皆さんこんにちは、ぴろぴろです。

 

※状況が状況でカメラマン不在のためこのような自己紹介となります。

 

さて、皆さんは『クレヨンしんちゃん』というアニメを一度は見たことがあるだろう。

しんちゃんは今でこそ子供から大人までに愛される大人気アニメだが、実は原作初期はかなり大人向けの内容だったことをご存知だろうか。

 

元々しんちゃんは『漫画アクション』という青年向け雑誌で掲載されており、主な読者層は大人だったため、攻めたネタがふんだんに含まれていた。

 

例えばしんちゃんの通う幼稚園の園長先生。かなりのコワモテのため、しんちゃんには「組長」先生と、ヤクザを想起させる愛称で呼ばれている。

これ自体少し大人向けのユーモアであるが、初登場シーンではこんなものでは済まない。

 

初めて園長先生が幼稚園に赴任した際、しんちゃんは「地上げ屋が来た」と言い、周りの園児は「地価高騰の波がきた」と泣きわめく。担任のよしなが先生も「ソープに売るのだけは勘弁してほしい」と泣いておののくのだ。

ハンドソープでの手洗いをしつけるべき子供たちに、ソープの存在を知らせるのは流石に早すぎる。

 

この事実を今、親になった世代でも知らないことがあるかもしれない。下手にアニメ映画で人気があるからと言って漫画を買い与えると、情操教育に思わぬ影響を及ぼしかねないのだ。

 

 

 

クレヨンしんちゃんは、アニメ化や映画化を経て子供向けのコンテンツとしての人気を博した一方、PTAなどからそのお下品さに対して多くの苦情も受けてきた。

 

コンプライアンスが強く求められる中で、しんちゃんもまたその内容が時代とともにマイルドに変わっていったのだ。裏を返せば、しんちゃんの原作漫画には、世の中のコンプライアンスの変化が投影されているはずである

 

 

漫画『クレヨンしんちゃん』のお下品な表現の変遷を読み解くことで、時代によるコンプライアンスの変化を可視化していこうと思う。

それと同時に、人の親になった若い世代が、しんちゃんの原作漫画をお子さんに買い与えるときのために「読ませて良い巻」「読ませない方が良い巻」を見定めたい。

 

それでは一緒に、しんちゃんの世界を紐解いてみよう。

 

調査方法

まずは早速、漫画『クレヨンしんちゃん』全50巻をAmazonで購入する。

 

 

中古で9000円くらいで全巻買えるのはありがたい。

なんと翌日には到着した。便利な世の中だ。

 

 

今回はこのしんちゃんを1巻から50巻まで読破する。

その上で、子供に見せられない描写に繋がりうるいくつかの表現項目をカテゴライズし、以下の5項目について件数の推移を辿っていく。

 

項目①: 過度な性表現

ここで言う“過度な性表現”とは、具体的には「コロコロコミック」で掲載されないレベルの度合いと定める。すなわち「うんち」や「ちんちん」などは過度ではなく、「コンドーム」や「ソープ」などが過度な性表現に当たる。

例えば『絶体絶命でんぢゃらすじーさん』に「うんち」は登場するが「ソープ」は登場しないだろう。そこまでデンジャラスなじいさんではないはずだ。

 

項目②: 陰茎の露出件数

ゾ〜ウさんゾ〜ウさんなどに見られる。

ただ明らかにしんちゃんがそれを出しているシーンでも、読者側に見える描写でなければカウントしないこととする。

(※また、コマ数ではなく場面数で数える。例えばしんちゃんが風呂に入ってるシーンなどは、陰茎の描写が何度も出てくることになるが、それらは全て「1回」とカウントする。ただ風呂を出て服を着た後に改めてリビングなどで陰茎を露出した場合は、新たに1カウントとする。)

 

項目③: 臀部の露出件数

ケツだけ星人などに見られる。

レギュレーションに関しては、項目②の陰茎のそれと同様とする。

 

項目④: 折檻件数

げ・ん・こ・つ!などに見られる。

その他「拳での頭グリグリ」なども対象とする。児童への体罰が社会問題化する中で、物理的な痛みを伴う指導がしんちゃんに対しておこなわれた数はどう変化したのか。あわせて計測する。

 

項目⑤: “オカマ”の登場回数

ダイバーシティについての議論が多く巻き起こる昨今、かつてギャグ漫画によく見られたステレオタイプなオカマの描写はどのように変化したのか。あわせて計測する。

 

以上、5項目について分析する。

 

 

はからずも子供向けアニメらしからぬ字面が並んでしまったが、今回はこれで進めていく

そして全50巻を熟読し終え、無事調査も終了したので早速結果を見てみよう。

 

上記5項目それぞれのグラフは一体どんな形になっただろうか。

 

<<次ページ:結果を見る>>