第一話「焼け! ジュウ!」
雄斗「はぁ…!はぁ…!もう…なんだったんだよアイツら…」
グ~~~~~~~ッ
雄斗「それにしても腹減ったな…」
雄斗「でも、お金が無くて店にも入れないし…」
雄斗「うう…。お腹空いたよ…。ああ…こういう時は焼肉でも食べたいぜ…」
雄斗「いいよね~焼き肉~。ジュウ~~っつって焼ける音がしてね。カルビ喰いたいなぁ…。カルビで白米をかっこみたいよね~。」
???「おい、窓が汚れる。離れろ」
美川「さっきから、うちの店の前で何してんだ」
雄斗「ご…ごめんなさい定員さん! めちゃくちゃお腹空いてて、焼肉食べたいな~って思って」
美川「焼肉?! ここはカフェだぞ。焼肉が喰いたきゃ叙々苑にでも行け」
雄斗「ええ?! カフェって焼肉がないの?!」
美川「カフェのシステムを知らない? …もしかしてお前…記憶がないのか…?」
雄斗「モグモグ…いやー! ご飯ご馳走してくれてほんとありがとう定員さん!」
美川「喰いながら喋るな。それに…」
美川「野菜をまだ食べてないだろ。残さず食え」
雄斗「…いや~。信じて貰えないと思うけどさ、さっき芋ともやしの化け物みたいなのに追いかけられてたんだよね」
美川「芋ともやしの化け物だって…?」
雄斗「だからかな…なんか食べる気がしなくて…。いや! 不味いとかじゃないのよ本当に!」
美川「…」
そのころ…
ゴソゴソ
美川「ほらッ。受け取れ」
雄斗「わ! こ、これは何…?」
美川「ミートウォッチだ。いいか? もしお前に危険が迫ったらそのボタンを押せ」
雄斗「ミートウォッチ?! なにこれ?! ダサくな~い?!」
美川「言う通りにしろ! ……いいな?」
雄斗「わ…わかったよ! 定員さんは恩人だしな」
美川「店員さん、だ。記憶喪失は深刻みたいだな。…とにかくもう帰れ。これからディナー営業なんだよ」
雄斗「……でも、俺には記憶がないから…どこに帰ればいいのかな……」
美川「…そこまで面倒見れるか。……ただ、どうしても思い出せなかったら、またここに来い。」
雄斗「わかった! ご飯ありがとう! また来るよ! 」
雄斗「なんか屋根があるとこで寝てえなあ…」
青年「うぅ… あぁう… あぅ… すみません… あぁ…」
雄斗「あいつフラフラだな… 大丈夫か?」
青年「あぁ… ああ… あ」
青年「み、み、み、見つけましたー!」
雄斗「え?」
シュルルルルルルルルルル!!!
雄斗「痛っ…! なんなんだよこれ! 動けない! すごく痛いって!! ちょっ… そこの人黙ってみてないで助け…」
雄斗「え!?」
雄斗「マジで何!?」
???「あひゃ… あひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃあひゃ」
バサァッ!!
げろ「すみません~! 男爵様~! 捕まえましたよぉ~!」
???「あーちょこまかと、ダルかったわ」
雄斗「その頭… もしかして、お前…」
???「そうだよ。この俺様こそが…!」
バサァッ!!
芋男爵「ぐぁははははは!! 絶対にぶっ殺すからな!!」
雄斗「やだ! ヤダヤダヤダヤダヤダヤダ!!!」
雄斗「足もこんなんだからちっとも動かないし…! ていうかなんでこんな事するんだよ! そもそもおかしくない!? 変じゃん! 色々と! 見た目とか! 色々と! ほら! 変じゃん! ねぇ! ねぇてッ!!」
芋男爵「あー… ウダウダうるせぇな… 一回死んでくれねぇかな?」
芋男爵「おらぁ!」
雄斗「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダ!! 本当に嫌だから! マジで! ねぇ! ちょっと本当にやm(ry」
雄斗「うわあぁ!!!!!!!」
芋男爵「死ね!!!!!」
雄斗「痛てーーーーー」
芋男爵「ガハハハハ、てこずらせた罰だ!」
げろ「禿同ですぅ~!」
芋男爵「より死ねーッッ!!」
芋男爵・げろ「「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」」
雄斗「ぐはっ! ダメだ… ガードしきれない… このままじゃ…」
シーン……
雄斗「…あれ…?」
芋男爵「ガハハ! なんだ、何も起こらないじゃないか!」
雄斗「く… これまでか…」
???「そんな事無いぜ」
ヴォンッ!!
