菓子盆の上には、人生とおもてなしセンスが現れる。
との思いから、2016年1月26日にオモコロ上で行われた「第一回 菓子盆選手権」。
そのお菓子選びのスキの無さに感嘆のため息が出る菓子盆から、キテレツな組み合わせに悲鳴が上がる菓子盆まで、菓子盆という小さな空間の中にお菓子を並べるという行為一つとっても、人の個性はさまざまに出るものなのだということに気付かされた一夜でありました。
およそ一ヶ月の期間を置きまして、今回は菓子盆選手権の第二回の模様をお届けしたいと思います。
せっかくの第二回ですので、今回は菓子盆を作る「テーマ」を設けるという要素をのせてみたいと思います。第一回は言わば「フリースタイル」、第二回は大喜利で言う「お題」のようなものがある回だと考えてください。
そのテーマとは……
です。
菓子盆作りという行為がそもそも持つ「おもてなし力(りょく)を計る」というフレームに、第二回ではさらに恋愛要素を加えてみました。これにより一体どんな変化が起こるのか、注目してみましょう。「付き合いたて」=「付き合って半年以内ぐらいじゃない?」と、何となくイメージしていただければと思います。
↓ベースとなる菓子盆選手権のルールはこちら!
審査員を務めるのは、第一回と同じく品田遊名義で作家としても活躍するダ・ヴィンチ・恐山です。「急に頼んだ割に、想像以上に的を射た菓子盆批評をしてくれた」という実績から、日本菓子盆協会唯一の1級審判員に認定されています。これは菓子盆ワールドカップがもし開催されたあかつきには、そのまま国際試合で笛を吹ける資格に相当します。
それではさっそく、「付き合って間もない異性を、家に呼んだ時に出す菓子盆選手権」スタートです! モテモテ菓子盆を出せるのは一体誰だ!
エントリーNo.1 凸ノ(初出場)
一人目は漫画家の凸ノです。漫画家ならではのコマ割りセンスと色彩感覚は、果たして菓子盆の世界でも光り輝くのか? 本人の意気込みを聞いてみましょう。
「なるべく味や食感をバラけさせて、飽きないように。食べ切れずに残しても大丈夫なものを。 その2点にこだわりました。あとやはり僕は吉高由里子さんがめちゃくちゃ好きなので、 この菓子盆を作っている時は、吉高由里子さんの顔を思い浮かべながら作りました。二人でお酒を飲みながらでも食べられるお菓子も完備しています」
と、いきなり特定の異性を指定する菓子盆の登場です。そんなトリスハイボールな凸ノの菓子盆がこれだ!
●イカ天。瀬戸内レモン味(まるか食品)
●チーズおかき(ブルボン)
●サッポロポテト(カルビー)
●プチチョコパイ(ロッテ)
●トッポ(ロッテ)
●パインアメ(パイン株式会社)
「今回の相手は女性なので、チョコパイを小さいサイズのものにしたりしています。一見『食べるか?』と思われるパインアメは、帰りに持って帰れるお土産用のお楽しみですね。お酒にぴったりの“イカ天。瀬戸内レモン味”は、この菓子盆のメインフィールドと言えます」
~ 会場の反応 ~
「イカ天。瀬戸内レモン味は、確かにめちゃくちゃ美味いよね」
「何となく下心に忠実な男という感じがする」
「パインアメとチーズおかき、プチチョコパイはオッパイを想起させるし、トッポは棒状だし、そこにイカ天を入れるなんて性的なメタファーにまみれ過ぎ」
「エロさを感じる」という反応が多かった凸ノの菓子盆。果たしてこれを、菓子盆評論家ダ・ヴィンチ・恐山はどう見たのでしょうか?
スケベが作った菓子盆です。
どういうわけか、菓子の配置が奇跡的に「コマしたろ感」を演出しているのですね。まさに菓子盆は心を映す鏡、といったところでしょうか。スケベ心を抜きにして言えば、チョコパイのような鉄板お菓子を土台にして、変わりダネやおつまみ系などを取り揃えたバランスのいい菓子盆だとは思うのですが……。それにしても「イカ天。瀬戸内れもん味」がやたら美味しい。このあと個人的に買いました。本当においしいので、おすすめです。それは別として、この菓子盆はドスケベです。
その場にいた全員が「美味すぎ!」と絶賛した、「イカ天。瀬戸内れもん味」。あまりにも美味いので、もう日本の主食はこれにするべき。
エントリーNo.2 ヨッピー(初出場)
2人目の出場者は、インターネットの暴れん坊将軍・ヨッピー。何となく大味なお菓子ばかり買ってきそうなイメージがありますが、どんな菓子盆を見せてくれるのでしょうか? 本人の意気込みです。
「菓子盆において忘れられがちなのは、【出し手】の目線では無く【受け手】の目線です。菓子盆とは言わばぼく自身の投影であり、そのぼく自身の投影である菓子盆を受け入れるか否か。そこは相手の女性にも問われる部分ではないでしょうか? 今回チョイスしたのは【懐かしの駄菓子盆】ですが、これらの駄菓子を手に取り【懐かしいね】というノスタルジーを共有出来ない相手は『こちらからお断りだ!』というメッセージも込めています」
なるほど、どうやら「あえての駄菓子」を狙ったセレクトの様子です。そんな少年少女時代に帰れるかもしれない、ヨッピーの菓子盆はこちら!
●ヤクルト×2
●よっちゃんイカ(よっちゃん食品)
●蒲焼さん太郎(菓道)
●チョコボール(森永)
●チョコパイ(ロッテ)
●ベビースターラーメン(おやつカンパニー)
「ウェルカムドリンクとしてチョイスしたヤクルトは、ぼくが小学校の頃によくお邪魔していた浦部くんの家で出て来たのと同じ形式で、ぼくはこの菓子盆によって育ったと言っても過言ではありません。この菓子盆には【相手の女性とバックグラウンドを共有したい】という想いが込められています」
~ 会場の反応 ~
「頭悪そう~。年収低そう~」
「付き合いたての女子にいきなりヤクルト飲ます? しかもストロー付きってちょっと怖いだろ」
「全部のお菓子が袋詰めで交じり合うところがない。ヨッピーは他人を拒否してる」
言いたいことは二つ。「どれだけ他人を信用してないんだよ」と、「赤いな」です。やはり特筆すべきは個別包装への異様なこだわりでしょう。業者かよ。チョコボールなんか、普通に2人で分けて食べればいいじゃないですか。ヨッピーさんの心にそびえる「壁」が如実に菓子盆へ投影されている気がします。
それと、凸ノさんに引き続いてチョコパイが登盆(とうぼん)していますが、「女子にはケーキっぽいもの食わせとけ」という発想ではありませんか? お祭りの屋台っぽさは好きなのですが、同時にテキ屋のおっさんの真顔がすごく怖かったことも思い出す菓子盆でした。ヤクルトにあらかじめストローが刺さっているのは普通に気持ち悪いです。
まさかのヤクルト登場でしたが、高評価にはつながらなかった様子です。「個包装を選びがちな人は、他人に心を開きにくい」という性格占い的な側面も菓子盆にはあるのかもしれません。
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