エントリーNo.3 山下ラジ男(初出場)

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フレッシュ! 続いては初出場になる山下ラジ男です。現在、絶賛就活中とのことでリクルートスーツでの参戦となりました。

 

 

「“金額制限あり”というルールを聞いたときに、まっさきに頭に浮かんだのが『遠足のお菓子選び』です。今回は、ベストな遠足お菓子チョイスを皆さんにお届けしたいと思います

 

 

「菓子盆選手権 優勝」という実績が履歴書に書ければ、きっと就職も有利になるはずです。今後の進路をかけた山下ラジ男の菓子盆がこちら!

 

 

 

 

山ラジ盆

●キャベツ太郎(やおきん)22円
●なつかしカレー味(やおきん)32円
●わたがし(やおきん)32円
●ミルキー(不二家)54円
●チョコ大福(やおきん)11円
●プチプリン(みやけ食品)22円
●フィリックスガム(マルカワ)11円
●ヤッターめん(ジャック)11円
●元祖梅ジャム(タカミ製菓)11円
●コンパスチョコ(チーリン製菓)86円

 

計292円

 

 

「遠足のお菓子選びについては、かつてさくらももこ先生が言っていた言葉があります。『①まず100円でみんなとシェアできるデカい菓子を買う、②そして50円で自分専用の菓子を買う、③残りの50円でポケットの中に入れておけるような細々としたお菓子を買うのがベストだ』と。僕は今回、その教えに忠実に従って盆を作ってみました」

 

 

 

 

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「①キャベツ太郎となつかしカレー、わたがしの軽いお菓子でボリューム感を出しつつ、②大好物のミルキーを人に取られないよう少しだけ配置し、③くじ付きのフィリックスガムやヤッターめんなどでサプライズ感も演出しました。わたがし山の頂(いただき)にある梅ジャムは、スナックにつけて食べるのもオツです。駄菓子が安すぎて100円余ったので、最後に冒険好きの男子の心をくすぐるコンパスチョコも買っておきました。カッコいいでしょう?」

 

 

 

~ 会場の反応 ~

 

「こういう島、ワンピースで出てきたなあ。何巻だか思い出せないけど」

 

「お菓子の種類が豊富だし、童心があっていい。これぞ駄菓子盆!」

 

「やおきんのカレーせんべい、うんめぇ~~~~~」

 

 

初出場ながら、会場の男心をグッとつかんだ山下ラジ男。駄菓子テーマに沿った遊び心あふれる作品に、ジャッジの評価もついてきそうですが!?

 

 

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円柱状のわたがしに梅ジャムが乗っている光景を見て、即座に「バカか」と思いました。

しかし、それでこそ駄菓子盆です。埋没した童心を肥料とし、色とりどりの花を咲かせているこの盆はお手本のような「駄菓子盆」と言えましょう。こんな昭和の貧乏な子どもの夢のような発想が現代の就活生の脳に収まっていたと思うと、世界の広さを感じてしまいます。

お菓子の種類が豊富なことも、それでいて「コンパスチョコ」という大物が中心にデンと収める思い切りのよさが素敵です。僕のクラスのイケてるアイツ感があります。きっと高校生の兄貴がいるでしょうね。グラディウスがめちゃくちゃ上手い兄貴。『BASTARD』を全巻揃えていて、たまに借りて読んではドキドキしてる。そんな、ちょっと大人の視点も持った子どもの盆だと思います。

 

 

なんと初出場の山下ラジ男の盆が好評価! これはジャイアントキリング盆があるかもしれません。

 

 

 

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ちなみに公園で行う菓子盆選手権は、常に野生の食欲と隣合わせです。早く終わらせないと根こそぎお菓子を喰われちまいますので、次に行かせていただきます! チュンチュン!

 

 

 

 

エントリーNo.4 マンスーン

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4番手は『下町のスティーブ・ジョブス』の異名でテレビに出たこともある、工作ライターのマンスーンです。発明王は、果たして盆の上でもひらめきを発揮することができるのか!

 

 

「今日は子供の頃に抱いていた夢を、菓子盆で再現しました」

 

 

 

 

マンスーン盆

●スケルトンラムネ 54円
●オモシロサイダー 32円
●ビッグカツ 32円
●ポテトフライスナック 32円
●オレンジシガレット 32円
●フライドポテト 21円
●ラーメン屋さん太郎 11円
●やきそば屋さん太郎 11円
●焼肉さん太郎 11円
●蒲焼さん太郎 11円
●パチパチばくだん11円
●チュッチュグミ 11円

 

計 269円

 

 

 

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「子供の頃、お金のある大人は好きなものを好きなだけ食べ、酒もタバコもやりたい放題で自由でいいなと思っていました。そこでステーキ・蒲焼き・焼肉・ラーメン・とんかつ……と、子供が憧れる大人の食べ物を真似た駄菓子を中心に組み立てました。駄菓子なら300円以内でこんなに食べることができます」

 

 

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「また、くちびる型のグミでは“性”を、爆弾が描かれたパッケージのアメでは“戦争”を。たばこ型ラムネや、脇に置かれた酒瓶のサイダーも、大人の世界を表しています」

 

 

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「最後に隠された棺桶と骨型のラムネには、『どう生きたって、最後に行き着く先は墓場だぞ』というメッセージを込めました。今を大切に生きましょう」

 

 

 

~ 会場の反応 ~

 

「確かに駄菓子って、子供が大人のマネをするという要素があるよね」

 

「豪遊感が出てていいと思う! 駄菓子屋で300円持ってたら大富豪」

 

「チュッチュグミが性の目覚めだったという子供、どこかにいそう」

 

 

 

駄菓子の本質をついた菓子盆は、全体的に好評でした。恐山の評価は果たして!

