菓子盆は一箱のマッチに似ている。
重大に扱うのはばかばかしい。重大に扱わねば危険である。
―芥川龍之介
「お菓子チョイスのセンスでその人の全てがわかる」をモットーに行っている菓子盆選手権。今回で六回目の開催です。
「何のこっちゃ」という方は是非、上部のリンクから過去大会の様子をご覧頂けますと幸いです。
「自分の好きなお菓子を盆の上に盛るだけで人間性が浮き彫りになってしまう」一体なぜなのかはわかりませんが、そうなんです。
この現象に名前がついてWeblio辞書に登録されるまでは、この大会をやり続ける所存です。
さて、今回は菓子盆選手権の第六回の模様をお届けしたいと思います。
今回はお題はこちらです。
色んなところを一周回ってようやく本来の菓子盆の用途に戻ってきた感のあるお題です。今回はお題の都合上、出場者はママに扮してもらいます。
さらに、今回は特別ゲストとして、実際に小学校低学年の息子がいる本物のママの方に出場して頂きます。
いわば菓子盆のプロとも呼べる思わぬ伏兵の登場に菓子盆ファイター達は一体どう立ち向かうのでしょうか?!
↓ベースとなる菓子盆選手権のルールはこちら!
さて、菓子盆選手権の審査員と言えばこの人しかいません。
世界一無駄なGIFアニメで登場したダ・ヴィンチ・恐山です。
品田遊名義で作家としても活躍する彼は、現在日本で唯一の1級審判であり、既に国際A級ライセンスも取得済み。落ち着きがないこと以外は特に欠点が見つかりません。
それではさっそく、「小学生低学年の息子が友達を連れてきた時に出す菓子盆」スタートです!
エントリーNo.1 キショ松(初出場)
一人目は初出場! キショ松がキショママとなって登場です。普段は見るだけで臓腑が腐るような記事しか書かない人間ですが、一体どのような菓子盆を見せてくれるのでしょうか?
「小学生低学年のとき、僕が好きだったお菓子を詰めました。僕の友達もみんな好きだったものばかりなので、選手権に参加したみんなもドキドキワクワクしちゃうはずです。だって、僕と、その友達が大好きだったんだから」
なんだかよくわからないことを言っているキショ松。さあ、気になる菓子盆はこちら!
●スパイシービーフジャーキー(FamilyMart collection)
●ミニシュー(FamilyMart collection)
●ポテトチップス クリスプ(カルビー)
●ポッキー 極細(グリコ)
「今回はあくまでも親目線で作ることになってるので、お菓子の分け合いでケンカにならないように、ポッキーを24本にしました。2、3、4、6、8、12で割り切れる数字なので、友達が急にやってきて人数が変わっても安心です。
なぜ、こんな数学的な趣向を凝らしているのか気になりますか? それは友達がたくさんいる人の気持ちが分かるから。僕は、そういう人間なんです」
~ 会場の反応 ~
「山盛りのうんこ」
「いちいち食ったポッキーの数を数えてる奴いねぇよ」
「盆も本人も冴えんなぁ~…」
と、予想通りの大不評でした。菓子盆評論家ダ・ヴィンチ・恐山はこの盆をどう見るのでしょうか?
今回は「ママが子どもに出す盆」。まずはキショ松ママの盆ですが、まず私は問いたい。あなたは菓子の輸送業者ですか? と。
シュークリームにポッキー、そしてポテトチップス。たしかに子どもたちは喜んで食べるでしょう。しかしその手柄は全て製菓会社にあるのではないでしょうか。
菓子盆の真髄は「選び、並べる」という創意工夫にこそあると私は考えています。好きなもの、好きそうなものをただ多く盛って出す。これは盆育上、あまり良いこととは言えません。子どもの欲望をただ叶えることも一種の盆育放棄なのです。
「盆育」という新しい概念を用いてのお説教でした。教育者としての顔も覗かせるダ・ヴィンチ・恐山。今回の菓子盆選手権、厳しい闘いになりそうです。
エントリーNo.2 おすし(第四回菓子盆王者)
2人目の出場者は、第四回大会を制したおすし。エンターテイメント性の強い菓子盆で会場を驚かせた前回。今回はどんな菓子盆を魅せてくれるのでしょうか?
●海賊金貨チョコ(やおきん)
●大粒ポイフル(明治)
●純露(UHA味覚糖)
●ポップキャンディ(不二家)
●ポテコ(東ハト)
●うまい輪たこ焼き味(リスカ株式会社)
●蒲焼さん太郎(菓道)
●でん六豆(でん六)
●大玉ミックスキャンディコーラ味(アメハマ)
「きっと宝箱のようなお菓子が出てきたら喜ぶだろうと思って、金貨の中に宝石のような純露・ポイフル・でん六豆を散りばめ、宝箱の華やかさを演出しました」
「指輪と王冠をイメージしたポテコとうまい輪で塩気のあるスナックをいれることも忘れません。また、蒲焼さん太郎やコーラ飴の赤により、色彩的にも宝箱感を引き出してみました。『お前んち沈没船みたいな!』と言われば幸いです」
~ 会場の反応 ~
「おお、華やかでいいね!」
「確かにテンションは上がるけど、本当にこれを友達が来る度に毎回やるの…?」
「『あいつの母親、空回りしてんな』と陰口を叩かれる危険性を20%くらい孕んでいる」
おすしママの盆をひと目見て「おおっ」と声を上げてしまいました。
まるで宝箱のような雑多感。遊びに行った家でこんな盆が出てきたら子どものテンションは最高潮に達するに違いありません。稚気を刺激する「あえてのこぼし」も高評価。
しかし、味の面を犠牲にしている点が大きくマイナスになってしまっています。特にメダルチョコレートは甘さが強烈なので、1枚で「あ、もういいや」となりがち。なぜか「純露」とか「豆」が混じっているのも謎です。
ただ「子ども盆」の正解に至るヒントのようなものを感じたのは確かです。
コンセプトは良しとしたものの、味のバランスの悪さを見抜かれてしまいました。「菓子盆のゴールはあくまで『食』」という冷静なジャッジです。