あのー、行きたすぎませんか? 居酒屋

 

まあ、仕方ないんですけどね。このご時世ですから。

なかなか行きにくいのは分かっているんですけど。

 

…それでも日に日に居酒屋への想いは募るばかりです。

 

でも、正直言って居酒屋に行きたくてもう頭がどうにかなりそうなんですよ。瀬戸際なんです。

 

いや、もうどうにかなってるのか?

どう?

みんなはどっちだと思う?

 

俺たち、どうにかなっちゃってるの?

 

 

 

 

 

なってます。

頭がどうにかなった男たちが集結。彼らが集まったの理由はただ一つ…。

 

 

居酒屋に行けないのなら、せめてオリジナル居酒屋を考案して発表したい。そう思うのが人情じゃないですか。

 

ということで……

「オリジナル居酒屋選手権」を開催します!!

特にルールも勝敗もありません。みんなどうかしちゃってるので。

 

それではさっそく、「オリジナル居酒屋」を発表していきましょう!!

 

 

1人目 永田

トップバッターは永田

居酒屋を愛し、「飲み会の途中で帰るやつは雑魚」と豪語。かならず最後まで飲み続ける人間です。

 

これからの居酒屋はただ飲食を楽しむだけじゃダメだと思うんです。なので、しっかりとしたコンセプトに基づいた劇場型の居酒屋を作りました。

 

 

 

へぇ~、こんなところに居酒屋あったんだ。すみませーん。

 

さあ、朝礼の時間だ!!! 気をつけぇぇぇぇぇぇい!!!

はいっ!!!

 

貴様らの夢を語れぇぇぇ!!!!!!!!!

 

私はぁぁぁぁぁ!!!!!!!

己の全てを投げ出してでもお客様に満足して頂くために生きておりまぁぁぁぁす!!!!

よぉぉぉし!!!

 

わ、私も、命に代えてでもお客様満足度に貢献することを誓いまぁぁぁす!!

よぉぉぉぉし!!!!

 

えと……、あの~~

 

 

はっ!!!

 

いらっしゃいませええええええぇぇぇぇぇい!!!!!

 

お客様、1名様でございますでしょうか?!?!?!!

 

は、はい……

 

1名様を天国にご案内致しますぅぅぅぅ!!!!!!!

よ、喜び勇んで~~!! 男はただ戦士になるのみ~~!!

 

 

なんか……、すごい店に来ちゃったな……

 

ご注文はお決まりでしょうかぁぁぁ!!

えと、じゃあ……、男梅サワーと肉じゃがを1つで。

 

オーダーいただきましたぁぁ!!!!!!

……どういうユニフォーム?

 

お待たせ致しましたぁ!! 男梅サワーとお通しの枝豆です!!

あ、どうも…

 

くぅ~~~、やっぱ仕事明けの男梅サワーは沁みるなぁ~~!!

 

 

お客様っっ!!

へ?

 

大変申し訳ございませんでしたぁ!!!!

っませんでしたぁ!!

な、なにが??

 

先程はこの若輩めが、お客様の利き手ではない側にドリンクをお出ししてしまいましたぁ!!!!

 

お、お詫びの言葉もございませんっっ!!

え?

 

………そ、それだけ?

 

はい!! もちろん、これだけの謝罪で済ますつもりはございません!! 私が責任を持って厳しく指導して参りますので!!!

いや、そういう意味ではなく……

許してください!許してください!許してください!許してください!

あの、許すも何も……

許してください!許してください!許してください!許してください!

わかりました! 許します許します!! 気にしてませんから!!

 

 

大丈夫かな、この居酒屋……

 

なんだあれ

 

本当に大丈夫なのかな……

 

 

大変お待たせ致しました!! 当店名物のメガ盛りからあげでございます!!!

え?

 

メガ盛りからあげ……?

 

えっとぉ……、あの……

 

ごめんなさい、頼んでない……、かな…?

 

 

………え?

 

 

 

あ……、あ……、ああぁぁぁ……

 

 

嘘だぁぁぁ!!! こいつは嘘をついているぅぅ!!!!

ええっ?!

頼んだんだ!!! メガ盛りからあげを頼んだんだぁ!!!

 

嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき!!!!! みなさ~~~~ん、こいつは嘘をついてますよぉおおお!!!

いやいやいや……、一人でメガ盛りメニュー頼まないでしょ……

 

ストップ、そこまでだ。

 

お客様、大変失礼致しました。からあげはサービスですので召し上がってください。

はぁ、どうも…

従業員への“指導”は私がしっかりとさせて頂きます。

 

 

あ、あの、あの、あの、店長、あの…

 

ハンマーか、ペンチか、選べ。

 

うぅぅうぅ……

 

(ハンマー、あの大きさならまだ……)

 

(ペンチはダメだ。ペンチだけは絶対ダメなんだ)

 

うぐぐぐぐぅぅ………

ハ、ハ、ハンマーで

 

よし、ペンチだ。

なんでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!!

