これまでの菓子盆選手権

 

 

人生は、菓子盆みたいなものよ。開けてみるまで何が起こるかわからないの

映画「フォレスト・ガンプ/一期一会」

 

 

「お菓子チョイスのセンスで、その人の全てがわかる」をモットーに開催されてきた菓子盆選手権

 

 

菓子盆選手権とは「盆に好きなお菓子を盛りつけ、その出来を見て大人がキャッキャはしゃぐ」という、末期の娯楽。

二泊三日の旅行なのに大雨が降ってしまい、いよいよやることがなくなったらこれをやりましょう。

 

 

ただ、盆にお菓子を盛り付けるだけなのにその仕上がりには「人間性のすべてが現れる」と言われています。これは嘘なんですが、FBIのプロファイリングにも導入されている心理分析法でもあります。

 

 

これまで、オモコロではいろんなテーマを元に菓子盆を作ってきました。

 

 

 

さあ、今回は一体どんな菓子盆が生まれるのでしょうか?

 

今回で12回を迎える菓子盆選手権のお題は…

 

……

 

 

 

「あ〜まいったな……。仕事でこんなミスをしてしまうなんて……

 

 

「僕はなんてバカなんだ…。はぁ……」

 

 

「どうした? 落ち込んでるのか?」

「あ…課長……」

 

 

「まあまあ、これでも食べて元気だしな」

 

 

 

 

 

 

 

今回のテーマは上司が仕事でミスをした部下を元気付ける菓子盆!

果たして2019年上司にしたい菓子盆ランキング1位に輝くのは誰なのか?

 

 

↓ベースとなる菓子盆選手権のルールはこちら。

 

 

 

 

今回も、審査員を務めるのはこの男!

 

菓子盆の貴公子、ダ・ヴィンチ・恐山! 

 

品田遊名義で作家としても活躍する彼は、菓子盆を評価できるライセンスを持つ唯一の男でもあります。

0点のタキシード仮面みたいな風貌ですが、今回は「落ち込んだ部下役」として菓子盆を評価してもらうためスーツを着用してもらいました。

 

 

 

 

それではさっそく、「落ち込んだ部下を励ます理想の上司盆」スタートです!

 

 

 

エントリーNo.1 かまど

一人目の挑戦者はライターのかまど。

社会人生活に馴染めずに辞職した経験のある男。今でも上司に怒られる夢を見て飛び起きることがあるそうです。

 

 

「僕もデキないサラリーマンだったので、落ち込んでる部下の気持ちはよく分かります。

あの頃の自分に贈るつもりで最高の上司盆を作りました」

 

 

今回のテーマは落ち込んだ部下を慰める盆なので、それぞれ「部下の失敗」を想定してもらいました。

かまどが想定した部下のミスはこちら!

 

いやにリアルな状況だな。報連相は大切にね。

 

落ち込む恐山の心に寄り添う、かまどの上司盆とは!

 

 

 

 

●明治ミルクチョコレートスティックパック(明治)
●ブラックサンダー(有楽製菓)
●ポッキー(グリコ)
●ビスコ発酵バター仕立て(グリコ)
●サクサク食感のしっとりチョコ(セブンイレブン)
●濃い宇治抹茶わらび 黒蜜入り(セブンイレブン)
●ファイア ブラック(キリン)

 

 

「落ち込んだ部下を前にして、ここぞとばかりにガチガチに作り込んだ菓子盆を差し出すと『ミスが起こるのを予期していた』と思われかねません。

そこで、僕の菓子盆はコンビニで買えるお菓子に統一しました。『お通夜には喪服で来ないのがマナー』みたいなものですね」

 

 

「ほんの心遣いで缶コーヒーも添えています。ミスの後始末で残業することになっても、これを飲んでもう一息頑張ってほしいという気持ちを込めました。

甘いお菓子が多くなってしまったので、コーヒーの味はブラックに。仕事のおともにはぴったりなチョイスだと思います」

 

 

「定番商品ばかりで無機質だと思われないように、定番からちょっと外して僕のお気に入りのコンビニ菓子も用意しました。

『これ美味いんだよ。食ってみ?』と、なんてことない一言をかけて、仕事のミスで頭がいっぱいになっている部下の心を解きほぐす狙いも兼ねています」

 

 

~ 会場の反応 ~

 

「菓子盆に缶コーヒーはアリなの?」

 

「落ち込んだ部下に作り込んだ菓子盆はNGという理屈がよくわからない。こうやってマナーは偽造されていくんだな」

 

「ツイッターで『これ上司からの差し入れなんだけど、残業させる気満々で戦慄した』と陰口叩かれそう」

 

 

外野がごちゃごちゃ言ってますけど、このわらび餅は本当にイケるんですよ! さあ恐山クン。これを食べて元気を出しなさい

 

 

ありがたくいただきます

ふふ、私はこのお菓子が好きでねえ。仕事の帰りにいつも食べちゃうんだよ

それでは……

 

 

 

ザッ!

