3人目:原宿が買った本

では続けていきましょう。原宿さんお願いします!

 

元本屋のビジネス書担当として、手堅く選んできました。ベストセラー2冊と新刊1冊でピッタリ210刷です。

すごい自信だ。

というよりね……

 

この2冊だけでほぼ間違いない。

これも部数が帯に書いてありますね。450万部と530万部……!

もうその2冊で210刷オーバーしてないですか!?

ぴったりです。自信あります。

 

1冊目:チーズはどこへ消えた?

まずはこれね。『チーズはどこへ消えた?』です。

??? これ何の本なんですか?

これは、チーズステーションCの話です。

は??????

何も伝わらない情報の出し方だ。

まあ自己啓発本だよね。たしか、同級生の飲み会に一人羽振りの良いやつが来るのよ。で、みんなで「最近どう?」って話をしてると、「僕は最近、この話を聞いて人生への考え方が変わったんだ…」みたいな感じで、そいつが説話を話し始める、っていうところから始まる。

その説話っていうのが、童話のような物語なんですけど、世界観が悪夢みたいなんですよね。

 

【チーズはどこへ消えた?(著:スペンサー・ジョンソン)あらすじ】

迷路のなかに住む、2匹のネズミと2人の小人。彼らは迷路をさまよった末、チーズを発見する。チーズは、ただの食べ物ではなく、人生において私たちが追い求めるもののシンボルである。
ところがある日、そのチーズが消えた!ネズミたちは、本能のままにすぐさま新しいチーズを探しに飛び出していく。ところが小人たちは、チーズが戻って来るかも知れないと無駄な期待をかけ、現状分析にうつつを抜かすばかり。しかし、やがて一人が新しいチーズを探しに旅立つ決心を・・・。

扶桑社サイトより引用)

迷路の中で、ネズミチームと小人チームがチーズを探す……。そんな話でしたね。

「チーズステーションC」ってのは、チーズがある場所なんだよ。みんないつもそこからチーズを持っていくんだけど、ある日「あれ?チーズ減ってね?」ってなるの。

まあ、そりゃあ、いつかは無くなりますよね。

でも「何となく減ってるなぁ」と気づいてても、人って簡単に行動できないわけ。それでうだうだ「C」に留まってる奴がいる間に、目ざとい奴は新天地を探しに行って成功する。

「チーズステーションD」を見つけるわけですね。

いや、「チーズステーションN」

なんでNなんだよ!

 

要はリスクを取って新しいものを開拓していこうっていう、資本主義にめちゃくちゃ都合のいい話をしている説教本です。

で、その話を飲み会でしてるやつがいる

そいつのいる飲み会行きたくないなぁ。

まあ確かにわかりやすいし、「変化を恐れるな」ってどの場面にも通じる普遍的なことですよね。これがたくさんの人に響いたんだろうなあ。

たしか章ごとに、チーズのマークと一緒に格言が書いてありましたよね?

あるある。

 

『つねにチーズの匂いをかいでみること。そうすれば古くなったのに気がつく』

あったなー。

チーズ例えのせいで、何言ってるのかわからん!

チーズ例え、めちゃくちゃ出てくるから。これとか最高だよ。

 

『チーズと一緒に前身し、それを楽しもう!』ってあって、その下に小さく『終わり(いや、ここから始まるのかもしれない)』って言って本が終わる

うるせーーーーーーーー!!!!

このうるささが最高すぎ。

ちょっと面白過ぎる。ベストセラー本って、こういう剛腕さみたいなものがあって良いですね。

 

 

2冊目:道をひらく

次は、パナソニック創業者・松下幸之助の名著『道をひらく』です。

手帳みたいな本ですね。

このサイズ感はね……

 

こうして……

 

こうやって背広に入れて持ち運ぶためにあるのよ。昭和のビジネスマンはみんなそうしてた。

なぜ!?

疲れたときに、パッと開いて「ああ、良いこと言ってるなぁ」って染み込ませるのよ。

いや、本読んだら疲れるだろ!

松下幸之助は、どういうことを言ってるんですか?

えーと、なんだっけな。例えば『間髪入れず』って話とか。

 

『間髪入れず』(原宿による要約)

人間は、めちゃくちゃ複雑な構造をしているが、足の先を針で刺されたら、すぐに痛みや違和感を感じることができる。

では、これを大きくしていったらどうなるか。たとえば、会社や国の場合、「足の先を針で刺される違和感」にすぐに気付けるのか?

