
板橋
という駅がある

私の印象では東京23区の中でも比較的温和…というか、住宅街である。それと同じ名前の板橋という名の駅が中国・韓国・台湾にもあるらしい。
同じ漢字圏の国で地名が被ることはおかしくないし、そんなに珍しい地名でもないだろう。
しかし「板橋住みっス」「板橋人啦!」「板桥人!」「나 판교 살아!」と言える人がさまざまな国に存在する状態はかなりいい。
日本の板橋出身として、行かなきゃいけない気がした。

板橋が、呼んでいるから……

これは、4つの板橋駅を少しずつ巡った記録。
※韓国、中国には板橋駅が複数あるため、今回は城南の板橋と広州の板橋に行きました
日本の板橋駅

私の知る「日本の板橋」はひとことで言ってしまえば…まあ、普通の住宅街である。
派手な観光地もファッションビルがあるわけでもないが穏やかな生活の街。幼少期に離れて以来「用事が無ければ行かない駅」と思っていたが、こんな用事で訪れることがあるなんてね。

とはいえ、都会池袋から埼京線でひと駅のハイパー立地駅だ。つい庶民性をアピールしてしまったがここはガッツリ東京の23区なのである。油断してはいけない。

JR埼京線

派手さはなくとも商店街や個人の飲食店も立ち並ぶ住みよい雰囲気だ。
西口は再開発のため白い壁に覆われており、これから新しい街になっていくのかなと期待させる。

遊具やベンチの一通り揃った駅前公園には小さな境内がありお稲荷様が地域を見守っていた。
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今回の板橋巡りはスケジュールの都合上、すべて「朝の時間帯」に訪れることになっている。せっかくなので、今回は「各板橋で朝ご飯を調達し、その土地の生活感を味わう」というミッションを勝手に背負うことにした。
それぞれの板橋の朝グルメも併せてお楽しみください。

というわけで、日本の板橋駅の朝ごはんをGET!
おにぎりの名店「ぼんご板橋店」で朝ごはんを調達し、公園で食べた。やわらかく握られてふわっとしたお米と溢れんばかりのたっぷりの具材がおいしい。

すんごいキスをするハトとご一緒に。ごらんよ世界、これが日本の朝。

ひとまず私が駅前で感じた感想としてはこんな感じだ。
穏やかで生活に溢れている普通の街だからこそ、この「板橋」という名前の駅が世界に点在していることが妙に面白かったのだ。世界の板橋にも生活があるのだろうか。どんな朝を送っているのだろうか。
他橋(ほかばし:他の板橋のことです)へレッツゴー!
台湾の板橋駅
台湾の板橋駅にはなんと、新幹線がある。

在来線・地下鉄・新幹線(高鉄)の通るでかい駅らしい。私の思う庶民的なイメージである板橋から急にレベルアップしている。置いてかないで。
桃園空港からも1本で行けるらしく、新幹線のチケットを買ってみた。

海外で買う新幹線ってかなり不安なので、AIに吐け口に近い質問をしながら向かう。自分のミスのくせに半ギレの文章を送ってはAIにやや煽られ、少し険悪な人間とAIのコンビが高速で移動してるだけの瞬間があった。
ちなみに、在来線でも空港から板橋は40分ちょっとで到着する土地だったので新幹線を使わなくてもよかったらしい。東京駅で乗って新横浜で降りた人ってことですか、私は。

今かなりこのハチワレと同じ顔してます。
なんでパッケージでそのビジュアルを選ぶんだ。

台湾高鐵HSR(High Speed Rail)

板橋駅に到着!

でかい
新幹線を降りると大きい公園とそれを囲むように高層マンション群が広がる。
この広場はイベントやイルミネーションを行うこともあるらしい。日本と同じように駅前に公園があるが、明らかに「人の集まる機能のある街」の役割を担っている。謎の敗北感がある。

しかし少し裏道にはいると個人商店が連なっており、台湾らしいレトロな街並みが広がり朝の慌ただしさを感じられた。いいねえ!
第一印象は都会だったが、路地裏の生活感を見るとうまく言えないが、「板橋っぽ……」と思った。街並みはもちろん違えど、街の構成に親近感を覚える。

ヒッ
去ったメンバーに容赦ない泌尿器科。こんなにノリノリで撮影してたのにどうしちゃったの。

裏道の商店街で朝ごはんをGET!
台湾のおにぎり「飯糰(ファントァン)」だ。硬めのシャッキリした餅米の中に揚げパンや煮卵や肉でんぶがモリモリに入ったハイパーボリュームおにぎり。食べても食べても違う表情が見えて楽しい!
ただでさえ拳2個分くらいの大きさなのに餅米で、中にも具が詰まっているのでムチ♡ムチ♡のエネルギー丸(がん)である。

偶然にも日本と台湾で「板橋でおにぎり食べた」状態になれた。米を握っていること以外全てが違うが。

思ったよりド都会です
少し歩くと映画館や高級ブランド店から無印良品などの入った大きい商業ビル(Mega City)がある。おいおい、銀座か?

