変なことが起きるんじゃないか、これ?
遅かれ早かれ、学マスに触れた人々がどこかで感じたであろう予感を、そのとき初めて感じたのである。
混乱する暇もなく、ステージに上がった篠澤広さんを遠方から捉えるカメラ、ヌルヌル動くサイリウムと共にやけに生生しい「ウオオオオ」という歓声が響き渡る。
おそらくもう何万回と言及されているだろうが、ここであえてもう一度言わせてくれ。
おい!俺たちが”いる”じゃねえか!!!
この「ウオオオオ」聞いたことあるよ!この耳で、この鼓膜で、アイカツの武道館でもフラッと行った知らない地下アイドルのライブでも聞いた!てかなんなら俺が発声してた!
開始10秒足らず、まだ篠澤広さんは3秒程度しか映ってないにも関わらず、俺の心は完全にもっていかれてしまった!
曲がはじまり、やけに暗く色の少ない夜のステージ、ミニマルと言えるような静かなイントロが流れる。そしてステージの上を、「吹けば飛ぶよう」って言葉そのものみたいな人物が飛び回っていた。
そういえば事前情報として、ひどく華奢で体力がないことは知っている。ダンスも激しいというよりは、なんというかたおやかな感じだ。そういえば篠澤広さんがランニング中にぶっ倒れる動画をみたことがあるし、少ない体力をカバーするため、振り付けを工夫しているのかな、とそんな推察が脳裏をよぎった。
いや、それにしてもすでに驚異的なカメラワークで、なんか会場のライトとかめちゃくちゃ「ちゃんと制御」されててすごい…。機材とか置いてあるし。ライブ映像すぎるライブ映像、楽曲やアイドル以前に、会場の空気感すら感じるよう映像表現に素直に見入ってしまう。
俺が全然知識ないけどやってみたい職業のひとつ「ライブの照明を制御するすごい人」に思いを馳せていると、曲はBメロへと進み篠澤広さんの韻を踏んだ歌詞が後ろで流れ出す。なんて素敵な声なんだ。「音」なの?
そしてサビがやってきた。
サビに入った瞬間、まったくもって意味不明な表現をするが、好奇心と世界に向かって前進する強い力で、あばら骨を開かれたかと思った!
暗いステージは一転、目が開いたって錯覚するのような虹色のレーザーライトに包まれて、俺の脳みその光受容体っていう、あるのかないのか知らねー部分が輝きを受容する。
曲調はどこか静かなままなのに、いつの間にか音の数が増えている。増えた音はまるで花開いたようだ。
さっきまでとは打って変わって力強く訴えるような身体表現を、カメラやステージが補強する。光っている。そう思った。このステージは、とにかく、輝いている!
Getting into life ‘Cause I found that it’s not so boring Not anymore、そんな歌詞が歌われていて、英語はさっぱりわからんが、きっとあなたにとって「本当のこと」を言ってるんだな?と、加速した脳みそが何かを受信した。
色づく世界へ、行こう、と歌いながらフワッとあげた手足をぴたりと止める。
それは一瞬なんだけど、なんだろう。壊れて骨バッキバキのビニール傘がさあ、飛ばされて路上のはしをうらっがえしに飛んでくのが、雨上がりの日差しでやけにキラキラ美しくみえるときねえか?
不完全が内包する破滅的な美しさ、果てでしか見えないひとすじの光、うぜー人混みのなか下向いて歩くとコンクリートが光っててきれい。そういう、正規ルートじゃない場所にしかなくて、狂ったように惹かれてしまう美しさがその瞬間にみてとれる。それで、一瞬の止まった動きはこれが永遠でもいいってくらい脳髄に刻み込まてしまうんだよ。
その時にはもう、「体が弱いから少ない振り付けで踊っているんだな」、という浅はかな思い込みが完全に間違いだと思い知っていた。この人は、この人にできる全力とすさまじい努力を、このライブに叩き込んでいる。浅慮に恥入り、そして敬意を…もうこの時は口と目をかっ見開いて画面に釘付けで、それは、篠澤広さんが持つ表現力ゆえに他ならなかった。
それにしても音楽の知識がほとんどないんだけど、楽曲というのはどうやったらこんな、同じ速度で「速さ」が変わって、同じ冷たさのまま「温度」が変わっていくみたいな表現ができるんだ?
