撮影担当:山下ラジ男

 

 

 

「正気ですか?」

 

「いやーいけると思ったんだけどな」

 

「そもそも『終電で秩父に来てくれ』ってヤバイですよ。お互い2時間かかってるんですよ? これ実際に2人とも終電逃す必要あります?

 

「夜ちょろっと撮ればOKな内容だった……」

 

「あと撮影の時、何で教えてくれなかったんすか?」

 

「なにが?」

 

 

 

「この時ですよ!」

 

「今見るとおもしろ画像みたいだね」

 

「後ろから女の人歩いてきたでしょ!!」

 

「OLっぽい人来てたね。ちゃんと急いでカメラしまったよ」

 

「そこじゃねえだろ絶対。何で教えてくれなかったんすか『人来てるよ!』って」

 

「焦っちゃって……」

 

「僕の格好思い出してくださいよ!」

 

 

 

「眼鏡かけてなくて夜にサングラスで、マスクで曇って何にも見えなかったんすよ! おもちゃのナイフもギラギラ光ってるし! 東京だったら捕まってますよ!」

 

「マスクから蒸気が漏れててめっちゃ怖かった」

 

 

「……てかこの後どうするんすか? このラーメン屋1時で閉まっちゃいますよ」

 

「それなんだよ。マジでどうしよう。24時間営業の温泉があるって聞いてきたのに」

 

「21時クローズって書いてあったあれすか?」

 

「とりあえず文明がありそうな方に歩こう……」

 

「てか普通もっと準備してくるんすよ、撮影って!」

 

「その場に行きゃ思いつくかなって」

 

「ここまで準備してないと思わなかったわ」

 

「……」

 

「どうするんすか? てかあの写真だけで書けるんすか?」

 

「……」

 

「無理じゃないすか? いつものテキスト並び替え記事やってた方がいいんじゃないすか?」

 

 

 

 

 

「あれ? てかこれ視点おかしくないですか? マキヤさんが殺されるところ」

 

「ずっとマキヤさん視点なのに最後だけ通り魔視点になってる」

 

「それ、なんでだと思う?」

 

「え?」

 

 

「うわー!」

 

 

 

 

 

 

「帰ろ……」

 

 

 

 

 

(おわり)(3ページ目へ)