生まれて初めて、スタジアムでサッカーを見ます。
さかのぼること数日……
左:オモコロ編集長・原宿 / 右:この記事を書いているライター・加味條
先日、「プロサッカーの応援団長って何者?本人たちに聞いてみた」という記事に参加した原宿。
(ちなみにこの記事と今回の記事は特に繋がっていないので読まなくても大丈夫!)
Jリーグの話聞いてたら、マジでサッカー観に行ってみたくなった!! サッカースタジアムっていきなり行って見れるもんなんですかね…?
ちょうど記事で紹介した東京ヴェルディの試合が今週末にありますよ。まだチケット取れそうですが、行っちゃいますか?
行けるぅぅぅぅ!!! 行きましょう!!
というわけでこの記事では、サッカー門外漢の原宿が、人生で初めてスタジアムでサッカーを観る様子をお届けする。
ナビゲーターを務めるのは、年間5回くらいスタジアムに行くライトなサッカーファン、加味條。
サッカーを知らない方は「こんな感じなんだ」とスタジアム観戦の疑似体験をしてもらえれば、
そしてサッカーファンの諸兄は「初めての人ってこう思うんだ」と新鮮な感想を楽しんでもらえれば幸いだ。
キックオフ90分前 最寄り駅到着
試合当日――。
スタジアムの最寄り駅、京王線飛田給駅に、原宿が降り立った。
東京ヴェルディの本拠地「味の素スタジアム」まで、徒歩5分の場所である。
ついに来てしまった……。
今日はいろいろと案内しますね。サッカーは初めてとのことですが、スポーツ自体は観るほうですか?
いや、スポーツもほとんど見ないですね(競馬以外)。現地で球技を見たのは、人生で3回くらいかな……。でもやっぱり、これから“闘争”が行われる場所に行くと思うと、気持ちが上がりますね。目の前で“闘争”が行われることって、なかなか無いから。
えーと、ワクワクしてる、ってことですね。
スタジアムへと続く道。
ただちょっと不安なのが、前に野球を観に行ったとき、ボールが小さくて何が起こってるかわからなかったんですよね……。サッカーの方がボールは大きいけど、「試合がわかるかな?」というのはちょっと心配かもしれない。
実を言うと、僕が初めてスタジアムで試合を観たときも、あんまり試合の流れがわからなかったんですよ……。
そうなの!?
チケット代が安いからって、「ゴール裏」の席を取ってしまって。テレビ中継と違う視点なので、なかなか慣れなかったんですよね。でも今日は一番見やすいと思われる、バックスタンド中央付近の席を取ったのでご安心ください!
※座席のイメージ。縦に試合を観るゴール裏は、慣れないと見づらいかも。初めてならバックスタンドがオススメ。
試合以外で、気になることはありますか?
まあやっぱり、応援団の記事がきっかけで来てるから、サポーターの応援を見るのは楽しみですね。今はご時世柄もあって、フルマックスの応援は見られないと思うけど……。
そうなんです。今は声を出しての応援ができないので、太鼓と手拍子での応援になりますね。ちょっと残念ですが、それでもサポーターが作る雰囲気っていうのは見ごたえがあると思いますよ。
あとは何といっても食べ物が気になります。
スタグルですね!(※スタジアムグルメの略)
競馬場もそうなんですけど、ちょっとしたものでも、青空の下で食べると美味しく感じるんですよね。それにビールがあればもう何もいらない……って、この時期もしかしてお酒は売ってない!?
いえ、解禁されてます。
よっしゃーーーーーーーーーー!!!! 今日みたいな春めいた気候の日に、ビール飲みながらワーッと試合を観るって最高じゃないですか! 生(せい)の喜びを感じられそう。
そこも存分に楽しんでいってください。
ここで、今日の対戦カードを紹介しておこう。
チームについて把握していなくても観戦は楽しめるので、読み飛ばしてしまっても大丈夫だ。
この日に行われるのは、J2リーグ第2節、東京ヴェルディ VS 栃木SC の試合である。
日本のサッカー界はこのようなピラミッド構造になっており、各レベルごとに毎年チームの入れ替わりがある。
J2リーグは、そのなかでも上から2つ目にあたる、レベルの高いリーグだ。
東京ヴェルディ、栃木SC両チームについても、ざっくり説明しよう。
(東京ヴェルディ公式サイトより引用)
【東京ヴェルディとは?】
・昨年は22チーム中12位。
・Jリーグ誕生時からある老舗クラブ。2009年以来、14年目のJ2を戦う。
・パスをしっかり繋いで、試合を支配するスタイル。
(栃木SC公式サイトより引用)
【栃木SCとは?】
・昨年は22チーム中14位。
・2009年にJリーグ参入。その後J3への降格も経験し、現在は5年目のJ2を戦う。
・前線からプレッシャーをかけてボールを奪い、速攻をめざすスタイル。
あ、前日に「黄色い服は避けた方がいい」って聞いてたけど、対戦相手の栃木が黄色いユニフォームだからなんですね。
そうですね。今日はヴェルディの応援席に座るので、一応避けた方が無難です。
そんなマナーがあるなんて全然知らなかったから、「あぶなっ!」って思いました。黄色い服を着ていくと、つまみ出されるとか?
