菓子盆選手権

 

菓子盆選手権とは、お盆にお菓子を盛り付け、そのセンスを競い合う競技です。

たったそれだけのことですが、できあがった菓子盆には作り手の人間性が全て浮かび上がると言われています。

 

 

たかがお菓子と侮るなかれ。

盆師たちにとって、菓子盆センスを否定されるのは、己の人生を否定されることと同義。その分、優勝の誉れを得た者はまさに天にも登る心地になるとか。

 

前回の優勝者

お菓子の配色・味・位置・サイズなど、様々な要素を考慮しながら人は神に供する盆を作り上げます。

今回は一体どんな菓子盆が生まれるのでしょうか!?

 

今回は都内のキッチンスタジオで撮影しました。

久しぶりの撮影に、参加者もいささか緊張の面持ちです。

 

審査員を務めるのは、こちらの寮母さん。

品田遊名義で作家として活躍する彼女は、日本で唯一菓子盆を評価するライセンス持つ第1級菓子盆認定師でもあります。

また、門限に対して非常に厳しいことでも有名です。

 

寮母さん
「門限は破るんじゃないよ」

 

それでは、菓子盆選手権スタートです!

 

 

エントリーNo.1 みくのしん

トップバッターはオモコロライターのみくのしん!

菓子盆選手権は初出場ということもあり、いつになく真剣な表情です。

 

みくのしん
「出場したからには必ず1位を獲って帰りたいと思っています!」

 

菓子盆ボーイ
「気合十分ってかい。では、お手並み拝見といこうじゃないか」

 

みくのしん
「僕が作った菓子盆は……こちらです!」

 

みくのしんの菓子盆

 

菓子盆ボーイ
「やるじゃねえか」

 

トップバッターにして、堅実な作りの菓子盆を繰り出したみくのしん!

菓子盆ボーイの評価は上々のようですが、肝心の寮母さんはこれをどう見るのか!?

 

 

お菓子を手にとり吟味する寮母さん

寮母さん
「ふぅ〜む、いい卵を使ってるねえ。こりゃ優勝かもしれないねえ」

 

やったー!

 

 

エントリーNo.2 夢顎んく

続いての挑戦者は、ライターの夢顎んく。今回はメガネを2個持参しての挑戦です。

 

夢顎んく
「菓子盆には物語が必要です。今回、僕は盆を通して一つの思い出を描こうと思っています」

 

視力が戻った夢顎んく

夢顎んく
「そう…忘れもしない。あれは今から1年前の夏のこと…」

 

夢顎んく
「使用人も連れずに独りで避暑地を訪れた日のことです。見渡すほどの高原で、その日僕は乗馬に興じていました。ところが……」

 

 

夢顎んく
「落馬してしまったんです」

 

夢顎んく
「打ち所が悪かったのでしょう、体を動かすどころか声をあげることもできませんでした。高原に独り取り残された僕は死を覚悟しました。その時です」

 

あなた…そんなところで何をしているの?

 

夢顎んく
「偶然にも一人のご婦人が通りかかりました」

 

夢顎んく
「まさに天の助け。僕にはその女性が聖母さまのように見えました」

 

怪我してるのね…独りで怖かったでしょう…

 

夢顎んく
「目がかすんでいたので彼女の顔ははっきりと覚えていません。僕はそのまま気を失い、病室で目を覚ました頃には、女性は姿を消していました……」

 

夢顎んく
「あれは夢だったのか、それとも…。いや、それは知らなくてもいいことなのかもしれません」

 

夢顎んく
「あの夏の日に出会った女性を想って、この菓子盆を作りました。ご覧ください」

 

 

 

夢顎んくの菓子盆

 

菓子盆ガール
「こぼれてんじゃん」

 

夢顎んく
「彼女への溢れる想いを表現しました。私の愛を収めるのにこの盆は小さすぎる、ということでしょう」

 

菓子盆ガール
「なるほどね」

 

 

あえて盆からはみ出すという荒技に出た夢顎んく!

この掟破りのスタンドプレーを審査員はどう評するのか!?

 

寮母さん
「すぅすぅ…」

 

アララ、寝ちゃったみたい。

 

 

エントリーNo.3 のぎへっぺん

続いては、新人ライターのぎへっぺん!

本が雨にぬれてシワシワになっちゃったみたいですね。そういう時は冷凍庫に入れるといいよ。

 

強豪校
「今年の西校は強いな。おい一年、あの動きよく見とけよ」

「うす!」

 

のぎへっぺん
「菓子盆の真髄は素材選びにあります。本物にこだわる私は、獲物を求めてカスピ海へ出ました」

 

 

のぎへっぺん
「そこでは海女さんが活きのいい魚を捕らえていました。ブローカーの口利きでそれを安く譲ってもらえたのはラッキーでしたね」

 

 

のぎへっぺん
「その後はすぐに市場でシメてもらい、バイク便でここまで直送。素材の劣化を一切許さない。それが私の流儀でね」

 

のぎへっぺん
「この時期の魚は脂が乗ってる。まさに”今”が食べごろだ! さぁ、ご賞味あれ!」

 

 

のぎへっぺんの菓子盆

死魚を丸ごと盆にのせるという豪快なスタイルを見せつけたのぎへっぺん!

しかし、これは菓子盆なのでしょうか?

 

これには寮母さんも険しい表情。果たして判定は…?

