こんにちは、ライターの彩雲と申します。
突然ですが、みなさんには友達はいますか?
また、みなさんには友達が必要ですか?
友達こそ人生で最も大切な財産だという人がいる一方で、一人で過ごすのが苦にならない、むしろ一人こそ至高という人もまた存在します。すなわち、人間は次のように二分できるのではないでしょうか?
そう、「友達必要派」と「友達不要派」に……
もちろんどちらの意見が正しい/間違っている、というものではないですが、両者の間には海のように深い溝が横たわっているわけです。
ちなみに僕自身は「友達不要派」。人と関わるのが苦痛…というほどではありませんが、一人でいる方が落ち着きます。
というわけで、今回は僕のような「友達不要派」と、それに対する「友達必要派」のメンバーをそれぞれ集め、お互いの主張や意見をぶつけ合わせたいと思います。題して……
「友達、必要? 不要? 座談会」
の開幕です!
さて、今回集まってもらったのはこちらのメンバー。
▼友達不要派
幼少期から一人っ子で鍵っ子という環境で育ってきたので、大抵のことは一人で楽しめる。密な人間関係は苦手で、求人欄に「アットホームな雰囲気の職場です」と書かれているバイト先を異常に恐れているマネキンなので人格が無い
▼友達必要派
マネキンなので人格が無いマネキンなので人格が無い
以上の4人で議論を進めていきたいと思います!
不要派の主張
今日はよろしくお願いします。ではまず、我々の意見はこちら!
まず初めに断っておきたいのですが、我々は友達の必要性を完全否定しているわけではありません。あくまで合理的に思考を進めた結果、「自分に友達は不要である」という結論に至っただけですから。
いきなりうるせ〜
僕らにも友達がいたことはあるし、その素晴らしさは実感してるつもりです。でもそれは、「人と関わる」ということで発生しうるコストやリスクを背負ってまで取るほどのものではない。
なんか、聞いてるこっちがいたたまれなくなってきますね。
ただの強がりでも、本気でそう思ってるとしても気の毒だな。
あなたたち友達必要派はすぐにそうやって我々を哀れんでくるけど、むしろ逆ですよ。今は娯楽が飽和している時代だし、「一人をいかに楽しめるか」が重要なスキルになってくるんじゃないでしょうか。
それでいうと僕たちは、気心知れた友達と過ごすのと同じように一人を楽しむことができますからね。一人の方が気軽だし厄介ごとも少ないから、そっちを選んでるってだけで。
まあ「友達作りはコスパが悪い」という意見は一旦飲み込むとして、そう感じるのは自分の問題だと思ったことはないんですか?
どういうことですか?
自分が他者との交流に興味を示せない、偏屈で自己中心的な人間だと思ったことはないのかって聞いてるんです。
ずいぶんはっきりと言ってくれるな。
仮にそうだとして、あなたにそれを非難されるいわれはありません。無関心が罪だというのは、自分が注目されてしかるべきという思い込みに基づく傲慢な思想ですよ。ねえ?
その通り。真に「偏屈で自己中心的な人間」は、果たしてどちらなのか……
コスパどうこうじゃなく、こいつらとは友達になりたくないな。
必要派の主張
なんかごちゃごちゃ言ってましたが、それに対して我々が言いたいことは一つだけ。こちらです。
確かにあなたたちの言う通り、他人と関わることにはコストやリスクがつきものですよ。でも生きるってそういうことだから。それを排除しようという姿勢自体が健全ではない。
結局、あなたたちはなんだかんだと理由をつけて嫌なことや面倒なことから逃げているだけなんです。
じゃあなんですか、嫌な思いをするために友達を作れっていうんですか!?
別にそうは言ってないですよ。ていうか、人と人とが関わり合う以上、自分にとって都合のいいことばかり起こるわけないでしょ。
あなたたちって、友達のことを娯楽の一種だと思ってませんか? 「自分をいい気分にさせてくれるか否か」しか他人を評価する基準がないのだとしたらそれはやばいですよ。
そういう考え方だと他人に失礼などころか、自分だっていつまでも満たされないですよね。「与えられる」という形以外の幸せもあると知るべきでは?
