駅の階段で見かける、上りと下りを区別するための矢印。あなたは、矢印どおりに進んでいるだろうか？

 

 

 

矢印を階段に貼り付けたり電光掲示板に表示したり、駅によってさまざまな対応をしているが、逆行する人が後を耐えないという。ときにはそれが原因でケンカや事故に発展することも。

 

このまま駅の階段の逆行を放置していたら、逆行が当たり前の世の中になってしまいかねない。

 

 

 

そんな問題を解消すべく「逆行なくそう委員会」から4人の有志が集まった。

 

はたして、逆行をなくす画期的な方法は見つかるのだろうか？

 

会議の様子をちょっとのぞいてみよう。

 

 

まず、逆行が世間の人にどう思われているのか、独自調査の結果をグラフにまとめたので見てみましょう。

 

 

逆行を「嫌いだ」と感じる人がほとんどですね。

 

世間はやはり逆行をよく思ってないようね。

 

そりゃそうだろ。ラッシュの時間帯なんか特に、逆行を迷惑に感じる人は多いんじゃないか？

 

みんなが矢印どおりに進めば争いも起こらないのに、なぜ守らないんでしょうね。

 

由々しき問題ね。じゃあ、解決策を考えていきましょう。

 

 

 

【解決案1】断固として避けない

 

逆行の解決策として、まず最初に思い浮かぶのが「避けない」。

 

俺は断然、避けない派だね。避けずに相手にわからせる。

 

でも、女性にとってそれは難しい話ですよ。相手が男だったら、体格差があるから逆にはね返されちゃうかもしれない。

 

たしかに。女性を考慮すると得策とはいえないですね。それに、相手が階段から転落でもしたらマズくないですか？

 

そんなの、ルールを守らなかったヤツが悪いに決まってんじゃん。

 

そういうのはちゃんと調べたほうがいいですよ、「Yahoo!知恵袋」とかで。

 

せめて「弁護士ドットコム」にしなさいよ。

 

でも先輩、相手がどんな人でも避けないんですか？　たとえば、相手がめちゃくちゃ美人でも？

 

美人だったら逆にぶつかるだろうが。そういうところから出会いは生まれるんだよ。じゃあお前は、石原さとみが逆行してきたら避けるのか？

 

さとみは逆行しません。なぜなら、さとみは「東京メトロ」の広告塔だから。

 

 

「東京メトロ」の広告塔・石原さとみさん

 

さとみの話は昼休みにしてちょうだい。でも、今のはいい指摘でもあるのよね。相手によって態度を変えるようでは不公平だし、説得力がなくなってしまう。

 

たしかに。逆行してくる相手がマイク・タイソンだったとしても避けずにいられるのか……ってことですよね。

 

誰だよそれ。検索してくれ。

 

 

 

 

 

殺される。

 

でも意外と、見た目がおとなしくて弱そうなヤツのほうが危なかったりするんですよね。常にバタフライナイフを持ち歩いてたり。

 

たしかにそうですね。人を見た目で判断するのは危険。ということは、人類みな危険ってことですよね。

 

危険が伴う以上、「避けない」という選択をするわけにはいかないわね。他の解決策を考えましょう。

 

 

 

【解決案2】寛容になる

 

避けるのがダメなら、もう逆に避けてあげるしかないんじゃないですか？

 

ルールを守っている側が、逆行してくる人を避けてあげるってことよね。寛容になりましょうってことかしら。

 

そんなの納得いかねぇな。なんで悪が勝つんだよ。おかしいだろうが。

 

でも、避けざるを得ないケースもありますよね。明らかに具合が悪そうな人とか、てすりにつかまってる老人の方とか。

 

そうだね。老人はさすがに譲るかな。進行方向の矢印が見えてない可能性もあるし。

 

それは重要な指摘。逆行してくる人すべてが悪とも言い切れないのよね。こころに余裕がないときは、得てして周りが見えなくなるもの。なかには矢印が見えていないだけの人もいるはず。

 