 

 

 

寮母さん
「このばか!しょうがない子だね!」

 

のぎへっぺん
「タハハ〜ごめんなさ〜ん」

 

やはり菓子盆とは認められませんでした!

観客は騙せても、寮母さんの目はごまかせなかったということでしょう。

 

観客席の女
「のぎへっぺんがここで敗退するなんて…」

 

 

観客席の女
「これは目が離せないわね」

 

 

エントリーNo.4 山下ラジ男

続いての挑戦者は、過去に優勝経験もある山下ラジ男!

なんと、過去に優勝経験があるのです!

 

酔っ払い
「なんだァ辛気くせえツラしやがって。出る大会間違えてんじゃねーのかァ?」

 

フォントサイズ96ptの男

 

「帰れ!」

 

山下ラジ男
「見せてやるよ、本物の菓子盆を」

 

山下ラジ男
「この日のために辛い修行を重ねてきたんだ。俺の耳には外野の雑音など届きはしない」

 

 

山下ラジ男
「俺は5年間山にこもり、自らの身を野生に堕することで無為自然の心を悟った」

 

山下ラジ男
「今の俺はただの山下ラジ男じゃない」

 

山下ラジ男
「ネイチャーラジ男だ!」

 

 

山下ラジ男の菓子盆

 

虫歯菌
「ツェ! こいつは甘そうだずぃ〜〜〜?」

 

 

初挑戦にして、目をみはるほどの完成度を見せつけた山下ラジ男! その出来に思わず寮母さんも真剣な表情を浮かべています。

 

寮母さん
「ふうむ。この菓子盆は実に──」

 

観客席の女
「しっ! みんな静かにして!」

 

 

 

観客席の女
「虎よ……」

 

 

 

 

観客席の女
「虎が狙ってるわ」

 

 


「ぐるる…」

 

芯を食ってない女
「しまじろうの元ネタじゃん……」

 

 

エントリーNo.5 電気バチ

続いては、ライターの電気バチ! 並々ならぬ闘志をみなぎらせて会場入りしました。

 

電気バチ
「なにが菓子盆選手権だ。くだらねえ」

 

電気バチ
「こんなもの、所詮おままごとだろうが」

 

電気バチ
「ぶ っ 壊 し て や る よ」

 

電気バチ
「ンバァー!」

 

寮母さん
「キャッ! な…なにさ!」

 

電気バチ
「もう我慢できねぇー! オメぶっ殺しーだ!」

 

寮母さん
「きゃー!」

 

これはどうしたことでしょう!

あまりのプレッシャーに耐えかねたのか、出場者がご乱心を起こしてしまいました!

 

のぎへっぺん
「落ち着いてください! どうしちゃったんですか電気バチさん!」

 

電気バチ
「離せ! 俺は気が狂ってるんだ!」

 

牛乳を注ぐ女
「落ち着いて。まずはこのミルクを飲みなさい」

 

電気バチ
「ガブガブ」

 

電気バチ
「落ち着いた! 俺の菓子盆を見せてやる! これだ!!」

 

 

コウモリの上半身上半身下半身

 

 

寮母さん
「なんだいこりゃあ……」

 

菓子盆ボーイ
「1年後のお前だ。あの世に向かって一礼しろ」

 

波乱続きの菓子盆選手権ですが、いよいよ次で最後の挑戦者となりました。

果たして優勝は誰の手に!?

 

休憩中のMr.パーティ
「みんなはもう犯人がわかったかな?」

 

 

エントリーNo.6 足靴 蝶々頭雄

最後の挑戦者はオモコロ編集長の足靴 蝶々頭雄(あしっくつ ちょちょずお)。

 

足靴 蝶々頭雄
「林修は私の甥です」

 

※嘘である。蝶々頭雄は鱗粉を使って相手に幻覚を見せることで自分の嘘を信じ込ませることができる。

 

 

足靴 蝶々頭雄の菓子盆

 

寮母さん
「破門です」

 

 

破門でした。

 


    /コンチャス\

 

 

結果発表

これにて、全ての菓子盆が出揃いました!

激戦を制し、菓子盆選手権の王者に輝くのは一体どの菓子盆なのでしょうか!

 

寮母さん
「難しい。本当に難しい審査でした」

 

 

寮母さん
「でも決めました。優勝は……」

 

 

 

 

寮母さん
夢顎んくです!」

 

 

前科を持つ夢顎んくがまさかの優勝!!

菓子盆チャンピオンの座と共に、国王から恩赦が与えられることになりました! おめでとう夢顎んく! この人殺し!

 

 

夢顎んく
「何かの間違いでは…? 僕の手は血で汚れているのに」

 

寮母さん
「いいえ。あなたの菓子盆は愛で溢れていたわ」

 

寮母さん
「私のこと、覚えていてくれてありがとう」

 

夢顎んく
「その横顔…まさか…」

 

夢顎んく
「あの時の…」

 

怪我が治ったようでよかったわ

 

私、心配していたから…

 

夢顎んく
「寮母…いや。聖母さま…」

 

 

菓子盆選手権は夢顎んくの優勝で幕を閉じました。

 

 

哲人ジャムおじさん
「みんな〜。トースト焼けたよ〜」

 

 

ぅわ〜い!

 

 

 

 

これまでの菓子盆選手権

 

 

 

素材はこちらからお借りしました→「Artvee」


(文責:かまど)