貝の化石を採集する

写真中央にアメリカの小悪人みたいな格好のやつがいる。こいつは俺だ。軍手は自前だ。持ってきておいたほうがいい。

化石が入ってそうな岩をハンマーで割り、探す。地道な作業だ。

化石とるぞー!!!! オラーーーーーー!!!!!
(ガンガンガンガンガンガン)

化石どこだオラーーーー!!!!!!
(ガンガンガンガンガンガン)

化石ー!! イッヒヒヒヒヒヒ! 化石! 化石!
(ガンガンガンガンガンガン)

全っ然見つからねえ。
いくら化石が含まれる岩がばらまいてあるとはいえ素人が簡単に化石なんて見つけられるもんかよ。
もうその辺の田んぼからタニシでも拾ってダシとる記事を書こう。

カラスが俺をあざ笑っている。笑いたきゃ笑えよ。
俺はここで化石も取れずに死んで数億年後化石になって誰かに発掘されるんだ。
諦めかけたその時、何気なく足元を見ると、あった。

貝の化石じゃん!!!!!!!!
割るどころか剥き出しで落ちてんじゃん!!!!!!!!

貝の化石だー!!!!!!!!
いちいち割らずに剥き出しの化石を探す方に採取方法をシフトすると

見つかるわ見つかるわ

なんかの化石がゴロゴロ

あるわあるわ

多分貝

なんか棒みたいな化石

これはなんだろう。石の右側にヒダヒダのある溝が見える。

ここ。おそらく形状からしてオナホールの化石に違いない。

ウッヒョーーーー!!!
化石採集楽しいー!!!!!
週一で通いてぇー!!!!
ウォーーーーなんじゃこりゃ!!!

貝だ!!!!
ほぼそのまんまの完全な二枚貝の化石が出た!!!!
立派だ。いい出汁が取れるに違いない。

御所浦最高ー!!!
楽しい~~~~!!!
採集を終え、ハンマーを資料館に返しに行く。するとなんと資料館の学芸員の方に採集した化石の解説をしてもらうことができた。なんて親切なんだ。
珍しいのを勝手に持って帰らないようにチェックする意味もあったのかもしれない。

貝みたいな化石は全部貝だった。数種類の貝が取れた。
あの棒みたいな化石は生物の巣穴が化石となったものだと教えてくれた。
オナホールの化石だと思ったものはなんとアンモナイトの一種だった。
興奮した。だってアンモナイトだぞ。幼稚園児の頃、図鑑を真似てなんども絵を描いたあのアンモナイトだ。その化石を俺が自分の手で取ったのだ。
学芸員の方も「これはなかなかレアですよ」と興奮していた。
「これで出汁をとります」とはとても言えなかった。

大量の化石が詰まったカバンを背負って家路につく。
本当に楽しかった。また絶対来よう。
そんなことを考えていた。
だが忘れてはいけない。
ここからが本番だ。
白亜紀の化石から出汁をとる

化石を念入りに洗う。

鍋に入れて

中火でじっくり出汁をとる。
何せ一億年前の、白亜紀の貝の出汁だ。
ちょっとやそっとでは出まい。
じっくりじっくり出汁をとるのだ。

出汁を使った料理、やはりここはスタンダードに味噌汁だろう。
一億年前の出汁汁に味噌を溶く。
お前はアンモナイト出汁に味噌を溶いたことがあるか。

できた。
出汁がらの化石はワイルドにそのまま盛り付けよう。具材はシンプルに化石とネギだけだ。

完成。これが一億年前の貝で出汁を取った、
白亜紀味噌汁だ。

手前に見えるのがアンモナイトだ。
お前はアンモナイトが沈んだ味噌汁を見たことがあるか。

最初に見つけた貝の化石だ。欠けてしまったが、出汁をとることを考えると欠けている方がいい出汁が出そうだ。

他にもなんかの化石がゴロゴロ。とにかく白亜紀のいろいろだ。

メインの完全な二枚貝。
一億年前の化石もネギが絡んでしまえば完全に味噌汁の具だ。

それでは母なる大地に敬意を示して、いただきます。

ズズッ
白亜紀の頃から一億年前の眠りについていた貝たち。
化石という形でその姿を今の世に残し、俺と出会った。
そして今その一億年の出汁を俺に。
ああ、これは……
俺はこの味を知っている。
だってこれは……これは……
ただ、味噌を溶いたお湯の味だ。
疑問
貝の化石から出汁とったら美味いの?
答え
化石から出汁は取れない。
終わり
※化石は洗って部屋に飾りました。
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