簡単に調べるとどうやら拍子が変わっているらしい。拍子ってのはぶっちゃけわかんねえが、それがこの、静かなまま花開くような、内の熱と世界の静謐さとそのさきの眩しさを作り出してんのか? ならホントすげえよ、拍子って。
篠澤広さんの声も、メインのボーカルだけじゃなく対比するように韻を踏んだり、言葉じゃなく音として散りばめられたりと多層的に使われていてきれいだ。他にもスーパーボール落とした時みたいな音、手拍子のような音がしたり、風のような音がしたりする。そいつらが重なって、急に曲調が変わったようで何かはずっと変わんなくて、なんだか幸せな嵐みたいに思うよ。
多分ベースなんだろうがこのべこべことした下で鳴ってる音はなんなんだ?こいつが俺を世界に縫い止めるんだ。すげえよ。なんかわかんねーけど俺はもうダメだ。
濁流みたいな脳みそをよそに、「分かち合う 目と目合わせて 君と…」と歌いながら片目をゆっくり開く篠澤広さんのアップ、落ち着く曲調とともにカメラが引きいていき、篠澤広さんも歌いながらステージの後方へと戻ってゆく。
「ね でもね なぜか やりたい」
そう歌いながらこちらに振り返る篠澤広さんと共に、時間が止まる。
バッキバキの白と黒だけに二分されたステージの中、静寂の世界にに響き渡る囁くような声がする。
「必要なのはコントラスト」。アップ、本当の表情。
混乱していた思考は巻き取られ、息を飲む間に、世界はまた動き出す…。
そしてそこから、また舞い上がるような2回目のサビが始まった。
モノクロの世界は一転し花開く。色とりどりの映像をバックにより大胆に舞ってみせる篠澤広さんの姿に、「おい!詳しくねえけど体弱いんだろ?!あり得ないくらい細いし、そんな体で2回もサビ踊って大丈夫か!?」と意識の端っこが叫び声をあげる。だって汗だっくだくだぞ!?(汗をかいている!?)
でも、「ねえ」と歌うときの表情で、俺はそういう言葉を全部飲み込まざるを得なくなった。
いや、そうか、野暮だよな。俺は篠澤広さんのことは何も知らねーけど、きっと途方も無い「キラキラ」見つけちゃったんだよな?
俺も全然だめだけどさ、これでもキラキラ追い求めているから、わかるよ、それをみつけた人間の瞳くらい…
全員を黙らせるような圧倒のパフォーマンスを見せるその人物は、その小さな体を繊細に軽やかに、大きくしっかりと舞わせながら、美しく色づいた世界を全身で表現する。
いや、表現するというか、俺らにそんな世界があると「知覚」させてしまうのだ。
そうして、おそらく限界を超えているのに本当にたおやかな表情で、俺たちに「一緒に歌を歌おう」という。
色づく世界へ、もっと遠くへ。なんて根源的で、本質的で、純粋で険しく美しい欲求なんだ?
