3日目
①同居人から500円のQUOカードをもらった。
―3日目は臨時収入から始まったね。この同居人って……
はい、さっきも出てきたらむ屋敷さんです。
↑らむ屋敷がくれたQUOカード(500円)
―無職の間で経済が回っている。
らむ屋敷さん、クオカードがなんか怖いみたいなんです。
―「まんじゅうこわい」の別バージョン?
使えるのは知ってるけど「クオカード使えますか?」と聞くのが怖いらしくて。手に入れたら、ぜんぶ人にあげてるみたいです。
―間違ってはいるけど、なんか分かる気もする。下手に残高余っちゃったら面倒くさいし。
でも、500円ってデカいですからね。これで発泡酒とたこぶつを買うことができました。
―おかげで1日が豊かになったね。
はい、またくれないかなと思ってます。
②Superflyってめっちゃ元気出る。
―あの、歌手の?
はい。最近、社会的にも元気がないから、少し憂鬱な気持ちになってたのもあって、不意に「明るい歌を聞いてみよう」と思ったんです。
―それでSuperflyを。
「タマシイレボリューション」を聞きました。
―なつかしっ! 2010年のワールドカップの応援歌じゃん。
これまで「音楽を聞いて元気になる」っていう体験があんまり無かったんですけど、心が踊りました。音楽ってすごいんですね。
―Superfly、声量もすごいしね。
あとSuperflyってこの女の人の名前じゃなくて、ユニットの名前だったんですね。そんなことにも初めて気づきました。
―それ、知らなかったわ! そうだったんだ。
はい。ちなみに2020年現在、ボーカルの越智さんはバンダナ巻いてないし、ショートカットです。
―すっかりSuperflyに詳しくなってる。いいことだなあ。
③卵黄の醤油漬けを作ったら美味かった。
―これって卵黄を醤油に漬け込む料理だっけ?
醤油とみりんですね。今まで作ったことなかったんですけど、凄く美味しかったです。
野田せいぞの卵黄醤油漬け。
―不思議と美味しそうには見えないな。
状況的に家にずっといるんで、おつまみにこだわりたくなるんですよね。それで「おつまみ 通」って検索したらこれが一番簡単そうだったんで。
―卵だけあればできるしね。
思ったよりグッと固まって、卵じゃないみたいになるんですよね。お酒とすごく合うし、おつまみのレパートリーが増えました。
―3日目まで終わったけど、順調にいいことが出てる気がするよ
毎日、意外といいことってあるんだなと思いました。多分、書いて残しておかなかったら「いいこと」とも思わないで忘れちゃってるでしょうね。
4日目
①肉とカニをご馳走になった。
―え!? 4日目やばい!
この日はすごかったです!
―しかもこの日の一発目よ? 一発目からカニと肉!?
震えました。朝起きて2時間後ぐらいに、徒歩圏内に住む先輩ライターのヨッピーさんから「肉とカニ食わへん?」ってLINEがきて、そのまま家に肉とカニを届けてもらってご馳走になりました。
↑先輩におごってもらったカニ。
―あららららららららららららららららららららららら
↑先輩におごってもらった肉。
―あーあーあーあー。当然美味いよね?
信じられないくらい美味しかったです。正直、朝にカップラーメンを食べた後だったんですけど、そのことは言わないで食べました。
―おごる側としては、朝から何も食べてない奴におごりたいものな。
ヨッピーさんには生活や仕事含めて本当にお世話になってるんで、これもいつかお返ししたいですね。泣かせたいです。
―泣かせたい?
「出会えてよかった」って、泣いて欲しいんです。
―そうか。
②ハッピーターンのハートのやつが出た。
―ハッピーターンのハートのやつって何?
ハッピーターンって、たまーにハートの形のおせんべいが混ざってるんです。
―へえー。見たことないけど、それって結構珍しいの?
確か結構珍しかったはずで、これは「いいこと」なのかなと。
―どのくらいの確率なんだろ。検索してみるか………おお!1パーセントの確率だって!すごいぞこれは!
100袋に1つぐらいってことですか? かなりレアですね…!
―肉とカニは食べれるし、ハッピーターンのハートは引くし……。「特異日」ってやつかも。
こんなに「いいこと」が起こって、あとでぶり返しが起きないか心配です。
―しかもこの日はまだひとつ、「いいこと」が残っている……。
③地元の同級生とZOOM飲み会をした。
―ZOOM飲み会ね。結構普通に飲み会っぽくなって便利だよね。
去年、奈良から上京したんですけど、コロナでゴールデンウィークも帰れないだろうなってことで、ZOOM飲み会を初めてしてみました。
―「いいこと」に書かれてるということは、楽しかったんだ?