美川「おまたせ」
雄斗「て、定員さん!!」
ジュゥウウウ~…
雄斗「熱ッッ!!」
雄斗「なにこれ!?」
雄斗「定員さん! ねぇ! このベルトでどうしたらいいんですか! ちょっと! あーもう! バックルがデカすぎるし、なんか熱くて嫌だな!!」
芋男爵「ふふ… すぐに焼けるものではない。くらえ、ピカ芋爆弾!」
芋男爵「死ねえぇ!!!」
雄斗「わっ!」
美川「雄斗! 危ないっ!」
美川「ぐはっ!」
雄斗「て、定員さん!! 俺はどうすればいいの? このまま焼いてていいの? えーと、体は大丈夫!? 」
ジュウ「よっしゃ!」
ジュウ「いけー!!」
ギャン! ギャン! ギャン!
芋男爵「くそっ!」
モヤシ「ひぃ!」
カチッ… カチッ… カチッ…
ジュウ「あれ? これもう終わり…?」
芋男爵「弾切れかっ! おい、げろ。 やれッ!! 」
げろ「は、はい! すみません!」
げろ「うわぁああ!! すみませ~~ん!!」
バスッ!
ドシッ!!
げろ「ひぇえ!」
ジュウ「スキあり!」
ジュウ「オラアアアアアアァァ!!!」
げろ「うぅ~… すみません~… 本当に… なんで僕なんですかぁ~…」
ジュウ「うるさい!」
美川「雄斗! ボタンを押すんだ!」
ポチッ!
ミートウォッチ「いきなりっ!」
ビュンッ!
ジュウ「よしっ!!」
ジュウ「こいつはレアだぜ! くらえ! ワイルドランチャー!!」
ジュウ「いけぇえええ!!!」
スッ…
げろ「どうして~~?」
ちゅど~ん!!
青年「うぅ~… すみません~…」
ジュウ「付け合せにもならないねッ!」
芋男爵「チッ、洗脳が解けたか。このクソが… 」
雄斗「はぁ… やった… 勝った… はぁ…」
「どうやら…ちゃんと勝てたみたいだな…!」
雄斗「あ! その声は!」
雄斗「定員さん!」
美川「店員さんだ。大きい声で間違えるな」
雄斗「完全に忘れてたけど、無事だったんですね!」
美川「アレくらいじゃ死なん。そんで完全に忘れるってどういうことだ」
雄斗「いっけね!」
美川「ったく……。ただ、助けられたな。ありがとう」
雄斗「いやいや、全然! 言う通りにしただ…!」
グゥウウゥ~~…
美川「おいおい」
雄斗「ごめん定員さん、お腹空いちゃたよ」
美川「何が食いたい?」
雄斗「そりゃやっぱり!」
雄斗「夜は焼肉っしょ! アッハッハッハ!!」
美川「フフ… なんだかわからんけど、今日は俺のおごりだ! 帰るぞ!」
雄斗「やったー!ごちそうさまでーす!!」
ガツガツガツガツ!!
雄斗「げぇっぷ… いやーごちそうさま!」
美川「あれ?今回は残してないな」
雄斗「あ?うーん。なんか芋もモヤシも、すげえ旨かったんだ。なんで食えなかったのか思い出せねえ」
美川「変な記憶喪失だな」
雄斗「なあ、何で俺は変身したの? あいつらはなんで襲ってきたの? わかんねえことが多すぎるんだけど、何も… 思い出せないんだ…」
(終)