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タイに来た。
再就職してすぐに一週間も休む荒業。これは豪胆。雇ってくれた会社の気持ちとか一切考えない心が無いと出来ない。そのツケは月末くらいにめちゃくちゃ回ってくるけどそれは別の話。
とにかく僕は幼馴染の手塚君(鉄オタの一種:踏切オタク)と2人でタイに来た。ベストシーズンと言われる1月の乾季、気温は27度くらいか。東南アジアに生まれて初めて来たが、なんか東南アジアっぽい匂いがした。「異国感」というやつがある。
「着きましたね……愛と情熱の国……」
「それはドレスローザです」
微笑みの国、タイ。事前に聞いてなかった荷物預かり代の1万円取られた直後の5時間半のフライトは確かなる苦痛だったが、ムアンとした熱気に少しテンションが上がった。
到着したドンムアン空港という悪そうな名前の空港は結構田舎なので、栄えている首都バンコクまでバスで向かう。
タイ人はめっちゃバスの席を詰めてくる。「無理じゃない?もう入れなくない?」ってくらいのスペースにガンガン突っ込んでくる。
そのままバスで降りる場所を4停留所分くらい通過し(停留所名をタイ語でアナウンスされるから)、2駅ほど電車で移動した。
改札は初見殺しだった。自動改札なのだが、扉の閉まる速さが尋常じゃない。開いてる時間がすごく短い。普通に歩いて通過しようとしただけでバチーン!ってなって混乱しながら無理やり通過して奥に居た警察みたいな奴に怒られて荷物検査とかされた。
完全にトラウマになり、以後5日間、改札は高速で駆け抜けることになる。
電車に乗っていたら可愛いタイの女の子がいて、やたら目が合うので電車から降りる際2人で軽く手を振ってみたところ、100点のハニカミを見せて手を振り返してしてくれた。ここが「微笑みの国」と呼ばれる理由が一瞬で理解出来た。目鼻立ちが整ってるから美人な印象のままで、表情がすごくかわいい。
カレーとトムヤムクン
そしてサイアムという、日本で言う渋谷的な立ち位置の町に着いた。
利用した飛行機は注文しないと機内食が出ないタイプだったので、ちょうど寝ていて気付かなかったので空腹が最大値。せっかくなので美味しいものを食べようと、ソンブーンというちょっと良いレストランに向かった。
ここは最も脱糞音に近いカレーであるプーパッポンカレーを出す名店だ。
カニとタマゴのカレーなのだが、めちゃくちゃおいしい。
「カニとタマゴでカレ~?」なんてなめていたんだけど超うまい。
ご飯が進む味なのだが、タイ米が放つ強い穀物臭でなかなかスプーンが進まない。ジレンマだ。
あとミネラルウォーターがもったりしてて甘くて不思議だった。
「本場だしトムヤムクンも頼もう」と、安易な気持ちで注文。
うやうやしく一口運び、脳内が「!?」となる。
めちゃくっちゃ酸っぱくて辛い。
日本で食べたことあるやつと違う。酸っぱい。すごく酸っぱい。
トムヤムクンの具材は初見殺しの要素が強かった。
★Lesson 1 「具」
・エビ 危険度:★
おいしい。安心できる。殻がダルいが異国の地でも抜群の安定感。まずいエビってないもんね。うまい。
殻を剥く時にスープが跳ねて白シャツが汚れる危険性を考え★1
・フクロ茸 危険度:★
諸説ありますが「食ったらフクロにしてやる」もしくは「幼菌が卵みたいに厚い袋に包まれているから」が由来。どっちでしょう。
マッシュルームとしいたけの中間みたいな味。おいしい。シンプル。あまり馴染みのないキノコなので★1
・長ネギみたいなやつ(レモングラス) 危険度:★★★★★
(これは……小さいけどネギかな……?)
あぐっ……
ぐあぁぁっぁぁぁ (吐き出す)
見た目は長ネギ、食感はゴボウ、香りはレモンというコンボでなんか涙すら出てきます。
気をつけてください。危険度は★5です。見た目ほぼネギだから。
・色が濃い葉っぱ(コブミカンの葉) 危険度:★★★★★
(これは……ほうれん草的なやつかな……?)
あぐっ……
あああ”あ”あ”あ”あ”……(吐き出す)
めっちゃ固くて苦く辛い。なにこれ?ちゃんと煮込んだの?
フォークで掴んだ瞬間から「これは食べれる葉っぱじゃないかもしれない」と感じさせるその溢れるポテンシャルに★5。
・謎のかたまり 危険度:★★★★★
(これ何……? チャーシュー……? 固くね……?)
