突然ですが、今日はお2人にタトゥーを入れてもらいます。

 

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この記事に登場する人:

原宿:オモコロ編集長。タトゥーを入れさせられることになった。

ダ・ヴィンチ・恐山:オモコロ編集部。タトゥーを入れさせられることになった。

加味條(かみじょう)この記事を書いているライター。タトゥーを入れてみたい。

 

というわけで、今回はこの3人で体に墨を入れていきます。

 

といっても本物のタトゥーを入れるわけではありません。使うのはこちら。

 

Inkbox公式サイトより

Inkbox(インクボックス)とは、2週間で消えるオーガニックタトゥー

表皮に特殊なインクを浸透させることで、疑似タトゥーを楽しめるというものです。

いわゆるタトゥーシールよりも本物っぽく見えるのがポイント。表皮が代謝で入れ替わるため、2週間ぐらいで消えるという仕組みらしいです。

 

実際にこれを使ってみて、

 ・タトゥーを入れたら、どんな気持ちになるのか!?

 ・まわりの反応はどうなるの!?

 ・何か生活に変化は出る!?

といったことを、検証していければと思います。

 

※ちなみにPRじゃなくて純粋に興味本位で使ってみるよ!

 

 

そもそもタトゥーって?

「タトゥーを入れましょう」と言われて集まったわけですが……。

タトゥーねぇ……。

お2人に「タトゥーを入れてみたい」と思ってもらいたいので、少しタトゥーについて説明させてください。まず聞きたいんですが、タトゥーと聞いてどんなイメージが浮かびますか?

 

輩(やから)。

元も子もないな。でも「怖い」イメージはあるよね。

タトゥー入れてるのは輩、茶髪は不良。そう教えられてきましたから。

すり込み教育だ。

ゲームをすると馬鹿になるし、コーラを飲むと骨が溶ける。そうも教えられてきました。

それはちょっとジャンルが違う気がする。

 

怖いな、と思う一方で「枠からはみ出ているということへの憧れ」もあるかも。「この人は、自分には無いものを持ってるんだな」っていう。

なるほど。

だから、タトゥーを入れてるアーティストや女性のことを結構好きになりがちなんですよね……。

初耳だ。

本当は「羨ましい」と思っているのかも。

 

そのほか、こんなイメージが出ました。

いろいろ出していただきましたが、「輩」「怖い」あたりは世間一般のイメージともズレが無いように感じます。では、なぜこういうイメージになったのか、いっしょに見ていきましょう。

 

※以下、付け焼き刃知識になります。話半分でお聞きください。

※興味なかったら読み飛ばしちゃってね!

 

★タトゥーの起源は?

まず、タトゥーっていつからあると思いますか?

「縄文時代にはあった」って聞いたことある気がする。

鋭いですね。それこそ数万年前の後期石器時代のアートには、すでにタトゥーと見られる意匠があったそうです。

 

そもそもタトゥーって、針と染料の2つさえあればできちゃうんですよ。この2つがそろう状況って何だと思いますか?

針と染料……。

裁縫とか、服飾みたいなこと?

そうです! 服飾、つまり服を着るようになったタイミングで、タトゥーも同時にできるようになるんです。だから、明確に「タトゥーがいつどこで発明された」ということはなく、人類が服を着るようになった段階で、世界中で同時多発的にタトゥーも生まれたと言われています。

 

人間の本能的に、民族関係なく共通する何かがあるんだろうな。肌を飾りたい、みたいな。

共通するもの、という観点で言えば「痛み」がキーワードとして挙げられます。タトゥーって入れるときに痛みがあって、入れ終えると肌に「痛みを超えた証」が残るじゃないですか。本来なら偶発的に生まれるものである「痛み」を、あえて予定して受けて、それが体に残るわけです。そういった側面から、様々な部族で通過儀礼として使われていました。

