インドカレー屋で食事をしていると、隣の席から興味深い会話が聞こえてきた。
「カレー屋のナンって何でデカいか知ってる?」
知らんなあ……。
インドカレー屋のナンは確かに大きい。パースが狂ってないか不安になる。なんかロボットアニメの剣みたいじゃないですか。
こういうやつ。
この馬鹿げた大きさに理由があるならぜひ伺いたい。盗み聞きする僕の存在を知ってか知らずか、隣の席の男は得意げに話を続けた。
「ナンの大きさって、焼いた人の『心の広さ』を表してんだって。インド人ってなんか優しそうじゃん? いい人が焼いたナンはでっかくなんのよ」
「へー。じゃあナンを焼いてもらえば、その人の性格が分かっちゃうってこと?」
「そゆこと。飲み屋の姉ちゃんとか、堅物な上司の性格もお見通しってわけ」
「ふーん、ナンを使ったメンタリズムか……」
ナンのメンタリズム……?
それってつまり
ひとまず学術的な根拠の有無はさておき、あと堅物な上司がナン焼いてくれるかどうかもさておき、仮にこの心理テストを「ナンのメンタリズム」=「ナンタリズム」とする。
ナンを焼けば性格が分かる。馬鹿げた話に思えるが、あながち荒唐無稽とも言い切れない。皆さんは「バウム(樹木)テスト」という性格検査をご存知だろうか?
「バウムテスト」は、実際のカウンセリングでも用いられる伝統的な性格テストである。
被験者に樹木の絵を描いてもらい、絵の中に無意識に現れる特徴から性格を読み解いていく。例えばこんな感じだ。
「トゲトゲ痛そうな枝」→「トゲトゲしていて攻撃的な性格」
「がっちりとした太い根」→「精神的にがっちり安定している」
えっ?
正直村のIPPONグランプリ?
繰り返しになるが、バウムテストは実際のカウンセリングで使われるれっきとした検査法である。
その検査が「心がトゲトゲの奴が描く木はトゲトゲ」と言っているのだ。だったら「心がでかい奴が焼くナンはでかい」もアリなんじゃないか? 「絵」から性格を読み取れるなら、「ナン」でも同じことができるんじゃないか?
……これは、あるか……?
ナンタリズム……あるか……?
ナンで性格を読んでみよう!!!
というわけで、こんにちは。ナンタリストの戸部マミヤです。
今回はオモコロ編集部から3人に協力してもらい、彼らの知られざる素顔を丸裸にします。
ナンから性格を読もう
はい、というわけで皆さんにはナンを焼いてもらいます。
【記事の流れ】
STEP1 ナンを作る
↓
STEP2 性格を読む
↓
STEP3 合ってたら「これがナンタリズムです」って言える
一回言ってみたかったんですよね。「これがメンタリズムです」ってやつ。
本当にナンを見ただけで性格がわかるんですか?
いや〜自信ないっス。失敗したら諦めて「最高にうまい無印良品カレーの食べ方選手権」やりましょう。いろいろ買ってきたので。
見切り発車にもほどがある。
多分だけどメンタリストは「自信ないっス」とか言わない。
まあ、不安になるのはわかりますけど、僕も大学は心理学部でしたからね。知識はちょっとだけあるんです。
それ「マズローの欲求ピラミッド」だよね。下の欲求が満たされて初めて上の欲求が現れるって理論。
おしい! 説明はだいたい合っていますが、理論の名前が違います。
これは「カレーセットの欲求カースト」です。「カレー2種類 → ナンおかわり無料 → マンゴーラッシー → サラダ」と、下の欲求が満たされて初めて上の欲求が現れます。
たしかにカレー2種類のセットがあるとそれ選んじゃうな。
選んじゃうけど、何?
サモサ、いらね〜(笑)
よくわかんないけど怒られるぞ。
と、ナンタリストの基礎教養も披露したところで、さっそくナンを作ってもらう。
ナンなんて作ったことないけど大丈夫?
大丈夫です。生地は焼くだけの状態にしてあるので。
おお、頼もしい。
ダマがすごい。
見切り発車にもほどがある。
肩を並べてナン作りに取り組む被験者。
なるほどなるほど……けっこう思い切って潰しますねぇ……!
出てる! 性格が出ちゃってるよ〜〜〜!!
!!!???
できました。
マンスーンさん早い!
マンスーンさんの性格分析
最初にナンが完成したのは、電子工作系ライターのマンスーンさん。
他メディアへの露出も多く、オモコロ加入以前からの熱心なファンも多い。誰にでも優しく人当たりが良い一方で、本心では何を考えているのか分からない側面も……。
はたしてどんなナンが飛び出すのか!?
こちらです!