日本でも馴染み深いチェーン店が多い!(Icolorは100均セリアの台湾名)
外のビルの作りなどは違えど、ショッピングモールに入ってしまうとあまり東京と差を感じない。

台湾の板橋は便利な都会でした。

ちなみに、台湾の板橋駅の隣にはこれまた東京に同名の駅が存在している「府中駅」がある。

東京では離れた位置にある、決して中心地ではない絶妙な2つの駅名が隣接していて面白い。
「原作で関わりのないキャラクター同士が隣り合っている、雑誌のピンナップイラストを見ている時」と似たような気持ちになるのだ。
中国の板橋
中国広州の板橋駅はターミナル駅の広州南駅から1本で行ける場所にある。
今回事前の情報収集が最も困難だった土地だ。どんな雰囲気で何があるのかもわからない。ドキドキ…

地下鉄なので外の景色は見えないが、周囲の駅名を見ると「村」「渓」「岗(岡)」の漢字が使われており、どんどんと自然に向かっていく気がする……と思ったら、これは昔から使われている地名なだけで今はどの駅も発展を遂げているらしい。
確かに、東京で言うのであれば「港区」を漁村と思ったり、「渋谷」を暗めの谷と思うのと同じようなことか。土地名の響きだけで街並みを判断してはならない。
広州地下鉄7号線

板橋駅に到着!

前を向いたらこの景色で、

後ろ向いたらこの景色である。ギャップすご
駅の目の前は素朴な風景だが、少し視線を上げるとギラギラの高層ビル群がそびえ立つ。長い歴史のある農村地帯から急激に開発が進められ、今は富裕層の住む高級マンションが並ぶベッドタウンになったらしい。

ここにも駅の周りに広場があり、地元の人のためのご飯屋台が準備されていた。
中国の板橋も生活地区で、開発中の土地だった。板橋とは「開発中」の場所なのかもしれない。開発しきった後の羽化した板橋はそれぞれどんな風景になるんだろう。
反対口に出てみましょう。

え?

でかい蟹いんだけど

なんで?
水槽から逃げ出しそうな蟹がビルに登ってる。
どうやらこの商業ビルの飲食店にも関係なくて、海が近いからという感じでもなくて、躍動蟹がいるだけの出口。

でかい蟹のいるほうの出口は高層マンションと商店が並ぶ便利な街並み。広州は中国の中でも南の立地のせいか木々もリゾート地っぽい。蟹のおかげで駅の出口がわかりやすくて助かった。
地元の人も「カニ下集合ね!」とか言うのかな。カニ下界隈。

朝食をGET
中国朝食の定番、蒸しパンの「マントウ」を路面のお店で手に入れた。蒸し立てであつあつのふかふかでおいしい!肉まんとは異なり、中に何も入ってないので食べ始めから食べ終わりまで一定の感情で食べられるマントウが好きなんだ。
マントウは最近Xで流行ったので知る人も多いかもしれないが、日本ではまだあまりサクッと買える店が多くないので気軽に買えて嬉しい。

お店のおばあちゃんに蟹の謎を解こうとしたが、私のスキルが足りず「蟹、なぜ」を繰り返すパニック異国人という微妙な空気だけを残して解決できなかった。でかい蟹と当たり前のように生活する住宅街。なんなんですか!?

