こんにちは。鬼谷です。
皆さん、わさびは好きですか?
私はわさびが大好きです。
回転寿司へ行ったときには1皿につき1個のわさびパックを使いますし、焼肉やローストビーフにもわさびをつけます。
だからこそ思い立ちました。
「もっとおいしくわさびを味わいたい」
と。
そして考えました。
「生のわさびを擦って、その場で料理につけて食べたら最高なんじゃないのか」
と。
だから、
生わさびを買いました!
表面のボコボコした部分を処理しました!
この生わさびを持って寿司を食べてきます!!!
(写真の男は筆者の鬼谷です)
寿司屋でテイクアウト
中目黒の回転寿司屋で寿司をテイクアウトします。
歩いて数十秒のところに座れる空間があったので、そこで食べることにしました。
これが寿司、そして生わさびとわさびおろしです。
鮫肌を使った本格的なわさびおろしを用意しました。早速わさびをおろしてみます。
ショリショリと、思いのほか優しい手触りで擦れていきます。普段大根おろしなどを作るときに使うプラスチックのおろし器では、ゴリゴリとした荒い感触が印象的ですが、鮫肌の細かな凹凸であればこれほど静かに擦れるのかと感動しました。
だんだん心も穏やかになっていきます。
私は栃木県出身です。
AMラジオから流れてくる首都高速道路の渋滞情報を聞きながら東京への憧れを膨らませ、やがて上京しました。
今、20代半ばになり、東京都心の中目黒で生わさびをおろすことができて感無量です。
擦りおろしたわさびです。
思っていたよりも白いですが「初めてだから仕方ないのかもしれない」と根拠のない理論で自分を納得させました。
ともあれ役者は揃ったので、あとはこれを寿司に乗せて食べれば私の願望は成就します。
感動の瞬間を見逃すな!
マグロにわさびを乗せて……
食べる!
どうだ!? 美味いのか!?
モグモグ
……?
あ、わかった
かなりうまい
……判定までに時間がかかってしまい申し訳ありませんでしたが、その理由も含めて解説します。
はじめに、今この場ですりおろしたわさびを乗せた寿司は、めちゃくちゃ美味かったです。
ではなぜすぐにリアクションできなかったのかというと、その美味さの要素に「爽快感」があったから、と言うほかありません。
これまで私が味わってきたわさびは、最も慣れ親しまれた枕詞である「ツ~ン」とした風味を与えてくる軽妙な存在でした。そしてその刺激は、寿司の味とともにしばらく舌の上に残るものでした。
しかし私がいま食べた生わさびは、スーッと鼻に抜けるフレッシュな香りで魚の生臭さを消すという任務を遂行したのち、爽やかな風のように吹き去っていったのです。
私は、その姿を捉えるための反射神経が準備しきれていなかったのだと思います。
生わさびのスマートな仕事ぶりに対する動揺こそが、判断を遅らせた原因でした。
わさびというもののイメージを大きく更新する体験ができて満足です。
生わさびは、うまい!
色んな方法で生わさびを食べる
「寿司を買ってその場で生わさびを味わう」という夢を達成できたので、今度はわさびの更なる可能性を試すことにしました。天気が怪しいので室内に戻ります。
アルミのわさびおろしを使う
先程は鮫肌のわさびおろしを使っていましたが、試しにアルミニウム製のものを使ってみましょう。
アルミで擦りおろしたわさびをイカに乗せ、食べます。
なにか変わるのでしょうか?
全然違いました。
アルミで擦ったわさびは香りよりも刺激が目立ち、ある意味いつも味わっていたチューブのわさびに近い味でした。これだと折角の生わさびの良さが損なわれてしまいそうです。
つまり鮫肌の方が圧倒的に美味いので、生わさびを買おうと思った方は鮫肌のわさびおろしも合わせて買うことが必須だと思います。
それにしても、わさびは「ザ・山」という感じの食材なのに、相性のいい道具の素材が「サメ」なんて不思議な話ですよね。国土の7割が山でありながら海に囲まれている日本ならではの食事だな、と感じます。
自由研究の考察パートとかでこういうことを言ったら先生から良い評価がもらえると思うので、小中学生の皆さんは参考にしてください。
色んな食材に生わさびを添えよう
擦りおろしたわさびを様々な料理と合わせてみます。
わさびの可能性を開拓するために、あえて「普段わさびをつけない料理」をたくさん買ってみました。新しいマリアージュの発見を目指します。
セブンのからあげ棒とアメリカンドッグ
セブンイレブンの定番ホットスナック「からあげ棒」と「アメリカンドッグ」です。
唐揚げは醤油ベースの味付けなのである程度信頼できそうですが、後者はその名の通り米国からの使者なので、日本産の香辛料とどれだけ調和するか注目です。
わさびをしっかり乗せて……
まずはからあげ棒から。
うまい!
