漫画を描きながら失礼します。

オモコロ読者のみなさま、お世話になっております!

漫画家の「ぞうむし」と申します。

 

 

オモコロでは主に「トラックドライバーの怪談」というホラー漫画シリーズを描いています。

とはいえグロい描写やホラー要素は控えめなので、苦手な方もご一読いただけると嬉しいです!

 

その他に福岡のうどんを紹介する漫画や、漫画を描きはじめた話など、ドキュメンタリータッチの作品も描いていますので、ぜひ読んでください!

■ぞうむしの書いた記事

https://omocoro.jp/writer/zoumushi

 

 

 

 

トリビア1「パンク目視」

トラックの後輪はダブルタイヤで2つ並んでいます。

空気が抜けるとタイヤの色が濃くなります。 

並べて見比べることができない乗用車では難しい技ですね!

 

ダブルタイヤなので目視で確認できますが、ハンマー等で叩いて空気圧を見るのが一般的です。

空気圧が1キロ(kgf/㎠)減れば、叩いた音の変化は分かりやすいです。

ちなみに、

2トン車は約6キロ
4トン車は約8キロ
10トン車は約10キロくらい空気が入っています。(車種によって違いますが)

乗用車が2キロくらいと考えると、トラックのタイヤの空気圧はかなり高いですね。
片方がパンクしていても走るには走りますが、大変危険ですので入念にチェックします!

 

もちろんバルブ(空気を入れる所)に、ゲージ(測定器)をかけるのが一番なのですが、朝早かったりすると暗くてメモリが見えなかったりするので、叩いてチェック、帰庫後にチェックというのをどのドライバーさんもやっていると思います。

メモリがピョコ!と出てくる様子は、おみくじのオモチャみたいでほっこりします。

 

あまり推奨されるべき行為ではないと言われますが、ベテランドライバーさんが優しくタイヤを蹴ってチェックする姿が個人的に大好きです。

 

 

 

トリビア2「オバケと呼ばれるトラックとは?」

トラックには小型、中型、大型というサイズがあるのですが、中型のカテゴリーになる4t車には荷台が異様に長い「オバケ」と呼ばれている車両があります。

どれくらい長いかというと、道路交通法ギリギリの12メートル。

長さは同じの大型(10t車)を運転しているドライバーさんには、「オバケだけは無理、勘弁して!」と言う人もいます。

日常的に乗っている人は「普通よ」と言うので、この長さに慣れるまでが怖いんでしょうね。

 

これだけ車体が長いと、荷台がロール(横揺れ)するので、狭い道を走っていると建物の軒を引っ掛けそうで怖いです。

 

 

中でも一番怖いのは「ケツフリ」(オーバーハング)です。

これは、カーブを曲がる時にトラックの一番後ろが出っ張ってくる現象です

右カーブの時は後ろ左角が、左カーブの時は後ろ右角が異様にはみ出します。

オバケだけでなく大きなトラックに共通する現象ですが、オバケの場合は特に怖いですね。

 

カーブを曲がる時、となりの車線にいる車、脇にいる人などを薙ぎ倒す危険があるので注意です。

乗用車は巻き込み注意ですが、トラックにはケツフリ注意もあるのです!

 

対向車線で、トラックのケツとバイクの距離が超ギリギリだったことを見たことがあります。

「完全に当たったー!」と思いましたが、ギリギリセーフだったようです。

バイクのおじいちゃんは全く気付いてなかったのか、目線真っ直ぐで怖かったです。

 

皆さんもオバケトラックが近くにいた場合は、少し注意して運転してあげてください!

 

 

トリビア3「エアブレーキの仕組み」

自動車やバイクのブレーキは油圧ブレーキというシステムが一般的です。

これは、

 

ペダルを踏む

タイヤに付いているブレーキを押さえる部分に油圧がかかる

止まる。

という仕組みです。

 

2トントラックというカテゴリーまでは、主にこの油圧システムが採用されています。

しかし4トン車以上の大型トラックになると、油圧ブレーキはコストや構造的な問題もあり、より強い制動力を得られる「空気圧のブレーキ」が採用されています。

 

エアブレーキの時に使った圧力を逃すために、大きなトラックからはよく「プシュ!」という音がなります。

空気タンクの中は限りがあるので、中身が無くなるとブレーキが使えなくなります。

だいぶ昔のトラックでは、ブレーキの空気圧タンクが空になるという信じられない事例があったようです。

ベテランドライバーさんが「下り坂で空気圧無くなって死ぬかと思った〜!ガハハ!」と話していました。

今のトラックではかなり稀有な事例になると思いますが、昔はドライバーさんはツワモノ揃いですね!

 

 

トリビア4「トラックディスタンス」

トラックは乗用車よりも制動距離が長くて、特に荷物を乗せているときはさらに長くなり、急ブレーキによる荷物の破損などの心配があります。
そのような理由があるので、トラックは車間距離を多めに取るのですが、その車間にどんどん入られることもしばしば。

しかし自分は、どんな時も「運転中だけは穏やかな気持ちでいた方が良い」と、長年の経験から感じています。

『湾岸ミッドナイト』や『シャコタン☆ブギ』の作者・楠みちはる先生が、車重のある車を運転する喩えで「エンジニアブーツでドカドカ満員電車に入ってきたら、ハイヒールの女のコはたまんなく怖いよね」(大意)と言われていました。(「おまえの話はクルマばかり」より引用)

エンジニアブーツがトラックなら、ハイヒールやサンダルが乗用車。

踏んだりぶつかったりしたら、ただではすまないですよね。

これはたとえ話ですが、そういうものを運転してるという意識を常に持っていたいです。

自分だけではなく、多くのトラックドライバーはそういう気持ちで運転しているのではないかな?と思っています。

 

いかがでしたでしょうか?簡単ながらざっとトラックドライバーのトリビアを紹介させていただきました。

街中でトラックを見かけた時は「ケツフリ気にして曲がっとんな〜」などと、少し気にかけていただければ幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

引き続き宜しくお願い致します!

 

 

↓トラックドライバーの怪談を読む