はい。同級生に会うこと自体、久しぶりだったんですけど、結構盛り上がりましたね。ZOOMって画面共有できるのが便利で。昔のパーマあてたり茶髪にしたりして、みんなが調子に乗ってる頃の写真とかを共有して笑い合いました。
「UNO」のドローフォーを持つ、昔の野田せいぞ。
―まさに地元の同級生トークだな。
みんな自粛で家にいるので、遠隔ですけど飲み会とかは逆に誘いやすいですよね。お金もかからないし。
―確かに。普段なかなか会えなかった人に会えたという人はいるのかもね。
5日目
①Uber Eatsを初めて頼んだ。
―これ初めて使ってみたっていう人も多いだろうな。何を頼んだの?
まぜそばです。UberEatsって友達に紹介コードを教えて、友達がサービスを使ってくれると1500円の割引クーポンが発行されるんですけど、それを使ってほぼタダでまぜそばを注文しました。
↑UberEatsで頼んだまぜそば。
―このトッピングの量! まさか……“全部のせ”で!?
はい。これが1500円の力です。クーポンがないと僕の財力ではちょっと頼めないですけど。
―美味しかった?
完全にお店に行って食べるのと変わらない味で、「これなら自粛が続いても結構いけるな」とすら思いました。また誰かをUber Eeatsに引き込んで食べたいです。
―あ、紹介のクーポンって一回こっきりじゃないんだ?
新しいユーザーを見つけるたびにもらえます。それで「紹介まぜそば」をまた食べたいですね。親にも教えようかな。
②「鬼滅の刃」のアニメを全部観た。
―また「鬼滅」の話だ。
2日目で話したネームを描き上げるまで、「鬼滅の刃」を観るのを我慢してたんですけど、もう観てもよくなったのでこの日に全話観ました。
―まだちゃんと観たことないんだよな。野田せいぞは「鬼滅」をどういう話だと思った?
かなり「令和」っぽいと思いました。
―令和っぽい? 新しいってこと?
えーっと、ざっくり説明すると主人公が組織の会議みたいなところで殺されそうになっちゃうシーンがあるんですけど。
―うん。
で、組織の一番偉い人が「殺すのはやめよう」と言うんですけど、他の幹部たちがぜんぜん納得しないんですよね。普通の漫画だったら一番偉い人の判断に従うみたいなシーンになるかと思うんですけど。
―なるほど。
そういうところで個人の意見を偉い人に言うのが許されているようなムードって、なんか平等というか新しい感じだなと思いました。
―それが令和っぽいってことか。
③炭酸水メーカーがかなり良いことに気づく。
―炭酸水が家で作れるやつ? 買ったの?
いえ、シェアハウスに誰かがもらったやつがそのまま置いてあって。今までは何となく使ってなかったんですよね、信用できなくて。
本当は良かった炭酸水メーカー。
―「本当に炭酸なんてできるのか?」と。
はい、どうせちょっとシュワッとするぐらいだろと思ってて。でもハイボール作って飲もうかなという時に炭酸水がなくて、使ってみたらしっかり炭酸水になったので驚きました。
―そりゃなるよ。
わざわざ炭酸水を買わなくていいなんて凄いですよね。お得すぎませんか?
―でもあれ、ガスボンベみたいなカートリッジを補充しないといけないんだよ。
あー、あの小さい金属のやつ。そうか、あれが無くなったら買わなきゃいけないんですね。
―そう、それが50本で3000円ぐらいするからさ。まあ多少得ではあるんだけど、容器も洗わなきゃいけないし何かなって。
いいことから外そうかな……
―いや、ごめん。入れとこう。
6日目
―無職の始業時間?
はい、あまりメリハリのない生活をしていると本当に無職から抜け出せないんで、朝起きたらちゃんと着替えて「出社」しようと。
―なるほど、タイムマネジメントを始めたんだ。いいね。
11時出社の休憩1時間で、8時退社にしました。
11時にスーツを着て出社するせいぞ。
―結構しっかり働くな。スーツも着てる。
久しぶりにスーツを着てみたんですけど、2時間で肩でバキバキになったので脱ぎました。スーツって、こんなに疲れるんですね。
―働く時間を決めてみてどうだった?
ひとつ分かったことがあって、時間の縛りが無いと人って8時間も働く気にはならないなと。日本の労働力を支えていたのは「始業と終業が決まっている」ということだけだったのかもしれません。
―「決める」「決まってる」ことの強さってあるのかもしれないね。
まあ生産性が上がった気がしたし「働いたなあ」って感じがあったので、しばらくはこの仕組みで働いてみようと思ってます。
②29歳OLのルーティーン動画を真似してみた。
―ルーティーン動画って、Youtubeによく上がってるやつ?