開発中のグラデーションがわかりやすく見える面白いエリアだった。
蟹の謎についてご存知の方、本当に教えてください。

駅前のケーキ屋にはスラムダンクに祝われる男性のケーキがありました。夢ケーキ。なぜか周囲にあしらわれたネイビーのボタンがファンシーです。

毛毛虫パン。(软)いかついぜ。
韓国の板橋
ラストは韓国の板橋駅へ赴く。
あのNAVERやカカオトークの会社などのIT企業が数多く存在する、シリコンバレーとも呼ばれている先進的な土地らしい。今までの板橋の先入観でいるとITって全然結びつかないね。
韓国の板橋駅はソウルから2回ほど乗り換えた京畿道(キョンギド)という場所へ向かっていく。

ハングルって知識問題すぎ!台湾、中国の後に韓国を訪れると、いままでの2ヶ国の乗換は漢字知識に甘えていたと痛感する。
「映画クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード」の作中にて、漢字の読めないしんちゃんが「熱海」の文字を「ななめ、よこ…」と記号で覚えていたことを思い出し、記号パズルで乗り越えた。私はこの場面に何度も救われている。

板橋駅へ向かう新盆唐線は。電車の時速と次の駅までの距離がリアルタイムで表示されていて助かる。

新盆唐線

板橋(パンギョ)に到着!
わ、

未来都市!
建物が有機的な形状をしていると「未来」って感じがする!
この円状の廊下はディスプレイになっていて映像が流れている。今は日曜の朝で、この駅前には私くらいしかいないのに、なんて贅沢な。

こんなところで横になって本を読むことがありますか!?
生活感がなさすぎておもしろい。鹿目まどかさんのご実家を見た時の気持ち。
他橋(ほかばし)と比べるとここはあまり板橋(ここで言う、親しみのある開発中の住宅街を指す形容詞)ではないのかもしれない。どちらかというと東京のお台場などのような開発されたあとの綺麗に整理された区画に近い印象を持った。

中国のデカ蟹のせいで霞んでしまうが、「考えるデカロボ」がいる街もすごいよ。

宅配ロボの棲家もあります。かわいい。
今の所人間よりもロボが多い。子供の時に想像した未来の街みたいな作られ方をしている。

駅前には韓国の国鳥・カササギがいた。カラスくらいでかい白黒の鳥ってそういえば見慣れない。幸せを運ぶ鳥らしい。
韓国と東京は都心の雰囲気、特に高層ビルの作りが似ているため気を抜くと外国にいることを忘れてしまうが、そのへんの鳥が見慣れない種類だと一気に「違う」と脳が判断する。普段気にもとめないような草や鳥こそが日常の風景の安心を作っているのだ。

日本のめちゃキス鳩こそ、日本の心だったのですね……。

さて、今は日曜朝7時です。
こんなパソコンブルー色のオフィス街で朝ご飯は見つけられるのだろうか…。

ある
単身の屋台が道ど真ん中に存在することってあんまりない。大胆でいいね。

朝食GET!昔ながらの雰囲気のあるおじいちゃんの屋台で「ホットク」を入手しました。
ほんのり甘いホットケーキ生地の中に薄い卵焼きが入っていて、まろやかにあまじょっぱくておいしい!ホットクといえばあんこを想像していたので良い意味で裏切られて嬉しかった。朝マックだ。
NAVERの人も、朝ごはんにこれを齧りながらまとめを作成してくれてたのでしょうか。


さっきは全然板橋(形容詞のこと)ではないと言ったが、少し歩くとのどかな川と山が見えその先は住宅街で、まだ建設中のビルの姿も見える。少し安心した。
それぞれの板橋はそれぞれの進化の途中なのだ。
それぞれの板橋
こうして、名前だけで繋がった全く無関係の都市を巡り4つ無理やりに繋げてみた。

繋がるわけがない、どれも街の機能が異なり一切関係ないことがわかってよかった。
日本の印象を元に無理やり「庶民的な住宅街の安心感」の枠で括れないかと思って飛び立ったが、大都会の台湾板橋・コントラストの中国板橋・ハイテクシティの韓国板橋それぞれの前では無力だった。当たり前である。

しかしどの駅にも炭水化物の朝ご飯があり、生活があり、開発を重ね発展しようとしている。観光地じゃない「板橋駅前」を見ることで、いままでの旅行とは異なりその国の生活や人間を急に近く感じることができた。

今回赴くことができなかった板橋を含めるとまだこんなにあるらしい。(執筆時現在のwikipedia「板橋(曖昧さ回避)」による情報。)
今日も世界のどこかで、各国の板橋っ子たちが「板橋駅」の改札を抜け、朝ごはんを齧りながら学校や仕事へ向かっているのだ。
名前が被っているだけだが、私が勝手に仲間ということにする。
みんな!集まって!


全国の板橋っ子諸君、心の姉妹都市として頑張っていきましょう。
(おしまい)
※本記事の内容は各地を訪れた時点での個人の記録です。街並み・路線・店舗情報などは現在と異なる場合があります

たばね




岡田悠
彩雲
たかや
オモコロ編集部








