バゴッ
ガサッ
ジュワッ
俺はコブラ、気ままな宇宙海賊だ
「やっぱり鶏むね肉ってのはダメだな。安いからってパサパサしてていけねぇ……」
「鶏むね肉を茹ですぎてはダメよ、コブラ」
「レディ……」
こっちは相棒のアーマロイド・レディ
見ての通り、イイ女だ
「でもレディ……、焼いたところでもっとパサパサになるのがオチだぜ?」
「いいえ。私は『茹ですぎてはダメ』と言ったの」
「低温調理なさい。コブラ」
「低温調理。別名、真空調理法は焼く、蒸す、煮るに次ぐ第4の調理法と言われているわ」
「そんな特別なこと、この家の設備で出来るのかい?」
「できるわ。あなたのその左腕の“サイコガン”なら」
「…………。」
「なるほどねぇ…………」
おう!!!
第1話「鶏ハム」
「準備はもう出来てる。これをサイコガンで加熱するのよ」
カチャ…
ヒュン……!
「こっちも準備完了だ!!」
「では鶏肉を水を張ったバケツに入れて」
「61℃で加熱するのよ」
「そう、その調子よ。コブラ」
「それで、いつになったら旨い鶏肉が食えるってんだ?」
「フフ……、」
「そうね……」
「3時間40分後よ」
「な、なんだって!?」
「ま、そんな長時間加熱し続けるのは無理でしょうね」
「あなたが並の精神力の持ち主なら、の話だけど……」
「いいねぇ……やってやろうじゃねえの………」
「なぁ~レディ…やっぱり俺ってこう、じっとしてるのは性に合わねえぜ」
「ダメよ。まだ1時間も経ってないわ」
「ヒューッ……!厳しいねえ…………」
Zzz……Zzz……
「まぁ、コブラ……!!!」
Zzz……Zzz……Zzz……
「むね肉は70℃以上になるとパサパサになるのに……コブラ!!!」
Zzz……Zzz……
「コブラ!!温度が!!温度が上昇しているわ!!!!!!!!」
「もうダメよ!!コブラっ!!!!!!」
「コブラーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「すまないレディ……サイコガンが暴発しちまった……」
「コブラ。サイコガンは心で撃つのよ。」