こんにちは。オモコロライターのダ・ヴィンチ・恐山です。名前と仮面のせいで気が散るとよく言われます。

 

 

 

今回、オモコロでは佐賀県のPRをすることになりました。

 

佐賀県は九州で福岡の西、長崎の東に位置する県。

呼子のイカ、佐賀牛、虹の松原、「伊万里・有田焼」「唐津焼」などのやきもの、日本酒や温泉……で知られています。

しかし一方で「イマイチ印象の薄い県」「何もない県」「ナタデココが今ブーム」などと揶揄されることもあるようです。

 

 

 

そんな風潮を変えようと奮闘しているのが、佐賀県広報広聴課の楢崎(ならざき)さんです。

 

ぜひ記事を通じて佐賀県の魅力を知ってもらい、少しでも佐賀に興味を持っていただけたらと思います。

今回はオモコロ編集部を代表し、佐賀県を全国的に盛り上げるアイデアをご提案します。

 

 

「佐賀県」×「ラノベ」=???

ここ数年の佐賀県は、『スト2』や『スプラトゥーン』、『ポケモン』『おそ松さん』『ユーリ!!! on ICE』…などなど、人気コンテンツとコラボしていますよね。

はい。ただ闇雲にコラボするわけではなく、お互いの良さが引き立つような熱のこもったコラボを心がけております。

そこでご提案なのですが……。

 

 

 

コラボのほかにも「佐賀県オリジナルのライトノベル」を作ってみてはいかがでしょう?

 

ライトノベル……ですか?

表紙や挿絵にアニメ調のイラストが使われている若者向けのエンタメ小説の総称で、ラノベとも言います。

佐賀県を舞台としたラノベに人気が出れば、佐賀に親しみを持ってくれる読者が増え、マンガ化やアニメ化にも広がるかと思います!

物語の舞台を訪れる「聖地巡礼」は観光旅行の柱になっていますし、いいですね! 内容はどんなものですか?

 

 

いろいろとタイトル案を出して考えてみたのですが、佐賀の大きな魅力といえば、都会にはない広々とした自然の恵みですよね。

たしかに。佐賀には海も山も森も揃っていますし、食べ物の新鮮さでは都会に負けない自信があります!

青い海、緑の大地。おいしいごはん……。言い方を変えると、他都道府県の人にとって佐賀県は異世界なんです。そう、異世界……。

 

 

 

 

 

 

「佐賀県転生」です!

佐賀県……転生……?

 

 

 

ここ数年、ラノベ業界では『異世界転生』という創作ジャンルが隆盛を極めています。現代人の主人公が中世ファンタジー風の異世界に生まれ変わり、授けられた特殊能力や現代知識を使って大活躍。異世界生活を満喫するというジャンルです。

これを佐賀に置き換えると……。

 

 

「佐賀県転生」という新ジャンルが生まれるのです。

何だかよくわからない……中世ファンタジー風の佐賀県ってなんですか?

つまりですね……。

 

 

 

 

 

 

 

こういうやつです。

 

 

なんでメチャクチャちゃんとした絵がもうできてるんですか!?

プロのイラストレーターさんに相談したら想像以上に本気すぎるイラストが上がってきてこっちもビックリしました。あらすじはこんな感じです。

 

これ、舞台は「佐賀県」ではないんですか?

架空国家「サガニア=クラーケン王国」の物語です。多少脚色したほうが親しみやすいので。国民には親しみを込めて「サガケン」と呼ばれています。

やっぱり佐賀県じゃないですか。

 

 

あと、どうでもいいんですがナオキくん、服の襟が立ちすぎでは?

ラノベ主人公の襟はいくら立っててもいいんです!!

そういうものなんですね。

 

『佐賀県転生』~あらすじ~

物語のあらすじは、こんな感じです。

 

 

第1章 目覚め

 

「ってェ……」

 青空が広がっていた。
 あれ? オレ、なんでこんな原っぱで寝てんだ……?

 

 落ち着けオレ。思い出すんだ。

 ええと、そうそう、今日は新作RPGの発売日。早く帰ってプレイしたくて、左右をよく確認せず横断歩道を渡ったんだ。

 そしたら、赤信号なのにアクセル全開のトラックが猛スピードで迫ってきて……。

 ……その後の記憶が……ない。

 ともかく、ここでオレは目覚めた。360°見渡す限りの草原と青空が広がってる。

 

 嫌な想像が頭をよぎる。

 

 落ち着けオレ。じゃあここは天国……ってか? おいおい、嘘だろ。まだ青春真っ盛り、ラブもロマンスも未経験の男子高校生だぜ?
 パニックになり頭を抱える。あークソっ。落ち着けオレ!

 

良いプロローグだと思いますが、主人公、『落ち着けオレ』って言い過ぎでは?

このセリフは主人公だけが言うことを許されているので何度言わせてもいいんです。

 

麦秋(佐賀市)

 

「それにしても、何もないところだな……」

 嘆いていても仕方がない。気を取り直して歩き出したオレは周囲を見渡して呟く。どっちを向いても草原と青空が延々と続いている。何もない。気候はポカポカ気持ちいいけれど。

「マジで何もないな」

 まさか、本当に天国に来てしまったんじゃあるまいな。いや、天国でもさすがにもうちょっと何かあるだろう。あまりに何もないここは、きっと天国ですらない。

「まるで佐賀県だぜ」

 なんてな。

 ……ん? どうしてオレはこんなときに、行ったこともない佐賀県なんて思い出したんだろう?

