こんにちは、ライターの谷頭(たにがしら)です。
突然だが、これが何の写真だか分かる人はいるだろうか?
正解は「マクドナルド渋谷センター街店の壁に描かれている絵」である。
そんなの知るか、と思われた方も多いかもしれない。
僕だってつい先日まではこんな質問をされたら、「は?」と思っていたことだろう。
しかし、いつものようにマックでプレミアムローストコーヒー(100円のやつ)を頼んで席に着いた瞬間、このレタスの壁を見て電流が走ったのだ。
これは、「マクドナルドの壁画」だ……!
これは僕がよく利用する高田馬場店で撮影したマクドナルドの店内装飾、いや、マクドナルド壁画だ。
「マクドナルドには壁画がある」、そんな気持ちで店内を見渡すと、このイラストなのか絵なのか文字なのかよくわからないものが、かつてとは違う様相で僕に迫ってきたのだ。
僕はなぜかそれが以前から決められていた運命だったように、「この壁画を調査・研究せねばならぬ」と思った。
こちらの壁画は、先日行く機会があった仙台駅東口店のもの。
「Love the world you live in」
地球に生きる僕たちへの檄文が書かれてある。
グラフィティアートっぽい意匠だろうか?
その隣の壁画はシマウマ柄? あるいはモノトーンにした畑の写真か? とにかく抽象的な何かである。
すごい文字量だ。
試しに文章をいくつか拾ってみると、「42度のマックカフェフラッペがあってね……」「彼女の顔には笑顔が浮かんだ、それは奇跡だった……」とか、こんな意味のない文字列が延々と続いていて、ちょっと全部を訳す気にはなれない。
ちなみにこれは豊洲駅前店の壁画。
こちらはすっきりとしたハンバーガーとアップルパイ(らしきもの、たぶんそう)のイラスト。これは池袋LABI前店。
こうしてみるとそれぞれの店舗で、まあいろいろな壁画の種類があるということに気が付く。
抽象画みたいなものから、オシャレなイラスト、案外と店ごとにその種類は異なっている。
あなたもふと入ったマクドナルドで、スマホからちょっと顔をあげて壁画に目を向けてみると面白いかもしれない。
しかしこの壁画、いったい何なのだろう?
ネットで「マクドナルド壁画」を検索すると、一件だけ過去にこの言葉の使用例があった。
それが「不思議と謎の大冒険」を謳うウェブサイト、『カラパイア』の記事である。
タイトルはそのまま「マクドナルド壁画」。
そこでは海外のマクドナルドの、すごく具象的なマクドナルド壁画が紹介されていた。
でも日本のマクドナルド壁画はこんなに絵っぽくはない。もっとデザイン的だ。
日本のマクドナルド壁画は、どういった理由で存在するのだろう?
気がつけば僕は、日本マクドナルドの本社お問い合わせフォームに質問を打っていた。
お世話になっております。
マクドナルドの各店舗の壁にはそれぞれとても特徴的な絵、あるいは写真が描かれていると思うのですが、あのデザインは誰が決めたのでしょうか?さらに店舗によって異なるデザインが施してある店舗もありますが、その選定の基準なども気になります。
また、あのデザインが何をモチーフにしているかなども分かる範囲で教えていただけると嬉しいです。
不思議な質問かもしれませんがぜひお答えいただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。
何をどうお世話になっているんだがよく分からない上に、質問の内容も内容だ。
こりゃ返信はないかもしれないな、と思いつつダメもとで送ってみたのだが……
返信は来た。しかも数時間で。
その大意だけを要約すると……
平素よりマクドナルドをご利用いただき、誠にありがとうございます。
店内の壁のデザインにつきましては、グローバルで決められたデザインの中から数種類のデザインを選び、各店舗の地域性に合わせて設定しております。
とのことだった。
日本のマクドナルド壁画は「グローバルで決められたデザイン」の組み合わせ、らしい。
これだけだとまあチェーン店とはそういうものかもしれないと思うが、その次が気になる。
「地域性などに合わせて」
地域性……。思い返してみてほしい、冒頭の渋谷センター街店のキャベツを。
渋谷の地域性とはキャベツなのだろうか。また、渋谷店にはこんな壁画もある。
トマトだ。
マクドナルドの中では、渋谷の地域性=野菜なのだろうか。
そういえば最近は農業をする「ノギャル」なるギャルもいるらしいが……。
よくよく考えてみれば、この「グローバルなデザイン」で「地域性(=ローカル)を重視する」という解答もちょっと気になってくる。
それは矛盾した二つの内容を同時に満たしているということなのだろうか。
……結局、本社に問い合わせたところ、更なる疑問が湧いてくるだけだった。
それならば仕方ない。
謎があるならばそれに立ち向かっていかねばならない、そう、自分の足で。
というわけで、マクドナルド壁画に一体どのような種類があるのか、それを分類分けする旅にぼくは出かけることにしたのである。
あなたの近所のマクドナルドにある壁画も、この中にあるかもしれない。