あぐっ……
おおおおおおお (吐き出す)
ショウガだった。スライスとかじゃなく塊で入ってます。★5
まとめ
入ってるハーブ類は全て香り付けの為のものなので食べちゃダメ。
-Next Lesson 「やけど」
ホテルへ
お腹も膨れたので町を散策。タイと言えば物価の安さが人気。大体日本の1/3くらいで、田舎なら更にそれ以下。観光名所なら日本より安めくらいの感じ。
歩いていたらキオスクみたいなコンビニを見つけたので、暑さと変なスープのせいで喉が乾いていたからコーラを買うことにした。
「コカコーラプリーズ」とつたない英語で伝え、無事にペプシをゲット。
悔しい。
お値段は10バーツ。安い。(1バーツ:約3.5円)
あと本場のオイルマッサージが1時間300バーツとかで受けれる。
ちなみに普通に痛いし言葉は通じないのでずっと「Please! Soft! Soft! Help me!」と叫ぶことになります。
マッサージに満足したら20~100バーツくらいをチップで渡すといいらしい。だいぶ痛かったので20バーツだけ渡した。
ルーフトップバー(ビルの屋上のバー)なんかも有名で行こうかと計画していたが、長旅で疲れていたのでホテルに向かうことにした。
僕らは「サイアムプレイス◯◯」というホテルを取ったので当然サイアム駅の近くにあるものだと思っていたら、なんかやっと通じたWi-Fiで調べたら車で25分もかかる場所にあることが判明。「ホテル 遠きサイアム」とかに名前変えてほしい。
電車で向かってもいいのだが地図を見ると駅からホテルへのアクセスが良くない。タイのタクシーは安く、30分乗っても250バーツ程度だと聞いていたのでタクシーを捕まえた。
タクシーは英語が通じない事のが多い。通じる運転手見つけたら歓喜するレベル。
Taxi Driver File No.1「空間のソムチャイ」
短髪のおっさん。
地図と、通りの名前と、ホテル名を伝え「Can you go there?(行ける?)」と尋ねたところ「OK!」とお返事が。
出発してすぐに使わないはずの高速道路に入っていき、高速代として75バーツを請求される。
「まあ早く着くならいいか」と思い100バーツ札を渡すと、なぜかお釣りを返してくれない。
その後「Arrived. It’s Airport.(着いたよ!空港だ!)」と言われ、わけのわからない空港で降ろされた。お釣りは返してくれなかった。
どこだ、ここは。
路頭に迷った。なんでこんなことに。ひどい。
空港だからかタクシーがいっぱいあったので改めて探すことに。
さっきのドライバーが「乗ってく?」みたいなジェスチャーしてきたから無視した。
そしたらおじいさん運転手が僕らの方に近づいてきた。
Taxi Driver File No.2「心傷のカウィン」
白髪のおじいさん。
降りてきて「俺のに乗れよ! どこに行きたいんだ!」みたいな感じで言ってくれた。
スマホで地図見せて説明。俺のスマホを拡大とかしながら「はいはいはいはい」みたいな感じで理解してくれた。
さすが老練な感じのドライバーだと安心していたら、急にやってきた警察の人になんかおじいさんがすげえ怒られて、
すごくあからさまにいじけちゃって、俺にスマホを返して一人でどこかに行かれてしまった。
乗れすらしなかった。
2台連続でタクシー外すとすごい心が疲れる。
若いやつにしようと判断し、暇そうにしてたイケメンの運転手に声をかけた。
Taxi Driver File No.3「計算のソムポン」
短髪のイケメン。
地図だけではわからなかった様子だったが、その場でホテルに電話してくれて「OK!」とニカっと笑ってくれた。
完全に安心して出発したら、急にスマホ画面で「0+50」という謎の計算式を見せてきた。
「50?」「Yes! 50!」という頭の悪い会話をしていたらホテル周辺に着き、
メーターに表示された金額+50バーツを取られた。
なんかタイに来てから細かいお金をむしられてる気がするが、着いた事がとにかく嬉しかったので普通に払った。
ホテル付近は結構田舎だった。千葉の国道沿いに雰囲気が似てる。
少しお腹が空いていたのでコンビニに寄った。タイにはセブンイレブンが沢山ある。
よくわからない日本語の商品もある。スパイシー味噌うどんスープ丼。
炒めたチキン+揚げたタマゴ+ご飯みたいなお弁当が50バーツで売っていたのでそれを買った。僕の英語力は日常会話に困るレベルなので「お弁当温めてください」を何て言えばいいのかわからず、無愛想な店員に「It’s heat up please.(熱くなってください)」と言った。電子レンジ指差しまくって伝えた。
そしてホテルまでの道、野犬がめちゃくちゃ道路で寝ている。何匹もいる。
女子大生が散歩させてるような犬じゃなくて、完全に病気持ってそうというか、バイオ5に出てきそうな毛の無い大型の犬たちがウヨウヨ寝ている。
普通に怖いので、大きく迂回してなんとかホテルにたどり着いた。
ホテルは航空券のおまけでついてきたビジネスホテルなので期待していなかったが、結構キレイで不快を感じるようなレベルではなかった。
買った弁当がすごく美味しい、スパイスの効き具合が素晴らしい。ちょっと辛くてご飯が進む。カレーやトムヤムクンに目が行きがちだが、こういった現地の料理もレベルが高い。
無事に到着したことをタイのビールで祝った。
ちょっと薄く、飲みやすい感じだった。値段は40バーツくらいだったかな。
ほぼ移動しかしていないが、だいぶ疲れた。
疲れが取れるはずのマッサージも痛くてよくわかんなかった。今日は早めに寝よう。
「温泉!」と日本語で書いてあるツマミを回すとガッツリ冷水が出てくるトラップにやられながら、僕たちは眠りに就いた。
(2ページ目に続く)