大人の証みたいなことですね。

Twitterのプロフィールに「成人済み」って書くのと同じです。

それは違う気がする。

 

★☆★POINT★☆★

タトゥーは服飾と共に、世界中で誕生。通過儀礼としても使われていた。

 

★タトゥーの拡大と、消えていくまで

そんな風にしてタトゥーは世界中で一般的になっていきました。日本も例外ではなく、『魏志倭人伝』に「日本の男はみんなタトゥーを入れていた」という表記があります。

※魏志倭人伝:3世紀の中国の歴史書で「当時の日本はこんな感じだったぜ!」みたいなことが書いてあるやつ。

卑弥呼もタトゥー入ってたりして。

それだけ世界中のみんなが入れてたタトゥーですが、今日ではタトゥーを入れた人は少数派ですよね。そうなったキッカケは何だと思いますか?

 

なんでしょう……?

キリスト教の布教と、西洋文化の広がりです。

あれ? キリスト教ってタトゥーはダメなんでしたっけ? 十字架のタトゥーってよく見るイメージがありますけど。

新約聖書では禁じていないですが、教会が入れ墨を禁止していた時代もありますし、他国の部族が入れていたタトゥーは異教徒的なモチーフであると否定されたようです。ちなみに、旧約聖書やイスラム教ではタトゥーは明確に禁止されています。

えー、そうなんだ!

時代によっては、衛生的な理由で禁じたとかもありそうですね。

まあそんなこんなで、世界が西洋化していくなかで、いろんなタトゥーが消えていったと言われています。日本でも明治維新で西洋化の波が来て、お歯黒とか春画とかと一緒に入れ墨も法律で禁止されました。

 

禁止されたから「知ったこっちゃねえ、御上の言うことなんか聞いてられるか!」って人だけがタトゥーを入れるようになったのか!

そうですね。ただ、戦後にGHQが「タトゥーの禁止は人権違反だ」として、全面解禁します。

世界、ずっと欧米に振り回されてるな~。

OKにはなったんですが、だからといってすぐに完全復活!とはなりませんでした。一度ついてしまった「禁じられたもの」「時代遅れのもの」というイメージは簡単には拭えなかったんですね。

まあ現に、今もアングラなイメージはありますもんね。

どちらかというと、後者の「時代遅れだから」という方が重要な理由だったんじゃないかという意見もあります。あくまでファッションなので、ダサいな~と思われたら廃れちゃうわけです。

 

★☆★POINT★☆★

キリスト教が世界に広がるとともにタトゥーは廃れていった。教会や政府が禁じたため、そのイメージが現代にも残ってしまった。

 

★現代のタトゥー

というわけで、お2人に最初に言っていただいた「輩」「怖い」のイメージがどうやってできたかは、なんとなくわかっていただいたかと思います。

ちなみに海外ではどうなんですか? 割とみんなタトゥー入ってるイメージですけど。

調べてみたんですが、2019年時点で、アメリカでは全国民の30%にタトゥーがあるそうです。

えーっ! めちゃくちゃ多い!

35歳以下に絞れば40%を超えるようです。逆に55歳以上だと16%に落ちて、「タトゥーは囚人やバイカーのもの」っていうイメージが根強いらしく、ここにもアングラなものだというイメージが社会に残っているのがわかります。

 

他にも、イギリスやインドなどの階級社会では、「タトゥーは下層階級のもの」という認識が根強いそうです。

「タトゥー=アウトロー」ってイメージは万国共通なのか……。

まとめると、「アングラ」「アウトロー」というイメージは、”体制や教会などの権力者へのカウンター”という流れがあるからなんですね。

 

権力や体制に逆らうと考えると、やっぱりちょっとかっこいいかも?

