妄想バンドのアルバム紹介|ギャラクシー
「学生時代、バンドやりたいなとずっと思ってたんですが、友だちが一人もいなかったので無理でした」
「悲しくなるからやめろ」
「というわけで僕が紹介するのはこちらのバンド……」
銀河詠人withギャラクシーエクスプロージョン/『宙(そら)からのおくりもの』
【メンバー】
銀河詠人(vo & gt)
ISAMU(gt)
TERAO(ba)
KAZOO(Key)
三代目 J(dr)
「銀河詠人withギャラクシーエクスプロージョンのデビューアルバム、『宙(そら)からのおくりもの』です」
「あれ!? なんか……すごいちゃんとしてる?」
「実際売ってるレベルのジャケットだ」
「実はオモコロのマンガ家ライター・カメントツくんに、イラストを発注しました」
「卑怯だぞ! みんな自力でやってるのに!」
「これ、どういうバンドなんですか?」
「ロックというかフォークというか、オーガニックなギターサウンドに、どこか悲しみや影を感じさせる詩を乗せたバンドです」
「??全然わからない」
「簡単に言うと山崎まさよしです」
「一瞬で理解できた」
【曲目】
1. Introduction
2. 酒と拳とマイギター
3. 愛はかげろうのように(シャーリーンのカバー)
4. 宙からのおくりもの
5. 拝啓、海辺にて
6. Keep My Way
7. 17歳
8. 愛なき世界
9. 宙からのおくりもの(弾き語りver.) *Bonus track
「もともとは銀河詠人が、横須賀の米軍基地で一人で弾き語りをしてまして。昼は弾き語り、夜は米兵とケンカ、という生活を繰り返してました」
「横須賀っていうのは、素人がかっこいいバンドの設定考えた時の定番って感じですね」
「銀河はずっと一匹狼だったんですが、高校三年の学園祭で、同級生のバンドのメンバーが風邪で出られなくなって、代打を頼まれたんですね」
「アニメの設定かよ」
「じゃあ、以降はその同級生バンドと一緒に活動するわけね? ドラムのとこに『三代目 J 』ってあるのは……」
「オリジナルメンバーだった J は、バイク事故で死んでしまったんです。J 以上のドラマーはいないってことで、以降はあえてドラマーを入れず、ドラムマシーンを使ってます」
「無駄に良い話入れようとすんなって」
「このバンドはインディーズ時代からすでに確固たる地位を築いて、メジャーからの誘いも数多あったんですけど、銀河は高校卒業と同時に単独でアメリカを放浪します」
「ジャケット見て、放浪するんだろうなって思ってた」
※放浪しそうなジャケットを見せびらかすギャラクシー
「昼はNYからLAまでを弾き語りしながら歩き、夜は米兵とのケンカに明け暮れるんですね」
「また!?」
「米兵に何か恨みがある……?」
「約三ヶ月の放浪を経て、よりスケールの大きな音楽性と共に帰ってきた銀河。そんな彼が満を持してドロップしたのが、このデビューアルバムです!」
「三ヶ月ってただの観光じゃん」
妄想バンドのアルバム紹介|ダ・ヴィンチ・恐山
「続いては私が」
「恐山さんは、音楽ってどういうのを聴くの?」
「実はあんまり聞かないんです。だからバンドやりたいと思ったこともなくて。今回は、もしやるなら……という観点で考えてみました」
そもそも論/『論より証拠』
【メンバー】
ざん(vo & gt)
みやみや(vo & Key)
SYoW(ba)
博士(dr)
「うわ~、今っぽい! ニコニコとかの延長線でデビューしそう」
「ジャケットが適当すぎない?」
「メンバーが かしこそうなイメージ」
「その通り。全員が高学歴です。ちなみにキャッチコピーは『優等生の反抗期は、手ごわい』」
「うぜ~」
【曲目】
1.論より証拠
2.this is a pen
3.レールの上
4.ショートケーキのパラドクス