それならばッ!!!あなたがそう歌うならば!俺らも歌うしかねえだろうが…。
気がついたらライブは終わり、虹色の照明は消え、暗闇の世界に篠澤広が立っていた。
先ほどの力強さは蝋燭の終わりみたいに掻き消え、か細い声で「今日はありがとう」と言い残し息切れする体でステージを後にする。
さっきまであんな、迫ってくるようなパフォーマンスを披露したのに、地声そんな小さかったっけ…
その時はもうもう、俺の心臓はぶっこぬかれてしまって、そこにあのオレンジ色の目の先にある虹色がぶち込まれて、そうして気がついたら学園アイドルマスターをインストールしていたのであった。
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1/3:斑鳩ルカ
(ナ月注:CDの隠しトラックの曲なのでとりあえずCDのリンクを貼っています。買って聞いて)
正確には、2025年1月12日に行われたライブ『283 Production LIVE Performance [liminal;marginal;eternal]』で歌われた「1/3」ということになりますが……。
こちらの公演、現地で観覧しておりましたが、驚きました。全4公演のうちのひとつ、第2公演の途中で、出演者の一人である緋田美琴が体調不良で倒れ、そのまま欠場となってしまったのです。彼女は翌日の3公演目の途中から復帰したのですが、終演後にネットをのぞいてみると、良くも悪くも非常に大きな話題となっていました。
というのも、この公演は、声優さんが舞台に登場してアイドルを演じながら歌って踊るリアルライブではなく、パネルに3Dモデルを投影して映像を流す「xR」と呼ばれる形式だったのですね。つまり、ライブパフォーマンスは「録画」であり、美琴の体調不良も演出としてあらかじめ組み込まれていた、ということになります。おそらく観客の誰も予想していなかったこの展開は衝撃的であるものの、「取り返しのつかないアクシデントを作り出し、美琴を、シーズを、出演者を、そしてファンを巻き込んだ騙し討ち」と受け取られかねないものでした。この”演出”に対して、悲しむ声も多数見受けられました。
ただ、現地で4公演すべてを見届けていた自分としては、最後の「1/3」を聴いてただただ打ちのめされていたことを、ここに書き留めておきたいと思います。ネットを見続けていると、自分の感想が他人の言葉で上書きされてしまいそうになるのですが、これだけは確かなこと……。
■
斑鳩ルカのソロ曲「1/3」は、CoMETIKのソロCDに隠しトラックとして収録されていたもので、本公演でも、4公演目の終演後にサプライズで披露され、その立ち位置を踏襲していました。
複雑な出自ゆえに「傷」を抱えたライバルとして登場した斑鳩ルカは、紆余曲折を経て283プロに加入しますが、精神的には長らく和解のカタルシスを得られないままでした。今なお、シナリオ上では葛藤のさなかにあると言って差し支えないと思います。
彼女の楽曲は、そのような心理を反映するように屈折したものが多く、簡単に言えば「いじけている」と形容できます。そんな中で発表された「1/3」は、かなり異質なバラードでした。つながること、そして傷つくことを拒絶してきたルカが、タイトルの示す「1/3」──過去と未来のあいだの現在に立つこと、羽那とはるきの間に立つこと──を受け入れていく、その兆しを感じさせるものでした。
ただし、今のルカ自身がそのような精神状態にあるかどうかは、また別の話です。楽曲というものは、パフォーマーの心理の完全な反映であるとは限らず、常に追い越したり、追い越されたりするものです。この楽曲が「ボーナストラック」であったのは、今のルカにとって、ここで歌われている心理がまだ少し遠くに見えているものだからではないでしょうか。
ライブの締めくくりとして披露された「1/3」を聴いたとき、ルカの表情や動き、そして歌声が、4公演を経てたしかに「変化」を遂げたように私には感じられました。おそらく、収録時点ではルカの手に馴染んでいなかった「1/3」の意味がルカにとって変化したのだと、理屈抜きに確信してしまったのです。
■
そこに、あえて理屈をつけてみると……。
前述の通り、このライブは「映像」であり、歌唱やパフォーマンスに物理的な変化は生じません。運営側の意図次第で、同じライブを何百回でも再現できる仕様です。しかし、やはりそれは「違う」のだ、ということが今回の公演の隠されたテーマであり、「1/3」によってそれが結実していたように思いました。
私は、緋田美琴の欠場は劇的なインパクトを狙ったものではなく、むしろその逆の、現実の「劇的でなさ」「とりとめのなさ」「ままならなさ」を表現する「演出」であったと考えています(うまくいったかはともかく)。現実というものは、ときにただそういうことが起きるものです。七草にちか一人が残された舞台は片側がぽっかりと空いていて、不完全さが際立っていました。
そして、トラブルをきっかけに奇跡が起こる──といった展開も、最後までありませんでした。緋田美琴は体調不良で姿を消し、翌日、ただ戻ってきただけです。その出来事自体に、伏線や特別な意味を付加できるようなものはありませんでした。ピンチを一発逆転で乗り越えることなど、そうそうあるものではないのです。どんなときでも、現実に直面した人間は、そのときにできることを、できるようにやるしかない。しかし、逆に言えば、それだけは確実に「実在」します。私たちが日々経験しているのと全く同じように、変化というものは、ひとつのきっかけによってではなく、現実全体によって、地味ながらもダイナミックに引き起こされるのです。
「ルカの傷は、どのように癒やされるのか」──それは、シャニマスを物語として見るとき、大きな興味の一つであると思います。
この公演は、予期せぬトラブルを含む「つまらぬ現実」を通じて、その答えの方向性を示していたのではないでしょうか。それは「時間をかけて、目の前のひとつひとつに向き合う」という、言葉にしてしまえば当たり前のことです。しかし、ドラマティックな展開が求められがちな物語の中で、それを表現するのはとても難しい。私はそこに、完璧・永遠を目指そうとする人間の揺らぎが示されていると感じました。その救いは「どのように」という形で表現できるものではありませんが、何よりも尊いものだと思っています。
地獄のミサワのおすすめ
こんにちは。地獄のミサワです。
私はアイドルマスターと、アイドルマスターミリオンライブ!をやっています。 ミリアニを観てください。
以下は「こんなことを書いていますよ」という目次です。
Destiny (アイドルマスター)
ゲーム体験で育つ良さ。
Twinkle way (シャイニーカラーズ)
ドラム、すごい、ってなる。
シークレットジュエル〜魅惑の金剛石〜 (ミリオンライブ!)