 

これがオーダーミスの罪。

お客様の受けた痛みを貴様も味わうのだ。連れていけ。

はっ。

ダメなんだ~~~~!!!  ペンチはダメなんだよぉぉ~~~!!!

 

 

店長ぅぅぅ!!!!!

む、なんだ!

この度の不始末、全てはバイトリーダーである私の責任でありまぁぁす!!!!

で?

バイトへの”指導”が済みましたら、私も勉強させて頂きたいです!!!

 

ほ~ぅ、では選べ。ハンマーか、ペンチか、だ。

 

両方でお願いします!!!!!!!!!

 

よく言った!!!! それでこそ接客業だ!!!!!!

お客様は神様。神と対峙する者は死と隣合わせ。とうに覚悟はできております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんなんだ

 

 

~会場の反応~

「絶対駄目だって」

 

いえ、これはあくまで、「異常に厳しい居酒屋」というコンセプトなので大丈夫です。他のコンセプト居酒屋とおなじで普段と違う空間を楽しむという主旨なので。

 

本当は店員に上下関係は一切ありません。

 

普段はめちゃくちゃ仲良しです。本当です。

 

~会場の反応~

「この写真もアルバイトが見た最後の幻覚みたいで怖いな」

 

「異常に厳しい居酒屋」というコンセプトを打ち出した永田。もちろん、あくまでコンセプトなのですが、

 

アルバイト役が適役すぎて妙なリアリティを生み出してしまいました。

気を取り直して、次に参りましょう。

 

2人目 加藤

2人目は加藤

以前は、ほぼ毎日居酒屋に一人で通って泥酔していたという居酒屋フリークです。

 

誰もが映画や海外ドラマなどの作品で行きたかった「あのお店」を再現してくれる居酒屋を提案させていただきます。海外旅行へ行ったような気分にさせてくれる…そんなお店です。

 

 

 

バイオモンスターに超能力者、特殊テロ…。大統領特任の特殊犯罪対策チームが、こうも忙しいとはな。残業後の酒だけが俺の癒しってワケだ。それにしてもふらっと入った日本料理屋、なかなか本格的でいい店だな

 

つまみも頼んでみるか

 

ベルを鳴らして店主を呼ぶぜ

 

イラシャーイ! お客さん、この辺じゃ見ない顔だね。名前は?

俺はエリック・キャベンディッシュ。最近、仕事で越してきたばかりでね。なかなかいい店じゃないか。一度TOKYOへ行ったことがあるが、本格的な日本料理がまさかこんなところで食べられるなんて

 

お褒めの言葉、痛み入ります

 

SAKEだけじゃなんですし、うちの自慢のつきだしをどうぞ

 

やはりSAKEにはこれだな。本格的なWAGASHIも食べられるなんて驚いたぜ

日本では母親から最初に教えてもらう料理がWAGASHI。日本人なら作れて当たり前です。そして次に教えてもらう料理は…

SUSHIだろ? 俺でもそれくらいは知っているさ。この店にもあるのかい?

 

もちろんです。当店自慢のSUSHIを味わってください

 

これが本場の江戸前SUSHI。WASABIとマヨネーズでどうぞ

 

なるほど、ビネガーが効いて最高だ

お客さん、なかなか箸の使い方が上手いですね?

日本人のトランぺッターと仕事をしたときのお礼で習ってね。彼のハンドバックを奪い返したのさ。そうだな、SUSHIに合うSAKEをもらってもいいかい?

では当店自慢の名酒を…

 

これはなんて読むんだい?

「HOGOSYAKAI」と。古い日本語で、侍たちの集団を意味します

 

名前の通り、パワフルな味わいだぜ。日本のフルコースを味わえるなんてな

では次は最後のメニュー…

 

OINOCHI-TYOUDAI!!!!!!!!!

 

なっ!?

 

途中から気づいていたぜ…こんな本格的な日本料理を作れるやつがそうそういるもんじゃない。日本から直接俺を殺しに来たNINJYAだってバレバレだぜ

 

やれやれ、せっかくの晩飯だってのにまだ残業中だったってワケか…

 

 

~会場の反応~

「『キル・ビル』の日本描写じゃん」

「しょうもない寸劇は置いておいて、『嘘日本』ってコンセプトはいいかも!」

「オープンしたら一回は行くと思う」

 

海外映画によくある間違った日本描写『嘘日本』を打ち出した加藤。

これは意外なことに好評を得ましたが…

 

コスプレが安すぎるので、つまらない忘年会にしか見えないという問題があります。

 

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