これまでの菓子盆選手権

「お菓子チョイスのセンスで、その人の全てがわかる」をモットーに開催されてきた菓子盆選手権。

 

ルールは「盆にお菓子を盛り付けるだけ」

しかし、そうして出来上がった菓子盆の姿には「その人の人間性が浮かび上がる」と言われています。

これは嘘なんですが、子どもたちの創造性を育む先進的な教育法として文科省も注目しているそうです。

 

さて、今回で15回を迎える菓子盆選手権のお題は……

 

最近は自宅にいる時間が多くなり、家で仕事をする人も増えたのではないでしょうか?

今回は、そんなリモートワークのおともに最適な菓子盆を作ってもらいます。

 

 

↓ベースとなる菓子盆選手権のルールはこちら。

 

 

 

審査員を務めるのは、ライターのダ・ヴィンチ・恐山。

品田遊名義で作家としても活躍する彼は、菓子盆を評価できるライセンスを持つ唯一の男です。

 

ちなみに今回は、WEB会議ツール「Zoom」を使ってリモートで撮影しました。

気軽に人に会えないので何か理由をつけて集まりたかったんです。

 

 

それではさっそく、「理想のリモートワーク盆」スタートです!

 

エントリーNo.1 瀧ヶ崎

一人目はオモコロの運営会社バーグハンバーグバーグでデザイナーとして働いている瀧ヶ崎(たきがさき)。漫画の主人公みたいな名字で羨ましいですね。

 

可愛いイラストや丁寧な仕事ぶりに定評があり、仲間内では絶大な信頼を寄せられている男。

菓子盆選手権は今回が初参戦ですが、「隠れた実力派なのでは?」とかねてより噂されていました。

 

〜今回に向けた意気込み〜

自宅作業は気が滅入るのでとにかく「自分のテンションを上げる」という主旨で作りました。

 

在宅ワークの様子

画像制作やサイト制作など時間のかかる作業が多いので、普段からお菓子は必須だそうです。

在宅ワークとなった彼は、一体どんな菓子盆をおともに仕事をしているのでしょうか?

 

 

●上えび(一色屋)
●えび誉(紀伊國屋)
●かっぱえびせん 桜えび(カルビー)
●手巻納豆 紀州梅味(成城石井)
●ピスタチオとバニラのクッキー(無印良品)
●しみこみチョコ いちご(無印良品)
●エッグタルト オリジナル(神戸物産)

 

まずは好物のえびせんを3種類。これをローテで食べるのが好きです。味に偏りが出てしまいますが、自分1人のための菓子盆なので気にしません。

 

他にも好物の「成城石井の手巻納豆」など、少々値が張るため普段来客には出さないようなお菓子を贅沢に乗せています。

 

真ん中にある大きなお菓子は「業務スーパーで売ってる冷凍のエッグタルト」です。安くて美味しいですし、オーブンで焼くと家の中がパン屋みたいな香りになってテンションが上がるので最高です。

 

えびせんの薄ピンクや苺チョコの赤に、ピスタチオクッキーで新緑のような緑を差し込み、全体的に華やかな彩りに。今年は花見にも行けなかったので、せめて菓子盆だけでも春めいた明るい雰囲気を演出しました。

 

 

~ 会場の反応 ~

・菓子盆はキレイだけど、なんかエッチじゃない?

・春っぽい配色のせいかな? 円熟したフェロモンを感じる

・エッチなおばさんがエアコン修理業者に出す菓子盆

初参加にして完成度の高い菓子盆を繰り出してきた瀧ヶ崎!

照明で演出するなど、デザイナーらしいこだわりも見せています。他のメンバーは「菓子盆のヌード写真みたい」とドキドキしていました。

 

果たして、審査員の目にはどう写ったのでしょうか?