 

 

 

そんな失礼な食い方する部下がいるか

すみません。すっごく手が汚れそうだったので

 

 

~ 会場の反応 ~

 

「ミスをした部下をさらに辱めるトラップ?」

 

「いや、これは恐山が悪い」

 

「社内で粉が舞うお菓子はご法度じゃないの〜?」

 

 

 

 

コンビニ菓子を駆使して飾らない菓子盆を作り上げたかまど! 落ち込んだ部下の目に、この心遣いがどう映るのか?

 

 

今回のテーマは「理想の上司」盆。

職場における人間関係、特に上下関係が絡むものは、きめ細やかな配慮が必要となります。馴れ馴れしすぎるのも、突き放しすぎるのも不適切。上司として見守る立場を盆でどう表現するかが見どころです。

 

かまどさんの盆からは、部下を思う上司の気持ちがにじみ出てくるようです。あまり大上段に構えすぎると部下も緊張します。ブラックサンダーの「ざっくばらんな感じ」が適切な遊び要素を生んでくれていますね。

特に目立ち、少し浮いている気もする「抹茶わらび」からは、秘密の行きつけの飲み屋を教えてもらったかのような錯覚を覚えました。

 

一方で、盆の外に添えられたコーヒー缶からは一抹のあざとさ、いやらしさを感じてしまったのも事実。目的は部下を励ますことであって、上司の株を上げることではないのです。

 

 

上司のいやらしい打算を飲み干す恐山

 

かまどの心遣いに小狡い計算を感じ取った審査員の厳しい評価!

上司の厚意を偉そうに品評するという図抜けたふてぶてしさですが、これも審査員の役目なので仕方ありません。

 

 

この調子でどんどんいきましょう!

 

 

 

エントリーNo.2 永田

2人目の出場者は、会社の副社長を務める永田!

今回の参加者の中で最も上司パワーの高い男ですが、菓子盆にもその威厳は映し出されるのでしょうか?

 

 

「人の気持ちを1番わかる人が勝つお題ですね。

他の出場者を見ても、基本的に異常者のカスしかいなかったので僕が必然勝ちます」

 

 

人の気持ちがわかるとは思えないセリフを吐く永田。

 

彼が想定した恐山のミスは……

 

ミスが社外に波及してしまっている…。ある意味、上司に怒られるよりもキツいパターンです。

 

 

先方に謝り倒してズタボロになった恐山の心を癒せるのか?

永田の上司盆はこちら!

 

 

 

 

●ナボナ パイナップルクリーム(亀屋万年堂)
●不揃いバウム 紅茶(無印良品)
●不揃いバウム かぼちゃ(無印良品)
●不揃いチョコがけいちご(無印良品)
●不揃いホワイトチョコがけいちご(無印良品)
●不揃い宇治抹茶チョコがけいちご(無印良品)
●ポテトチップス うすしお(カルビー)
●チョコチップクッキー(イトウ製菓)

 

 

「まず落ち込んでいる部下にどのように菓子盆を振る舞うのか、というストーリーが最も重要です。

大きく存在感を放つナボナは『菓子折りの余りあるから食おうよ』と声をかけるためのものです。

実際は謝罪の菓子折りが余るなんてことあるわけないので、あらかじめバラで買ってます」

 

 

「僕の使用菓子リストを見て頂ければ一目瞭然ですが、左側の菓子は全て『不揃い』かつ『味違い』となっています。

もちろん、『人間とは不揃いで不完全なもの』『その違いこそが美しい』という励ましのメッセージを込めたチョイスです」

 

 

「また、右側は一見ただのスタンダードなお菓子に見えますが、実はこの2つは『失敗から生まれたお菓子』なのです。どういう失敗かは各自ググってください。

これでお菓子をつまみながら『失敗は誰にでもありそこから何を学ぶかが肝要である』という教訓にもスムーズに繋げることが可能です。まさに完璧な上司盆と呼べるでしょう」

 

 

~ 会場の反応 ~

 

「説教くせえ〜〜〜」

 

「こいつの朝礼の挨拶は絶対長い」

 

「でも、菓子折りの余り物という言い方は押し付けがましくなくて見事」

 

 

 

 

やや理屈っぽいものの、まさに理想の上司と言える風格を見せた永田! 恐山の評価やいかに?

 

 

何も知らない人であれば、この盆を前にしてホンワリと優しい気持ちになることでしょう。しかし、少しでも盆の深淵に足を踏み入れたことのある者ならばすぐに感じるはずです。ここから立ち昇る「理」のオーラを。

 

チョコチップクッキーは失敗して溶け残ったチョコレートが「意外に美味しい」と評判になって生まれたレシピ。ポテトチップスは「厚すぎる」とクレームをつけられたフライドポテトを限界まで薄くして生まれたレシピです。

そして「不揃い」だけど美味しいお菓子。ナボナを添える理由付けも完璧です。もはやこの盆は「地雷原」と言って差し支えがありません。

 

ここで「そんな”理”で固めた思いやりは本物なのか」という茶々を入れることも可能でしょう。ですが今回、私はそれを言おうとは思いません。「思いやり」の背後にある智略に部下が気づいたとしても、それはまた別の形で彼を成長させるに違いないからです。

 

「ふふ…『失敗から何を学ぶかが肝要』か……」
ってなる恐山。

 

上司の心遣いの表と裏を見通した上での高評価! 菓子盆を通して上司と部下の会話が聞こえてきそうです。

 

 

 

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