 

 

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駄菓子の中心にあるもの、それは「模倣性」です。たとえば、ビッグカツは子どもに手の届かないトンカツを魚のすり身で再現して生まれた駄菓子です。だからこそ、ある程度お金を自由に使える大人にとって「駄菓子」は縁遠いものとなります。模倣品に手を出さなくとも、本物が手に入るのですから。

しかし、いつしか駄菓子は独自のアイデンティティを持ち始めました。「トンカツは美味しいけど、ビッグカツはビッグカツで好き」というように。あたかもメインカルチャーに対するサブカルチャーのごとく、模造から生まれた製品は本家にカウンターパンチを繰り出すまでに成長したのです。この盆にはそんな反骨精神が溢れています。盆人であれば、「ニセモノ、ニセモノ言うけど、だったらオマエに”これ”ができるのかい?」という鋭い問いかけを即座に感じ取ることができるでしょう。

だからこそ「死を意味する骨型のラムネ」には若干の蛇足感というか、調子づいたサブカルのスケベ心を感じもしました。ちょっと行きすぎているというか、負けん気が転じてルサンチマンになってしまっている気配がするのです。

 

 

しっかりとしたコンセプトのある盆はやはり高い評価を生みますね。スケルトンラムネはスベったようですが、高い順位を狙えそうな気配です。どんどんいきましょう!

 

 

 

エントリーNo.5 ARuFa(六代目王者)

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5人目は「ARuFaの菓子盆」という言葉が、不気味な物事を表す慣用句として定着しつつあるARuFa。

 

とはいえ第六回大会では優勝しており、その時のテーマも「子供用の菓子盆」でした。駄菓子テーマは得意分野なのではないでしょうか?

 

オモコロで一番子供心を知る男が作る駄菓子盆とは一体!

 

 

「駄菓子屋は、なにもお菓子が全てではありません。お菓子を通して友達を作り、共に遊び、社会を知る……お菓子はその『きっかけ』でしかないのです。そんな駄菓子屋の本質、そして子ども達への願いを菓子盆に表してみました」

 

 

 

 

 

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●Jサッカージュニアボールゼリー 11円×5
●ヤッターめん 11円×2
●タネなしドラゴン梅  11円 ×3
●シャンペンサイダー  32円
●すもも兄弟!  32円
●セブンネオン  32円
●おやつするめ  32円
●時代めんこ角  54円

 

計 292円

 

 

 

 

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「デザインのポイントはやはりメンコですね。メンコは、日本に伝わる由緒正しき駄菓子屋玩具です。これを見てテンションの上がらない子どもはいないでしょう。

 

ちなみに平忠盛は、日本中を歩いて塩を広めた人です。

 

 

 

 

~ 会場の反応 ~

 

「平忠盛、知らないなら無理すんな」

 

「メンコって、言うほど子供にウケない気がする」

 

「すももを直に盆に置くな」

 

 

 

 

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昭和の闇に葬られた未解決事件かと思ったら菓子盆でした。あえて食べ物ではないメンコで飾りつけるアイデアは良いと思うのですが、それがまったくいい方向に活かされておらず、瓦礫の山から拾い集めてきたような雰囲気を醸し出しています。そもそもお菓子のラインナップが渋すぎます。梅とかスモモとかイカとか……。もっと他にあるでしょ。

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両サイドに「セブンネオン(ストロー状のビニールに詰まったラムネ味のペーストを歯でこそぎ出して食べる駄菓子)」が6本もあるのも、意味不明です。普通これ選びます? というか、このお菓子の存在が昔から謎なんですよ。セブンネオンは通称「マンボ菓子」というのですが、その名前の由来は謎なのだそうです(おそらく適当につけただけ)。

前歯でビニールを挟んでニ~ッと絞り出してラムネを食べると「自分は一体何をやっているんだ」という漠然とした不安が沸き起こってきます。この形式であることになんの必然性も感じないというか……。なんなんでしょう、このお菓子。本当に。マンスーンさんの菓子盆のような「模倣性」は駄菓子の重要な要素ですが、ごくたまに出自不明の何かが生まれるのが面白いところですね。

もしかすると、この菓子はARuFaさんの盆観を象徴していると言えるかもしれません。我々の理解を超えたところに存在している謎のオブジェクトとしてこれからも頑張ってください。以上です。

 

はい。これ多分、優勝はないやつです。残す出場者はあと2人!

 

 

 

 

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急げっ……! 野生が牙をむく前にっ……!

 

 

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