でも、そんなこと言ってたらきりがないだろ。「お年寄り、こころに余裕がない人、マイク・タイソンは逆行OK」って貼り紙でもしておくのか？

 

 

マイク・タイソンは一旦忘れてちょうだい。

 

例外について話していてもしょうがないですね。

 

「逆行する人がどうしたらいなくなるのか？」という問いに対して「避けてあげる」はスマートじゃないし、答えとしては心許ないわね。別の解決策を模索しましょう。

 

 

 

【解決案3】シンプルに注意する

 

「あなたは間違ってますよ」って教えてあげるのが一番なんじゃない？　シンプル・イズ・ベストだよ。

 

でも、それを続けるとなると辛いですよ。とくにターミナル駅を利用している人なんかは、逆行を見ない日なんてないから注意するだけで1日が終わっちゃいそう。それに、1人注意したら、他の人も注意しないと「俺はダメでアイツはいいのかよ」って話に発展しそうで怖い！

 

注意して、舌打ちされたり逆ギレされたりしたときのストレスを考えると、注意するほうも勇気がいりますね。

 

正論で人が動くとも限らないから、いろんな注意のバリエーションを持っておく必要がありそうね。

 

正論がストレートだとしたら、カーブとかフォークみたいな球ですよね。先輩、何かいい球ありますか？

 

う〜ん……そうだなぁ。遠回しに注意してみるとか。

 

たとえばどんな？

 

「お前は尾崎か！」とか。逆行してる姿と、学校に逆らう尾崎豊を重ね合わせる感じで。

 

それ余計にムカつかないかしら？　大丈夫？

 

でも、この方法も相手によって態度を変えてしまいそう。争点はやっぱり、マイク・タイソンだと思います。みなさんはマイク・タイソンに注意できますか？

 

 

 

殺人級KOダイナマイトパンチか……マイク・タイソンの壁は高いな。

 

タイソンは無理ですよ。下手すりゃ耳を噛みちぎられます。

 

相手がマイク・タイソンでも実行可能な方法を考えましょう。

 

 

 

【解決案4】間接的に注意する

注意する側の属性で、受け手に与える印象も変わってきそうですね。一般人に注意されるより、駅員さんに注意されるほうが素直に受け入れられたりするのかも。

 

それは一理あるわね。誰かに注意してもらう、つまり、間接的に注意するってことね。

 

石原さとみに注意してもらえばいいんじゃない？　東京メトロの石原さとみのポスターに「逆行、かっこ悪いよ」とか書いて、駅構内に貼りまくるんだよ。

 

さとみを都合よく利用しないでいただきたい。

 

お前は、さとみのなんなんだよ。

 

「間接的」という点においては、注意喚起のポスターはいい案だと思う。もっと他にないかしら？　逆行はよくないということを、間接的に世間に広めていく方法。

 

逆行する人が不幸になっていくマンガを描いて、各種SNS上にアップする。

 

方向性は間違ってないわ。

 

 

アプリはどう？　逆行してくるヤツをやっつけるアプリ。

 

あっ！　それいいですね！　アプリが有名になれば、「逆行は悪い」ってことを暗に訴求できるかもしれない！

 

それなら相手がマイク・タイソンでもいけますね！ 

 

シューティングゲームみたいに、逆行してくる人をレーザービームで破壊していくのはどうかしら？

 

 

楽しそう！　レーザービームなら生々しさがなくていいですね！

 

歩きスマホしてる人をやっつけるゲームなんかにも応用できそうです！

 

いいわね！　「歩きスマホ編」もつくって、歩きスマホユーザーも破壊しちゃいましょう！

 

どうやって破壊しますか？

 

もちろん、レーザービームよ！

 

じゃあ、「歩きタバコ編」は？

 

決まってるじゃない！　レーザービームでやっつけましょう！

 

 

 

 

 

いかがでしたか？

 

われわれ「逆行なくそう委員会」では、「逆行する人をレーザービームでやっつけるシューティングゲーム」のアプリ開発者を募集しています。

 

われわれと一緒に、レーザービームで世直しをしてみませんか？

 

 

（おわり）

 

 

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