第四章 画期的発明?

 

「えっ、マジでお皿知らないの!?」

 

「おさら? ナオキさん、『おさら』ってなんですか?」

 

 ヨカネがきょとんとして言う。どうやらサガケンにはまだ「皿」という概念がないらしい。みんなテーブルの上に刺し身なんかを直接置いて食べてたからまさかと思ったが……。

 

 

「お皿ってのはだな、食べ物を入れる器だ。これがあるだけでグッと食事がとりやすくなるし、洗いやすくなる」

 

「そ、想像がつきません……」

 

「簡単だよ。まず粘り気のある土を探すんだ。水でこねて平たく形成して焼けば陶器になる。おっ、ここらの石は陶石に使えそうだな。砕いてこねて焼けば白くて丈夫な磁器も作れるぞ」

 

「すごいですナオキさん! こんな発想、このサガケンの誰にもなかったはずですよっ!」

 

 

 そして。

 

 オレが前世の知識を参考にして作った陶磁器は「革命的な食事補助グッズ」として飛ぶように売れた。

 運がいいことにサガケンの石は陶磁器づくりに最適で、今では地名にちなみ「カラツヤキ」「イマリ・アリタヤキ」として一大産業を形成してしまったらしい。

 

 やれやれ。何が起こるかわからないもんだ。

さすがに「皿」の概念がない世界は無理がありませんか? あともうこれ佐賀がナメられてますよね?

すみません、これは書きながら「そんなわけねえだろ」と自分で思いました。でも演出なので大丈夫です。

あと温泉回もやりましょう。嬉野温泉や武雄温泉が佐賀名物なので。

 

 

嬉野温泉(嬉野市)

 

第五章 癒やしのひととき

 

「ナオキさん。サガニアは温泉も魅力なんですよ。肌がすべすべになって”良か~”です」

 

 長旅の果てに見つけた温泉宿。

 まさか男女混浴だと思っていなかったオレは、くつろぐヨカネに背を向けて湯に浸かっている。は、恥ずかしくないのか……? でも、しっとりいい湯なのは確かだ。

 

「温泉なら、オレの故郷の日本にもあるぜ。温泉は日本の心とか言う人もいるな。でもオレの暮らしてた都会にはこんなにくつろげる温泉はなかった」

 

「『にほん』という国は聞いたことがありませんが、サガケンによく似ているけど忙しい国みたいですね。ふふ」

 

 ……そうだな。

 こんなにゆったりしたのは、何年ぶりだろうか。

 

 

 

「……ん? ヨカネ、何飲んでるんだ?」

 

「日本酒です。佐賀県の日本酒は品質が良いことで有名なんですよ」

 

「キミの年でお酒って……」

 

「ニホンのことはわかりませんが、佐賀エルフは250歳で成人。私は258歳だからよゆうなのです」

 

 頬をほんのり赤く染めたヨカネが、幸せそうにおちょこをあおった。

 にひゃくごじゅうはち……人は見かけによらないもんだな。

日本を知らないのに日本酒飲んじゃってますね。

え、いや、サガニアの「ニホンシュ」とこっちの世界の日本酒は偶然ことばが同じだけで無関係なので。

……異世界設定が足を引っ張っている気がしないでもないですが、佐賀県の温泉も日本酒も最高なのは事実なので良しとしましょう!

 

 

温泉イベントもはさんだので、そろそろ1巻のラストバトルに突入です!

さりげなく続刊を出すつもりなんですね……。最後の敵はなんですか?

はい、お察しの通り、もちろん……

 

 

 

 

佐賀エルフの里を荒らし回る凶暴な佐賀オークです。

……これ、佐賀に元ネタ何かあるんですか?

