エントリーNo.4 加藤
続いては、菓子盆選手権2年ぶりの参戦となる加藤。
いつもお菓子を食べに試合だけ観戦しにくるので、内部の人間には毎回参加していると勘違いされています。
〜今回に向けた意気込み〜
久しぶりの菓子盆なので頑張ります。
在宅ワークを楽しむために、デスクに好きなホビーを置きまくっている加藤。
大人になっても遊び心を忘れない加藤は、どんな菓子盆を作っているのでしょうか?
●フリスクスペアミント(クラシエ)
●ガルボまろやか抹茶ミルク(明治)
●明治ブラックチョコレート(明治)
●チョコを包んで焼いたひとくちパイ(セブンイレブン)
●サクサク食感のしっとりいちご(セブンイレブン)
●ザクザク食感のベルギーワッフル(セブンイレブン)
その日の朝にセットする「1日の仕事を支える盆」です。
「出勤」というオンへ切り替える行動ができなくなったので、目覚ましとしてフリスクを用意。ほかのお菓子との親和性を考え、グリーンのパッケージを選びました。
仕事中に食べたくなるお菓子…といえばチョコですね。ブラックチョコや抹茶ガルボなど、同じチョコでも飽きがこないように味・色・食感を分けて選んでいます。
リモートワークはオフとの境目がなく、いつまでもダラダラ仕事を続けてしまうという欠点があります。その欠点をカバーするのがこのベルギーワッフルです。
ワッフルはオーブンで軽く焼き、その間にコーヒーを淹れる。そうすることで、自然と「休憩」の時間が生まれるんです。
~ 会場の反応 ~
・ハードボイルドな菓子盆だ!
・私立探偵が食べてそう
・1日のおともにするには物足りない気もするけど…
いかにも大人の秘密基地という風体の菓子盆を繰り出した加藤!
「甘い系のお菓子ばかりで飽きちゃいそう」という意見もありましたが、審査員はどう判断するのか!
一人用らしく、いかにも飾らない盆ですね。誰かをもてなすというより、自分を鼓舞するための、サプリメントのような菓子盆という印象です。
菓子としてはほとんどが菓子盆の定石に沿った定番のものが使われていますが、あえて無造作に盛ることで、これまでに見られなかった角度から菓子の魅力を引き出しているように見受けられました。
これまでの菓子盆において特に重視される「彩り」や「形」ではなく、栄養補助食品としての「機能」を重視したことで、独自の美が表現できています。
頑丈さを売りにする腕時計に、スタイリッシュな腕時計にはない魅力があるのと似ています。
ワッフルを「境界線」として使うアイデアもユニークですね。たしかに、菓子という小休憩は仕事と私生活の境目を曖昧にするもの。
であれば逆に、菓子によってその境目を意識させることも可能ということかと思います。
また、そんな盆を作り上げる過程もまたちょっとした「わるだくみ」のようで、大人の遊び心を感じさせました。『POPEYE』の表紙になりそうな盆ですね。
「菓子盆で仕事の休憩時間をコントロールする」という発想に、会場も関心しきりでした。
加藤自身は、仕事中に「どうぶつの森」で遊んでいるような男なので、休憩が必要かどうかには議論の余地がありますが…。
エントリーNo.5 ARuFa
続いては、菓子盆への情熱なら誰にも負けないARuFa。
毎回お菓子のセッティングには時間を人一倍かけているものの、何故か観客から悲鳴が上がる結果となってしまう謎の盆師です。
〜今回に向けた意気込み〜
今回は自分しか食べない『自分のための菓子盆』なので、僕の好きな物をたくさん入れた菓子盆を作りました。
自宅では、ライター業務やラジオ編集などを主に行なっているというARuFa。
デスクはシンプルにまとめているようですが、菓子盆の方はどうなのでしょうか?
●アンパンマン幼児用ビスケット(不二家)
●アンパンマンひとくちビスケット(不二家)
●つかめる!ふしぎ玉(クラシエ)
●UNICORN FROOT LOOPS(ケロッグ)
●梅れんこんチップ(株式会社 壮関)
●玄米ぱん(VALUE PLUS)
●チョコメリゼ(Tohato)
●フェットチーネグミ ソーダ味(ブルボン)
●毎日のナッツ&クランベリー(ネスレ)
●オクラ梅かつお(ASHITAMO)
●メープルワッフル
●ジャムビスケット
大人なので普段は隠していたのですが、じつは幼児向けのお菓子も好きなので、これを機にアンパンマンビスケットをいれました。
あと、知育菓子も好きなので「つかめる!ふしぎ玉」という、手で触れるジュースみたいのも乗せました。
ふしぎ玉はビチョビチョだったので、水が切れるように穴の空いたレンコンチップスの上に乗っています。
~ 会場の反応 ~
・アステカ文明のアンパンマンマーチじゃねえか
・ばいきんまんの国でカルト化した『アンパンマン教』のミサ?
