イラストタイプ

壁画の名にふさわしく「絵が描かれているもの」を、後述する文字タイプと分ける形で、「イラストタイプ」と命名した。

この大きなくくりから更に、「絵画・デザインタイプ」と「写真タイプ」の2つに分岐する。

 

■絵画・デザインタイプ

 

1.カラフルナイアガラ

この壁画は線の集合体である。

カラフルな線が縦にわーっと入り、ナイアガラの滝さながらの美しい景色を私たちの前に見せてくれる。

配色のパターンにはいくつかの種類があり、赤を基調としたもの、緑を基調としたもの、茶色を基調としたものが発見されている。

 

 

2.ゾンビ

おどろおどろしい名前だが、見た瞬間「これはゾンビだ!」と思わずにはいられなかった。それがこれ。

 

これを見た時、僕の脳内には大量のゾンビたちが手をうじゃうじゃさせ、今にも主人公たちを食べようとしている絵面が思い浮かんでいた。

そういえばゾンビ映画はもともと消費社会を皮肉っていたらしいが、ゾンビを彷彿とさせる絵柄が消費社会の象徴たるマクドナルドに登場しているのはなんとなく面白い。

オレンジのカラーバリエーションもあるが、緑の方がゾンビっぽさは増す。

 

 

3.ゾクゾク

なんだかゾクゾクいるので「ゾクゾク」である。

 

 

よくよく探すと、イラストの中にドナルドらしき人物もいるのが芸が細かくて良い。ちょっと集合恐怖症の人にはツライかもしれないが…。

 

 

4.ポテト

黄色の格子が斜めに入っている。階段などでの観測が多い。

てっきりポテトを模したものだとばかり思っていたのだが、命名した直後に黒と灰色のカラバリを発見してしまった。

黒と灰色のポテト、絶対に食べたくない。

でもなんか腹が立つので、そのまま名前は「ポテト」とした。

 

 

終わりのポテト。

 

 

5.年輪

見ていて、とても不安になる柄である。

昔、「レクイエム フォー ドリーム」というドラッグ体験を視覚的に体感できると話題の映画があったが、そういう映画に出てきてもおかしくないような眩暈を起こさせる柄である。

恐らく木の年輪だと思われるので、そう呼ぶことにした。

 

 

■写真タイプ

絵画・デザインタイプと違って写真ベース、あるいはより具象的なものをここに分類した。

 

6.顔

何を見つめているのか、斜め上を眺める外国人である。

この髪の毛クルクルの女性の人と、もう一人ちがう女性の顔も観測されている。

もしかしたら男性タイプもどこかにあるのだろうか? 

 

 

7.ユニセフ

親子の手がそっと重なり合う、そんな美しい場面を切り取った壁画である。

ユニセフの広告にでもでてきそうな、そんな感動的なシーンなので名前は「ユニセフ」。

 

 

8.腸内

昔、理科の授業だったか、人間の腸壁をマイクロカメラか何かで拡大して写した写真があって、その記憶が鮮明に残っている。

それみたいだなあ、としみじみ昔の思い出に浸ってしまった。だからこの壁画は「腸内」。

 

 

9.コミュニティ

世界中の色々な人種の人が映っている写真の集合体だ。

「COMMUNITY」といい感じで書いてあるので、名前は「コミュニティ」。

世界中の人に見つめられながらハンバーガーを頬張るのは、どことなく居心地が悪い。

 

 

文字タイプ

文字が書かれているマクドナルド壁画は多い。

とりあえず「何らかの文字が書かれている壁画」を「文字タイプ」として分けてみた。

その中でも「無意味タイプ」・「メッセージタイプ」・「自社宣伝タイプ」の3つに分類される。

以下、それぞれのタイプの具体的な壁画を見てみよう。

 

 

■無意味タイプ

 