さすがにそれはないです(笑) 栃木のグッズを着てたりしたら、警備員に外すように言われると思いますけどね。まあただ、「みんなでヴェルディを応援しよう」ってなってるところに、1人相手チームのカラーを着てる人が混じってたらあんまり良い気持ちしないじゃないですか。一応暗黙のマナーとして、対戦相手のカラーは避ける方が望ましいです。
そういうもんなんですね。
あと、青と赤のツートーンも避けた方がいいですね。
ん? それはなぜ?
駅からここまでで、気付きませんでしたか?
味の素スタジアムって、J1のFC東京の本拠地でもあるんですよ。FC東京のクラブカラーが青と赤なので、避けた方が無難です。
あれ? でもFC東京も、東京ヴェルディも同じ東京のチームでしょ? 「両方とも応援しようぜ」みたいな感じじゃないんだ?
おおお!? サッカーファンとしては全くその発想なかったので逆にびっくりしてます。基本的に、同じ街のチーム同士はバチバチのライバル関係にあるんですよ。
マジ!?
クラブの成り立ちとか、本拠地とする自治体の成り立ちとかに由来することが多くて、チームによっては結構根深いんですよ。同じ街同士の試合は「ダービー」などと呼ばれて、格別に盛り上がるんです。
知らなかった……。
言ってる間に、スタジアムに着きましたよ!
おっ!
近くで見るとでけー!
さっそく中に行きましょう!
キックオフ70分前 スタジアム入場、探索
スマートフォンのQRチケットでスムーズに入場。
来場者プレゼントに、タオルマフラーをもらえた。(スポンサーの株式会社MJSが提供)
よっしゃああああああ!!!! なんか分からんけど、なげータオルもらえた!!!
せっかくなので、スタジアム内をいろいろ探索してみましょう! あ、グッズ売り場がありますね。
あっ!
ヴェルディ君だ!
お、ご存じでしたか。
懐かしすぎる……。僕、一応Jリーグチップス買ってた世代なんで、当時のマスコットがまだ現役でやってくれていることが嬉しいですね。アントラーズにいた黒崎久志(かつては比差支)選手のカードが、めちゃくちゃダブったんですよ。5枚持ってた。
そうなんですね。ヴェルディ君は、実は2020年に『勇退』が発表されて、横にいるリヴェルンにメインマスコットの座を明け渡したんですよ。そのときは「ヴェルディ君、ついにクビか!?」なんて騒がれたんですが、結局活動を続けてくれています。
マスコットにも世代交代はあるのか……。お、これは……?
おそらく、サポーターの方が作ったと思われる選手の紹介ボードですね。
へー、これもサポーターが! 今の選手のことは全く知らないから気になるな……。ビスマルクってもういないですよね?
いないです。せっかくなので、ここで注目選手を紹介しましょうか。ただ……
ただ?
正直、スタンドから見てると、ほとんど選手の見分けはつかないと思います。背番号とかも、遠目だとよくわからないので。
それは、そうかもしれない。
そのなかでも、見分けがつきやすそうな2人を紹介しますね。まずは……
フォワードの、杉本竜士(すぎもと・りゅうじ)選手です。身長164㎝と小柄で、明るい茶髪なので、遠目に見ても見分けつくと思います。
見分けって、単に見た目のこと!?
いやいや、それだけじゃないですよ! 杉本選手はドリブルでガンガン仕掛けたり、スピードでディフェンスの裏に抜けたり華やかなプレーが多いので、わかりやすいと思います。
ほうほう、杉本選手は要注目、と。
あとは、高木和徹(たかぎわ・とおる)選手ですね。
さすがにキーパーは見分けつくわいな。
ヴェルディのキーパーって、ちょっと仕事が多いんですよ。一般的にゴールキックって、ドカンと遠くにけり出すイメージあるじゃないですか。ヴェルディはキーパーからパスをしっかり繋いで攻めるスタイルなんで、キーパーもパスワークに参加して攻撃するんです。
なるほど、ゴールキーパーのパス回しにも注目と。
ちなみに、彼は今年から移籍してきた選手なんで、今日でまだ2試合目なんです。まだ周りとの連携ができあがっていないかもしれないですね。
連携とかそういうのもあるんですね。お、彼は外国人選手かな?