余計なお世話です。僕は今のままでも十分幸せですし、それが自分の人生観を違うからといってケチをつけるのはやめてください。
他者を拒絶して自分の殻に閉じこもって、自分の見たいものだけを見ている状態が幸せだと?
………………………
次の議題に移りましょう。
不要派の主張
黙って聞いてれば言いたい放題に言ってくれますねえ……少しはこっちの言い分も聞いてください!
だいたいあなた方は傲慢なんですよ! 自分たちの意見の方が世間的に通りがいいからって、何を言っても許されると思ってませんか!?
さっきの主張だってそうだ! 友達がいないやつはサイコパスの人格破綻者だっていうのか! あんたらは僕たちの気持ちを考えたことがないからそんな酷いことが言えるんだ! このレイシストが! 差別主義者が!!
ちょっと、落ち着いてくださいよ。
………
あなたたちはいいですよね、友達と一緒に充実した人生を送ることができて! 本当は僕だってそうしたいし、そうすべきだと思うけど、それができない人間もいるってことをわかってほしいんです!!
……え? あなたは「友達は不要」という立場なんじゃないんですか?
そんなのただのやせ我慢ですよ! 本当は僕だって友達が……
すみません、こいつの言ったことは気にしないでください。ただのヒステリックな妄言に過ぎませんから。
………
まったく、味方が役立たずだと困りますね。こちらからの主張は終わりなので、続いての意見を発表してください。
必要派の主張
……では、私の次の主張はこちらです。すいません、今日の企画を根底から揺らがせてしまうかもしれません。
ずっと思ってたんですけど、友達がいないという状況に本当に不満を感じていないのであれば、わざわざその理由を声高に主張しようとは思わないと思うんですよ。
……はあ?
わざわざこんな座談会を開いてまで「友達は不要」などとのたまっても、説得力がないと思いませんか? あなたは誰かに自分の話を聞いてもらいたいんです。心の奥では他者との交流を求めているんですよ。
……違います。知ったような口を叩かないでください。
あなたの考えてることはわかりますよ。いい加減自分の心に正直になったらどうですか。
……うるさい
あなたは「友達はいらない」と強がることでしか自分の寂しさを表現できないんだ。いい年をした大人が、まるで拗ねた子供ではないですか。自分の殻に閉じこもってばかりいるからそんな風になってしまったんですよ。
………………
すっかり黙りこくってしまって。座談会ごっこはもう気が済んだんですか?
いくら自分に本当の座談会を開く能力がないからって、よくこんな惨めな真似をする気になりましたね。挙句、自分の妄想にまで言い負かされて……
うるさい、うるさい、うるさい……
これに懲りたら、少しは人と関わることを……
黙れ!!!!!
妄想がゴチャゴチャ口答えするな!! お前は俺の一部だろ? なのにどうして反対のことを言うのかなあ!? いけなあああい!!! いけなあああい!!!
ハア……ハア……ハア…………
いかがでしたでしょうか?
というわけで今回の「友達、必要? 不要? 座談会」は……
という結果になりました。 みなさんもぜひ参考にしてみてくださいね!
そして……
「なんか会議室の方が騒がしいな……どうしたんだろ」
「……え?」
あ、どうもお疲れ様です! 今日は会議室を貸していただきありがとうございました!
「いや、それはいいんだけど……」
あ、もしかしてうるさかったですか? すいません、座談会をやってたんですけど、議論が白熱しちゃって。
「座談会……?」
「……これが?」
ええ! まあ確かにちょっと、一方的に言いすぎちゃったかなとは思いますが。でも後から編集でなんとかするんで大丈夫ですよ(笑)。
いやあ、それにしても座談会って面白いですねえ。初めはいろいろ反論してきた奴らも、最後にはみんな僕の意見に賛同してくれるんですから! まるで神様になったみたいですよ!
「………」
じゃ、撮影も終わったので今日のところはこれで失礼します! 今度はぜひ一緒に座談会やりましょうね!
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