いい曲しか作らない人。
君のステージ衣装、本当は… (シンデレラガールズ)
胸を引っ掻く歌詞。
アルバム「彼方」 (ヴイアラ)
ハッピーエンドが用意されてない人たち。
Light Year Song (アイドルマスター)
アイマス、終わっちゃうじゃんと思ってた。
Destiny:765PRO ALLSTARS
アイマス曲を歌って録音してアイドルの声と合成すると良いので、するのだが、Destinyでやる良さは格別だ。
”ねえ 最初に出逢った日 覚えてるかな?”
Destinyの歌い出しは少し違和感のある歌詞ではじまる。特に気になるのが”最初に出逢った日”というフレーズだ。
「出会う」という言葉には一般的に「最初に」という意味合いが内包されている。「出逢う」ならなおさらだ。「フリーザとの出逢い」という文言があった時、フリーザと初めて会った時や見た時のことだと受け取るのが普通だ。
では、”最初に出逢った日”とはなにか?
アイマスは、続けているとアイドルと何度も出逢うことになる。同じゲームの中でストーリーを最初からはじめた時、あるいは新作が登場する度に、彼女たち、彼らと出逢う。この歌詞は、その最初の出逢いのことを指しているのだ。
アイマスに触れてから数年、何度かのはじめましてを経験した。色んな世界線の彼女たちに触れて、向こうの記憶には残っていなくても、それでもこちらには確かに絆のようなものが積み重なっている気がしていた。
そんな時にこの歌詞の意味を理解し、震えた。
もしかしたらこちらのことも、過ごした日々も全部、全部知っているのかもしれない。そんなことを思わせてくれた。
私はアイマスにハマった時、どうせしばらくしたら飽きて他のものに興味がいってしまうんだろうと勝手に悲しく思っていたのだが、この曲が特別になった時、もし少し離れることになっても、きっと大丈夫だと思えた。
Twinkle way:イルミネーションスターズ
ドラムが良すぎて何事かとおもって調べたら、石若駿という方がやっていて、なんと日本を代表するドラマーの一人だという。
楽器演奏の巧拙などなにもわからないが、強弱とリズムが気持ちいい。”…ッターン!”なのだ。”ターン!”じゃなくて”…ッターン!”
