すきすきすきすきすきっすき♪ サイゼリヤ♪
こんにちは。鬼谷と申します。
皆さんは、サイゼリヤで必ず注文するメニューはありますか?
私がいつも必ず頼むのは「柔らか青豆の温サラダ」です。
プチプチした豆を噛めば旨味が弾け飛び、甘いんだかしょっぱいんだか分からない味に心が満たされます。
先日、いつものようにサイゼリヤで柔らか青豆の温サラダを注文したときのことです。
「うまそうだなあ、好きだなあ」と言いながら、届いた青豆をしげしげと眺めていました。そして特に意味もなく、青豆の粒を数えてみたのです。
柔らか青豆の温サラダはいままで何度も注文してきたものの、これは初めての試みでした。愛が飽和した先の行動だったのかもしれません。「互いのホクロの数を数えるカップルみたいだな」と思いましたが、青豆は私のホクロを数えてくれないので、ひとり淡々と数えながら食べていきます。
スプーンに青豆を乗せ、その分を数えてから口に運ぶ。この動作を繰り返した結果、私がこの日食べた青豆の温サラダには411粒の青豆があることを知りました。
今まで想像したこともなかった数値を知ることができて嬉しいです。
ちなみに、数えている途中でちっちゃいパスタが紛れ込んでいて可愛かったです。しらすに混ざるちいさいカニみたいだなと思いました。丁寧に数えながら食べていたからこその発見ですね。
後日、またサイゼリヤに行きました。
現在は口頭での注文ではなく、注文用紙を使ったスタイルになっています。柔らか青豆の温サラダを示す「AA06」を記入し、店員さんに渡します。
ちなみにこの注文用紙の例として印刷されている「SA01」は何のメニューだかご存知ですか?
実はこれ、小エビのサラダのLサイズなんです。例の場合これを2つ注文してますから、サイゼリヤ側は消費者の小エビ需要に相当の確信を持っているようです。
などと考えているうちに、青豆の温サラダが届きました。
……あれっ。
気のせいかもしれませんが……
なんかこないだより少なくない!?
やっぱり少ない気がする!!
もちろん、これでも1皿分としては文句のない量ではありますが、一度真剣に数えてしまったせいで前回との差がやはり気になってしまうのです。
現時点では見た目の印象でしか判断していないので、とりあえず今回も数えることにしました。
その結果……。
どうでしょうか。
前回と比べると131粒の差があり、前回の青豆は今回の約1.5倍の量があったということにもなります。今回の青豆もいつも通り美味かったので何も不満はありませんが、この振れ幅を無視することはなかなか難しいです。
さらに後日、夕食の時間にサイゼリヤへ行きました。時短営業で20時閉店になっていたため、入店して最初の注文がラストオーダーでした。忙しい中すみませんと思いながらも、柔らか青豆の温サラダを注文します。
そして届いたのがこちら。
今度は多くない!?!?
見比べると明らかに多いです。多すぎる気がします。これまで頂点に鎮座していた半熟卵も、もはや青豆に埋もれかけています。
とにかく、食べながら青豆を数えましょう。
多すぎる!!!
これはもうめちゃくちゃ多い!!!!!
280粒の倍以上、その時の2皿分ということになってしまいます。
ポップコーンシュリンプで例えてみましょうか。
小さいエビフライ、ポップコーンシュリンプ。
通常はこの量で来ますが……
2倍となればこの量で来るということです。こんなことがあったら流石に見過ごせないでしょう。
じゃあなぜ青豆の温サラダはこれほど量にバラつきが生じているのか。
考えてみます。
まず、厨房の中には「大きい青豆鍋」があると仮定します。巨大な寸胴の中に青豆がみっちり茹でられているのです(夢のようですね)。
そして青豆の温サラダが注文されるたびにここから一皿分ずつ盛られ、我々のテーブルまで運ばれるのでしょう。
問題は「どのような基準で皿に盛られるか」です。これに関してはいくつかの可能性が考えられます。
・完全に勘でよそっている
決まった量というものがそもそも存在せず、各店員が勘で青豆をよそっている説。きっぷのいい店員がよそってくれたらラッキーです。・ラストオーダー時は気前が良くなる
最多の621粒を記録したとき、私はラストオーダーで注文していました。つまりその日はこれより後に青豆が消費されることがないので、鍋に残してもしょうがないというわけです。中途半端に残っていた青豆が、いつもより多く盛られて私のもとに届いたという説。・私が青豆好きであることを覚えていた店員が、好意でたくさんよそってくれた
最多の621粒を記録したときの店舗は、私が長年通っているところでした。もしかしたら私が青豆好きであることもバレていたのかもしれません。
……どうでしょうか。私としては、この中で最も合理性が高いと思うのは「ラストオーダー時は気前が良くなる説」です。「青豆好きがバレてた説」との両立もありえるかもしれません。すべて勘でよそっていたらちょっとビックリですね。
仮説を検証するため、ラストオーダーの時間帯に何度かサイゼリヤへ行き、注文した青豆の平均粒数を数えよう……とも思ったのですが、さすがにラストオーダーを狙って何度も行くのは迷惑かもしれません。
ここで、サイゼリヤで働いたことのある方にメールでお話を伺い、柔らか青豆の温サラダがどのように作られているかを直接聞いてみることにします。
オモコロの会員限定コミュニティで情報提供を募ったところ複数名から反応があったため、編集部の方を介して質問させていただきました。
「私は純粋な青豆ファンである」という気持ちが伝わることを祈りつつ、疑問を書き連ねます。
やがて、返信のメールが届きました。これで真実に近づけると思うと緊張します。このドキドキはなぜ止まらない……。
では、私からの質問といただいた回答を合わせて紹介していきます。回答は匿名で複数名からいただいたため、以下では個人を区別せずに適宜抜粋して掲載いたします。
さあ、真相やいかに!!!
