こんにちは。ライターのオケモトです。
いや、こう名乗ったほうがいいでしょう。
自動販売機詰まり映画研究家のオケモトです。
というのも僕は映画の中でお菓子の自動販売機が詰まるシーンが大好きなのです。
前回の記事でも、自動販売機が詰まる名作映画をご紹介しました。
そしてこの記事を公開したところ、オモコロ読者の方から大量の自動販売機が詰まる映画の情報が送られてきたのです。
ありがとうございます!!!!
続編となる今回は、送られてきた情報を元に僕が観た7本の映画をご紹介します!
お相手は前回同様、オモコロ編集長の原宿さんです。
それでは行ってみましょう!(※一部ネタバレがあることもございますので、ご了承ください)
ということで、自動販売機が詰まる映画をまた集めてきました。
タレコミがあったとはいえ、自動販売機が詰まる映画なんてそんなにあるかなあ。全然記憶にないが……
ばっちり確認してきたんで、まあ聞いてくださいよ。
モチベーションの意味もよく分からなくて怖いけど、とりあえず観ていこう。
アスファルト
フランス郊外のとある寂れた団地に集まった、孤独を抱える6人の男女を描く群像劇。彼らに3つの予期せぬ出会いが訪れる。
まず1本目。『アスファルト』という映画です。これはTwitterのダイレクトメールで、3件も情報がきました。
そんなに!? 知る人ぞ知る、自販機詰まり映画ってか……
フランス映画なんですが、映画ファンの間では結構有名な作品なのかもですね。
で、実際詰まってたの?
詰まってました。
おお! フランスでも自動販売機って詰まるんだね。
そうなんです。この現象が世界的な「あるある」だということが、今回分かりました。この映画は前半20分くらいに詰まるんですけど。
早めのパターンだ。
群像劇を織りなす4人の主要人物の1人、車いすのおじさんが詰まらせます。このおじさんはマンションの2階に住んでいるのですが、以前は足が悪くなかったんです。
なるほど、最初から車いすってわけじゃないんだね。
車いすになる前はイヤな奴で、マンションにあるエレベーターの改修工事にお金を出さなかったんです。自分はエレベーターなんか使わないからって。
最悪の人間じゃねえか。でもある日突然、自分がエレベーターを使う立場になっちゃったってことね。
はい。でもこのおじさん、意地っ張りだから住人たちに自分がエレベーターを使うところを見られたくないんです。
「お前金出してないのに、なにエレベーター使ってんだよ」ってなるからね。
なので住人がエレベーターを使う時間を全部チェックするんです。
恥をかきたくない一心で、そこまでするの!?
で、唯一エレベーターが空いてる深夜の時間にしか買い物に行けないんです。
そこまでするなら、もう謝れよ!
もちろんそんな時間にスーパーは営業してないんで、近くの病院の裏口から院内に入って、そこにある自動販売機で売ってるポテトチップスを主食にして生き始めるんです。
そんなにしてまで「自分が悪かった」と言いたくないのか。見上げた根性だ。
そんな前置きがあって自動販売機でポテトチップスを買うんですけど、3つ目で詰まります。そして泣いちゃいます。
みじめな気持ちになっちゃったのかな。
そうです。そのみじめさと、哀愁を見せるための「詰まり」なんです。でもその帰りに病院の看護師、その人にとってのヒロインに出会います。
なるほど! 今回も自動販売機の詰まりが、出会いのきっかけになってるんだねえ。
詰まりには、人と人を結ぶ力がありますからね。。
まぁそれはいいんだけど、その前に「俺の理解が足りなかった」って言ってエレベーターの金出せよな。
最後までマンションの人には謝りませんし、金も出しません。
一番やばいのはそこなのに。
マザーズ・デイ
家族の愛と絆をテーマに描いたヒューマンドラマ。様々な事情を抱える家族にそれぞれの「母の日」が訪れるまでを描く。
次は『マザーズ・デイ』です。
タイトルとパッケージを見たかんじからすると、それぞれにワケありなママたちが奮闘する映画?
そうです! あれ? 原宿さんこの映画観ました?
観てないけど何となく分かるのよ。夫との関係がとか、子どもの反抗期がとか、熟年世代の悩みを描いたやつね。
まさにそうです! もう見たのと同じ! これは物語後半、病院で詰まります。
出た! 自動販売機が詰まると言えば、病院なんだよな。
分かってきましたね。しかもこの映画珍しいのが、映画が終わる間際というクライマックスに近いシーンで詰まるんです。
映画が佳境なのに、自動販売機が詰まってていいのか!?
