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人は菓子盆の上で嘘をつけない。

 

 

「お菓子チョイスのセンスでその人の全てがわかる」をモットーに激しい闘いを繰り広げてきた菓子盆選手権

 

今回で第四回を迎えるわけですが、「自分の好きなお菓子を盆の上に盛る」というだけで、なぜこんなに人間性が浮き彫りになってしまうのか不思議でなりません。

 

 

ある者は繊細で美麗な盆を、ある者は異常で共感能力に欠けた盆を、ある者は単なる悪ふざけを。同じ人間でここまで差が出るものでしょうか?

 

いずれ菓子盆をプロファイリング手法の1つとして確立させたいものですね。

 

 

 

さて、今回は菓子盆選手権の第四回の模様をお届けしたいと思います。

 

「フリースタイル」「お題」「縛り」など、過去に様々なテーマを設けて行いましたが、今回は「なりきり」です。とあるシチュエーション内の登場人物になりきって菓子盆を作ってもらいます。

 

 

そのシチュエーションとは……

 

 

 

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です。

 

 

今回は父親になりきって、挨拶に来た娘婿に対して出す菓子盆を作ってもらいます。

 

経験したことがないので想像するしかないですが、娘を送り出す父親の思いたるや、それはそれは様々な葛藤があることでしょう。

 

そんな葛藤の末の決断を、どのように菓子盆で表現するのか、盆師達の腕が問われるところです。

 

 

 

 

 

↓ベースとなる菓子盆選手権のルールはこちら!

 

 

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そして、本当に何でなのかよくわからないんですが、今回の菓子盆選手権に新聞の取材が入りました。東京新聞さんの「TOKYO発」というコーナーでご紹介頂けるようです。なぜ?

 

確かに東京から発信してますが、そんなこと言ったら何でもアリじゃないですか? 東京在住のオッサンの痰とかだって言ってみたら「TOKYO発」じゃないですか? 大丈夫?

 

取材担当者の方が編集長から激怒されてクビを切られないように頑張りたいと思います。

 

 

 

 

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さて、そんないつもとは違う緊張感が漂う大会で、審査員が務まるのはこの男しかいません。

 

品田遊名義で作家としても活躍するダ・ヴィンチ・恐山です。現在日本で唯一の1級審判であり、既に国際A級ライセンスも取得済み。都知事選の出馬も検討しているとの噂です。

 

 

 

 

 

 

それではさっそく、「娘の婚約者が挨拶に来た時に出す菓子盆」スタートです!

 

 

 

 

 

エントリーNo.1 かんち(初出場)

 

かんち

 

一人目は初出場のかんちです。見た目は100点満点の頑固親父(職業:鍛冶職人)ですが、果たしてどのような菓子盆を振る舞うのでしょうか?

 

 

 

「福島の実家を離れ、東京で働く今年31歳になる娘。これまで浮いた話を聞いたことがありませんでしたが、30歳を過ぎてようやく彼氏ができ、今回は連休を使って彼氏と挨拶に来るそうです。今の彼氏を逃してしまったら、次はいつになるのやら。

 

親としても早く孫の顔が見たいですし、大切に育ててきた娘の相手ですから、きっと変な男は来ないでしょう。親としてこの挨拶は大歓迎! そんな私達の気持ちをこの菓子盆に込めました。こういうことが初めてなので緊張しています」

 

 

 

生まれつき「結婚は認めん顔」のかんちですが、意外にも「娘の結婚は大歓迎」とのこと。そんな気持ちを表現した菓子盆がこちら!

 

 

 

 

 

 

 

かんち_R

 

 

●いぶし銀ぶっかけ塩(鹿島米菓)
●ままどおる(三万石)
●くるみゆべし(みよし堂)
●ゴーフル(風月堂)
●えび自慢(浪花あられ東京店)
●夕張メロン シャーベリアス(北辰フーズ)

 

 

 

 

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「菓子盆は、背景にゴーフルを並べて、パーティーフラッグのような歓迎する気持ちを表現しています」

 

 

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「また、硬そうに見えて意外と柔らかい私の性格をおかきの『いぶし銀』に例え、妻の優しさを福島の銘菓『ままどおる』で表しています。

 