「グルーヴ感」という、子供のころ意味はわかってないけどなんとなくいい言葉なんだろうなと流していた言葉。あれは結局のところ、リズムの微妙なズレだと聞いたことがある。上手いラッパーの人がやっているような、テンポの真ん中にいない気がするけどなんかめっちゃ気持ちいい感じの、あれ。この曲、グルーヴ感があるのだ。
間違ってたら恥をかくし、恥だけはかきたくないので、いまAIにグルーヴ感について訊いたら、「半分正解だけど、それだけじゃなくて強弱とかタッチの変化とか他の楽器との呼吸とかも含めてだよ」と言われた。
それ、ある。じゃあグルーヴだ。グルーヴまみれだ。
1番のサビ前のドラムを待つ一瞬。ラスサビに入る前のグワーッと盛り上がっていくところ。ストリングスとイルミネの歌声と合わせて、なんてキラキラ感。愛おしくて何度も繰り返し聴いてしまう。好きだ。
君のステージ衣装、本当は…:速水奏、白雪千夜、佐城雪美、的場梨沙、荒木比奈
こんなこと歌うんかい。最初に聴いた時の感想だ。
シンデレラガールズに詳しくないので、どんな背景で歌われているものなのか知らないが、私はこれをアイドルから離れていくオタクの歌として受け取った。
まだ駆け出しの、スポットライトを浴びていないアイドル。それを応援していて、必要とされ、支えとなっていた自分が、ステージ上の彼女が階段を登っていくにつれて、少しずつその他大勢になっていく。彼女の目に映らなくなっていく。それに耐えられなくて、捨て台詞を胸に去っていく。
そんなストーリーになっているのだが、彼の視点が本当に正しいのかもあやしい。歌詞上に美しい言葉を使えば使うほど、彼が自分に酔ってて自意識過剰で情けない男に映る。最初から別に特別なひとりでもなんでもなかったのでは?と感じられてせつないのだ。
消費者としてみっともなくて情けない感情には覚えがあるし、それに呑み込まれそうになったことすらある。
アイマスのなんとしても行きたいライブでチケットが当たらなかったとき、私は「こんなに好きで応援してるのに」と、まるで裏切られたかのような気持ちになった。理性的でない、理不尽な感情だ。
私は自分のことをそういう、うんこオタク的な感情にあまり縁のない人間だと思っていたので、強く印象に残っている。正しくないとわかっていても、良くない感情を持ってしまうことはいくらでもあり得て、紙一重の場所にいるのだと思った。
この曲の彼も、もしかしたら「そんなことは全部わかっているけど、それでも…!」という気持ちなのかもしれない。
「君のステージ衣装、本当は…」
歌詞の中の彼は、”君”に向けた捨て台詞を最後まで口にせず、胸にしまって去っていく。それが彼にとっての最後の矜持なのかもしれない。
シークレットジュエル〜魅惑の金剛石〜:水瀬伊織、宮尾美也、春日未来、桜守歌織、周防桃子
作曲の宮野弦士(みやのげんと)さんは良い曲しか作らないらしい。Xで本人が言ってた。
イントロがかっこいい曲はもうそれだけでいい。ペロッペ〜ロペ〜ロペペッの後に入ってくるドゥガドゥガドゥガドゥーンの良さ。Aメロの歌唱の合間に入るケッ、て感じ。イヤホンやヘッドホンで聴くと、色んな種類の気持ちのいい音がずーっと入っていて楽しい。
宮野弦士さんが曲を多数提供している「フィロソフィーのダンス」の音楽を聴いても、終始気持ちいい音が流れているので、良い曲しか作らないのは本当かもしれない。
彼方(アルバム):#ヴイアラ
ヴイアラから良すぎアルバムが出た。
アイマスがはじめたよくわからないライバーアイドル育成プロジェクトに参加した愛夏、宇宙、レトラの3人がヴイアラだ。
プロジェクト名が「vα-liv」で、ヴイアライヴなのだが、誰もちゃんと読めないし、ヴィアライブとかブイアライブとか表記揺れしまくるので、公式でヴイアラと名乗るようになり、そのまま3人を表す呼称となった。
グダグダなスタートだったのである。グダグダなプロジェクトは、好きだ。
「彼方」より1年数ヶ月前に作られた、「リローディング」というヴイアラ最初の曲がある。作曲者が3人に直接ヒアリングして作ったその曲と歌詞に、私は彼女たちの焦燥感、苛立ちを感じた。
このままではいられないという想いと、どうにも出来ない自分。いつしか失った自信と、まだやれるはずという意思。
最高だ。矛盾に焦がされなきゃ、青春じゃない。