うまいです。醤油味と合うのはもちろん、揚げ物の油っこさが軽くなるようでグーです。材料はほぼ肉なので、ステーキなどにわさびを乗せるのと同じ系統と考えていいのかもしれません。
続いてアメリカンドッグ。
アングリ
キヒヒ
変なニヤけ方をしてすみません。全然合いませんでした。
アメリカンドッグにはマスタードをつけるので結構良いんじゃないかと思ったのですが、衣が甘いせいかマッチせず。
アメリカンドッグの無邪気さに対して、わさびのお行儀が良すぎて噛み合わない印象です。ケチャップを足して食べてもさほど変わりませんでした。
わさびの立場を「親の都合でアメリカの高校に転校した日本人生徒」と想定して食べてみたのですが、特に事件も色恋沙汰も起きずに卒業式を迎えた感覚です。勝手にドラマを期待していてすみません。実際にはこういうこともあるんですね。
また、ちょっとした口直しのつもりで輪切りの生わさびを齧ってみたところ、ウゲーッからい!となることもなく、食べ応えがありませんでした。
鮫肌とアルミで味が大きく変わったように、すりおろすことで引き出されるわさびの力があるんでしょうね。
フレッシュネスのハンバーガー
続いて、フレッシュネスバーガーのチーズバーガーを試します。
アメリカンドッグの結果がかんばしくなかった分、不安もありますがどうでしょうか。
うまい!
これはうまいですね。アメリカンドッグより格段に良いです。
肉の存在感が大きいことと、甘さよりもしょっぱさが前面に出ている点が要因でしょうか。チーズとわさびもよく合っている気がします。
しかしこのフィールドに関してはやはり与党であるマスタードの適性がぴったりハマってるんだなと気付かされました。
ここで久しぶりに「チューブのわさび」をつけてハンバーガーを食べてみたところ……
生わさびと比べたときの辛味及び味そのものの強さに驚きました。加工食品なりに混み入った味なんだな、という感覚です。
生わさびは辛味を余計に主張してこないのが本当にいいですね。
アイスコーヒー
フレッシュネスバーガーのセットについてきたアイスコーヒーに白羽の矢が立ちました。
こんなことをしていいんでしょうか。
全体に混ざるように溶かし、恐る恐る飲みます。
おおーーっ!
おお、おお~!!
おお……。
良い!
いい意味で味はそこまで変わらず、喉越しに刺激が加えられて楽しくなります。駄菓子の「わたパチ」みたいな効果があります。
清涼感も増すので、夏場はかなりアリですね。ただこれも生わさびだからこそ味わえるもので、チューブわさびで再現したら雑味がキツくなっちゃうんだろうな~という気がします。
少しずつチューブわさびのアンチになっている自分が怖いです。
サイゼリヤの看板メニュー
レストランチェーン「サイゼリヤ」の看板メニューにわさびを添えます。
マルゲリータピザ、ミラノ風ドリア、柔らか青豆の温サラダを選抜。
イタリアの風土にわさびは順応できるのか。
まずはマルゲリータピザ。見た目だけならバジルの日本版という感じで収まりもいいです。
これでうまかったらサイゼリヤに進言したいところだが……
……なんにもない。
ただのマルゲリータです。わさびがチーズにすぐ包まれてしまって風味を活かせる場面がないのと、トマトソースも「別にその爽快感は要らねっす」という感じだったので、わさびを乗せた価値は全く感じませんでした。
チーズとわさびという組み合わせはハンバーガーでそれなりに成功していたので、味の相性は悪くないと思っていたのですが、平べったいピザの形状が合わなかったのかなと思います。
オモコロ編集長の原宿さんも、わさび乗せマルゲリータを食べました。
「意味ない」
意味がないそうです。
続いてサイゼリヤの圧倒的エース「ミラノ風ドリア」
マルゲリータピザが惨敗だったので、あまり期待はできませんが……
……わさびがもったいない!
まずいわけではないですが、やはり意味がありません。東洋からの渡来品にトマトソースとホワイトソースは無視を決め込んだまま。
ミラノの風は、冷たいです。
最後に、柔らか青豆の温サラダ。
サイゼリヤ軍団の大将に一縷の望みを託し、食べました。
?
……これもわさびは要らなかったです。この料理は「青豆自体の甘みを味わうこと」が醍醐味だと思うので、わさびの香りや刺激は余計なものになっています。
ここまで食べてきてわかったのは、わさびの武器が「臭みを消すこと」や「香りを楽しめること」なので、その甲斐がある食べ物と合わせることに意義があるのかもしれない、ということです。
料理って、全てこういうことなんでしょうか。
ピーッ ピーッ ピーッ
何事!?