一人のお母さんの息子がぜん息で病院に運ばれて、一息ついたところでキャンディーを自動販売機で買おうとしてそれが詰まります。それを取り出し口に手を突っ込んで取ろうとするんですけど……
お母さん、けっこうフィジカルでいこうとするな。
丁度ブレスレットをしていて、それがお菓子が付いてる輪っかにひっかかって、手が抜けなくなっちゃうんです。
絵に描いた様なトラブルだな。
映画なので、絵に描いた様なことが起こります。この映画は群像劇なので、妻と死別した男も物語の中に出てくるんですけど、お母さんがその人に助けてもらうというシーンですね。
なるほど~。それで二人の物語がつながる、と。
その通りです。「この2人、この後いい感じになりますよ~」っていう匂わせで、映画は終わります。
収束する感じがあっていいじゃん! 映画を観てて気持ちよくなるシーンだね。
いい出会いを演出する、仲人的な自販機ですね。
「自販機詰まり映画」を観てて思うのは、出会いのきっかけというか、人間の関係を修復させるきっかけとして自販機がいっぱい出てくるんだよな。
人と人とをつなぐのが、自動販売機の役割なのかもしれません。
多分、そんなことはない。
スーパーロペス
スペインの人気コミックが原作の中年ヒーロー映画。
3本目は『スーパーロペス』です。
え? なに? そんな映画ある?
知らないんですか。ネットフリックスにちゃんと入ってますよ。
こういっちゃアレだけど、すげぇつまんなそ~。
『スーパーマン』オマージュのギャグ映画ですね。
面白いの?
これ、つまんないんですよ。
つまんなそうで、本当につまんなくてどうすんだよ。
別の星で生まれたスーパーパワーを持つ赤ちゃんが、悪に支配されそうな星から地球に宇宙船で逃がされてきて、それを拾った夫婦に育てられるという話です。
まぁ、スーパーマンだな。
桃太郎、ドラゴンボールともほぼ同じですね。これは序盤に自動販売機が詰まります。
序盤に詰まるパターンは多いんだよな。
ロペスはスーパーパワーを使えるんですけど、それを隠しながらすくすく育つんです。
一般人と同じように生活するやつね。やっぱりスーパーマンだな。
でも時々こっそりパワーを使ってて、勤めている会社の自動販売機でお菓子を買おうとしたら詰まって、それを怪力で揺らして取るっていうシーンですね。
ロペスにはこういう能力があるっていう説明のシーンだな。
その後、悪の組織がスーパーロペスを狙って他の星からやってきて、ロペスが覚醒してそれを追い払うんです。
2018年の作品なのに、そんなに「まんま」なんだな。ある意味、貴重なのかもしれない。
今調べたら、スペインの人気コミックが原作みたいです。
なるほど。スペインでは人気があるのかな。主演のおじさんのキャラも良さそうだし。
そうなんですかね。ただまぁ自動販売機が詰まるシーンもちょっと弱くて……評論家としてはあまり評価できないですね。
一番すごいのは、この映画をチェックしてて、情報を送ってきてくれた人だよ。
確かに。こんな誰も見なそうな作品をチェックできたのは大きい。
お得な気分だもん、今。
マック&デヴィンの”ハイ”スクール生活
卒業生総代を務めるほど優秀だが世間知らずのデヴィンと、留年王でドラッグディーラーのマック。まったく正反対の二人が織りなす危ないハイスクールコメディ。
4本目は『マック&デヴィンの”ハイ”スクール生活』です。これ二人の主人公が有名なラッパーらしいんですけど、原宿さん知ってます?
スヌープ・ドッグとウィズ・カリファじゃん! 結構昔のやつよねこれ。
僕はよく知らなかったんですけど、人気ラッパー2人が映画をやるっていうことで注目された作品だったのかなと。70分くらいしかないんですよ。
短くて見やすい。
ラッパーのウィズ・カリファ演じるデヴィンは高校で成績優秀な真面目人間なんですが、これまたラッパーのスヌープ・ドッグ演じる高校に留年しまくってるマックと出会います。
なるほど。正反対の2人が織りなすバディ・ムービーなのかな。
マックは校内で大麻を流通させて問題になってます。
やっとるな~。
家で栽培もしてます。マックによって大麻を知った優等生のデヴィンが新しい世界を知る…みたいな内容です。ものすごい大麻肯定映画なんですよ。
渋谷の奥の方にあるカフェや服屋で流れていそうな感じで、いいね! これも詰まるの?