 

 

円形とピンクで統一した、非常にまとまりのいい菓子盆です。

自分一人で食べるとはいえ、彩りには気を配りたい……。そのこだわりはデザイナーらしいと言えるかもしれません。

 

にもかかわらず盆から緊張した感じがしない理由のひとつに、左端の「成城石井の手巻き納豆」があります。

来客に出すとしては少し気が引ける、やや癖の強いあられであると拝察しますが、こういった「でも、自分はコレが好き」を惜しげもなく盛れるのが菓子盆の良いところ。

 

中央に居を構えるエッグタルトも、来客向けに出すにはあまりに大仰な代物で扱いにくいはず。

でも一人で食べるなら、このワガママのかたまりを存分に楽しめるというわけです。買いだめしやすい食材で統一されているあたりも、自粛慣れしていますね。

 

少し気になった点は「水分メチャクチャ奪われそうだな」ということと、「これを食べながら仕事した後のキーボードの隙間、やばいことになりそうだな」です。

しかしそれをZoom越しに指摘するのは大きなお世話というものでしょう。

 

お気に入りの手巻納豆を見せつける瀧ヶ崎

いつもならみんなでお菓子を味見するところですが、今回は遠隔なのでおあずけです。

乾燥納豆を海苔で巻いたお菓子らしいです。どんな味だったんでしょうか?

 

 

エントリーNo.2 天野アマゾネス

2人目の出場者は、今回唯一の女性ライターでもある天野アマゾネス!

 

〜今回に向けた意気込み〜

仕事の邪魔にならない、作業効率を意識した盆を作りました!

 

在宅作業の様子

普段はイラスト作業が多いという天野。いつもソファに寝っ転がって作業しているそうです。

自宅でしかできない仕事スタイルを堂々と貫く彼女は、どんな菓子盆を作り上げたのでしょうか?

 

 

●MINTIAブリーズ フレッシュグレープ(アサヒ)
●うまい棒(やおきん)
●チョコスナック(株式会社ママ)
●台湾茶フルーツティーのど飴(扇雀飴本舗)
●パスタスナック(オリエンタルランド)
●塩バタかまん(宝製菓)
●いのち 抹茶(ラグノオ)

外出を控える事が多くなったので、家にあるお菓子から片手で軽く食べられるものを選び盆にしました。

 

飴やタブレットは口の中で味が長持ちするので、盆に手を伸ばす回数が減り作業に集中しやすくなります。

 

お菓子の包装があらかじめ剥いてあるのは、作業中に手を汚したくないのと、お菓子をスムーズに口に運びたいという2つの欲求を満たすための工夫です。

 

これは、私の出身地である青森の名菓いのち。私にとっては盆や正月などに食べる特別なお菓子なので、あえて包装を開けず仕事が終わった後のご褒美にとっておきます。

 

 

~ 会場の反応 ~

・自分の欲望に正直な菓子盆。この人は信頼できる

・でも、自宅で食べる菓子盆にここまで効率を求める?

・フードファイターの菓子盆みたい

気取ることなく、ありのままの自分を見せつけた天野アマゾネス!

「タブレットのフタまで開けてるのは、さすがに徹底しすぎていて怖い」という意見もありました。

 

 

見た瞬間に笑ってしまいました。あまりに「ジャージ」だったからです。

盆そのものが、ジャージでくつろいでいる人間に見えてきます。

ミッキーマウスが印刷されている菓子があるだけで、どうして実家のような雰囲気が出てしまうのでしょうか? 不思議です。

 

説明を伺うと、この盆が機能性にあふれていることがよく伝わってきました。食べながら作業することを意識して、あらかじめ包装紙を剥いておく。はっさくの薄皮を全部むいてから食べ始めるタイプでしょうか。

ミッキーのスナックを選んだ理由は「袋から口に流し込みやすいから」だそうです。こんな実利から好まれているとは、オリエンタルランドも思っていないことでしょう。

 

