ある日、友人から「回転パフェ」というものを教えてもらった。

みなさんは「回転パフェ」と聞いて、どんなものを想像するだろうか。

私は回転寿司のような光景を思い浮かべた。

パフェがレーンに乗って席の周りをぐるぐる回る光景……

そんな夢みたいなことが現実に……?

 

 

タカシマヤ アムール・デュ・ショコラ2020より ※イベントは終了しています

現実にあった。「パフェ ゴー ラウンド」というイベントらしい。

レーンに乗って回るのはパフェのトッピングで、それを自由に組み合わせ、自分でデコレーションをしてオリジナルパフェを作れるようだ。その組み合わせは10万通りにもなるという。

現実離れした画期的なシステムに胸のときめきが止まらなかった。よくぞ回してくれました、こういうのを待ってた!

 

 

回転パフェの話をしたところ、オモコロライターのたばねさんと神田君も話に乗ってくれたので、3人で行くことになった。

2人とも甘党かつかわいいものを熟知しているのでとても心強い。

センスの良い2人がどんなパフェを作り上げるのか楽しみだ。

 

 

 

回転パフェに翻弄される私たち 

 

緊張しながら会場へむかうと、まさに回転寿司で見かけるあのレーンがお出迎えしてくれた。想像以上に本格的な設備だ。

 

 

 

基本的に流れてくるトッピングを自由に取るのだが、アイスは溶けてしまうので自分のタイミングで注文するらしい。

種類はピスタチオ、バニラ、ストロベリー、ショコラの4種類。

 

 

 

醤油とガリのような感じで、ソースと粒系トッピングはテーブルに置かれていた。遠慮なくたっぷり使わせていただこう。 

 

 

 

トッピングはマカロン、スポンジ、ムース、フルーツ、シリアル、ジュレ等の中からトッピングを6皿まで選べる。

例えばムースを2皿という感じで同じ種類をかぶせても良い。

 

 

 

いよいよトッピングが流れ出した。

色とりどりのトッピングが次から次へと目の前を通り過ぎていく。天国だ。甘党の天国は高島屋8階にあった。

 

 

 

迷いに迷って選んだトッピングがこちら。

全体的に酸味のあるさっぱりした味わいのものを、イエローベースでまとめてみた。見た感じはなかなか良い気がする。

……が、なんだか不安になってきた。これって正解なんだろうか。

隣の2人はどんな組み合わせにしたのか気になる。様子を見てみよう。

 

 

 

2人はまだ考え中だった。真剣な眼差し。

脇を固く締め、そこに挿しこんだ腕はがっちりホールドされている。

そう簡単には皿へ手を出さないぞという強い意思をひしひしと感じた。この人たち……本気だ!

 

 

 

2人の本気度に気が引き締まったところで、私もパフェづくりに集中したい。

次はデコレーションだ。

一番下にパールショコラを敷き詰め、その上に柚子のジュレ、グラノーラを入れた。層を細かく重ねて食感に変化を出すのが狙いだ。

 

 

 

ホイップクリームは一度絞ったら修正がきかないので緊張する。

 

 

 

フレッシュなマンゴーが入ると一気にそれらしい雰囲気が出た。

ねえ、2人ともどうかな? 私のパフェ、いい感じになってきてるんだけど。

 

 

 

なんだ、2人とも時が止まっているのか?

と思ったが、よく見たら手元のトッピングは増えている。よかった。

隣の神田君に進捗状況を尋ねると

「あと一周……次の周ですべて決まる……」

とつぶやいた。伝説のレーサーみたいなことを言う。

その奥のたばねさんも無言で流れるトッピングを睨んでいた。

私は嬉しかった。ここまで真剣にパフェと向き合ってくれるなんて。

 

 

 

そうこうしているうちに、私のパフェはほぼ完成形に。

焦ってアイスを早く注文したせいで、表面が溶け始めている。急いで仕上げに入った。 

 

 

 

最後にマカロンを頂点に置いて私のパフェは完成した。

香り高い柚子のジュレと、まろやかなホワイトムース、食感のアクセントにグラノーラ、どのトッピングとも相性の良さそうなピスタチオアイスを合わせた。

全体的にさっぱりとしたテイストにまとめられたと思う。

規則的に層を重ねて見た目の良さも意識してみた。

全体の水分が多くなってしまったので、スポンジを入れてもよかったかもしれない。

 

 