10.プログラム言語

さきほども載せた写真であるが、とにかく壁面にびっしりと文字が書かれている。

ちょっと読んでも内容に特に意味はないが、「マトリックス」のようなコンピューターのプログラミング言語の羅列に似ているので、こう命名したみた。

カラーバリエーションは多く、ピンク・オレンジ・グリーン・ブラウンは観測済みである。

 

 

11.グラフィティ

アーティスティックな感じで、文字が壁面いっぱいに書かれている。

マクドナルドはアメリカ発祥だが、そのアメリカでもよく観測されるグラフィティ・アートを意識していると思われる。

カラーバリエーションは今のところ観測されていない。

 

 

12.シマシマ

こちらもシンプル。シマシマである。シマウマのお腹の写真かもしれない。

 

 

■メッセージタイプ

無意味タイプとは違い、思想が強いタイプの文字壁画である。

 

13.「地球を愛せ」

「あなたが住んでいる世界を愛せ」

突然どうしたと思われてしまいそうだが、これはマクドナルドがグローバルカンパニーである自分に向けた自戒なのだろうか。

アメリカ版の相田みつをっぽい感じだ。黄色と緑のカラバリを発見している。

 

 

14.サスティナブル

「コミュニティ」の時に見られたたくさんの人の顔写真で、「サスティナブル」と書かれている。

持続可能な社会、頑張って目指そう。

 

 

15.ハッピーミール

かなり大胆にスペースを使って主張している。幸せな食事、それはマクドナルドにある。

 

 

■自社宣伝タイプ

 

16.ビッグマック

 

 

17.エッグマフィン

 

 

18.コーヒー

素直に自社の商品を宣伝しているタイプ。僕の観測範囲で発見できたのはビックマック、エッグマフィン、コーヒーの3つだった。

 

以上、これら18種類の柄が店舗内で組み合わさって、マクドナルド壁画は成立している。しかし……。

 

 

19.バブル

少し特殊なパターンも存在していて、それが「混合種」だ。

混合種とはなにか? それは1~18の絵柄を同一の壁画に組み合わせてしまったもので、見た目としては泡みたいな形態を取っている。

 

この場合、一枚の壁の中に「プログラミング言語」「グラフィティ」「ゾンビ」が混在している。

複数柄の混在は、この泡の中に書かれる形態しか確認されていないので、このパターンを「19.バブル」として扱っておこう。

 

さらにさらに!

 

 

統一型

20.モダン

先程もチラリと紹介した池袋LABI店だが、壁画同士の組み合わせを使うことなく、店舗自体がひとつのアートコンセプトで統一されている場合がある。

これを「統一型」と分類することにしよう。

モダンでオシャレなので、この木とイラストのパターンは「モダン」。

 

 

21.野菜

気がつけばもう20種類もマクドナルド壁画を紹介してしまったが、冒頭にも登場した野菜の柄でラストの分類である。

 

 

いやあ、みずみずしい。

この野菜シリーズは渋谷センター街店で発見されたが、その店内はこうした野菜の壁画で統一されており、マクドナルドなのに大変ヘルシーさを感じる。

 

というわけで、およそ20種類にわたって、マクドナルド壁画についての調査を行ってきたわけだが、ちょっと煩雑になってきたので図解してみる。

 

 

とうとう、完成した。これがマクドナルドの全てである。

今、私の手の中に、マクドナルド壁画の全パターンがある……!

ためしに、このリストをもっていろいろな店舗をめぐってみよう。

 

 

 

 

【早稲田店】

僕が最もよく使うマックの一つだ。店内はこんな感じ。

 

どうだろう? この写真を見ただけで、皆さんご存知の柄のオンパレードではないですか?

やはりさきほど作った表で、マクドナルド壁画のすべてを網羅できているようだ。思わず顔に笑みがこぼれる。

 

ちなみに早稲田店のマクドナルド壁画構成はこんな感じだった。

 
①カラフルナイアガラ×3(赤×1、青×2)
②ゾンビ× 3(赤×1、青×2)
③ゾクゾク× 2
⑩プログラミング言語×1(緑×1)
⑲バブル×3

 

残さずすべて分類できた!

