フラッシュモブとの出会い

Twitterのタイムラインを眺めていたら、動画が流れてきた。

洒落たカフェテラス的なところにに男女カップルが居て、それを遠くから撮っている動画。

 

急にしゃらくさい感じの、なんか3ヶ月に1度は海外とか行ってますよ国際交流がとか言ってそうな女性が奇妙な動きで登場し、近くで派手に踊り出す。

驚いてそれを見ているカップル。

 

次第になんかドンドン周りの人たちも踊りに参加し、アドリブでは出来ない連携プレーを繰り広げまくる。

最初の方に素知らぬ顔で「え? なに?」みたいに見ていた通行人風の連中も踊りだす。店員まで踊りだす。集団狂気の世界が広がる。

 

踊りの輪は15人ほどに増え、キレキレのダンスを見せつける。

駅前だからか観客も集まり、500人くらいがそのダンスを見ている。

 

ついに最初のカップルにまで魔の手が及び、驚いていた彼氏が手を取られる。

え、どうなってしまうんだ! と注視していたら、彼氏も急にブレイクダンスをかます。ふざけるな。

 

両手で口を抑えて驚いた笑みを浮かべる彼女。

 

 

そしてそんな彼女も無理やり立たされ、いつの間にか狂気の輪の中心に。

急に音楽が止まり、彼氏がいつのまにかマイクを持っている。

 

「僕と、結婚して下さい」

 

彼女に伝えたいのか、周囲の観客に伝えたいのか、大きな声でプロポーズ。

最初のしゃらくさい女がマイクを取り、彼女の口元へ。

 

彼女は照れくさそうに、

 

 

「……はい」

 

 

 

\キャーキャー!/  \ウオオォォォ!/

 

盛り上がるダンサーと観客。

 

 

はにかむ2人、いつまでも幸せそうな表情で…… fin

 

 

 

 

 

そんな動画だった。

上のテキストを書くためにスマホで動画を再生していたので、ストレスが文ににじみ出ていたら申し訳ない。

 

 

 

 

 

 

僕が抱いた感想はただ1つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絶対嫌じゃない?

 

 

 

 

 

 

 

嫌じゃない? 嫌じゃないの?

こんなに多くの人を巻き込んで自分の幸せだけを素直に享受出来るの?

もしこんなの実際やられたら「うわぁ……申し訳ない……申し訳ない……」としか思えない。

 

 

あとこれ絶対断れなくない? 500人に囲まれてるんだよ?

そいつらみーんな「YES」待ちなんだよ?

裏切れなくない? 後日「あの時はみんないたからOKしたけど……」とか言われたら男は自殺しない?

学校へ行こう!の屋上で告白する奴みたいな断りづらさでは。あれは結構断られてたな。

 

 

嬉しいの? これ嬉しいの? 本当に?

僕が男だからそう思うだけ? 女性は嬉しいの? 泣くくらい嬉しいの?

 

 

 

 

Twitterで聞いてみた。

 

 

 

 

ストレスがあれしてネガティブな選択肢を3つにしてしまった事は置いておいて、過半数が「絶対に嫌」という最上級の否定を選んでいる。

まとめてしまえば92%の人が特に必要としていない。

 

有り難いことに800近い投票を頂けたのでもう検証は終わりでいいのかもなと思った。

 

 

でも、あるんだ。

フラッシュモブは。

 

今日もどこかで、誰かが得意顔で踊っている。

涙を流し喜ぶ人がいる。

8%の人が、最上の肯定、「憧れ」を選択している。

もうすぐクリスマスだから、きっとどこかの駅で踊る奴が増える。

 

 

俺が歪んでいるのか。

どうして嫌なのか。どうして憧れるのか。

 

賛同者である51%が歪んでいるのか。憧れる8%がイカれているのか。

 

 

数字を見たって心は見えない。

 

 

聞いてみよう。

 

 

賛成派と反対派の女性に、聞いてみよう

 

 

 

フラッシュモブって、どうなのよ!

 

 

サプライズ大好き派に聞いてみた!

