オモコロ編集長の原宿です。
「毎晩寝る前に、その日にあった“いいこと”を3つ紙に書き出す」という習慣を聞いたことがあるでしょうか?
聞いたことがなくても特に問題ないのですが、世の中にはどうやらそういうものがあるらしいです。
これは「3 good things(スリー・グッド・シングス)」と呼ばれ、ポジティブ心理学という分野を開拓したマーティン・セリグマン博士が考案したメソッドです。
人間は放っておくと物事をネガティブな方に考えがちですが、人生のいい面を意識するようにすると幸福度が上がるという調査結果もあるとのこと。
「綺麗事言いやがって。そもそも人によって多種多様であるはずの“幸福”なんてものが、定量的に観測できるかよ? なあ!?」という疑念が広がりますが、このメソッド自体はなかなか興味深いもので、それだけのことで本当に幸せになれるならやってみない手はありません。
というわけで、今日は一般的な世の幸せとは縁遠い位置にいそうなオモコロライターと一緒に「3 good things」を試してみた記録をお届けします。
やってくれたライターはこちら!
マンガや体当たりのレポート記事など、オモコロで様々な記事を書いてくれている野田せいぞ。
普段、いいことがあってもそれを伺いしることができない無表情な男ですが、そんな彼に1週間「いいこと」を記録し続けてもらったらどうなるのか?
さっそく試してみました!
※こういったご時世ですので、この記事はZOOMを使ったリモート取材で制作しています(聞き手:原宿)。
1日目
―というわけで、野田せいぞに「1週間、いいことを1日3つずつ書く」という仕事を依頼して、ちょうど1週間が経ったんだけど。
はい。
―前回出てもらった「無職がストレングス・ファインダーを試す」っていう記事でも触れたけど、野田せいぞは今はフリーランスのライターっていうことでいいの?
いや、無職ですね。
―頑(かたく)なだな。こういう仕事の依頼があるんだから、ライターと名乗ってもいいと思うけど。
今、預金残高が1,251円しか無い状態で「自分はフリーランスだ」と言ってると危ない気がして。無職に毛の生えたぐらいに思っておかないと…と思ってます。
―前回聞いた時は預金が700円だったから、増えててよかった。そもそもなんだけど、この1週間に「いいこと」ってあった?
自分的にはあったと思うんですけど、聞いた人が「いいこと」と思ってくれるのかはちょっと分からないですね。
―とりあえず一つずつ見させてください。では、1週間続く「スリー・グッド・シングス」の1個目のいいこと!
①松屋の期間限定ごろごろチキンカレーの鶏肉が、思ったよりごろごろしてた。
―なるほどね。
これ、Twitterの評判を見て食べに行ったんですけど、すごく良かったです。想像の3倍ぐらいゴロゴロでした。
↑松屋のごろごろチキンカレー
―確かに美味いよねこれは。根強いファンも多い。
「松屋でここまでデカイか?」と。正直ぼく、これまで松屋にあんまり行ったことなかったんですけど、すっかり見る目が変わりました。
―うんうん。「いいこと」だなあ。
こんな感じでやっていって大丈夫でしょうか?
―大丈夫。こういうことだよね、日常の「いいこと」って。じゃあ2つ目にいってみよう。
②「ブラックミラー」のシーズン4の第一話がめちゃくちゃ面白かった。
―ほほお。
これもTwitterで流れてきて、気になって観たんですけど。
―シーズン4の1話……あの「スタートレック」みたいなやつ?
そうです、「宇宙船カリスター号」ってやつです。
―見た見た! これめちゃくちゃ面白いよなー。
こういう宇宙での話かと思いきや、この世界自体がネットゲームなんですよね。でも登場人物たちは現実にいる人のコピーで……
―おっと、それ以上はネタバレになっちゃうな。せいぞはNetflixに加入してるの?
僕は加入してないんですけど、一緒にシェアハウスに住んでる人が契約してるんで観れました。
―それもラッキーで「いいこと」だな。では次が1日目の最後。
③銭湯に行けなくなったので陰毛をぜんぶ剃った。
―ごめん、どういうこと?
下の毛を剃りました、全部。
―なんで?
今って外出自粛で銭湯に行けないじゃないですか。
―うん。
で、僕は前から股間をツルツルにしたかったんですけど、銭湯に行った時にツルツルだと「やばい奴」と思われそうで怖かったんですよね。
―あーなるほど。銭湯で人に見られる心配がないから、股間の毛を剃ることができたと。
はい。
―何でそれが「いいこと」に?