ないです。オリジナルです。

なんでもありになっちゃった。

 

 

最終章 記憶の扉

 

「ナオキさんッ! 佐賀オークは魔族直属。これまでの佐賀牛やイカとは比べ物にならない防御力のモンスターです! 無敗の『ガヴァイ』スキルでも太刀打ちできるかどうか……!」

 

 後方からヨカネが叫ぶ。それでも後ずさらないオレを見て、佐賀オークは嘲笑った。

 

「オロカナ佐賀県民ヨ。きさまモ棍棒ノしみニシテヤル!」

 

「ヨカネ! 補助スキル『ブラックモンブラン』で魔力増幅頼む! 全力で行く!」

 

「はいっ!」

 

 ブラ・クモン・ブラン・フコー・カノー・アイス・ダトゥオ・モッテ・ルヒトー・オスギー……

 

 ヨカネが呪文の高速詠唱を始めると同時に、オレは目を強く閉じた。

 郷土魔法スキル・ガヴァイ。

 郷土愛を攻撃力に転化させる最上級魔法。

 全身の郷土愛をかき集めて額に集中させる。負荷で意識が霞む。いや全身じゃ足りない。もっと、もっとだ……ッ!

 

「こんな凄まじい量の郷土愛、いったいどこから……! ナオキさんは佐賀出身でもないのに――? はっ、この声……」

 

 負けんなー…! 応援しとっけん…!  がんばってくんしゃい…!

 

サガン鳥栖(鳥栖市)
©SAGAN DREAMS CO.,LTD. 

 

「集まってきている!! 佐賀県鳥栖市のJ1リーグチーム『サガン鳥栖』の応援に詰めかけた数万人のサポーターが選手たちに声援を送るときのように、佐賀県全体の郷土愛がナオキさんの体に集まってきているのだわ!」

 

 佐賀県民の願いが体中を駆け巡っていく。

 その刹那、オレの中で閉ざされた扉が開いた。

 

「……思い出した! オレは昔、佐賀県に住んでいた! 2歳で都心部に引っ越したから忘れてたが、佐賀への愛は心の奥底に残ってる! 佐賀オーク! 喰らえ!」

 

 

「ガヴァイ=ヴァーサク!!!!」

 

 

 

アイタァーーーッス!!!!

 

 

 

 

 

エピローグ 何もないんじゃない

 

「……初めて佐賀県に来たとき、何もないところだと思った」

 

 ピーヒョロロと鳴きながらトンビが上空で旋回する、午後の岬。

 

「でも違った。佐賀県には自然があった。文化があった。美味い食べ物と温かい住人たちがいた」

 

 

「そしてヨカネ、きみがいてくれた。ヨカネのおかげで、佐賀県は異世界なんかじゃなくてオレの故郷だって気づけたよ」

 

 

 ヨカネは黙ってオレを見ている。

 う、しまった。ちょっとクサすぎたか。落ち着けオレ。

 

「……私も、ナオキさんのおかげで気づくことができました」

 

 吹き抜ける風が、微笑むヨカネの白い髪と衣をたなびかせる。

 イカみたいで綺麗だ、と思った。

 

「……たとえ、すべてが失われたとしても」

 

 

「この佐賀県でナオキさんと一緒だったら、きっと何かを作り出せるって」

 

 

 

「……好いとーよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでですね、

2巻の構想なんですが、」

 

 

 

「いったん保留で」

 

 

保留になりました。

 

 

(おわり)

 

キャラデザイン・イラスト:れい亜

モンスターデザイン・イラスト:お高菜

 

 

 

さて、実際に足を運んでみたところ、佐賀県は異世界転生ごっこをするにはうってつけの場所でした。

 

 

 

(必死に探した限りでは)エルフはいませんが、意外にも多彩なレジャーや食を楽しめるのは本当です。

 

 

 

樹齢3000年といわれる「武雄の大楠(おおくす)」の巨大さはまさにファンタジー。携帯のパノラマ撮影だけでこんな写真も撮れます。

 

 

 

有田ポーセリンパークはドイツのツヴィンガー宮殿を精巧に再現しているので、異国情緒をたっぷり味わえます。

 

 

 

 

飛行機なら東京からでも2時間未満で行ける、意外と近い佐賀ラノベを一冊読んでる間に着きます。佐賀県に興味が出てきた方はこちらのポータルサイトをご覧ください!

 

 

【佐賀県公式】あそぼーさが:定番から絶景スポットまで佐賀をまるっと楽しむ!

 

ちなみに、実際に佐賀県にいらしてみて感じた佐賀のアピールポイントはありますか?

あんなに美味しい魚介類や牛肉は初めて食べましたし、風景が素晴らしかったです! なにより福岡に近いのが良いですね。福岡旅行のついでに行けます!

……ついででもぜひ遊びに来ていただけたら。