こんにちは、ライターのたかやです。いきなりですが、声を大にして言わせてください。
青春味に溢れ…甘酸っぱさで胸を溶かしてくれる…。根暗な自分は、そんなラブコメ作品に心が救われております。
そんな僕は、いつしかこう考えるようになりました。
野球好きの少年がやがてプロリーグを志すように、ラブコメ好きの自分が「描きたい」と考えるのも無理のないことでしょう。
実は、僕は数年前にライター仲間と合作で「初めての漫画制作」に挑戦したことがあります。
オモコロ特集「【実録】素人がゼロから本気でマンガを描くとこうなる」
「漫画制作の経験なし・知識なし・画力なし」のガチ素人が、完全アナログで、試行錯誤しながらも一本の短編漫画を描き上げました。良ければこちらの記事も読んでください!(このときの僕は作画担当)。
つまり、今回も頑張ればなんかいけそうな気がする! いけるいける! いけるって!
よ~し!
オリジナルの胸キュン青春ラブコメ漫画を描くぞ!
締切まであと60日
※先に断っておきますが、ここからは素人が漫画制作に試行錯誤する日々が続きます。今回は「ネーム制作」に苦しんだ前編となっております。
もう終わりだ…
なんも思い浮かばねぇ
今回描きたいジャンルは“青春物”。しかし、自分の中に“青春”の引き出しが無い…。
不良にいじめられていた高校時代。引き出しをひっくり返しても出てくるのは「カツアゲ」ばかり。…駄目だ。そんな血涙流れるマンガ(血涙流すのは俺)、どこに需要があるというのか。
加えてアラサーの僕(27歳)では、若者の感性もどんどん薄れています。若い人の流行、Tiktokしか知らんし。
…詰んだ。
制作初日。早くも危機に直面しました。
こうなれば、恋愛知識が豊富&若者の感性も持っている人物。言うなれば「ラブ師匠(マスター)」にアドバイスを乞うしかない!
締切まであと57日
アドバイスを貰おう
オモコロライター・ざわさんの登場です。
彼はwebライター兼現役の大学生。これまでにこのオモコロ上で、恋愛にまつわる記事をいくつか執筆しています。
オモコロ特集「【工作】どうしてもラブレターが欲しいので自分の部屋に下駄箱を作ってみた」
オモコロ特集「【清算】フラれた場所にもう一度行ってみよう」
また、個人のYoutubeチャンネルで恋愛ゲームの実況も精力的に配信しているざわ氏。
若者で、恋愛知識にも精通している…これほど求めていた条件にマッチする人物もいません。
という訳で力を貸してください。「ぼくヤバ」に次ぐヒット作品を産み出しましょう。
目標設定の高さはヤバいやつだけど、承知しました。
しかし、どうやって考えていきましょうかね。
たかやさん。実は僕…
昨日、徹夜で原案を考えてきました。
はい!?
事前にお願いとかマジでしてなかったのに、彼は「オリジナルラブコメ漫画の原案」を用意してくれてました。おいおいおい!
長年温めていたラブコメの設定があったので、この機会に活用できればと…。
ラ…ラブ師匠!
ここからは、この原案をもとに打ち合わせしていきましょう。
原案を手に入れた
▼ざわさんが用意してくれたストーリーの原案はこんな感じ▼
-登場人物-
速水アキ(はやみ あき)…普段は勝気な性格だが、恋には少々奥手。幼馴染の祐介を幼いころから想い続けている。
橘祐介(たちばな ゆうすけ)… 学校行事をよくサボる不良。神崎のことが気になってる。
神崎万里華(かんざき まりか)…祐介に好意を抱いている。清楚系お嬢様。
-内容-
とある高校の文化祭2日目。これから校庭で後夜祭のメインイベント・フォークダンスが行われる。
しかし、校庭に移動せず教室に残る祐介。そこに、アキがやってきて後夜祭に参加するよう促す。
「女子と手を繋いで踊るなんて死んでもやりたくない」と言い放つ祐介に対し、「じゃあ私とだったら?」と踏み込んだアキ。
いつになく真剣な表情をするアキに狼狽える祐介。
祐介は「お前は幼馴染だから…」と戸惑いながら言葉を濁す。そんな中、後夜祭スタートの校内放送が流れ始め、アキは「一度も幼馴染だと思ったことないよ」と校内放送に交じりながら小さく呟いた。
「神崎さん下駄箱で待ってたよ」と祐介に耳打ちし、無理矢理教室から押し出すアキ。一人ぼっちになった教室で机に突っ伏しながら、「なんで私じゃないんだろう」と涙交じりに呟いた…。
~fin~
くぁ~~~、良い! 所謂「負けヒロイン」が主役の話ですね。
そうです。
僕、思うんですよ…
「フラれる」って最高じゃないですか?
