オモコロ編集長の原宿です。
先日、初めて吉野家の「アジフライ定食」を食べました。
全ての店舗にあるメニューではないのですが、「牛丼の吉野家でアジフライ定食!?」という意外性の印象が強くて、その存在は以前から認知していました。
ただ、頼む勇気が湧いてこない。
吉野家と言えば、アツアツの牛丼(できたらアタマの大盛りにしたい)に、ちっと醤油と七味をかけた溶き卵をかけて、紅ショウガをてんこ盛りにしてハフハフと頬張る……というエンタメを体験しにいくアミューズメントパークだと考えていたので、アジフライ定食を頼むということは、自らその機会をフイにすることでもあります。
しかし、人間とは空白を埋めたくなる生き物。手を伸ばせばすぐ手が届くところにある未知=「吉野家のアジフライ定食」は、日常生活を送る中でもずっとアタマの片隅に引っかかっていて、ある日とうとう意を決して注文してしまったのです。
感想はまぁ何というか、どこかで分かっていたことではありますが「普通においしい」というものでした。
身も衣もフワっとしていて、魚がメインではないお店でアジフライってそもそもどうだろうという不安を払拭できる丁度いい美味しさ。
好み次第ではありますが、ご飯よりはビールのアテの方が良いかも?
これを食べたからといって、「吉野家ではアジフライを頼むのが通なんだよ」とは語らないと思いますが、「あー吉野家のアジフライってこうだったんだ。十分美味しかったんだ」という「確認」ができた満足感が強くて、食後は実にサッパリとした気持ちになりました。
一度こうしたメインストリームではないメニューを注文してみると、「ハズレを引く」という恐怖が薄れ、吉野家の他のメニューも試してみたいという意欲が湧いてきます。次回は「サバの味噌煮定食」を注文してみようかな。
このように普段よく行くチェーン店で注文したことがないメニューを頼んでみるのって、いわば日常で簡単にできる冒険的行為。
自分以外の人が「注文したことないメニュー」も気になったので、オモコロライターの人たちにもお願いして試してもらいました。
ココスの「和風きのこ雑炊」
ココスといえば、ファミレスの中でもトップクラスに「ハンバーグ」が有名なお店です。包み焼きハンバーグを突き破ってミニドラが飛び出してくるCMを覚えている方も多いでしょう。
そんなココスですが、その他のメニューも充実しています。スパゲッティやカレー、ピザなど、まんべんなく取り揃えているなか、今回は和食メニューの「和風きのこ雑炊」を食べると決めて入店しました。これまで食べたことはありません。
あのココスで!? ハンバーグやステーキに目もくれず、和風きのこ雑炊だけを食べる!?
ゾッ……(髪が一瞬で白髪になる)
「これからココスで和風きのこ雑炊食べちゃうんだ……」と、自分自身の決断に恐れおののきつつ入店しました。
店員さんに「和風きのこ雑炊ひとつ」と注文。どこか現実感がありません。日常を離れた異世界に足を踏み出してしまったような、そんな感覚です。
来ました。ココスの和風きのこ雑炊(590円)です。
きんぴらの小鉢もついてリーズナブルなお値段ですね。
これを今から食べるのか……。ハンバーグも食べずに……。
はっきり言って、このときに感じたものは「後悔」でした。ああ、変にイキって雑炊を頼まなければよかった。そう思ったのです。
ココスに行こうというテンションのときに雑炊を食べたくはならない。
このメニューは「ココスに行きたがる孫を連れてきた祖父母が頼むためのメニュー」なのではないかと推測します。
しかし雑炊をフーフー冷まし、ひとくち食べると感想は一転しました。
美味い。
実際に食べるまで、私は完全に「ハンバーグの口」だったのですが、きのこ雑炊にはそのモードを打ち消す力があります。微熱で学校を休んだあの日を思い出すような「自宅感」に包まれたのです。
ココスで雑炊、アリかもしれんな……。
食べ終えた私は認識を改めたのでした。
それはそれとして物足りなかったからポテトとウインナーも追加で注文しました。
ごめんなさい。
あ、あと。これは言いづらいし、写真も撮らなかったんですけど。
マルゲリータピザも注文して食べてます、すみません。
ドミノ・ピザのカルボナーラ
ドミノ・ピザ
濃厚チーズのカルボナーラ
¥1,000 (税抜)
ドミノ・ピザで以前から気になっていたメニュー、それがパスタです。
3種類あるのですが、何と1人前が1,000円という安い日の1枚のピザよりも高い(ドミノ・ピザでは水曜日はピザ3枚で2,400円となる)、腰の引ける価格設定。
画面に映るピザ達を見ないふりして、恐る恐る濃厚チーズのカルボナーラを頼みました。
チーズが濃厚で、太い麺によく絡んで美味しい!!!