やはりマクドナルド壁画は、僕が解析した21種類の組み合わせで出来上がっているのだ。

調子に乗って、さらに他の店へ行ってみる。

 

 

 

【東新宿店】

こちらも店内にあった壁画を分類してみると……。
  
⑤年輪×4
⑧腸内×3 
⑨コミュニティ×1
⑬地球を愛せ×6(黄×3、緑×3)
⑭サステイナブル×1
⑱コーヒー×5(白×5)

 

早稲田店と種類は違うものの、やはり今まで分類した壁画で片がついた。

どうしよう、僕は世界の攻略本を手に入れてしまったようだ。

もはや向かうところ敵なしである。さらに調子に乗ってもう一軒! もう一軒だけ!

 

 

 

【西新宿店】

この店舗には上記の店舗のような壁画は無いが……恐るるなかれ、これも勉強したはず。

統一型の「20.モダン」だ。

このパターンは木目調で統一されているものと、コンクリート打ちっぱなしのような壁で統一されているものがある。

 

気持ちイイ……。

この記事さえあれば、さまざまなマクドナルドの壁画がぴったりと分類できるのだ。

みなさんも是非この分類表を持って、近所のマクドナルドに行ってみてください。

いつもとはちょっと違う視点で、マクドナルドでの食事が楽しめるはず。これぞまさに、15.ハッピーミールである。

そんな陽気なことを言って、この記事を締めようと思った。

 

 

が、しかし。

 

 

 

 

2019年が明け、初詣に行くために鎌倉に行った時だった。

友人がくるまで少しだけ時間があったので、マクドナルド壁画をすっかり分類できたと思ってイキっていた僕は、「鎌倉駅前のマクドも分類してやるか~」と思って何気なく店内に入ったのだ。

そしてこの新しい、「特異種」ともいえる謎のマクドナルド壁画に遭遇してしまったのだった。

 

今まで見たことのない初めてのマクドナルド壁画を目の前にしたとき、人はその圧倒的な存在感の前に自分自身の存立さえ危うく感じてしまう。

私が今までやってきたことは無意味だったのだろうか、あるいは一時の戯れに過ぎなかったのか―

絶望が私を、鎌倉のマクドナルドを地獄であるかのように感じさせていた。

 

しかしそんな前後不覚の状態で、一つの音が私を現実に引き戻した、それはマクドナルドでポテトが揚がったときの、あの音だった。

その音は絶望の淵から私を救い上げた。落ち込んでいる場合ではない、私にはまだやるべきことが残されている。

そのように囁かれているような気がした。

 

そうだ、僕は日本全国すべてのマクドナルド壁画を調べなければならない。

そしてマクドナルド壁画の謎を、今度こそ完全に解かねばならない。

 

だが一人の力だけでそれをやるのは、不可能ではないにせよ、莫大な時間と労力がかかる。

 

#マクドナルド壁画

 

そこで、皆さんの力をお借りしたい。

おそらくこの世の中にはマクドナルド鎌倉店の壁画のように、僕こと谷頭が分類していない壁画が存在するはずだ。

それらは人目に触れず、しかし誰かに見つけてもらいたくてうずうずしているはず。

もしもこの記事に載っていない壁画を見つけたならば、ツイッターのハッシュタグ「#マクドナルド壁画」で、写真&支店名と共につぶやいてほしい。

別に新しい種類じゃなくても、近所のマックの壁画をつぶやくのでも大歓迎だ(むしろとても心強くなる)。

ハッシュタグで寄せられた情報を元に、僕はさらにマクドナルド壁画を解析し、最終的には日本のマクドナルド壁画の法則性すら発見してみたい。

 

夢のような話かもしれない。

だが、それでいいのだ。これは、夢とロマンに満ちた新たなる冒険だ。

その冒険を、僕と一緒に楽しんではくれないだろうか。

 

 

 

↓続編