バスケス・バイロン選手ですね。いいところに目を付けましたね。
名前かっこいい!
彼はチリ人なんですけど、小学校から日本に住んでて、高校時代は青森山田高校で全国大会優勝してるんですよ。その後もろもろあって、Jリーグに今年初参戦したんです。プロでどこまで通用するか、めちゃくちゃ注目されてます。
ほうほう。バスケスはベンチスタートなのね。今日出るといいな……。
ホームサポーターのエリアには、相手チームのファンは入れない。
お、ここは……?
なんか幕がたくさんあるぞ?
ヴェルディのゴール裏(応援席)ですね。応援団長の記事で、コールリーダーの嘉納さんが言ってた、サポーター団体がサポーター向けに出してる幕みたいです。せっかくなので、ちょっと中に入ってみましょうか。
おー! いいなぁ! 競馬もそうなんですけど、目の前が開けて芝生が目に入ってくるこの感じが1番テンション上がるんですよね。「来たぞーっ!」ってなる。
めちゃくちゃわかります。コンコースから客席に入るときのこの感覚、誰か名前つけてほしいです。
キックオフ50分前 スタジアムグルメを買う
スタジアム外の、イベント広場にやってきた。
子供たちが遊べるキッズパークのほか、4台のキッチンカーが並んでいる。
お、ビールあるじゃん! ビール飲ませてくれ! 頼む!!
いきましょう。
東京ヴェルディのオフィシャルビール「TOKYO 1969 BEER」。ケールでほんのり緑色。
じゃあちょっと失礼して、いただきます……
っっっかーーーーーーーーーッッ!!!
爽やかな風が吹くようなビールだ……。ほんのり緑み(みどりみ)を感じる……。
うめぇや……。
一瞬で10歳ほど老けました?
こんなに生きてると感じる瞬間ってないですね。何か食べ物も買いましょうか。
そうですね。食べ物の屋台は2つあるので、各々並びましょう。
~30分後~
原宿は『mahana』のカレー、加味條は『あきさば餃子房』の餃子を購入。
思ったより時間かかっちゃいましたね……!
2店しかないと人が集中しちゃうのかも。でも美味しそう!
『mahana』は元東京ヴェルディの中野雅臣選手(現・いわてグルージャ盛岡)のお兄さんがやってるお店なんですよ。ヴェルディのスタグルでは定番みたいです。
そういう食べ物屋さんと選手の繋がりもあるんだ。
ちなみに餃子は、恐らく対戦相手が栃木だから出店していたんだと思います。Jリーグの他のチームでも、よく対戦相手にちなんだ食べ物を食べようっていう企画があるんです。
「相手を食っちゃおう」ってことね! 面白い!
さて、もうすぐ試合始まっちゃうんで、席に急ぎましょう!
キックオフ5分前 選手紹介⇒入場
チケットを取った席は、バックスタンド中央。ピッチ全体が見渡せて、かなり試合を見やすそうだ。
席に着くやいなや、スターティングメンバーの紹介動画が大スクリーンで流れ始めた。試合開始前には、各チーム趣向を凝らしたかっこいい選手の紹介動画が流れる。スタジアム観戦でしか見られない、注目ポイントの1つだ。
いや~本当は選手のウォーミングアップ風景とか、スポンサー企業の方の挨拶とかも見ていただきたかったんですが……。ちょっと時間配分をまちがえました。
まぁそれはまた別の機会で……いただきます!
うめ~。ひらけたところで食う飯って、なんでこんなにうまいんだろうな。……あ!
チアリーダーがいますね。子供もいる。
※写真では3人くらいしか写っていませんが、実際は客席に沿って数十人いました。
ちょっと待って、お客さんたち全然チアリーダー見てなくない?
そ、そうですか? まあ、能動的に「チアリーダー見るぞ!」という人はあんまりいないのかも……?
もっとチアリーダーに注目しようよ! 彼女たちもさぁ、たぶん仕事とか学校とかの合間に、体育館みたいなとこに集まってこの日のために練習してるんだよ。そういう陰日向に咲く存在にもっと注目して欲しい。するべき。
チアリーダーの親目線になってません? ……あ、ほら、選手入場ですよ。
タオルマフラーを掲げて選手を出迎える。
うおおお、いよいよか! ワクワクしてきた!
試合開始です!