みくのしん
その頃、みくのしんは、「児童書」エリアでようやく本を探し始めていました。
俺、狙ってたエリアがあるんですよ。
表紙が分厚い本のコーナー!
表紙が分厚い?
「ここ」が分厚い本って、写真が多いんです。
お子さんが破いてしまわないよう、丈夫な作りになっていますね。
開けるのも硬えし!
ほら、ほら!!!!
「イボイノシシのたたかい。」
「ほら」ってなんだ。
この図鑑もいいなあ。
『乗りもの 小学館の図鑑NEO』
[小学館]パワーアップした最新乗りもの図鑑。初版、改訂版を合わせ、累計50万部以上の『乗りもの』が、DVDつきの新版に生まれ変わります!
電車とか車とか言うけどさ、「乗りもの」って言わなくない?
小さい頃しか言わないかも。
あ、文章もあるな。図鑑って写真だけじゃないんだなあ。教科書みたい。
とりあえず入れとこ。
こういう図鑑って、大人が読んでも面白いよな〜。
うわぁああ!
これやべえ!!!
『もこ もこもこ』
[谷川 俊太郎 (著), 元永 定正 (絵)・文研出版] 「しーん、もこもこ、にょきにょき」とふくれあがったものは、みるまに大きくなってパチンとはじけた。
これ、買う。ビビッときた。これ読んだことあるんです。
谷川俊太郎さんの絵本ですね。
読んだ本で覚えてるの、マジでこれと最近読んだ『走れメロス』くらいかも。
え〜、見つけてよかった。ちょっと感動してる。
なんか楽しくなってきたな。絵本をもっと見たい。
でも、この辺になるとレベルが上がるんだよな〜。
レベルが?
ここになると、やばい。マジで。
スーホの白い馬?
子どもの時、この本あたりから、みんなの話についていけなくなったもん。
名作だけど、難しそうって感覚はなんかわかるかも。
読んだことない絵本は、どうやって選べばいいんですか?
まず気になった表紙とか、タイトルを見つけるのがオススメです。
なるほど…
え、早速めちゃくちゃいいの見つけたんですけど。
タイトルが「生きる」だって。これ好き。俺、生きるの好きだから。
それも谷川俊太郎さんの絵本ですね。
マジ!?
….今、めちゃくちゃドキッとしました。俺、谷川俊太郎が好きなんだ。それが今わかった。
これすげえよ。この絵で、生きる。
かぁ〜!
興奮してる。
これも、絶対買います。俺、この本が欲しい。この本が欲しいと、思えている。
中は読んでみないんですか?
えっと、さっきから思ってたんですが….
本って開いていいのかな?
立ち読みしてもいいかってこと?
うん。特に絵本って、すぐ読み終わるじゃん。
『うつくしい絵』
[かこ さとし (著)・偕成社]「絵の見方、描く心」をやさしく説いた美術入門書。
これとかも気になるんだけど、なんの本かわからない。そんな時って開いていいの?
私たちのお店では、本を開いて選んでいただくのは、全然構いません。じっくり読んでいただくために、以前はベンチを置いてたりもしました。
でも、読んじゃったらそれで満足しないか心配なんですけど。
絵本は、一回読むだけじゃ満足しないんです。何度も読みたくなりますから。
こりゃ一本取られたな。
本屋って、本が読めるんだね。これ、新しい体験かも。ゲームとかってプレイせずに買うじゃん。本屋って、買う前に本が読める。なんか悪いことしてる気がするな。
その『うつくしい絵』も開いてみます?
そうだね。えっと…子ども向けに有名な絵画を解説してる本みたい。
これも欲しい。
一撃。
子ども向けの解説って一番わかりやすかったりしますし、大人の方にもおすすめです。
これもキープします。
あ!
この空間やべえんだけど!
?
こっちは絵本で、
こっちは文字の本。
国境があんのよ!ここに!
挟まれると、どうにかなっちゃいそう。
ちぎれるうううぅうう!!!
本屋ってこんな楽しみ方できたんだ。
なんか楽しくなってきたし、せっかくだから文字の多い場所にも行っちゃおうかな。
この辺りは哲学の棚ですね。
かなりのプレッシャー。
なんか棚の向こうに人の気配がする。
あ…
あ…
バトル発生!
プレイヤー同士がエンカウントしたため、バトルが始まります!
本を一冊選んで、魅力を語ってください。より相手に「欲しい」と思わせた方が2,000円獲得です!
負けるとどうなるんですか?
その場で5分間停止となります。
勝つっきゃない。
先攻:みくのしん
先攻はみくのしん。カゴから使用する本を一冊選びます。
やっぱこれかなあ。
『生きる』
[谷川 俊太郎 (著), 岡本 よしろう (絵) ] 谷川俊太郎の詩『生きる』が絵本になりました。
生きる。
絵本で来ましたか。
僕、谷川俊太郎が好きなのかもしんないって、さっき気づいて。絵本のコーナーに「生きる」っていうタイトル、すごくないですか?
帯にはなんて書いてあるんですか?
「そこで何が起こっていても、誰が何をしていても、その短い時間の中に永遠をはらんでいる。」
…すごくない?
確かにすごい。
で、後ろをみたら…
セミ。
すごくない?
すごいけど、すごいしか言ってない。
「すごい」を畳み掛けて先攻のターン終了。続いては後攻の恐山です。
後攻:恐山
私は生き物が好きなので、生物系の本を見てたんですけど…中でもパッと目を引いたのがこれです。
『魚は数をかぞえられるか? 』
[ブライアン・バターワース (著), 長澤 あかね (翻訳)・講談社] 認知神経心理学の第一人者が、「生きものは数をかぞえているのか」というユニークなテーマに迫る。
え、タイトル気になる。
言われてみれば、確かに金魚って「5」とかわかるのかなって。あるようでないテーマの本だなと。
めっちゃセンスあるじゃん。
俺もその本がいい。
すごい刺さってる。
これ初見!?こんなに本あって、初見でどうやってこれ見つけんの!?
疑問系のタイトルを追っていたらありました。
ずるくない!?俺のとこはこんな本なかったよ?
ずっと絵本コーナーにいたから…
ジャッジ!
どっちが相手をより魅了したか?ジャッジは書店員さんに行っていただきます。
審議の結果…
恐山さんの勝ちです!
みくのしんさんが明らかに興味を惹かれていたので…。
反応しすぎたな。
恐山さんは所持金が6,000円にアップ。みくのしんさんはここで5分間停止です。
やった〜