「人生を楽しく過ごしたい」

「変わり映えのない毎日にちょっとした刺激が欲しい」

「普段の生活を彩るステキなアイデアは何かないかしら?」

 

そんなあなたに

朗報です!!!

 

このたび私、人生を楽しくするための簡単にして画期的な方法を思いつきました。その方法とは……

 

これです。固有名詞を書いた紙を持ち歩くだけで、日々の生活は楽しくなるのです。

 

ご説明します

いきなりこんなことを言われても意味がわからないでしょうから、まずは説明させてください。

ただ、「固有名詞」という言い方ではあまりに漠然としているので、ここでは例として「ONE PIECE」という具体的なワードを用いながら解説しましょう。

 

言うまでもないことですが、ONE PIECEという作品は尾田栄一郎先生のものです。同時に、著作権で守られてもいます。私たちは読者としてONE PIECEを楽しむことはできても、それを自分の手足のように好き勝手に扱うことはできません。しかし、「ONE PIECE」という言葉自体は自由に発することが許されているのです。こんな風に。

 

 

 

 

 

 

このように、私たちはいくらでも「ONE PIECE」と言うことができます。これってかなりすごいことじゃないですか? 漫画の1コマですら無断転載するのはダメなのに、「ONE PIECE」という“言葉だけ”なら好きなだけ口にしていいのです。たとえ「ONE PIECE」と1億回言っても何の罪にもならないどころか、お金すらかからないのです。こんな夢のあることがあるでしょうか!?

 

固有名詞を書いた紙を持ち歩くというのは、この感覚を応用したものです。固有名詞で表されるもの──特に人物や創作物は、基本的に法や権利で保護されている神聖なものです。ですが先ほど説明したように、その名前を発するだけなら自由。それどころか、その名前を紙に書いて持ち歩くことすらできます。私たちは「ONE PIECE」と書いた紙を持って、学校や会社に行くこともできるのです!! これを自由と言わずして何が自由でしょう。固有名詞を書いた紙を持ち歩くのは、この世と自分自身の自由さを自覚するための行為なのです。

 

詳しいやり方

固有名詞を書いた紙を持ち歩く楽しさについてはご理解いただけたところで(いただけましたよね?)続いてはそのやり方について説明しましょう。

といっても本当に「紙に固有名詞を書いて、持ち歩く」だけなのですが、せっかくなのでもう少し詳しく解説させてください。

 

用意するものは名刺サイズの紙と筆記用具のみ。紙はなんでもいいですが、ただのプリント用紙より多少は厚みがあるものの方がいいと思います。

 

私のおすすめはダイソーで売っている「情報カード」という商品。初めからほどよいサイズにカットされていて、単語カードのように穴が開いていないのが気に入っています。穴が気にならない人は単語カードを使うのが手軽かと思います。

 

重要なのは、記入する固有名詞は特別好きでも嫌いでもないものにすること。わざわざ嫌いなものの名前を書く意味がないのは当たり前ですが、好きなものの名前を書いてもそれはそれで楽しさの種類が変わってしまうからです。それは「原初の推し活」です。

 

紙はなるべくたくさん作っておくのが望ましいです。一度にたくさんの固有名詞を挙げるのが大変なら、思いついた時に少しずつ足していく形でも結構です。作った紙は箱にでも入れて保管しておきましょう。

 

さあ、これで準備は完了。外出時に箱から適当に数枚紙を取っていく、というようなラフな使い方で構いません。たったこれだけで、なんでもない日常が少し特別で華やいだものになるのです。

 

例えば、ちょっとコンビニに行く時も……

 

「ジェイコブス・ラダー」を持っていると思えばなんだか気分が上がります。今日はコーヒーだけじゃなくてシュークリームも買っちゃおうかな。

 

あるいは、電車に乗って少し遠くに出かける時も……

 

「GACKT」を懐に忍ばせていれば内心ニヤニヤが止まりません。この電車内で「GACKT」を持っているのが自分だけと思えば、全能感が湧き上がってくるというもの。満員電車も苦ではありません。

 

このように、固有名詞の書かれた紙は日々の外出のお守りのような存在になってくれるわけです。いや、お守りというよりは、この世界をともに欺くための共犯者とでも言った方が近いかもしれません。この気持ち、わかりますよね?

 

私が特に好きなのは、休日の11時くらいに紙を持って散歩に出ること。道中、コンビニに寄って軽食を買いつつ、少し遠い公園を目指します。

公園に着いたらベンチに座って、軽食を食べたり景色を眺めたりスマホをいじったりします。それらにも飽きてきた時、自分自身ですら意表を突かれるような一瞬を見計らって素早く紙を取り出し、ほんのわずかな時間だけそれを見て、また元に戻すのです。

 

あー、その悦楽といったら! 大金をはたいて夜の街で豪遊するよりよほどこちらの方がいいと思います。みなさんも予定のない週末にぜひお試しあれ!

 

他の人はどうなのか?

固有名詞を書いた紙を持ち歩くことの魅力について語ってきましたが、今のところ全ては私個人の感覚に過ぎません。そこで最後に、この気持ちが他の人にも共感してもらえるのか検証したいと思います。

 

ご協力いただいたのはオモコロ編集長であるみくのしんさん。先入観のないよう「固有名詞を書いた紙を持ち歩いてください」とだけお願いし、これが人生を楽しくする方法だとは伝えていません。しかしこのメソッドに普遍性があるなら、おのずと楽しい気持ちになってくれるはずです。

 

みくのしんさんが書いた固有名詞は「ルキア」(BLEACHの朽木ルキア)。BLEACHを読んだことがないので、ルキアには特に何も思い入れはないそうです。ルキアの紙を持ち歩いたみくのしんさんは、一体どのような感想を持つのでしょうか!?

 

【みくのしんの感想】

・ポッケになにかを入れるたびに紙が入っているので、そのときに思い出す。

・これがピカチュウと書かれた紙がポッケに入っていたりしたら気になったはずだけど、これの感情が真ん中だと、じわじわと忘れていく。忘れすぎるかも知れない。

・あと、なんか「ルキア」の文字を思い出すと、キャラクターに馴染みがない分、文字の形を思い出す。なのでたくさんの棒だって思う。それがちょっとだけ面白い。

 

このように、私の意図していた楽しさとは少し違いますが「面白い」という感想を持っていただけたようです。となれば、この手法はある程度効果があると言えるのではないでしょうか? みなさんも騙されたと思って、固有名詞を書いた紙を持ち歩いてみてください。きっと楽しいですよ。た・の・し・い・で・す・よ!