ちなみに事前の試食で『いぶし銀』を食べたところ、私の銀歯が取れました。こういう隠れた攻撃的な面もこのお菓子で表現できていると思います。他のお菓子はちょっとでもいいものをと、普段行かない高級スーパーで買い揃えました

 

 

 

 

 

~ 会場の反応 ~

 

「ゴーフルの色味のギャル感よ」

 

「父性を出したいのか、ギャル性を出したいのかハッキリしない愚盆」

 

「福島って言ってるのに夕張メロンのゼリーを出すな」

 

 

 

と、全体的にやや不評でした。菓子盆評論家ダ・ヴィンチ・恐山はこの盆をどう見るのでしょうか?

 

 

 

 

娘の交際相手を前にした父親が考えることは、「良好な関係を築きたい」そして「なめられてはいけない」に集約されるでしょう。

 

かんちさんの菓子盆には、「仲良く」と「なめるな」の2つの極の間を絶えず行き来する困惑が表れている気がしてなりません。剛堅なおかきでガンコオヤジをアピールし威嚇したかと思いきや、背後には色とりどりゴーフルが並ぶちぐはぐさ。

 

目ざとい婚約者なら、盆を見て義父の焦りを見抜いてしまうかもしれません。

 

 

 

父の揺れ動く気持ちが、盆上で見えてしまい厳しい評価に。焦りや動揺は今大会では大きなマイナスポイントかもしれません。

 

 

 

 

 

エントリーNo.2 山口(三代目菓子盆王者)

 

山口

 

2人目の出場者は、前回大会の優勝者である山口。稀代の甘党である彼が作る盆は、娘婿をどのようにもてなすのでしょうか?

 

 

 

自分の内面としばらく向かい合ったところ、『娘の連れてきた男に、辛辣に当たることはできないな~』という結論が出ました。自分が愛情をかけて育てた娘は変なヤツは連れてこない、そう信じたいです。

 

それから『こっ恥ずかしい』という事です。初めて会う男が自分に認められたくて、必死になってお願いしに来る……『なんだか自分みたいな人間にそんな!』という気持ちになりそうな気がしました。なので、相手の緊張を解いて早く仲良くなるための菓子盆です」

 

 

 

今回のテーマと真摯に向き合った山口。その答えから導き出される菓子盆とは?!

 

 

 

 

 

 

 

山口_R

 

 

●オールレーズン(東ハト)
●カントリーマアム(不二家)
●ふんわりくんさき(カネタ)
●バームロール(ブルボン)
●濃厚チーズ気分(三幸製菓)
●フエラムネ(コリス)

 

 

 

 

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「全体的に、あまり高級な菓子は入れていません。相手に『あまり気負らずに話そうよ』という意思表示をするためです。そしてフエラムネ。相手に親しみが持てるお父さんだと思ってもらいたいので、ピューと吹いて場が和めばいいなと思いました」

 

 

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「ある程度話しが盛り上がった後は、ちょっとビールでも飲もうよという流れにいきたいので『くんさきいか』『濃厚チーズ気分』というビールにも合うお菓子をチョイスしました」

 

 

 

 

 

~ 会場の反応 ~

 

「なるほど、盆のバランスが良いですね」

 

「どうだろう、なんか父親っぽくはない気がするな~」

 

「全部3個ずつで統一されてるけど、奥さんの分は…? これは何か触れちゃいけない部分…?」

 

 

 

 

 

山口さんの盆からは「ま、ま、仲良くしていこうや~」という、えびす顔が見えてきます。

 

父なのにカントリーマアムをメインに据えてしまう思い切りの良さは、ある意味かんちさんの対極にあると言えますね。旧来のイエ制度も限界を迎え、家族の形態も多様化してきた昨今、このような盆も父の盆に違いありません。

 

しかし、「フエラムネ」までいってしまうと、もはや「歩み寄り」を超えた「媚び」になっていると思います。対等な関係といえど、引くべき一線はあるのでは?

 

 

 

頼りない父親像にピシャリ。言ってることがもはや人生相談のコラムみたいになってきましたが、「引くべき一線がある」という言葉には頷けるものがあります。

 

 

 

 

 

>>この後も名盆、珍盆が続々登場します!<<