 

 

 

こんにちは、マキヤです。

 

 

8%というくくりが少なすぎて不安になったので、一旦フラッシュモブというくくりを外して募集しました。

 

 

 

 

 

 

有り難いことにご協力頂ける方が見つかりましたので、実際にインタビューしてみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

亜希さん(23) アパレル店員。3度の飯よりサプライズが好きとのこと。好物はサーモン。

 

 

 

 

「亜希さんはサプライズ大好きということで」

 

「はい、仕掛けるのもされるのも大好きです!」

 

「なるほど、周りの方もサプライズ好きが多いんですね」

 

「そうです、昨日も友達のサプライズでリムジンパーティしたばっかなんです!」

 

「??? なんですかそれ」

 

「知らないんですか!? リムジン貸し切って、みんなでウェーイ!ってやるやつです」

 

「教えていただいてるのにわからない。いくらくらいするんですか?」

 

「なんか好きな音楽かけたりしながらお酒飲むんですよ。みんなで割るから、1人6000円くらい!」

 

「亜希さん、完全に違う世界の人ですね……」

 

 

 

こんなパリピみたいな人が来ると思っていなかったので面食らってしまった。

だからこそ聞く意味があるのかもしれない。強い心を持って本題に進む。

 

 

 

 

「亜希さん、フラッシュモブはどう思います?」

 

 

 

「フラッシュ……モブかあ~~」

 

 

 

おや。

サプライズ大好きな方でも抵抗が……?

 

 

 

「あ、お嫌いですか」

 

「いや! そういうわけじゃなくて、あれって条件があるんですよ!

 

「条件……?」

 

「タイミングはプロポーズで、あとは、人生で一回だけしかダメ」

 

「一回だけ……?」

 

 

 

 

 

プロポーズで、というのはなんとなくわかる。見た動画もそうだった。

でも1回とは、なんだ。

 

 

 

「人生で1回目にするプロポーズ、そこで使って欲しい」

 

 

「なるほど、誕生日とか記念日くらいでは、されたくないと」

 

「されたい」

 

「いや、なに。なんなんですか」

 

「元カノにフラッシュモブしたみたいな情報が耳に入ったら嫌だから、人生で1回にしてほしい」

 

「嫉妬する、ってことですか」

 

「しますね……フラッシュモブって、女性の最大の幸せじゃないですか」

 

「絶対そんなことないでしょ。あれが最大のわけないんだから。もっとあるでしょ、結婚とか出産とか、仕事も」

 

「ホントにホントに、女としてね、最大の」

 

「本当に? フラッシュモブがそんな位置にいるの? 本当に?」

 

 

何がいいのか

 

 

「フラッシュモブの良さってのを教えてください」

 

「……”準備”」

 

「???」

 

「あれって、めっちゃ大変なんですよ」

 

「そうですよね」

 

「まずフラッシュモブ会社に電話するわけじゃないですか」

 

「会社があるんですか!?」

 

「そうでしょ」

 

「そうなんだ……友達とかで集まってやってんのかと思った」

 

「で、練習とか打ち合わせとか、めっちゃ手間もお金もかかる」

 

「そうですよね」

 

「それは何のため? 彼女のためでしょ?」

 

「あ、はい」

 

「愛されてるって実感できるじゃないですか」

 

「ああ、なるほど」

 

「DVDとか貰えるから、形としても残るし」

 

「DVD貰えるんですね」

 

「そうなの、その時の幸せも見返せる。思い出も残るし。だからもう、何が悪いんですか? フラッシュモブの」

 

「いや、その、アンケートで、ええと」

 

「良いことしかないじゃん。何ですか否定する人って」

 

「いえ、はい。そうですね」

 

「フラッシュモーブッ」

 

「どうされました?」

 

 

 

どうしてそんなに強い憧れを

 

 

何となく、憧れる人の気持ちもわかった。

僕がほんのりと抱いていた、フラッシュモブへの嫌悪感みたいなのは、いつの間にか薄らいでいた。

 

ついでに掃除をしていた店員さんにも、聞いてみた。

 

 

「すみません、フラッシュモブってどう思います?」

 

店員さん「えーなんだろ、でも、動画とか見て、憧れますね」

 

「ほらー!」

 

「そうなんだ……」

 

 

 

僕は動画を見た時、「うわあ」って思った。

でも動画を見て憧れる人もいる。

どうしてそんなに憧れるんだろう。

 

 

 

「亜希さんはどうして、そんなに強い憧れを」

 

「うーん……なんていうか、私、男の人ってあんまり信頼してないんですよ。口だけなら何とでも言えるじゃないですか。で、浮気とかするじゃないですか」

 

「そういう人もいますね」

 

「結構そういう過去があって、基本、信頼してなくて」

 

「なるほど」

 

「でも、フラッシュモブしてくれたら、信頼出来るなって。めちゃくちゃ手間とかかかるし大変なのはわかってます。だけどその分、『私のコト、ホンキなんだ』って思える。だから1回だけ、プロポーズでしてほしい。そういう感じの憧れ、ですね」

 

「ああー……! なるほど! 確かに、『こんなにしてくれた』みたいな」

 

「そうなんです。フラッシュモブ自体も最高に嬉しいですけど、それまでの過程を考えると、愛情が形として見えて、より幸せ噛み締められて、それはずっと生きるんです」

 

「生きる……?」

 

