3.ガンツフェルト実験

協議の結果、再びヤスミノが被験者になることに。

 

■ガンツフェルト実験とは……?

超心理学者チャールズ・ホノートンが考案した実験。被験者の視覚と聴覚を減退させ、トランス状態でテレパシーの受信を試みる。

 

視覚と聴覚を減退……?

はい、目の上に、半分に切ったピンポン玉を乗せて、赤い光で照らすんです。そうすると視界全体がうっすら赤い状態になって、「見えてる」という感覚が遠のいていきます。

暗くして目を閉じるだけじゃダメなの?

人間って目を閉じると、かえって感覚が鋭くなっちゃうんですよ。だからあえて弱い刺激を与え続けることで、感覚をマヒさせるんです。

 

やばい絵面になってきた。

目頭にスキマがあいてしまうので、脱脂綿をかませて塞いで、医療用テープで留めます。

怖くなってきたな。

聴覚の方は、イヤホンをしてピンクノイズを聞いてもらうことで同じ効果を狙います。YouTubeに落ちてるものを使いましょう。

準備完了!

いい感じです! 流れを説明しますね。

いい感じなの?

■ガンツフェルト実験:

① 受信者(ヤスミノ)は視覚・聴覚を減退させた状態で3分ほど待つ。

② 別部屋で、送信者(みくのしん)は4枚の写真から1枚をランダムに選び、その絵柄をテレパシーで送る。

③ しばらく送受信を続け、受信者(ヤスミノ)は心に浮かんだ景色やイメージを言う。

④ 最後に、受信者(ヤスミノ)は4枚の写真から、どれが正解かを当てる。

 

最終的には4択だから、これも25%なのか。

実際には、30年間で3145回の実験が行われて、32%当たりが出ています。偶然より7%も多く当たってるんです。

でも今回は一発勝負だから、バシッと当ててほしいね。

ちなみに、実際のガンツフェルト実験はもっと厳密に行うので、今回やるのはあくまで「ガンツフェルト実験ごっこ」ぐらいに思っていただければ。では、やっていきましょう!

 

赤いライトを点けて、ピンクノイズを流し始めました。

うわあああああ…………! なんだこれ………!

では、我々は隣の部屋に行って、テレパシーを送る準備をしましょう。

 

ここに4枚の封筒があり、それぞれ写真が入っています。僕が家で印刷してきたので、中身は僕しか知りません。

1枚選べばいいのね。じゃあ、これ!

 

これね!

では、ヤスミノさんに向かってこのイメージを伝えてください。声は出さないように気を付けてくださいね。

 

★実験開始!!!

 

必死でイメージを伝えるみくのしん。

うおおおおおおおおおお!!!!!

ちゃんと写真も見てくださいね?

 

果たして、伝わっているのか……。

 

 

~5分後~

 

…ウウウ…ウウ……

 

……ウアアア……

 

わっはっはっはっはっはっは!!!!!!!!!!

え、何!!??

止めましょう!

 

ピンクノイズを止めても、笑いが止まらないヤスミノ。

何か見えたの?

わっはっはっはっはっはっは!!!

壊れちゃった。

大丈夫ですか!?

 

これヤバい、頭おかしくなるわ。こんな長くやるとは思わなかったし。

一応、5分ほどやってもらったんですが、実際の実験では1時間とかやるそうです。

5分!? 20分くらいに感じましたよ!?

素人が安易に手を出してはいけない領域だったのかもしれない。

皆さんは真似しないでください。

ちなみに、何か見えましたか?

うーん……見えたような、見えないような……。頭おかしくなりそうでそれどころじゃなかったです。

強いて言うなら?

そうだな……。手前に何かあって……奥に何かあって……。あと「y」みたいなものがあったような……。

絵に描けますか?

 

こんな感じ?

なるほど……。じゃあ隣の部屋に戻って、実験の最後の段階に進みましょう。

 

ここに4枚の写真がありますね。みくのしんさんが選んだ1枚がこの中にあります。受信したイメージにもっとも近いものを選んでください。

……(ゴクリ)

……(ゴクリ)

なるほどね……。

右上から「神社」「コンテナ」「女性」「馬」の4枚。

 

そうだなぁ……。少なくとも「神社」の画像は違う気がする。

……。

「コンテナ」でもないかな……。物がいっぱいある感じじゃなかった。

 

女性」か、「馬」かのどっちかなんだよな……。こういう、手前にモノがあって、奥行きがあるイメージだった気がする……。

……。

……。

うーん……。

 

これ! これだと思います。

……その心は?

女性の方は、拒否する理由もないけど、選ぶ理由もない感じ。ほとんど感覚です。

それでは、みくのしんさん、正解を発表してください。

 

正解です!!!!!!!!!

えっ? ええええええ!!

 

ええええっ!?

我々、途中から鳥肌立ってました。

能力あるんじゃん! こわっ!!

一応、適当に選んだわけじゃなくて、自分なりに感じたものを選んだんですよね……。

あれ、さっき描いてもらった「y」みたいなものですが……

 

この部分じゃないですか?

え、待って待って!!!

ヤスミノの描いた「y」と比較

マジ!? これやばくない!?

ええ…………。

 

放心状態になっちゃった。

怖いなぁ。ヤスミノには考えてることとか全部バレてそうで怖い。

これ、どうしたらいいですか?

ヤスミノさんで実験したい超心理学者の方、いらっしゃいましたらオモコロ編集部までご一報ください。

 

まあ水を差すようなこと言えば、あくまで1/4なんで、偶然と言えば偶然です。

……そりゃそうか。

でも「y」は!?

これもほら、他の写真にも「y」っぽく見えるところはあるじゃないですか。

 

なるほど……?

あぶねー。騙されるところだった。

なので、本当に能力があるか確かめるためには、もっと回数を重ねる必要がありますね……。どうでしょう、あと10回くらいやりますか?

絶対嫌です。頭おかしくなるわ。

 

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というわけで、試してきましたESP実験。

くどいようですが、今回おこなった実験はあくまで独自にカスタマイズしたものであり、実際の実験とは異なることを申し添えておきます。

 

最後に「集合写真を撮ったら照明のせいか”等身大パネル”みたいになったヤスミノさん」の写真でお別れしましょう。

 

 

ありがとうございました。

 

(おわり)