大切なのは、その反射神経。違和感に気付くのが遅ければ命に係わる。それだけ敏感な組織を作れるかが大切。

これを下っ端が読んでどうするんだ。

「うんうん、そうだよなぁ」って思う。

でも「偉くなろう」っていう気持ちにはなるかも?

こういう本って、ちょっとアレな会社の社長が、箱で買って社員に配ったりするんですよね。だから普通じゃない売れ方をする。

箱で、ってチョコじゃないんだから!

全員が読んで真似したら、組織がよくなるかもって世の社長は思うわけだわな。

うーん、でもそれって違くないですか? 人はそれぞれのやり方があるわけだから、「これをただ真似しても意味ないだろ!」って思いますけど。

その辺はね、『まねる』って項目にちゃんと書いてある。

 

『まねる』(原宿による要約)

徳川家康はえらい。でもそれをただ真似るのは見当違いだ。家康がやったことは家康だからできたのであり、真似る心だけでは道を誤る。

人はそれぞれ特質があって、それを自覚認識すること。その自主性さえあれば、真似ることに意味が生まれる。

きれいに論破されてますよ。

くううううううっ……!!!

 

悔しいいいいいい!!!

ちょうど読者が疑問を抱くだろうタイミングでこの話を入れてくるあたり、さすがですね。

我々は幸之助の手のひらの上で踊らされている。

 

 

3冊目:老人ホームで死ぬほどモテたい

最後はこれです。最近気になってた、新進気鋭の歌人・上坂あゆ美さんの歌集!

短歌か! 面白そう!

ぱらぱら読むだけでも楽しいからねぇ……。

 

いやいや、サザエさんの4コマぐらい余白あるじゃん!

例えが独特。

短歌の本はだいたいこうですから。

これバレたらやばいんじゃないの!?

バレる!? どこにですか?

紙業界とかに。もっと大事に印刷しろって。

 

せっかくなので1首紹介します。これとかすごいぞ。

 

『母さんが駅で待ってるというときはいつも ”ロータリー” タとリの間』

「ロータリー」のところ凄すぎない? こんな表現あり?

これやべえわ! 面白過ぎるかもしれん!

これやったうえで、タとリの間なんだ、すごい。

こういう才能がどんどん出てきてますから。これも痺れる。

 

『市営団地へ向かう風 軽トラの荷台に荷物わたし荷物 荷物』『15歳。親は離婚し、わたしは「上坂」になった。』

注釈がついてる!?

それもありなんだ。

離婚っていうワードが乗ると、市営団地に引っ越す場面にまた違う情緒が乗っかりますね。

 

 

刷数は……?

では、刷数チェックです!

じゃあまずは、『老人ホームで死ぬほどモテたい』から。ええと……

 

2刷! 出たばっかりですからね、よしよし。あとはチーズと松下幸之助で208刷ピッタリのはず……。

いや、ドボンするんじゃないですか? 2冊合計で980万部ですよ。

いや、意外とちょうどいいかも?

じゃあ『チーズはどこへ消えた?』から見てみますか。これが……

 

118刷!!!! 

すげええ!!! ということは残りは……

90刷以内であればセーフですね。無理じゃないですか?

いや、大丈夫なはず! じゃあ『道をひらく』見てみます…………あっ

 

えっ?

放心しちゃった。

何刷だったんですか?

 

……278刷。

大バーストだ。

クッソ売れてんじゃん。

原宿さんは、『道をひらく』を手に取った時点で負けることが確定してたんですね……。

道が閉ざされてる。

 

 

ラスト:みくのしんの買った本

じゃあ最後、僕行きます! 本のことマジで分からなかったんで、これにしました!

 

1冊目:ぼくを探しに

絵本か!

これ、子どものときにめっちゃ読んでたんですよ。読み返したかったんで、買っちゃいました!

どんな話でしたっけ?

 

【ぼくを探しに(著:S・シルヴァスタイン 訳:倉橋由美子)あらすじ】

何かが足りない
それでぼくは楽しくない
足りないかけらを探しに行く
ころがりながらぼくは歌う
「ぼくはかけらを探してる、足りないかけらを探してる、
ラッタッタ さあ行くぞ、足りないかけらを……」

講談社サイトより引用)

こいつが、欠けた部分を探しに行く話なんですよ。

これも紙業界に怒られそうな余白じゃないですか?

うん。ヤバいかも。

この線のタッチ、絶妙だなぁ。

このページ凄いですよね。汗の1滴だけで「かんかん照り」を表現してる。太陽とか描かないんですよ。さらに……

 

雨に至っては、こう。

感覚的に分かる表現で、読みやすくてすごいですね。

絵本って色々な場所に置かれてたりするし、相当刷られてるんじゃないですか?