「喧嘩とかした時も、『あの時フラッシュモブしてくれた』ってだけで許せるじゃないですか」

 

「そうなんですね……!」

 

 

フラッシュモブのご予定

 

 

「ではもう亜希さんは、プロポーズはフラッシュモブじゃないとダメだと」

 

「そう決めてます!」

 

「結婚のご予定などは……」

 

「別れたばっかなんで、次付き合った人にはめっちゃ風を吹かせます!」

 

「どういうことでしょう」

 

 

ちょくちょく知らない表現が飛び出す。

 

 

「して欲しい感めっちゃ出すと思う。一緒に動画見て、こういうの憧れ~とか言います」

 

「してくれる人とお付き合い出来るといいですね」

 

「それで、一見してくれなそうな人が実際してくれたらもう、もう、めっちゃくちゃ!」

 

「めっちゃくちゃ……何? 最高?」

 

「最高じゃない。その上」

 

「上? 最高の上? どういうことです?」

 

「最ッッッ高!」

 

「本日は有難う御座いました」

 

 

サプライズについて

 

 

駅までの道がちょっと長かったので、サプライズについて聞いてみた。

 

 

 

「サプライズって、どう頑張っても予期されません? だからサプライズにならないというか」

 

「え? なりますよ」

 

「なんていうか、誕生日とかに普段と様子が違うレストランとか連れて行かれたら、『なんかあるな……?』ってなりません?」

 

「そういう時は3軒行ってください」

 

「……どういうことですか?」

 

「レストラン→Bar→車とかで、1日に3回マジのサプライズやるんですよ。絶対3軒は予想できないんで」

 

「確かに、やられたら笑っちゃうと思う」

 

「サプライズ嫌いな人でもなんだかんだ嬉しいと思いますよ。自己満足なとこもありますけど」

 

「仕掛ける側は、どうしてもそういう面はありますよね。お相手が喜ぶならめっちゃ良いと思います」

 

 

 

「やっぱ、昔付き合った人とかも沢山サプライズしてくれた人の方が印象に残ってます」

 

「印象に残ってるのサプライズってあります?」

 

「ベタですけど、4ヶ月記念の時に、ディズニーのシンデレラ城でガラスの靴渡されたのとか」

 

「ベタなんですかそれ。いらなくないですか。歩きづらそう」

 

「小さいオブジェ的なやつです! で、メッセージをレーザーで彫れるんですけど、まだ彫ってなくて、『半年後も付き合っていたら一緒に彫ろう』って」

 

「ダルマの目入れみたいな感じなんですね」

 

「多分違う!」

 

「半年後って付き合って10ヶ月とかですよね、キリが悪い……毎月サプライズやってたんですか?」

 

「そうですね……私は冷蔵庫にプレゼント入れたりとかしました」

 

「ナマ物だったんですか?」

 

「ネックレスです」

 

「付けた時冷たくないですか」

 

「いいんですよ! まず玄関に『風呂場に行け』って紙を貼って」

 

「なんで?」

 

「風呂場に行ったら、『ベランダに行け』って書いてあって」

 

「???」

 

「そしたら『冷蔵庫を開けろ』って書いてあるんです!」

 

「なんで歩かせたんですか?」

 

そういうのでワクワクするんですよ! 冷蔵庫にはプレゼントと、それを彩るような風船やぬいぐるみを入れてます!」

 

「ワクワクするのかな……」

 

「あとサプライズされると、ちょっと気持ち冷めてる時でも回復するし」

 

「そうなんですね、ちょっとしたサプライズ的なやつでいいんですか?」

 

「もう、全回復」

 

「すごい」

 

「その究極が、フラッシュモブ。苦手だって人は、試しに1回やってみると良さがわかると思います!」

 

「一生に1度なのでは」

 

 

 

解散

 

 

「本日は本当にありがとうございました」

 

「いえー! こちらこそ楽しかったです」

 

「それで、これ、僕からのサプライズです」

 

「えっ!!! わー! えー!」

 

 

 

 

「これから寒くなるので、よかったら使って下さい! ありがとうございました!」

 

 

 

 

 

 

 

普段接するタイプの人間じゃないから、かなり貴重な価値観の意見を聞くことが出来た。

信頼出来る材料としてのフラッシュモブ、という考えは全く予想していなかった。

 

動画を見た時は圧倒的に嫌悪感だけが押し寄せてきていたんだけど、憧れる人もいるというのを、しっかり理解出来た。

 

 

 

 

 

 

箱の中には僕が作った「クリスマスに産まれた馬」が入っています。

 

喜んでくれるといいな。

 

 

 

もちろんこれが全てではないと思うのですがまとめますと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

> 続いてはサプライズ否定派の意見です <