はい。せっかくしっかり働いたので、私生活も「ちゃんと」してみようと。作り置きしたり、料理をしっかり盛り付けたりしてみました。
―すごい! 1200円するカフェのランチみたいで優雅じゃん。
状況は特に変わってないものの、惰性に飲まれない「芯」のようなものが作れる感じがして、ルーティーンを作るっていいなと思いました。
③生マッコリが一番好きなお酒かもしれない。
―生マッコリを飲んだんだね。
はい、飲み会をやった余りがシェアハウスにありまして。
生マッコリ。
―そのシェアハウス、何でもあるね。
初めて飲んだんですけど、完全にハマりました。乳酸菌飲料っぽい酸味だけどカルピスとも違う甘味があって、とろっとしてて美味しいんです。
―なんかこの日、やけに充実してるな。本当に29歳OLみたいな暮らしになってる。
そう言えば……。そういう暮らしをしたいと思ったことで、僕が自分の中にOLを「呼び込んだ」んでしょうか。
―こちらの背筋も伸びた感じがしたよ。
皆さんもぜひ丁寧に暮らしてみてください。
7日目
―最終日! 毎日3つずつ「いいこと」をメモするのって面倒くさかった?
意外と面倒くささを感じなかったですね。やっぱり「いいこと」だと、振り返るのもちょっと楽しいのかもしれません。
―最後に宝くじで2億円当たってたりしたら面白いな。当たってないかな。
当たってたらいいですね。
①Instagramのフォロワーが1000人になった。
―お、4ケタ! すごいな。
コツコツ投稿していたので嬉しかったですね。
―確かに最近、「野田せいぞ」が世界に向けてどんどん押し出されてる気がする。内容はよく分からないけど。
最近は自分でも「野田せいぞがいるな」って感じがしてきたんですよね。
―前はいなかったの?
前は「野田せいぞ」を出していくのが恥ずかしいと感じてたんです。でも最近はもう、自分が「野田せいぞ」であることにあまり疑問を感じなくなったというか…
―いいな。偽らず、本能で生きているってことかも。
配信とかやると、まだ全然野田せいぞであることに慣れてない気がするんですけどね。美容院の鏡に向かって喋っているようで。
②カレーをたくさん作り置きした。
野田せいぞの作ったカレー。
―カレーに始まり、カレーに終わったな。このカレー、何入ってるの?
玉ねぎですね。
―え、だけ? 肉は?
肉、入れないんです。
―玉ねぎのみ?
のみです。玉ねぎをたくさん切って炒めて、水を入れてルーを入れて完成です。
―寂しくない?
肉を入れると、カレーが一皿で完成度の高い料理になっちゃうのが何か嫌で…。カレーってもっと「ふりかけ」みたいに食べたくないですか?
―ごめん、ちょっと説明がいるわこれは。
もっと軽い感覚でカレーを食べたいというか、肉の入ったカレーまでいかない感じでカレーを食べたいんです。
―なるほど、肉が入ってないと寂しいじゃなくて、逆に入ってると「重い」っていう感じがするんだ。
はい。
―それを「ふりかけ的」って表現してる人、なかなかいないな。タメになった。次で最後!
③1日目に見かけた花が満開になってた。
―お、なんか〆っぽいぞ。
「いいこと」を3つずつ書くのが始まった日に見かけた木があって、写真を撮っといたんですけど。
その木が7日後に満開になってて、なんか祝福されてる感じがして嬉しかったです。
―綺麗に収まったな……。1週間書いてみてどうだった? なんか幸福度が上がったって気する?
「書かなきゃ」っていう意識があると、常に「いいこと待ち」みたいな精神状態になるので、いつもより人生にいいことが起こった気がします。
―主体的にいいことを見つけようって意識になるから、いいことが目につきやすくなるってことか。
そうですね。何も考えずに1日過ごすと3つも書けないんで、ちょっとした出来事もいいことにしちゃおうって思います。
―本人の考え方次第で起こる「いいこと」もあるっていうことだな。そう考えると、人生でめちゃくちゃいいことを見逃してる気がするね。
もったいなかったですね。
肉とカニ以外はそこまで物凄くいいことも起こらなかった野田せいぞの1週間でしたが、いいことって正直考え方次第でもあるよねということが分かった今回のレポートでした。
「スリー・グッド・シングス」、気になった人は試してみてね!