「仕事中」と「仕事後」に食べる菓子が分かれているのはとてもおもしろいですね。仕事のモチベーションを上げるための菓子と、「ごほうび」として食べる菓子は確かに輝きが違います。

境界線の曖昧な菓子盆上に、そんな「自分ルール」をしっかり導入しているあたり、この菓子盆は見かけほどだらしなくありません。

 

盆としての見かけについては、色彩的・形状的なこだわりを見いだせません。

ですがこの盆は「美しい」よりも「嬉しい」ものであることを優先したのだと思います。

いつも視界の端にいて、ちょっとしたご褒美をくれる存在。盆はそんなパートナーにもなれるのです。

 

名菓「いのち」を割った瞬間

「いのち美味そ〜」「いのちってどんな味がするの?」と魔族のお茶会みたいな会話で盛り上がりました。

 

 

エントリーNo.3 永田

続いては、常勝を誇る菓子盆の絶対王者、永田。

自撮りに慣れてないので妙に緊張していますね。男子高校生が他校の女子に送る写メみたい。

 

〜今回に向けた意気込み〜

菓子盆とは”国語”です。リモート盆というテーマを深く読み取った者が勝つ…今回はそういう勝負になるでしょう。

 

永田の在宅ワークは、ベッドの上にデスクを置きそのまま作業するスタイル。

仕事をすればするほど腰痛が酷くなるという怪奇現象に悩まされているそうです。

 

 

●アーモンドチョコレート抹茶(明治)
●手造り五家宝(西倉製菓)
●アーモンドフィッシュ(でん六)
●のどにスッキリ(春日井製菓)
●おつまみアソート(カネタ)

菓子盆にもハレとケという概念があるわけですが、今回のリモートワーク盆は日常の生活に基づいた「ケの盆」であると言えます。

 

このテーマにおいて優先すべきは派手さよりも堅実さ。サステナブル(継続可能)な盆が求められているわけです。

 

勤務中の盆ですので、手が汚れないように配慮しつつ、カロリー過多にもならず、かつ満足感は保ちながら、近所のスーパーで手軽に揃えられる盆にしました。

 

そしてなにより自宅内とはいえ、お菓子を剥き出しで置いておくような衛生観念では、何のための自宅待機だかわかりません。全て個包装のお菓子で構成するのは当然の配慮と言えますね。

 

 

~ 会場の反応 ~

・公民館のご馳走かよ

・お祭りの集会所でおっさんたちが食べてる菓子盆

・写真に写ってないだけで、側にビールが置いてあるに違いない

テーマの解釈で他メンバーとの差を見せつけた永田!

「リモートワーク菓子盆ではなく、リモート飲み会菓子盆では?」という意見もあがっていましたが…?

 

「どてら」の盆です。

気取らない。しかし、サボらない。人に出せば「地味」「おじさんっぽい」と思われてしまいそうな盆を、あえて無造作にぽんぽんと配置する。

おじさんが盛っておじさんが食べるのだからこれでいいのです。

 

人によっては「菓子盆は、菓子を買う過程も含めて評価すべきだ」という意見を持つ人もいます。

この観点で見れば、容易に手に入る菓子でまとめてあるこの盆は、成立背景も含めてコンセプトに非常によくマッチしていると思います。

 

これまでに永田さんが手掛けてきた菓子盆が「作品」であるならば、これは「風景」なのかもしれません。

少し目を離しただけで盆の印象が失せてしまいそうな自然さです。でも、自分でも気づかないうちに、ほんの少し暮らしが豊かになっているのです。

必要なものを必要なだけ盛り付けてみたら、菓子盆になっていた。そんな何気なさが光る作品だと感じました。

 

お気に入りのお菓子を見せつける永田

永田はこの「五家宝」というお菓子が大好きらしいのですが、画質のせいで維管束にしか見えませんでした。

理科の教科書でよく見ましたね。懐かしい。

 

>>次ページ<<
>>菓子盆の大会荒らしが登場!<<