※これらの回答はサイゼリヤ公式の情報ではなく、あくまでも「サイゼリヤで働いていた」という方々からお聞きした情報なのでご了承ください。
鬼谷「柔らか青豆の温サラダに使う青豆は、どのように保管・調理されていますか? 大きい寸胴鍋に大量の青豆が茹でられているのでしょうか?」
回答「冷凍庫に保管しています。調理の際は、パスタを茹でるものと同じ機械で茹でます」
回答「定期的に一定量の青豆を茹でて、冷蔵しておきます」
回答「オーダーのたびに、冷蔵保存している青豆を取り出します。その後は
1.茹でた青豆・パンチェッタ(ハム)・スープベース(味付けしてある液体)を鍋に入れ、加熱する。
2.汁気がなくなってきたら皿に青豆を盛り付け、最後に温泉卵をのせて提供。 というような感じです」
複数の回答を列挙しましたが、流れを整理するとおそらく次のようになります。
「大量の青豆が冷凍されている」
↓
「まとまった数の青豆を茹でて冷蔵しておく」
↓
「注文が来たら、茹でておいた青豆を加熱&味付けする」
注文を受けるたびに味付けして煮詰めるという、想像以上に丁寧な工程で驚きました。巨大寸胴鍋は幻想です。
そしてこれらの情報を踏まえると、テーブルに届く青豆の量が決まるのは「茹でて冷蔵していた青豆を、味付けのために取り出すとき」だということがわかります。
また「青豆はパスタと同じ鍋で茹でる」とのことで、私の頼んだ青豆にちっちゃいパスタが迷い込んでいた件の背景を知ることができました。
続けて、今回の本題を問います。
鬼谷「青豆の量の基準はあるのでしょうか?」
回答「基準はあります。具体的な数字はお伝えできませんが、明確に量が規定されております。保管場所から取り出す際の容器の目安に合わせると、規定量通りの青豆を取り出せます」
回答「具体的な量は忘れたのですが、子供用コップの3分の2くらいです」
青豆の量の基準は、
あります!
基準はありました。そして「子供用コップの3分の2くらい」という絶妙に想像しづらい目安を教えてくださる方もいました。
これで「完全に勘でよそっている説」は消えましたが、粒の数の振れ幅に関する謎は解けていません。他の説についても追及します。
鬼谷「ラストオーダー時に気前よくたくさん盛ったりすることはありますか?」
回答「マニュアル的にはいつでも同じ量の料理を提供するのが理想なので、自分はそういったことはしてませんでした」
至極真っ当な答えです。これで「ラストオーダー時は青豆を多く盛ります」などと言われたら、それ以外の時間帯で青豆を頼まなくなるところでした。
さらに回答の中にはこんな情報も。
回答「青豆は冷凍保管しているうえに人気メニューであるため、在庫が消費期限を過ぎることはありません」
「冷凍・冷蔵しているのでラストオーダーに焦らされることはない。しかも人気だから余らない」ということでした。大好きな青豆が世間でたしかな評価を得ているという事実に感動します。
鬼谷「青豆がめちゃくちゃ好きそうなお客さんに多めに盛ることはありますか?」
回答「お客様によって料理の量を増減することはありません。またキッチンからはお客様の顔がわからず、どんなお客様から注文がきたのかも基本的にはわからないです」
至極真っ当 Part2。こちらの回答をくださった方はキッチン専属だったとのことです。
「数年通っている店だとしても料理担当の方々に私(鬼谷)が青豆好きであることは伝わっていないし、そもそも私の存在は一切認知されていない」ということがわかりましたが、青豆の温サラダを注文する人はみんな青豆が好きで注文してるわけで、その中で愛の大きさを競おうとしても意味はないんだなと気付かされました。
とはいえ、これで私の仮説は全て間違っていたことになります。そう簡単には答えに辿り着けませんでした。
しかし真相究明への道は他にも用意してあります。
ここからは、密かに調査していた別の料理の量の基準について質問していきます。
鬼谷「小エビのサラダに乗っている小エビの数を数えていたら……」
鬼谷「小エビが27匹のときと54匹のときがあったのですが、これはどのような基準で盛られているのでしょうか?」
回答「レードルというお玉のようなものがあり、大体それ一杯分のエビを乗せることになっています。忙しいときには具材の量がブレてしまうこともあるので、鬼谷さんはそれにあたってしまったのだと思います」