デヴィンとマックが、わけあって一緒に科学の研究発表をしなくてはいけなくなります。
正反対の二人が、協力して発表しないといけなくなったんだ。
図書室で一緒に取り組むのですが、途中でデヴィンが集中するのにどうしても糖分が必要だって言いだして、自販機でお菓子を買おうとするんです。しかし詰まって出てこない。
はい、詰まった。
それを見たマックが、お菓子の代わりにパウンドケーキをくれるんです。
なんか嫌な予感がするぞ。
そのパウンドケーキは大麻入りで、それを食べたデヴィンはトリップして大麻を初めて体験してしまうんですね。
やっぱり。すごいことするな。
というわけで、この映画では人に大麻を初めて体験させるために、自動販売機を詰まらせています。
詰まらなかったら、デヴィンは大麻に出会うこともなかったのに……。
これも「詰まり」によって、新しい物との出会いを演出してますね。監督が物語を展開させたいときに、「どうしよっかな~、よし! 自動販売機を詰まらせよう!」ってなるのかも。
まぁ、道端でドンと人ぶつかって……っていうのは、あまりにもご都合主義に見えるもんね。
それで急に「パウンドケーキ食えよ」ともならないですもんね。
そうか、どうやって自然に人と人が出会えるかなって考えると、「事故」なのよ。自動販売機が詰まるという小さいトラブルを起こしてさ、それくらいの小さいトラブルなら日常的に見えるし。
出会いが不自然に見えないように、自動販売機は詰まっているんでしょうね。
ここまでは完璧な自動販売機詰まり映画だったのですが、ここからは少し変則的なものを紹介していきたいと思います。
ブラック・ミラー
新しいテクノロジーがもたらす予期せぬ社会変化を描く、ダークで風刺的なSFアンソロジー。
これは原宿さんも知ってるはず、『ブラック・ミラー』です。
後味が悪くて面白いよね~。
覚えてますかね? シーズン1の2話、『1500万メリット』で詰まります。
この話、名作ですよね。未来はポイント社会になっていて、人々は発電をするためにサイクリングマシンを漕いで、漕いだ分だけもらえる「メリット」という単位のポイントで生活してるんだよね。
で、1500万メリットでスター誕生みたいな番組に出られるチケットと交換できるんですよね。
あの話に自動販売機が詰まるシーンなんかあったっけ……。
デジタル自動販売機なんですが、主人公が果物を買おうとして詰まります。で、それを見ていた女性が詰まりを直す方法を知っていて……
あーー!!! あったあった。で、主人公がヒロインと会った後にも詰まるんだよね。
未来型の自動販売機なのに、めちゃくちゃ詰まる。
正確には詰まるというか、「つっかえてる」ぐらいの感じなんだよね。で、その取り方を知ってるとメリットを使わなくても果物にありつける。
この世界の「裏ワザ」的な感じなんですよね。
未来なのに、こんな原始的でいいのか。
何てことないシーンなんですが、映画の中で合計3回も詰まります。
変だよな。普通こんなに自動販売機を詰まらせるか? こんなにしつこく描くっていうことは、この監督「知ってる」やつだな。
自動販売機が詰まる映画の存在に気づいている…?
多分、オケモトと同じ道を歩んだ映画監督だよ。3回も詰まらせたら歴史に残るってことに気づいてる。
3回は確かに作為的ですもんね。やってるなあこれは。
インタビューする機会があったら突っ込んだほうがいい。『雨の日は会えない、晴れの日は君を想う』とか見てますよね?って。
そんな機会、絶対来そうにないですけど。
この監督に注目だな。っていうかこれ、監督ジョー・ライトじゃん。
有名なんですか?
『つぐない』とかめっちゃいいよ。『ハンナ』とか大作も撮ってるから、そっちでも詰まらせてるかもしれない。
これで詰まってたら確信犯ですね。
ヴィンセントが教えてくれたこと
破天荒なダメオヤジが、12歳の少年との交流を通して生きる力を取り戻していく姿を描いたハートフルコメディ。
次は『ヴィンセントが教えてくれたこと』です。
あ~、聞いたことある。これは結構有名な映画だな。
ジジイと子供のバディ・ムービーですね。
年齢が違うから見える世界が違うよね~みたいなやつか。
これも映画の後半の方、しかも病院で詰まります。
「あるある」ですなあ。いやちょっと待って! これ……ジジイ死ぬんじゃない?
気づいちゃいましたか。
死ぬわ。「教えてくれたこと」って、もう死ぬやつの感じじゃん。
なんとこの映画………ジジイが……
ごくり
……死にません!
死なないのか~。
ホッとしますよね。
でも死ぬ感じは出す?
死ぬ感じは出す。一回入院もする!
