千葉県船橋市、飲食店が立ち並ぶ賑やかな駅前通りに、奇妙なビルが建っているのはご存知だろうか。
見た目は何の変哲もないビル。
そして「お気軽にお入りください」と言わんばかりのテナントサイン。
この外観を見て引き返す者はいない。しかしこれは罠である。
ビルに足を踏み入れたら最後、二度と外の世界へ戻れないかもしれない。
なぜなら…
中はモンテローザの巣窟になっているからだ。
「ちょっと軽く飲みますか~」程度の軽い気持ちで足を踏み入れた者は、たちまち壁一面のメニューに視界をジャックされ、思考を奪われるだろう。
一体どの店に入れっていうのか…!
モンテローザのバリエーション豊かなチェーン展開に、私は混乱し震えが止まらなかった。
その日は何とか帰ることが出来たが、数日経ってからも、あのビルのことが頭を離れずにいた。
このビルのB1F〜6Fをハシゴするのが夢 pic.twitter.com/06w7jhxnOt
— かとみ (@kato_mi) October 17, 2017
私は、モンテローザの巣窟にロマンを感じてしまったのだ。そして、同時に使命感のようなものも覚えていた。
「私はハシゴする為に、あそこへ呼ばれたのかもしれない」
ビルの構造を目にした時、それは確信に変わった。
ビルには地下1階から6階にかけて7店舗の居酒屋が入っている。
さて、この構造、どこかで見覚えがないだろうか。
バトルマンガとかに出てくる、敵が待ち受ける塔にそっくりだ。
各階の敵を下から順に倒していくあの塔。そう、最上階にはラスボスが待っているあの塔!
そういう視点で見ると、6階に入ってる「月の宴」なんか語感がすごくラスボスっぽい。
たぶん弱そうな強いおじいちゃんが待ってるはずだ。
ワクワクが止まらない。
そんなマンガみたいな展開を目の前に用意されたら、攻略したいと思うのは人としてごく自然な感情だろう。
ということで、今回はハシゴという手段でモンテローザの塔の攻略を試みることにした。
その攻略の記録をここに綴りたいと思う。
モンテローザの塔攻略のルール
①地下1階から順番にハシゴして、最上階の「月の宴」を目指す。
②居酒屋がオープンする17時からスタート。タイムリミットは終電の0時。
③1店舗につき、お酒を1人1杯以上飲む。
④お通しを食べ比べする。
⑤お店イチ押しの料理を1品食べる。(メニューの先頭に載っている食べ物)
パーティー紹介
2人ともお酒は強くない。
しかし2人とも根拠のない自信でみなぎっている。 やるぞ!
1店舗目:居酒屋いくなら俺んち来る?~宴会部~
1店舗目から店名のクセが強い。内装も特徴的だ。仲間が集まる大学生の部屋という感じがする。
若者向けのお店らしく、食べ飲み放題推しのメニュー。
着席と同時に店員さんから食べ飲み放題の説明が始まった。
30分でお店を出る予定なので、友人も私もずっと目が泳いでいた。
おつまみは、メニューの先頭に載っている料理を一品注文するルール。
この場合は「飛び出す! チーズバーガー」を注文しなくてはいけない。
飛び出さないならまだしも、飛び出すのか。胃袋に大ダメージを与えうるボリュームだ。どうしよう。
と思ったら、チーズバーガーは品切れとのことだった。
ほっと胸をなでおろし、チーズバーガーの次に載っていた「もやしナムル」を注文。
モンテローザの塔完全攻略を目指して乾杯!
お通しは、蒸し鶏とスライスオニオンに酸っぱいドレッシングがかかったもの。
シソの風味も手伝って食欲をそそる。
蒸し鶏を食べ終わると底からもやしが出てきた。
そのタイミングで、注文したもやしナムルも到着。もやしかぶり。気まずい。
もやしをモサモサと食べ終え、30分ほどでお店を後にした。
次のお店は魚民。1店舗目と同じ地下1階、しかも目と鼻の先にある。
「今のお客さん、モヤシだけで出て行った上に、隣の魚民入っていったけど何?」
と不審に思われかねないので、いったん柱に隠れて店員さんの目をやり過ごした。
やってみて思ったけど、30分でお店を出るのはすごく気まずい。
2店舗目:魚民
いつでもどこでも見かける魚民。だからこそ、あまり入ったことがない。
お店のいち押しは、お造り八種盛り合わせ。
まだモヤシしか食べてないのでボリューミーで嬉しい。
2杯目は果実酒のロックで乾杯。
お通しはゴボウのマヨネーズ和えだった。ちょうどクリーミーなものが欲しかったところだ。これもまた嬉しい。
友人は「ピーナッツの味がしておいしい」と絶賛していた。ピーナッツは一切入っていない。
お造り八種盛り合わせが運ばれてきた。
「おいしいけど、暗いところで見るお刺身って不気味だね」
という会話をしながらモソモソ食べた。
お察しの通り、この後も食レポらしい感想は皆無なので、そのつもりで読み進めてほしい。
順調に地下1階を制覇!
1階サイゼリヤ、2階ツタヤ、3階カラオケ館は非モンテローザのため通過する。
上の階へ向かおうとしたらエスカレーターが点検中になっていた。
モンテローザが露骨に私たちの行く手を阻んでいる。
「上にも下にも行けない!」と私たちは千鳥足でフロアを3周して絶望した。
モンテローザの塔に監禁されてしまった。二度と下界へは戻れないのか。
と思ったら、目の前にエレベーターがあった。
「ス、ステージ…フォー…」
力なく読み上げる。
なんだ、急に雰囲気を出してきたな。ここからが本番ということなのか。