5.勧善懲悪
6.安易なノスタルジーに訴える浅薄なロック
7.休憩(インスト)
8.つづきをはじめよう
9.素数ゼミ
10.さよなら
「4曲目、『ショートケーキのパラドクス』。曲のイメージはわからないけど、PVの映像は想像つく」
「バンド自体は某国立大学 在学中に結成されました。初アルバム『論より証拠』は10万枚のセールスを記録し、『これは、はみ出せなかったひねくれ者たちの宣戦布告だ』と高評価を受けます」
「今の時代に10万枚って、めちゃめちゃ売れてる!」
「なお、ネットでは『そも論』のファンは“論者”、アンチのことは“論敵”と呼ばれます」
「そういう、設定をつけてるとこがニコニコっぽい」
「ちなみにライブのことは“ゼミ”と言います。活動期間6年の間に、7枚のアルバムを発表しました」
【6年間に発表されたアルバム】
・論より証拠
・正論
・論争
・議論の余地
・論文集(ベストアルバム)
・論外
・卒論
「それぞれのアルバムに明確なコンセプトがあるんだろうなぁ」
「ベストアルバムの『論文集』だけ買うやつは、『アルバム単位で聞かないと意味がない』とかいって“論者”に叩かれそう」
「『論外』はレア・トラック集みたいな感じなんでしょうね。別バージョンとかリミックスとか」
「なお、ラストアルバム『卒論』直後の全国ツアー『卒業旅行』の後に、活動休止を宣言し、リーダー・ざんはソロ活動に専念します」
「解散理由は? メンバーがケンカしたとか?」
「リーダーのざん曰く『″謎″が解けてしまった』とのことですね」
「何の謎だよ」
「鼻につくな~」
妄想バンドのアルバム紹介|原宿
「本日のラストですね。僕が紹介するバンドはこちらです」
両眼 喰男(りょうまなこ くわれお)/『ハゲタカの害(げぇ)』
「何ですかこれ」
「両目ついばまれシンガーソングライター、両眼 喰男(りょうまなこ くわれお)の、『ハゲタカの害(げぇ)』というミニアルバムです」
「完全にふざけてる」
「真面目にやりましょうって言ったじゃないですか」
「キャッチコピーは『真実を見てくれ、俺の代わりに』です」
【曲目】
1.俺は将来的に倉敷に住みたいと思ってるが君はどうだ
2.俺は別にチャーハンがベタベタでも構わないが君はどうだ
3.俺は会社の冷房が強かったら勝手に温度を上げるが君はどうだ
4.俺は暗い夜道を歩いてる時に逆に人の営みの暖かさを感じたりもするが君はどうだ
5.俺は知らない番号からの着信はとりたくないが君はどうだ
6.俺は知らない人にメールを送る時にビックリマークを多用してしまうが君はどうだ
「曲のタイトルに共感してしまうのがくやしい」
「どういう人物なんですか?」
「両眼 喰男は、西船橋のゲーセン店長の息子として生を授かり、周囲に『俺、店に5万枚 貯メダルしてるから、遊び来ない?』と声をかけ、学生時代は高い人望を得た人物です」
「しょうもない奴だなぁ」
「ついたあだ名は『貯メダコーヒー』(主にチョメと略される)」
「どうでもいい!」
「喰男は『ブレイキング・バッド』を見た影響でメキシコへ留学しました。国境の街、ティファナでテキーラを痛飲し砂漠に横たわっていたところ、睡眠中にハゲタカに両眼を喰われたとのことですね」
「喰われてる最中に気づけよ」
「テキーラを痛飲してたんで。それ以来、『頭の中で音が鳴り止まねぇんだヨ』が口癖となり、帰国後は世界で唯一の『両目ついばまれシンガーソングライター』を名乗るんです」
「現在は弾き語りを中心に活動してるんですが、ギターはハードオフのジャンク品なので音は鳴りません」
「それってミュージシャンを名乗っていいんですか」
「ちなみに好きな食べ物はニチレイの“本格焼きおにぎり”です」
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