 

ここが伏線になってまして、都会出身のナオキが実は幼少期に……。

あの、それより「何もない」連呼しすぎじゃないですか? 「まるで佐賀県だぜ」ってあんまりすぎませんか。読んだ人が本気にしませんかね。

事実を多少誇張しただけの演出なので大丈夫です。

さて、ナオキは松が無数に茂る森で道に迷ってしまいます。

 

 

虹の松原(唐津市)

 

 ……ヤバい。完全に迷った。

 一度森に入ったが最後、どっちに歩いても松の木、松の木、松の木。冗談抜きで100万本はあるんじゃないか?

「遭難、ってやつだよな、これ」

 ケータイは通じない。食料もない。このままオレ、ここで朽ち果てて松の栄養分に……嫌だ。それだけは絶対に嫌だ。
 そのとき。

「キャーッ! 誰か……っ!」

 数十メートルほど先から絹を裂くような悲鳴が聞こえた。声質からして女の子? 近くに人間がいるのか? いや、それよりも、彼女は襲われて――?
 オレは考えるより前に走り出していた。

 クソ、何やってんだオレ! 危険かもしれない方向にわざわざ丸腰で行くとかっ!

やっぱり一生に一度くらいは考えるより先に走り出して『何やってんだオレ!』って思いたいですよね。

そうなんですか? ところで、ここは『虹の松原』がモデルですね?

 

 

細長い平地なので実際は遭難はしないと思いますが、100万本ものクロマツが密生する光景は本当に壮観です。

そしてこの森で初遭遇する敵が……。

 

 

ご存知、佐賀牛です。

このタイプの佐賀牛は存じませんね……。大丈夫ですか? 読んだ人が佐賀を修羅の国だと思いません?

事実を誇張した演出です。絶体絶命のピンチでナオキは攻撃スキル「ガヴァイ」を無意識に発動。獰猛な佐賀牛を一瞬にして倒してしまいます。

 

「ブモオオオオオオオッ!?」

 

 怪物はけたたましい断末魔をあげた。

 ――刹那。

 

 

 怪物は、キメの細かな美しい霜降り肉に変化していた。牛肉格付なら肉質等級5と4、BMS7以上の肉質に認定されること確実な極上の肉だ。

 

 これはまるで、佐賀牛……?

 

 わけがわかんねえ。いったいオレは何をしたんだ!?

 いやそれより、助けを求めていた女の子は無事なのか!?

ナオキくん、妙に肉質に詳しい……。

 

 

第二章 出会い

 

「あ……助けてくれて……ありがとうございます……」

 

 クロマツの陰から、弓を携えた少女がおずおずと顔を出した。

 

「いや、大丈夫大丈夫! えっと、キミは一体……?」

 

 あまりに可憐で美しい立ち姿に思わず見とれそうになり、慌てて襟を正すオレ。

 

「私はヨカネ。佐賀エルフ族の王女、ヨカネと申します。儀式に使う松ぼっくりを拾っていたら、佐賀牛に襲われて……。本当に助かりました。ところであなたは……? サガ・ヒューマンには見えませんが」

 

そしてナオキはヨカネからこの世界について教えてもらい、サガケンが魔界に奪われかけていることを知って、なりゆきで佐賀県を救う旅に出ます。ヨカネもついていきます。

なんでついていくんですか? 王女なのに……。

なんでとかじゃないんです。ついていくんです。

 

 

ちなみに、旅での移動はもちろん佐賀県民の一般的な通勤・通学手段である熱気球です。写真は九州佐賀国際空港ですね。

ウソをやめてください。これは佐賀市で秋に開催される国際的な熱気球の祭典「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」の様子です。約100機のバルーンが空に舞う、アジア最大級の大イベントなんですよ!

 

有田ポーセリンパーク(有田町)

ナオキとヨカネは各地のお城などを巡って、サガケン民の悩みを解決していきます。

 

第三章 討伐クエスト

 

「ナオキ殿。ヨカネ殿、はるばるよくいらした。早速なんじゃが、イカ漁に協力してはくれぬか。人手が足りず困っておるのだ。報酬ははずむぞ」

 

 大臣が笑う。オレたちはイカなんて釣ってる場合じゃないんだがな……。

 

「はいっ、よろこんで!」

 

 しかし、オレが丁重に断るよりも早くヨカネが快諾してしまった。

 

「えへへ、サガケンのイカは透き通っていて歯ごたえ抜群。噛めば噛むほど甘みが滲んできて……イカ刺しにイカ天に……イカしゅうまいなんてのもヨカネェ……」

 

 ヨカネはよだれを垂らしながら皮算用している。やれやれ、行くしかないか。てか、魚介類大好きな森のエルフってどうなんだ? そんなツッコミをそっと胸にしまうのだった。

 

 

 

 

「って、なんだよこの大きさ! 聞いてねーぞっ!」

「こんな大きかったらおスシ何人前……キャアアアッ! 絡みつく!」

 

 ヨカネの回復魔法がなかったら海の藻屑になっているところだった。あの大臣め、大型クラーケンの討伐クエストならそう言え!

この展開は、まあこの流れならそうだろうな、と思いました。

楢崎さんもだんだんノリがつかめてきたようですね。

 

 

呼子の新鮮なイカはコリコリとした甘みがあるのでぜひ食べていただきたいです。牡蠣やアワビ、サザエなども採れたてをお手頃な値段で味わえますよ。

 

 

あとは「前世の知識を活かして異世界に新しい発明品をもたらす」という異世界転生あるあるもやりましょう。

 

 

 

 

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