気持ちいいですよ、スッキリして。
―でも、また生えてきた時にチクチクしない?
チクチクする前にまた剃ったらいいかなと思ってます。
―いたちごっこだな。
あと自粛が明けて「もう銭湯に行っても大丈夫そうだ」となった時、僕は股間がツルツルなので結局ちょっと恥ずかしいんですよね。
―確かにそうだね。
だから銭湯に行くタイミング、みんなよりちょっと遅れるかもしれないです。
―デメリットのある「いいこと」もあるんだね。
デメリットと言えば、カミソリを一本しか持ってないんで……。上の毛と下の毛、同じカミソリで剃ってるんですよね。
―そこまでいくと、ちょっと悪いことに思えてきた。
2日目
―1日目、良かったんじゃないかな。こんな感じで淡々と2日目に行こう。
はい。2日目もいいことが続きました。
①「鬼滅の刃」のネームが終わった。
―え?野田せいぞって、吾峠呼世晴先生だったっけ?
いえ。僕、「鬼滅の刃」を個人的に描いてたんです。
―あーそうか。ちょっと説明が複雑になるけど、オモコロの企画で「野田せいぞが『鬼滅の刃』を描いてみたらどうなるか?」っていうのをやったんだよね。
↑この企画。野田せいぞが本家をよく知らずに描いた「鬼滅の刃」は、オモコロ有料ページで読めます!
はい。この企画のネームに去年から取りかかっていたんですけど、ようやく全部仕上がりました。
―大変だった?
大変でしたけど、やっぱり漫画を描くのは面白いなと。僕もストーリー漫画を描きたいという気持ちになりましたね。
―おお! 「鬼滅」に触発されたのかな。いいじゃん! どんなの描くの?
和食屋さんで働いていた時があるんですけど、その時の漫画を描きたいんです。
―ん? 和食屋さんを舞台にした少年漫画ってこと?
いえ、4コマ漫画です。
―鬼滅とぜんぜん関係なくない?
関係はないんですけど、急に思ったんですよね。
―そうなんだ。まぁ描きたいものができたのは良かったよ。
②同居人にピザをおごってもらった。
―これは分かりやすく「いいこと」だ!
はい。同じシェアハウスに住んでて、オモコロでも記事を書いてる「らむ屋敷」さんにピザをご馳走になりました。
↑野田せいぞのライター仲間のらむ屋敷。
↑らむ屋敷がおごってくれたピザ。
―うまそ~。
めちゃくちゃ美味しかったです。ドミノ・ピザの限定クーポンで、水曜日に頼むと3枚で1200円だった日があって。すごくお得でした。
―お得だし、しかも野田せいぞに関しては一銭も支払ってないからね。
そう思うと、より美味しく感じられました。
―でも同居人のらむ屋敷も、今は定職についてないんじゃなかったっけ。
そうですね、らむ屋敷さんも無職です。
―無職なのに他人にピザをおごってくれるって、器がデカイ男だな。
本当ですね。いつか僕も偉くなって、らむ屋敷さんにピザをおごり返したいです。
―恩を返す時のピザのトッピング、どうしたい?
エビとかイカですかね。
―シーフードなんだ?
はい。その頃にはらむ屋敷さんも年老いてて、プルコギとか照り焼きチキンは重たくて食べれないと思うので。
―ピザの恩を返すの、何年後なんだよ。
③自分のLINEスタンプを発売した。
―そんなの出したの!?
出しました。実写のやつなんですけど。
野田せいぞの実写LINEスタンプ
―何点かひどすぎるのがあるな。
素材自体はすぐにできたんですけど、申請でかなり時間がかかりましたね。
―「変なマグロ」がNG表現でリジェクトされたとか?
いや、こういう実写スタンプって、本人というか権利者じゃないと出しちゃいけないらしいんですけど。
―確かに。知らない人が、自分の写真のスタンプ出してたらイヤだからね。ちゃんとしてるんだな。
僕が「野田せいぞである」ということを証明できる書類みたいなのが無くて、それを信じてもらうのに結構時間がかかりました。
―野田せいぞが野田せいぞであることを証明する方法か……考えたこともなかったな。
noteとかネットでの活動の資料を送って、3週間後にようやく僕が野田せいぞだと認めてくれたみたいです。
―ちゃんと野田せいぞが残した軌跡を読んでくれたんだ。そういうわけのわからない確認を、いちいちしなきゃいけない方も大変だな。
LINE社の方、ありがとうございます。