ラブコメの話ね。その言い回しだとざわさんがそういう変態になっちゃう。
僕は『ニセコイ』が好きなんです。
ニセコイ
週刊少年ジャンプで連載されていた作品。ヤクザの跡取り息子・一条楽とマフィアの一人娘・桐崎千棘を中心に話が展開される王道ラブコメ漫画。
おっ、ニセコイ! 良いですねぇ。
ニセコイの失恋描写がめちゃくちゃ好きで…。
たしかにニセコイのフラれシーンはよかった。ちなみにどのキャラが好きなんですか?
鶫誠士郎(つぐみせいしろう)です。
わかる…。いいよね…。。
ハーレム系漫画を読んでると、いつも負けヒロインに感情移入しちゃうんです。
めっっっちゃわかります。僕も「いちご100%」だと東城、さつきが好きでした。いや、もちろん西野も最高だよ? 唯だって可愛いし。
アンダードッグ効果と言うべきか…。負けヒロインのムーブはいつの時代も心に響きます。
今回たかやさんが挑戦するのは単話読み切り。限られたページ数で読み手を効率的にときめかせるには、劣勢の立場にいるキャラが一歩踏み出し、そしてフラれる…。そんな話がいいと思うんです。
「効率的にときめかす」って言い方、ギャルゲーマーですね。
桜の散り際に儚さを感じるのと同様、我々は散るものが大好きです。
たしかに…。
負けヒロインだからこそ、最後くらい綺麗に散らせてあげたいじゃないですか。
私は声を大にして言いたい
ヒロインは散るほうが綺麗
…と。
アナタとは旨い酒が飲めそうだ…。
この速水アキにも、そういったエッセンスを盛り込んでいます。
うんうん。「勝気な性格」「でも恋には奥手」「幼馴染」って、“要素”が詰まってますね。
髪型はショートカット。陸上部もしくはラクロス部…の設定です。
わかるなぁ。全部わかる。
責任感は人一倍強いんですが、プレッシャーには弱い一面も持ち合わせています。
どうしよう。俺、アキちゃんのことがもう好きだ。
でもアキは負けヒロインなので、最後まで報われません。それが宿命なんです…。
最終話荒れちゃうやつだよ~。
舞台が「文化祭」「夕暮れの教室」「フォークダンス」もピンポイントで突いてきますね。全部オタクが好きなやつ。
僕もたかやさんも、ロクな青春を送れてないじゃないですか。
まぁね!
だからこそ、こう考えませんか?
ざけんなよ! 俺も送りたかったよ!!!
…と。
文化祭になにかトラウマが…?
つまり、ラブコメの本質ってここにあると思うんです。「こんな描写まずありえなくね?」「でも…でも、こんな青春送りてぇよ!」と読者に抱かせる。
なるほど。原案に書いてある「校内放送に混じりながら本音を呟く」って、現実的にありえないけどめっちゃラブコメ的だし、僕も言われたい。
その可能性をちょっと感じさせてくれるのがラブコメの魅力…。漫画の中でぐらい夢を見たい。
素晴らしい…。アナタを頼って正解でした。
「雑談の中からなにか生まれたらな~」ぐらいの軽い気持ちで臨んだ打ち合わせ。まさか「原案」を用意してくれるとは…。
超助かりました! あざます!
キャラの会話部分をたかやさんに任すので負担かもしれませんが…
余裕のよっちゃんです! よっしゃ~、これで楽勝だぜ!