「レードル1杯分という基準はあるけど、忙しさによって増減のブレも生ずる」とのことでした。
たしかにこの2回以外では全て30匹台だったので、その上下で安定していると考えられます。54匹はかなり当たりだったのかもしれません。あと忙しいときに小エビを数えていてすみません。
また、こんな情報も。
回答「小エビの量はグラムによって定められているため、乗っている小エビの重さはおそらくほぼ等しいと思われます。推測ですが、54匹の時は小ぶりな小エビが集まっていたのではないでしょうか」
つまり「小エビのサイズには個体差があるため、数が違っても総重量は近似するはず」とのことです。小エビの中にも小さい小エビと大きい小エビがあります。大きい小エビはいつから小エビでなくなるんでしょうか。
そして、数を計測していた料理はもう一つあります。
鬼谷「ポップコーンシュリンプについて、メニューの写真だと9個乗っています」
鬼谷「そして私は5回食べたのですが……」
鬼谷「いかなるときも9個乗っていました。ポップコーンシュリンプは絶対に9個という鉄則があるのでしょうか?」
回答「はい。調理マニュアルで9個と明記されています」
回答「おっしゃる通り、ポップコーンシュリンプは9個で提供するように言われています」
ついに「絶対9個」という数が決められている料理を見つけました。キリよく10個ではなく9個というところに企業としての工夫の影が見られて興奮しますね。
……さて、青豆に関する質問と回答は以上です。
どうやら青豆に限らず食材の量にはちゃんとしたルールがあるようです。まあそりゃそうかという感じで安心はするのですが、その点がハッキリすればするほど「2倍以上の差が生まれていた」ことが不思議に思えます。
まさか小エビの件と同様に、青豆も621粒あったときは小ぶりなものが集まっていたのだろうか……。
などと考えていたところ、情報提供の募集終了後に駆け込みで連絡してくださった方が現れました。
その方の回答を紹介します。
鬼谷「青豆の量の基準はあるのでしょうか?」
回答「おたま二杯だったと思います。しかしおたま一杯の量が徹底されていなかったので、人によってまちまちでした」
おや……?
「まちまち」……?
鬼谷「小エビが27匹のときと54匹のときがあったのですが、これはどのような基準で盛られているのでしょうか?」
回答「適当です。おたま一杯です」
えっ!!
ここで初めて「適当」という言葉が現れました。おたま一杯という説明も併記されてはいますが、これまでに回答してくださった方が見たら卒倒するんじゃないでしょうか。
しかし私にとってはこれほど嬉しい情報はありません。青豆や小エビを適当によそっている人がいるということが明らかになったおかげで、ついに「621粒の謎」が解けたのですから。
私を惑わせたあの青豆はきっと、適当に盛られていたんです。
「これまで長々と語っておいて結論は『適当です』に頼っていいのか」と思われるかもしれません。しかし、この言葉はサイゼリヤに何度通ったとしても聞くことはできないでしょう。
いつも通っているサイゼリヤの厨房にも「適当に盛ってたら多くなっちゃいました」と言って舌を出している人が存在しうるというだけで、私の好奇心は成仏できます。
まさかこの方、ポップコーンシュリンプまでも適当に……?
鬼谷「ポップコーンシュリンプは絶対に9個という鉄則があるのでしょうか?」
回答「これは鉄則でした!」
よかったです。
結論
質問に回答してくださった皆さん、どうもありがとうございました!!!
というわけで、青豆の温サラダの「粒の数」に向き合ってみました。
今回調査したサイゼリヤはごく一部なので、もちろん厳格に均一の量で提供する店舗もあるかもしれません。お時間に余裕があれば青豆の粒を数えてみてはいかがでしょうか。
ちなみに私は一連の計測を終えてからまた青豆の温サラダを食べに行ったのですが、粒を数えずにバクバク食べたらめちゃくちゃ美味かったです。皆さんもぜひ一心不乱に味わうことをおすすめします。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
では、さようなら。