あっ
ごはんだ……
生わさび丼
事前に用意していたにも関わらずすっかり存在を忘れていたごはんが炊けたので、生わさびを主役として味わえる「わさび丼」を食べます。
https://www.sirogohan.com/recipe/wasabidon/
こちらのレシピを参考に「わさび・鰹節・刻み海苔・醤油」の組み合わせで試してみましょう。
これまで色々な食べ物に添える形で味わってきましたが、ついに生わさびがセンターでスポットライトを浴びるときが来ました。アツい展開ですね。生わさび丼って実質「ルイージマンション」なのかもしれません。
炊き立てのごはんに……
あらあら……
アハ~ン
ぁ~
うまあい……。
ああ、わさびの香り、やっぱりすごく良いです。サイゼリヤのターンでリセットされていたので、改めて新鮮にわさびを味わえました。うまい!
野菜としてのみずみずしさもあり、爽やか。チューブわさびでは不可能な食べ方なんだろうな、とハッキリ感じます。
これは良い体験をしました。
原宿さんも食べました。
「鼻に抜ける香りが最高~」
禿同。
さて、メインディッシュの生わさび丼を食べたところで主食パートは終了です。
となれば……?
甘味とわさびの可能性
デザートの時間です。
スターバックスのチャイティーラテ
スパイスを煮出して作る「チャイ」。
わさびも香辛料ですから、きっと合うんじゃないかと思って買ってみました。
「スタバのチャイにこんなことしていいのかな」と思いながら生わさびを溶かしいれます。
お味はいかほどか……
!!!
美味い!!!!!
美味さのあまり屈託のない笑顔が出ます。目論見通り、スパイスが主体となるチャイにはわさびがバッチリはまりました。様々な香りが混ざる中、生野菜としてのフレッシュさが自然に加わり、とても美味しいです。
そして私はこんな風に笑えるんだな、と驚いています。かつて接客業のバイトをしていた際、先輩から「鬼谷くんって今までの人生で笑ったことあるの?」と言われたことがありますが、その方に見せてあげたいような表情です。
ともあれ美味いな……。間違いなく今日一番のマッチングだ。
スタバのロゴの女性もわさびを持っているんじゃないかと思えてきました。
「うまいうまい」としきりに言っていたら、横で見ていた原宿さんが「俺も飲みたいな」と独りごちながらどこかに行きました。
サーティワンのアイス
最後に、サーティワンアイスクリームのバニラとチョコミントで試します。実は「バニラアイスとわさびは合う」という情報を小耳に挟んでいたので楽しみです。
まずバニラを食べてみましたが、評判通りうまかったです。
バニラ自体そんなに味の主張が強いものではないので、わさびの爽やかさもちょうどよく楽しめます。
アイスのシャリシャリ感と擦りおろしたわさびの舌触りも不思議と合って、面白いです。
そしてチョコミント。完全に『モンスターズインク』の色合いですね。
うまし。
既定路線のミントにそのままわさびが並走する形で、香りの幅が広がっておいしいです。ハマり具合はバニラよりも上だと感じます。夏にぴったりの涼しさですね。
などと小生意気なことを言っていたら、どこかに行っていた原宿さんが帰ってきました。
その片手には茶色い飲み物が。
まさか「チャイ」を……!?
えっ
「紅茶ラテ」……!?
一体どうして……
「コンビニにチャイなかったんだけど」
そんな……。
原宿さんはその後しばらく「チャイをもっと気軽に飲める世界でなければいけない」と弁論しておられました。
我々は、チャイ無き時代に生まれたわけじゃない!
しかし「ものは試しだ」と、この紅茶ラテにもわさびを入れてみました。
無念を晴らすべく、原宿さんが飲みます。
光った!!
「チャイになった」
チャイになった!?
どうやら、わさびの刺激と香りがスパイスとして充分に作用したため、ただの「ティーラテ」が「チャイティーラテ」に進化したようです。
もちろん定義としてはチャイではないのですが、「どうしてもチャイが飲みたいのにティーラテと生わさびしか無い」というときに使える奥義が発見されましたね。
ちなみにこのあと原宿さんは、さらにチューブわさびを追加して飲み「一気にダメになった」と言っていました。皆さんも再現する際はお気をつけください。
ということで、生わさびを様々な方法で食べてみました。美味しいものをたくさん食べられてよかったです。
生わさびについて得られた知見をまとめます。
・わさびおろしは鮫肌がマスト
・わさびの香りを活かせるような食材と合わせる必要がある
・チャイとの相性はめちゃくちゃ良い
特に『チャイ×わさび』のカップリングは本当に衝撃的でした。なんとか皆さんにも試していただきたいです。
なのでスターバックスさんは、生わさびチャイを商品化してください。いけると思います。
ちなみに今回、生わさびは高級そうなスーパーで1080円で買い、鮫肌のわさびおろしは東急ハンズで1760円で買いました。3000円弱でこれまでのわさび観を覆す体験ができるので、食卓に刺激を求める方は試してみてはいかがでしょうか。
鮫肌で擦りおろすのも楽しいので、パーティーのような場に一本用意してみても盛り上がるかもしれませんね。
では最後に、中目黒で見つけた「最も生わさびを擦りおろしやすそうな壁」を紹介して終わります。
この禁煙の札が貼られている……
ここです。
さようなら。