とにかく麺がつけ麺屋の麺か?パスタじゃないだろ!と思うほど太いのですが、麺類の宅配ということで伸びないようにした工夫なのだと思います。
ただカルボナーラはソースの絡みが重要なので、この太麺が活きて口の中がチーズのお祭りになりました。これは意外とアリです。普通にまた頼むかもしれません。
とても美味しかったのですが、ピザ屋でピザを頼まないという背徳的な行為をしてしまった罪悪感でしばらくは不安な気持ちのまま日々を過ごすことになると思います。
カラオケの鉄人のきつねうどん
「カラオケの鉄人」。
東京、神奈川を中心に展開するカラオケチェーンだ。
3年前上京したときに初めて知ったが、それにしてもすごい店名だ。凡百のカラオケ店と比べて、このふてぶてしさときたらどうだ。なにせ鉄人だ。
誰か(きっと創業者)が「うーん…『カラオケの鉄人』ってのはどう?」と言い出した瞬間の張り詰めた空気を考えるといつも感動してしまう。ちなみに運営会社は「株式会社 鉄人化計画」だ。すごすぎる。計画だったのかよ。
入店する。時間は30分。今やカラオケボックスの使用目的も多種多様ではあるが、まさかフードだけを目的にきたとは夢にも思わないだろう。そんな後ろめたさのせいで、妙にそわそわとして居心地の悪い感じがする。
今回注文するのは「きつねうどん」だ。
カラオケでうどん食べることってありますか。フライドポテト、唐揚げ、たこ焼きとかなら分かるけど、きつねうどんて。絶対食べない。
僕がラヴ・イズ・オーヴァーを歌ってるときに横にうどんをすすってる奴がいたとしたら、自分はどう思うんだろうか。あまりに遠い世界の出来事のようでうまく想像することができない。現実感がない。
そんな不安をよそに現実としてのきつねうどんが到着した。
見た目は、まあ、うどんですね。うどんの見た目について語る言葉を僕は持ち合わせていない。
なぜかどんぶりは二重になっていた。
店員さんは「内側の器はお熱くなっていますので、お気を付けください」と注意してくれた。その言葉があまりに自然でさりげなく、さも当たり前といった声色だったので、「ああ、内側の器は熱いのだから注意しなければ」とその時は思ったのだが、よくよく考えると変な提供方法ですね。
味は…
うまい。
うまいけど、なんというか、悪い意味でなく、目の覚めるような美味さではない。しみじみと「うまいねえ……」といった印象だ(うどんって大体そうか)。麺がくたくたで柔らかく安心する。しかし、カラオケのフードにこんなこというのもどうかと思うが、おあげは「のってるだけ」という感じは否めないし、ネギも申し訳程度に散らされているだけで、料理としてはどことなく焦点の定まりきらないものだ。
ただ、きつねうどんを食べるためにカラオケに行くという行為は、デバッグのために文脈から切り離された行動をとっているような気持ちになれて非常にスリリングでした。
バーガーキングのフィッシュバーガー