第3話「チャーシュー」
「コブラ、チャーシューを煮るわよ!」
「オッケイ!!」
「今度は63℃で4時間か、まあ焦らなければ大丈夫だな」
~10分経過~
~20分経過~
~30分経過~
~40分経過~
~50分経過~
「ちょっと出かけてくるよ。レディ」
「……私も行くわ、コブラ」
「チャーシューをほっぽらかしてどこへ行くの、コブラ?」
「そうだな……ちょっと歩いたとこの公園なんてどうだ?」
「ほら、競争だ!」
「あっ置いてかないでよ、コブラ!」
「俺はもうブランコを楽しませてもらってるぜ、レディ!!」
「もう……コブラ、あなた!!」
「おーーーいレディーーーーーー!!!!」
「おーーーーーーーーーーーーーーい!!!!!!!!!!!!!!!!」
「レディーーーーー!!楽しんでるかーーーーーー!!!!!!!!!」
「……バカね。」
「とうっ!!!」
「おい見てみろレディ!」
「ほら!こっちこっち!!!」
「どうしたのよコブラ」
「花だ」
「花が咲いてるぜ」
「確かに、綺麗ね……」
「いい匂いだな、花って」
「そうね……」
「よし!腹も減ったしそろそろ帰るか!!」
「……。」
「ヒュー……、いい加減ハラペコだぜ」
「最近のコンビニ弁当ってうまいんだな」
(もう、コブラったら……)
(チャーシューのこと忘れちゃったのかしら)
「ゲームでもしようぜ!」
「……。」
「あら……?私、寝ちゃってたのかしら……」
「いけない、チャーシューのことすっかり忘れてたわ!!!」
「コブラ大変!チャーシューが!!」
トントントントントン
「コブラ…………っ」
「おうレディ!よく眠れたかい」
「ちょうど今チャーシューを切ってるところさ」
(コブラ…………あなた、チャーシューのこと忘れてなかったのね……)
「待たせたな……、低温調理チャーシューの一丁あがりだ」
「ありがとうコブラ」
「でも、これ……」
「中までしっかり火が通ってしまってるわね……ごめんなさい。私が寝ていたせいで………」
「いや、これでいいのさ」
「え?」
「これが本当の”ハードボイルド”ってね」
「え?」
「いや、だから。これが本当の」
「”ハードボイルド”ってね」
「え?なんて???」
「いやいやいや、だから。チャーシューを”茹ですぎちゃった”ってのと掛けて」
「”ハードボイルド”って」
「え?」
完