でも結構高いからなぁ。お古を回してることも多いんじゃない?

刷数が全く読めないですね……。

 

 

2冊目:きんぎょが にげた

続いて、これです!

五味太郎さんだ!

 

【きんぎょが にげた(著:五味太郎)あらすじ】

きんぎょが1ぴき、金魚鉢からにげだした。どこににげた? カーテンの赤い水玉模様の中にかくれてる。おや、またにげた。こんどは鉢植えで赤い花のふり。おやおや、またにげた。キャンディのびん、盛りつけたイチゴの実の間、おもちゃのロケットの隣……。ページをめくるたびに、にげたきんぎょがどこかにかくれています。

福音館書店サイトより引用)

いろんな絵本欲しかったんですけど、さっき原宿さんが言ったように絵本って結構高いんですよ。それで見てたら、これがふと目に留まって。

これはね、うちの子も読んでたよ。

ほら! 絶対これ人気ですよね。子供いる家は買うでしょ!

 

色使いが良いですよね。昔、好きで読んでました。

僕らの子どものころからあった、ってことは、刷数も結構いってそうですよね。

ただ、原版じゃないのが気になりますね。「おでかけ版」って書いてありますよ?

おでかけ版が安かったんですよ! 安いし持ち運びやすいし、こっちの方が売れてるはず!

果たして、これが吉と出るか凶と出るか……。

 

 

3冊目:SAND LAND

最後はこれ! ドラゴンボールの作者の漫画!

最近、映画もやってましたよね。

そうそう! それで気になってましたし、かなり刷ってそうじゃないですか?

どんな話でしたっけ?

 

【SAND LAND(著:鳥山明)あらすじ】

幻の泉をみつけだせ!! 魔物も人間も慢性の水不足にあえぐ砂漠世界で、悪魔の王子・ベルゼブブと元天才軍人・シバが強力タッグを組み、水源を求めて冒険に旅立った!! 灼熱の荒野で彼らを待ち受けるのは!?

集英社サイトより引用)

絵、うまっ!

これちょっとヤバいかも! うますぎて!

 

砂漠の描写とかすごいですね。無限の奥行きを感じる……。

さりげない車の形とかが良いんだよなぁ。

鳥山明の描くメカって良いんですよね。本来は肉弾戦のバトルよりメカが好きな人だから。

 

この軽自動車いいよなぁ。後ろが浮いてるんですよ。これ欲しくないですか!?

欲しい、欲しくないの目線なんだ。

自動車メーカーの皆さん、ぜひ鳥山明デザインの車を出してください。

 

 

刷数は……?

これマジでわからないな……。

2人もドボンしちゃったんで、ここらでピタリ賞が来てほしい。

3冊とも100刷とかじゃないだろうから、70-70-70でピッタリ210刷とかある気がする!

言われてみればそんな気がしてきました!

じゃあまず、『ぼくを探しに』から行きます! 頼む!

 

91刷!!!! これはいいよ!!

すごい! 理想的な滑り出し!

あれ、でもこれヤバいかも? 絵本2冊で200くらい行くとバーストしそう!

そしたら、漫画の方から見てみようよ。

よーし……! 『SAND LAND』は……

 

21刷!!

おおおおおおっ!!

これ、いけるんじゃないですか!?

えーと、あと98刷あればいいのか! ピタリ賞、あるかも!!!

 

行きます!! 『きんぎょが にげた』は……

 

……3刷!!?

ええええええ!!?

おでかけ版の初版が出たの、今年の7月ですね。

おおおおおおいっ!!

 

超罠じゃんっ!!!!!!

ちなみに検索してみたんですが、通常版は144刷だったみたいです。

そっちだとバーストするんかいっ!

ということは、これ加味條さんとみくのしん、どっちが勝ったんだ?

いずれにせよ、低レベルな争いになってしまった……。

 

 

 

ということで……

優勝は、加味條!!

 

欲しい本買っただけのやつが優勝かいっ!

なんだか、釈然としませんね……。

やったー!!!

 

そんなことより、見てください! ナウシカのここ、すごくないですか?

本当だ! いいなぁ!

描き込みすげえ!

あ、あれ……?

 

( ↓ 画像ギャラリーで紹介した本をもう一度ご覧いただけます)

※記事内に記載している刷数は、2023年10月に書店で手に取ったものを記載しており、必ずしも最新の刷数を反映していません。