こんにちは、ライターの谷頭(たにがしら)です。

 

ぼくは甘かった

すこし前に、ぼくは「マクドナルド壁画」と称して、ファストフードチェーンであるマクドナルドの店内の壁に書かれている絵を調べ、何種類かに分類したのだった。

その調査は順調に進んでいると思われたが、しかし最後でぼくはその分類からこぼれ落ちる新たな壁画のパターンにぶちあたり、絶望の淵に立たされた。

 

そして読者のみなさんに、

#マクドナルド壁画

というハッシュタグで、Twitterにて全国のマクドナルド壁画をつぶやこうと語りかけたのだった。

 

するとこんなくだらない調査にもかかわらず、多くの人がその後タグをつけて壁画写真をアップしてくれたり、記憶の中のマクドナルド壁画についてコメントしてくれた。

情報を提供していただいたみなさんに、心より感謝の意を述べたい。ありがとうございました。

 

そして分かったこと。

 

それは、前回の僕の分類があまりにも甘すぎた、ということだ。

戒めのためにその図をもう一度再掲しておこう。もはや見るのも恥ずかしいぐらいだが……

 

あたかもこれがマクドナルド壁画の全てであるかのような自信に満ちあふれたこの表は、残念なことに無数にあるマクドナルド壁画の氷山の一角に過ぎない。

今回こうして改めて記事を書いているのは、この不完全な表を、皆さんからいただいた情報をもとに、完全なものへとアップデートしていくためだ。

 

マクドナルド壁画というまだ見ぬ世界の奥深くへ、さらに入り込んでいきたい。

 

 

新たな壁画がゾクゾク

まず紹介したいのは、前回紹介した壁画の中でも多くを占めていた「組み合わせ型」タイプの新発見壁画である。

組み合わせ型はかなり網羅したつもりだったが、ハッキリ言って全くそんなことはなかった。

 

 

22. 紙飛行機

その名の通り、紙飛行機が飛んでいて、「PLAY」と落書きっぽく書いてある。

タイプ分けで言うならば、イラストタイプの絵画・デザインタイプに分類できるだろう。

紙飛行機壁画は、他にもこんなものがある。

 

 

黒い紙飛行機だ。色違いに分類できるだろう。

そして、この紙飛行機と同じ背景を使った柄も発見した。

 

 

23. 山々

紙飛行機と世界観を共有している柄、「山々」である。

下の方が青々とした山に見えるからこう命名してみたものの、その上に書いてある「Enjoying the simple things in life」という謎なメッセージも気になる。

 

「人生の、何でもないことを楽しもう」

 

なんて前向きなメッセージなんだ。

僕がマクドナルド壁画を集めているのも、この「何でもないこと」にあたるかもしれない。

この壁画の分類は難しい。メッセージタイプと言えばそうだし、イラストタイプにも見える。

これは文字タイプとイラストタイプの中間地点に位置するものなのではないか。表に書き足すと、こんな感じだ。

 

多くの場合、紙飛行機と山々は同一店舗内に複数見られ、雰囲気が非常に似ているので、ともすると「統一型」に分類されてもよい気がする。

しかし紙飛行機の柄がいきなりズバッと途切れて、まったく異なる壁画が並ぶこともある。

 

それが、こちら。

 

 

24. キッチン線

紙飛行機の隣に、うねうねとしたスプーンやらお鍋っぽい形がある。

ほんわかとした雰囲気は消え、現代の大量消費社会を思わせるドライな雰囲気。

キッチン用品を線で描いていることから、「キッチン線」としてみよう。

 

 

25. DREAM CREATE

こちらも新発見。写真は浅草ロックス店である。

ドリームクリエイト……。

前回もそうだったが、マクドナルド壁画のメッセージは「夢」「希望」「世界平和」など、希望に満ち溢れたものが多い。

 

ちなみにこの文字が書かれている壁面は木目調であるが、何とこれは木目調に見せたペラペラの紙であり、言うなれば、だまし絵である。

写真で見ただけだといかにも自然素材風のおしゃれカフェみたいに見えるが、実は作り物の世界なのだ。

“ドリームクリエイト”とは、虚像を作ることを意味しているのだろうか?

 

この後もたびたびこういった「だまし絵」的な模様が頻出するので、ご記憶願いたい。

そしてドリームクリエイトの正面にあったのが、これ。

 

 

26. 朝も夜も

BreakfastとDinner、つまり「朝ごはん」と「夜ごはん」と書いてあって、その間に「Eat in」と「Take Away」が書いてある。

これは「店内で食べる」と「持ち帰り」のことだ。

つまり朝も夜もマクドナルドを店内で食べるか、持ち帰るかして食べようと呼びかけている、意外に圧の強い柄なのだ。

 

マクドナルドが好きだとしても、朝も夜も食べるのはちょっとキツイなあ。

 

 

27. 断片ピエロ

こちらも投稿いただいた画像から。

断片ピエロ。一見したところ、ピエロが頭と顔をバラバラにされている。

 

たぶん、ドナルドだ。

 

バラバラになったドナルド。

あのドナルドが、何の因果でこうなってしまったのだろうか…?

怖いのであまり触れずにいこう。

 

さようなら、ドナルド

 

 

28. スクリーン

上記の断片ピエロが発見された店で見つかった。

名付けて「スクリーン」。なぜスクリーンなのというと……

 

シルクスクリーンっぽいものに映る植物の影。

「おお、なんか環境が良さそうなマクドナルドだな」と、思わないだろうか。

これだけ見ると、敷地がいい感じに緑化されていて、その植物の影がこのスクリーンに映っているかのようにも感じる。

だが、そうではないのだ。上の写真を拡大したものを見てみよう。

 

後ろにある本物の木と、手前の影の木の形がかみ合っていないのである。

つまり、この影はあたかも実在するかのように、スクリーンに植物の影が描かれている柄なのだ。

これもだまし絵だ!

さまざまなマクドナルド壁画を見ていくと、あらゆる立体物がそのまま平面上に描かれていることに気が付く。

例えば、次に紹介する柄などは、僕も完全にだまされていたものである。

 

 

29. 壁

壁である。

これを近くで見てみると…

 

こんな感じ。

なんだ、普通の溝がほどこされた壁ではないか、と思うかもしれないが、これもれっきとしたマクドナルド壁画である。

他の壁画にはすべてイラストっぽい絵が描かれているのに対して、これはただ、“壁そのもの”のように見える。

 

しかし……

 

画像では分かりづらいが、実際に触ってみるとスベスベしていて溝などない…!

そう、これは壁っぽい柄を描いた、「壁」柄のマクドナルド壁画なのだ。

「スクリーン」柄で描かれた影と同じように「溝がある壁」っぽく見せているだけの、ペラッペラな紙なのである。

 

実は前回の調査の時から、マクドナルドにこの壁があることには気づいていたのだが、壁画とは思わず、ただの「壁」だと思っていた。

しかし実際に触ってみると凹凸がなく、れっきとした「壁画」であることに気づいたのだ!

こんなものが隠されていたとは……やはりマクドナルド壁画を解明する旅、一筋縄ではいかないようだ。

 

ちなみにこの「壁」柄には、写真のクリーム色に加えて、黒、白、茶といったカラーバリエーションが見られる。

組み合わせ型の新種報告だけでも相当の数に達したので、改めてここで、表の形で整理しよう。

 

 

■新・マクドナルド壁画分類表。統一型の影が薄くなってきている

すでに29種類……。表がパンパンで、カオスな様相を呈し始めた。

 

 

 

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