このあたりに、今回僕がお2人を誘ってタトゥーを入れてみたいと思った理由があります。最後に、とある本から一説引用させてください。

 

 

タトゥーの持つ不思議な精神作用を最もダイナミックに体感できる幸運に恵まれた人、それは世の中の制約という名目の自主規制で己をギュウギュウに縛り上げてストレスを溜め込んでいる人なのではないか(中略)だいぶ大げさを覚悟で言うけれど、現代日本人の魂はひょっとしたらタトゥーで救済できるのかもしれない

『一滴の黒 Traveling Tribal Tattoo』大島 托 (著) ケンエレブックス p161~162より引用

 

つまり、我々のように制約の中で生きてストレスを感じてる人間にとって、タトゥーは1つの「解放」になるんじゃないかなと。

自分のストッパーを外す、みたいなことか。

なるほど。性格もちょっと変わるかもしれませんね。

ちょっとやってみたくなってきたかも!

 

★☆★POINT★☆★

現代におけるタトゥーは、権力へのカウンターであり、自己解放の手段なのかもしれない。

 

 

入れてみる

購入したInkboxのステッカー

というわけで、長々話してきましたが、実際にやってみましょう! いくつかモチーフを用意してもらいました。

よっしゃ~!

これ、どこに入れるかも結構大事ですね。場所によって意味とかってあるんですか?

場所による意味はあんまり気にしなくていいと思います。文化によって違いすぎるので……。むしろ、自分から見えるか見えないか、他人から見えるか見えないかの軸で考えるのが良さそうかなと。

明日もYouTubeの撮影があるから、見えるところにガッツリ入れるのは不穏かな……。

 

本当はここに入れたいけどね。紋章が浮き上がったみたいでかっこいいから。

動画に何の説明もなくそれで出たら、コメント欄が混乱しそう。

しかたない。二の腕にしよう。

 

こんな感じで。ポパイみたいで強そうじゃない!?

そうでもないです。

それでは入れ方を解説します!

 

 STEP①          


まずは、付属の「Primer Wipe」というウェットティッシュみたいなもので、貼りたい場所を30秒拭く。さらに30秒乾かす

 

 STEP②          


ステッカーの台紙を剥がし、貼る

 

 STEP③          


残った枠部分の台紙も剥がし、インク部分をしっかり押して肌に密着させる。

 

あとは1時間そのままにしておいて、1時間経ったらシールをはがしてください。

すごく肌にくっついてる感じがする。簡単でいいな。

 

私はこのドクロにします。

絶対ギャングじゃない見た目なのに、めちゃくちゃギャングみたいなタトゥーを入れてるの怖すぎるな。

一番怖いタイプ。

 

やっぱり付けるなら腕かなぁ。

 

あっ!

 

めちゃくちゃシワシワに……。

私、スマホの保護シートとか全然うまく貼れないんですよね。ヨレヨレのドクロが出来上がってしまうかも……。

 

僕は”ゲームの体力ゲージ”風のマークを手の内側に入れます。常に体力がないので、「体力満タンだ」という自己暗示をかけたいのと……

 

こうやって手を見た時に、一人称視点のゲームのUIみたいになるかなと。

ありそう。

ただこれ……

 

公式サイトよりの画像

↑実際に届いたもの

あ、半分消えてる……。

流通の過程でこすられて消えちゃったみたいですね……。「体力満タン」を現したかったのに、いきなり半分になってしまった……。残念なので、もう1つこれも入れます。

 

ダサすぎ。

いやいや。このタトゥーを背負うのがインターネッターとしての嗜みでしょうて。

タトゥーでウケようとするのは最悪よ。スベったら一生残るのヤバすぎる。

これはスベっても2週間で消えるので大丈夫です。

 

このタトゥーがあることによって逆に舐められそう。

ひどい言われようだ。

めげずにインターネット人間をまっとうします。

 

 

~そして60分後~

 

 

剥がしてみてください。

 

すげー! 色が残った!

でもまだ結構薄いですね。

これで、24~36時間後に黒っぽく発色するとのことです。

 

弱そう。

 

 

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