・下に鎮座してる毒ヨッシーのたまごみたいの何なんだ
・この乾燥したオクラみたいなやつは何?
それは乾燥したオクラです。
保育園児だけ取り残されて1年経った無人島に行ったら出来上がってたオリジナル宗教かと思ったら菓子盆でした。
まあ、人の趣味嗜好なのでとやかく言うのはお門違いであることは承知していますが、なんだかとても嫌なものを見た気持ちになりました。
咀嚼してる人の口の中をプラネタリウムで鑑賞してしまったかのような。
人間には無意識というものがあり、言葉や行動として表出する前の段階では、無意識下に混沌が渦巻いていると言われています。
それは肉体でいう臓器のようなもので、本来的にとてもグロテスクなのだと思います。
ひとり用の菓子であれば確かに「好きなものを・好きなだけ」が実現できます。
しかしその自由は、人間が本当は隠しておくべき混沌を表出させてしまう危険を秘めているのかもしれません。
あと、ARuFaさんの場合は人に出すときの菓子盆でもこうですよね。
WEBカメラ越しに、スマブラの厄介なステージみたいな盆が現れたときはどうしたものかと思いました。
リモート盆は本人が楽しむものなので、ARuFaが幸せならそれで良しです。
エントリーNo.6 原宿
最後の挑戦者はオモコロ編集長の原宿。
毎回得体の知れない忌まわしい菓子盆を作り、審査員に怒られている男です。
今回のテーマは人に振る舞うのではなく、自分が食べるための菓子盆。そこまで無茶はしないと言っていましたが、果たして…?
〜今回に向けた意気込み〜
リモートワークと言えばこれ!という菓子盆を作りました。
●ぶどう味の寒天
●ミニ石膏像
タイトルは「ローマンエンパイア」です。
破門です。
かつて栄えた帝国の栄枯盛衰を感じてください。
破門です。
それでは、聞いてください。
~ 会場の反応 ~
・なに?
・鳥の声…? なに?
・WEB記事で音が鳴る仕掛け作るなよ
朽ちたヴェイパーウェイブ
15回もやっている大会ですが、菓子盆に「音」を取り入れた人間は初めて見ました。
相変わらずのゲテモノ盆ですが、審査員はこれをどう読み解くのか!?
破門です。
破門でした。
優勝者決定!
これで第15回菓子盆選手権「リモートワーク盆」がすべて出揃いました!
果たしてリモート菓子盆王の栄冠は誰の頭上に輝いたのか…
それでは、審査員のダ・ヴィンチ・恐山に結果を発表してもらいましょう!
自分のためのリモート盆。
「もてなし」が重要なキーとなる菓子盆において、他者の登場しない菓子盆が果たして成立可能なのか?
最初は訝しんでいましたが、なるほど、自分とはまたひとりの他者なのでした。
自分のためにつくる菓子盆は、換言すれば、自分自身をもてなすということ。
おそらく、盆を組み立てる過程で自らの人生観や内面に触れることになったはずです。盆を組み立てている自分を観て、さらに盆に反映させていくマインドフルな向き合い方は、菓子盆だけでなく多くのことに役立つことでしょう。
これらの盆に優劣をつけることは本来できません。
それでもあえて一つ選ぶならば、ワッフルを焼くことで時間に境界線を引くというアイデアを見せてくれた加藤さんの盆を挙げさせていただきます。
もちろん、そのまま真似しては本末転倒ですが、より多様な「自分へのもてなし」を発想するきっかけになりそうだと感じました。
リモートワーク盆を制したのは加藤! 見事初優勝を飾りました!
総評で恐山が言ってることは正直みんなよくわかっていませんが、優勝はいいことなのでそれで良しとしましょう!
自宅にいながらできるリモート菓子盆選手権。お菓子を見せ合いっこするだけなので、皆さんも気軽に楽しめるかもしれません。
普段会えない遠方の友人や、リアルでは会えないネット仲間など。この機会に誘い合わせて、一度やってみてはいかがでしょうか?
ただ、他の人のお菓子を食べられないので、自分も菓子盆を用意しないとめちゃくちゃ侘しい気持ちになります。