エントリーNo.6 ARuFa(千葉)
これまでサイコな忌み盆(いみぼん)を量産してきたARuFa。
今回こそはちゃんと人間性が通った盆を作って、出身地である千葉県に泥を塗らないようにしてほしいのですが、果たして…。
「千葉の魅力をお伝えできる菓子盆にしました」
●落花生
●豆らっか
●ふなっしーとチーバくんクッキー
●ピーナツハニー
●柿の種ピーナッツ
●ばかうけ あさりバター風味
●こんぺいとう
「千葉と言えば落花生が有名。そのため落花生やピーナッツをたくさん使った菓子盆にしました」
「また千葉県にはディズニーランドもあるので、ふなっしークッキーとこんぺいとうを使って、エレクトリカルパレードを表現しました」
~ 会場の反応 ~
「異常者が夢で見た万博会場?」
「魔族に乗っ取られたフジテレビのロゴ?」
「ピーナツハニーをジャコウネコの糞に見せる技術は逆に見事」
末期の芸術家が最後に描いたネコの油絵かと思ったら菓子盆でした。
そうですね、千葉県といえばやっぱりピーナッツですよね。あと、ふなっしーですよね。それでいいんじゃないでしょうか。で、どうしていつもARuFaさんは粘性のあるものを盆の上に直接配置するんでしょうかね。
ちょっと目を離してるうちに勝手に量が二倍くらいに増えてそうな生物感がなぜピーナッツで出せるのか、不思議です。
あとこれは完全に個人的な感想なんですけど「ばかうけ あさりバター風味」あと味の「磯っぽさ」がエグすぎて大笑いしてしまいました。一度食べてみてほしいです。
千葉県のみなさん申し訳ありません。ARuFaは終身不名誉市民として県外追放されることでしょう。
さあ、次がいよいよ最後の盆となります!
エントリーNo.7 原宿(神奈川)
最後の挑戦者はオモコロ編集長の原宿。
悪趣味というスコアをカンストさせた菓子盆しか作らない男ですが、今回は出身地の神奈川県を代表するということでいつになく真剣な表情! これは期待できます。頼むぞ!
「『横浜』をありのままに表現しました」
●メロン
?????
~ 会場の反応 ~
「メロンだ」
「メロンじゃん」
「横浜ってメロンの産地じゃないよね?」
よく見るとメロンには切れ込みが入っています。
これは一体…?
?????
?????
~ 会場の反応 ~
「ふざけんなよ」
「心臓止まるかと思った」
「何これ? 何が起きてんの?」
中に詰まっている玉? 種? を取り出していくと……
●横浜 喜久家洋菓子舗のラムボール
~ 会場の反応 ~
「頼むから何か説明してくれよ」
「高価なお菓子をこんなことに使うな」
「ねえ、もうコイツ菓子盆に誘うのやめようよ」
どう気を配っても、公序良俗に反する言葉でしか表現できないこの菓子盆。
ダ・ヴィンチ・恐山なら、この怪作に込められた想いを汲み取ることができるのでしょうか?
破門です。
無理でした。
これで通算10回目の破門です。2ケタ回破門される奴っているんですね。
ちなみにダ・ヴィンチ・恐山いわく、「ラムボール」はメロンの風味がついてリッチな味わいになっていたそうです。
できれば、人間の魂を取り込む異形のパックマンみたいな見た目の入れ物でなく、普通に食べられれば良かったですね。
優勝者決定!
これで第11回菓子盆選手権「出身地に由来したお菓子を使ったご当地自慢盆」がすべて出揃いました!
果たしてご当地お菓子王の栄冠は誰の頭上に輝いたのか…
審査員のダ・ヴィンチ・恐山から、優勝者を発表いたします!
今回の菓子盆選手権の優勝者は……
モンゴルナイフさんです!
ご当地盆を制したのは北の国からやってきたモンゴルナイフ! どのあたりが審査に響いたのか、審査員の総評を聞いてみましょう!
郷土愛とは、つきつめれば肥大化したエゴです。誰ひとりとして生まれる場所を選べない以上、郷土愛にも必然性はありません。故郷を愛する理由などほんとうはない。だから、自分で探すしかないのです。それゆえ、銘菓に強い県という「地の利」は、そのまま盆師の目を濁らせるリスクとなりえます。
今回は七者七様のご当地盆を楽しむことができました。全体の傾向としては、盆の上に焦りが見えたように思えます。ふるさとの良いところを存分に見せつけたいという思いが、盆を賑やかにしつつも落ち着かないものにしたのかもしれません。そんな中、変わらぬ平常心を保っていた永田さんの盆はとりわけ目立っており、このテーマに対する取り組み方の違いが明確にあらわれていました。
しかし、よくよく見てみると、モンゴルナイフさんの盆にも同じことが言えます。永田さんの盆とは正反対のガチャガチャした盆ですが、隅々まで己の目が行き届いている。特に、北海道らしさのない「標津羊羹」をあえて入れてしまうところに、郷土性を超えたエゴが良い意味で生きていると感じました。よって、今回はモンゴルナイフさんの盆を優勝とさせていただきます。
菓子盆の面積が人の手のひらとほぼ同じなのは、盆師の手のひらに収まるぶんしか菓子はのせられないという等身大の教訓のあらわれなのかもしれません。ご当地というテーマだからこそ、自らの意思をどう反映させるかが鍵になる大会でした。
出身地と己のパワーをフルに使ったモンゴルナイフが、なみいる強豪たちを抑えて優勝しました! おめでとうモンゴルナイフ! なんだこの写真。
ちなみに毎回恒例となっている終了後のお菓子宴会ですが、この日は各地のお土産が勢ぞろいしていることもあり、めちゃくちゃ盛り上がりました。
長期休暇の後などにお土産を持ち寄って職場や学校で企画したら、いいパーティになるのかもしれません。
さて、オモコロ恒例企画とさせていただいているこの菓子盆選手権。
今後も書籍化(ちくま新書「菓子盆力 〜凡人から盆人へ〜」)を目指して活動の幅を広げてまいります。
今後のテーマとして、「受験勉強がはかどるお夜食盆」、「愛猫に捧げるキャットフード盆」、「菓子盆プロファイリング選手権 〜この盆を作ったのは誰だ〜」などの企画も検討中です。
それでは皆さん、次回の菓子盆選手権でお会いしましょう!
以上、アシリパナイフでした。ヒンナヒンナ。
(おしまい)