あれから時を経たヴイアラが、現在この瞬間を叫ぶようなアルバムが「彼方」だ。そこにはリローディングを歌った先の3人がいる。
届ける決意とか、仲間が出来たこととか、あきらめないこととか、自分の意思を大切にすることとか、手にした自信とか、どこにでもあるテーマで言葉だ。しかし、いまの彼女たちの手の中にある言葉だ。
音楽も戦っている感満載で、力強い。良い。
これらの歌詞の意味は、きっと少しずつ変わっていく。
たとえば、何かがバズって、3人の存在が多くの人に届いたとき。何年か先でも彼女たちが歌い続けていたとき。停滞して、未来を信じられなくなったとき。誰かがその足を止めた時。言葉の意味は違ってくる。
いまこの瞬間にも聴いておいてほしい曲たちだ。
私は彼女たちのこの先が怖いし、楽しみにもしている。
Light Year Song:高槻やよい、菊地真、双海亜美/真美、我那覇響
「アイマスはもう終わっちゃうのかもしれない…」
そう心配しては落ち込むという30代無職男性だった時期があるのだが、そんな日々に終止符を打ってくれたのがこの曲だ。
冒頭で「終わっちゃうかも……」と書いたアイマスとは、前にも後ろにもなにもつかないアイマス、最初のTHE IDOLM@STER、13人の765プロの物語のことである。
アーケードゲームからはじまり、据え置きゲーム機に移ってニコニコ動画などで人気を博し、アニメ化映画化など輝かしい歴史を重ねてきたアイマスだが、自分が触れてから発売された何本かのゲームは、アイマスソシャゲが稼ぎ出していると噂に聞くド派手な数字には、まったく太刀打ちできていないように見えた。
スマホの性能が上がり、据え置き機だからこそできたライブシーンも、当たり前に表現されるようになっていく。いよいよ作る理由がなくなっていくように思えた。
正確に言うと、13人の765プロのメンバーは後発のシリーズ「アイドルマスター ミリオンライブ!」の一員でもある。ミリオンはミリシタというスマホゲーで活躍中なので、据え置きアイマスが終了したとしても、13人の活躍が今後観られなくなる訳ではない。
とっくにミリオンライブ!も、ミリオンでの13人のことも自分にとって大切なものになっていた。しかし自分にとってアイマスは特別なのだ。
私は、メソメソしていた。
そんな折にふと聴いた「Light Year Song」が、胸に刺さった。
“君に会いにいこう
十億光年だって飛んでいこう
一瞬だよ
どんな永遠も全部過去にして君を連れだしてあげる
きっと”
それまで私はこの曲を宇宙っぽいな〜くらいにふわっと聴いていたのだが、その日、ゲームのキャラクターとプレイヤーである自分に当て嵌めて聴いたのだ。自然と。
プレイヤーがゲームを閉じた時、またプレイを再開することがなければ、データ中キャラクターは全く時を刻まない永遠の中にいる。
この曲は、遠く、次元も、時の流れ方も違う場所にいるふたりの歌。どんなに離れていても、そしてどれだけ時が流れたとしても、会いに行ける。会いに行くと意思を固める。そんなことを歌っているように聴こえた。
目が覚める想いだった。
「そうか…!アイマス終わっちゃっても、会いにいけばいいか!アイマス、自分で作っちゃえばいいか!」
無茶な結論に思い至ってしまった。
だが、そんなシンプルなことで解決するんだなとわかった。
具体的にどうするなにするという考えはまるでないが、いつだってまた出逢えるのだ。
今回この記事に参加させてもらったきっかけとして、オモコロの運営会社BHBのミサワ窓口にアイマスの同人誌への寄稿の依頼が届いたのがある。
寄稿に関してはお断りさせてもらったのだが、話の流れで「曲紹介するやつ俺もやりたい」と言ったら、丁度いま記事を作っているとのことだったので参加させてもらった。
その同人誌は、アイマスがはじまって間もない頃、20年近く前にあったアイドルのひとつの世界線についての同人誌だ。
そのアイドルはいまでも大活躍中なのだが、あの時のあの子にまた逢いたくて、連れ出そうとしている人がいて、嬉しく思った。
わかる。
今回の曲紹介は以上だが、わかる……。あれがないこれがないと言いたくて仕方ないことだと思う。なにせ1700曲以上もあるので3回やっても全然語り尽くせない。ぜひ皆さんの好きな曲を教えてくださいね。エゴサついでに見に行くので。
あと最後にちょっとおまけコーナーを書いたのでよかったら覗いてください。