そこで自動販売機が詰まるんだね。
ジジイの方がヴィンセントという名前なんですが、病気で入院したところに少年とお母さん、そして娼婦の仕事をしてるヴィンセントの彼女がお見舞いに行くんです。
出てる人たちも「これは死ぬかも」と思っただろうな。
で、ヴィンセントの彼女が待合室の自動販売機でキャンディーを買うんですが……あ、このヴィンセントの彼女は少しだらしない感じで描かれていて、キャンディーを買うお金も「今持ってないから貸して」と言って少年のお母さんにもらうんですよ。
たくましい感じの人なんだね。
そしてお菓子が出るタイミングで、バンっ! て自動販売機を叩きます。これは「こうすると余分に落ちてくるのよ」という裏ワザで、自動販売機が見事余分なキャンディをゲットするんです。
パワーがあっていいね。あれ、ってことは自動販売機詰まってないな。
この映画は残念ながら詰まりませんでした。でもこの裏ワザ自体はもう一回出てきて、終盤でヴィンセントが退院する際に、少年とキャンディーを買うんですが、少年は娼婦に教えてもらった裏ワザでキャンディーを余分に落とすんです。
一子相伝の技術が継承された。
で、ヴィンセントに「これは泥棒だぞ」と言われて、落とした分のお金もちゃんと入れるというシーンがあります。
なるほど。同じシーンを2回やるけど、それぞれ別のキャラクターの一面を引き出しているというか…
巧みですよね。キャラ立ちやギャグの意味合いを持たせつつ、自動販売機を2回使うという。
「出会い」のパターンとも違う、かなり高度な使い方だね。この監督、腕あるぞ。
ただ残念ながら詰まってなかったので、ノミネートならずです。
巧いのにな~。
あとこの映画、ヴィンセントが飼っているペルシャ猫がずっと出てくるので、猫映画としてもいいです。
マイ・フレンド・メモリー
頭はいいが難病を抱えて余命いくばくもない少年と立派な体格ながら学習障害を抱えた少年の友情を描いたヒューマン・ドラマ。
次は『マイ・フレンド・メモリー』です。マコーレ―・カルキンの兄、キーラン・カルキンがでてます。
このシリーズあったな~。『マイ・ライフ』、『マイ・ルーム』、『マイ・フレンド・フォーエバ―』とか。感動映画シリーズだよね。
これって日本が勝手にまとめたやつじゃないですか?
お涙頂戴もののね。この感動を押し売っていく感じ、イヤなんだよな~。
この映画はど真ん中の「難病モノ」で、本当に哀しいです。
理不尽な友情の終わりを描くみたいなさ、そんなの強制的に泣いちゃうじゃん。
人を泣かせるための映画です。物語としては、主人公のマックスは体は大きいのですが学習障害があって頭があまりよくない。そしてキーラン・カルキン演じるケヴィンは、頭はいいけど難病を抱えていて体が弱いという2人の少年の友情物語です。
その凸凹コンビの友情を描いたあとで、その片方を奪うなんてよく平気でできるな! ひどすぎるよ。
商いのためには仕方ないんです。
で、自動販売機詰まってた?
これも病院で詰まります。ケヴィンが倒れて運び込まれるんですが、マックスとケヴィンのお母さんが付き添って、一命はとりとめたんですけど、お母さんはケヴィンの余命が短いことを知らされます。
はぁ~、最悪。
でもマックスにはそのことを言わないで、平静をよそおいながら「ホットチョコレートを飲みましょう」と自動販売機のボタンを押します。カップが出てきて、ドリンクがちょろちょろ…と出てきて詰まる。それを見て感情が抑えられなくなって、自動販売機を「バン!」と叩いて泣き崩れるシーンです。
マックスの手前、気丈にふるまおうとしてたけど、自動販売機が詰まることによって感情が抑えきれなくなると。気持ち分かるわ~。
そんな理不尽が自分の身に起こったら、誰だってそうなるよ。「ふっっっざけんなよ!!!」って
しんどい映画です……
こんなんで人を感動させようなんて、奥の手みたいなもんだからな?
ホットチョコレートが詰まるのは珍しいので、それが見れたのは良かったです。
サイコパスの発言に聞こえてきた。
まとめ
いや~、前回で打ち止めかと思いきや、まだまだあるもんだな。こんなニッチな映画が。
僕も「嘘だろ」と思いました。やはりインターネットの集合知はすごいですね。
前回の『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』みたいな強烈な「詰まり」は無かったけど、世界中で自動販売機は詰まっていることが分かったし、今回も面白かったな。
オケモトは引き続き、自動販売機が詰まる映画の情報を集めています! ぜひ見かけたらご一報ください!
邦画でお菓子の自動販売機が詰まったら、スーパーレアだと思う。
この記事では引き続き「自動販売機にお菓子が詰まる」描写のある映画を募集しています。
もし見つけた、あの映画にあったかも。といった際にはオケモトのTwitterなどにご連絡お願いします!
映画がまた集まれば第三弾もあるかも?!