うんうんと頷きながら、改めて出来上がったパフェを眺める。

愛おしい。食べるのがもったいない。でも自分が考えた最高のパフェだ、食べたいに決まっている。おいしそう。でも食べたら無くなっちゃう。ああ、この気持ち一体どうしたらいいの。

生産と消費をひとりで担って感情がめちゃくちゃになってしまった。

 

 

 

神田君のパフェを見せてもらう

 

神田君といえばサンリオ好きで、かわいいものに目がないイメージだ。

そうかと思えば、部屋に常備しているトンファーで突然モチをついたりするので、底知れぬ怖さもある。

そんな人がパフェを作るとどういう風になるのだろうか。

 

 

まず驚いたのが、トッピングは6皿までという制限がある中で、イチゴを2皿選んでいること。大胆なチョイス。

しかもイチゴが多すぎたとかで、盛りつけずにそのまま2粒食べていた。大胆で自由!

 

 

そして、この燃えさかる炎のような形のイチゴの盛りつけ

 

 

神田君のブログに出てきた燃えさかる犬小屋の炎がフラッシュバックした。

 

 

 

イチゴの上にホイップクリーム、ピスタチオアイス

 

 

 

そこへ大量に振りかけられる大粒のアラザン。
本人いわく「急に品がなくなった」とのことだ。なぜ大量に振りかけてしまったんだ。

 

 

 

マカロンを頂点にさして、神田君のパフェが完成。

ほうじ茶ジュレ、ピスタチオのクランブルを使っていて全体的に落ち着いたトーンだが、差し色のイチゴとマカロンが華やかさを醸し出している。

一番の特徴は各層の幅が広いところだろうか。やってやるぞ、という勢いを感じる。

 

神田君にこのパフェの名前を聞いてみた。 

 

 

 

「高慢と偏見」というパフェだそう。 そうなの?!

 

 

 

たばねさんのパフェを見せてもらう

 

たばねさんといえば素晴らしい工作力だ。オリジナリティ溢れるかわいいものを次々と生み出している。

センスが良くて、手先が器用。もうお分かりだろう。たばねさんにはパフェ作りに必要なものがすべて備わっているのだ。

こわい。一体どれほどかわいいパフェを作ってしまうのか。

 

 

たばねさんの様子をうかがうと、赤く染まった猟奇的なグラスを前にして遠い目をしていた。事件現場に立ち会ってしまった。思わず息を飲む。

事情聴取したところ、ストロベリーソースを使ってグラスの淵におしゃれな模様を描こうしたのだが、ソースがどんどん下の層へ浸食していき猟奇的な感じになったらしい。

 

 

 

思わぬ事件にハラハラしたが、さすが工作の天才である。

丸っこいチョコアイスにイチゴとホイップクリームを左右対称に配置してバランスを取ることで、猟奇的な感じを緩和している。ちょんと絞ったクリームがなんとも愛らしい。

素晴らしいリカバリーに感動してしまった。

 

 

 

最後にマカロンを飾ってフィニッシュ!

 

 

 

マカロンがイチゴの隙間に入らない? イチゴをずらすのはどう?

え、もうイチゴは動かせない……?

 

 

 

そこに乗せる感じでいける?!

 

 

 

いけた! うそみたいな角度になってるけどいけたね! 

 

 

 

最後にマカロンの下に銀のアラザンをひと粒おいて完成。

どうなることかと思ったが、すごくかわいい。このパフェは奇跡的なバランスで成り立っている。 天才だ。

 

たばねさんにも完成したパフェの名前を聞いてみた。

 

 

 

「真珠を持つカニのパフェ」だそうです。本当だ。カニだ!

 

 

 

回転パフェはドラマチックだった

 

実際に回転パフェを体験してみると、トッピングを回転させる意味が分かった。目の前の実物をじっくり観察しながら精査するのが楽しいのだ。

たばねさんも着席する前はチョコにオレンジ合わせようと考えていたが、実物を見て急きょイチゴに変更するという心変わりがあったらしい。

自分のセンスと勘だけを頼りに作り上げる回転パフェは、度胸を試される博打のようであり、人間性を映しだす鏡のようでもあった。

 

流れていくトッピングに向けたみんなの真剣な眼差しが忘れられない。

「あと一周……次の周ですべて決まる……」は名言である。

 

 

最後に一番センスの良いパフェを決めようと思っていたが、どのパフェもドラマチックで素晴らしかった。

なので、みんな優勝!