オモコロでひっそりと連載中のショートテキストコンテンツ「文字そば」。
大体1000文字くらいですので、通勤通学の合間やちょっとした空き時間に2~3分でつるっとお読み頂けます。
今までに公開された文字そばの数は実に80本。
「何から読めばいいかわからん」という皆様の声にお応えしまして、オモコロ編集部が独断と偏見で選んだベスト文字そばをご紹介させて頂きます!
大量廃棄される前にぜひ一度ご賞味ください。
原宿のベスト文字そば
小市民としての人生が過ぎていく途中、ふと「ささやかな禁忌」とでも言うべきものに気がつくことがある。
自分にとって、仕事終わりに帰り道で食べるロースハムがそれに当たるだろう。
本日分のタスクをまんざらでもなく消化し、少々お酒も入って歩く通い慣れた道。
何とはなしに道中のコンビニに立ち寄るのだが、腹もそこそこ満たされており、体温的にアイスキャンディーを食べるって感じでもなく、ウロウロした挙句に手に取るのが税込100円弱の薄切りロースハムである。
飲み会後の帰りにコンビニでハムを買うという、おっさん冥利につきる文章。歩きながらハムを食べている人を見かけても近寄らないようにしましょう。
永田のベスト文字そば
「わしゃ○○か!」
このように何かに例えてツッコむ芸人をテレビで見ない日はない。例えツッコミはそれだけ広く普及したお笑い手法だ。
お笑い手法と言ってしまうと気恥ずかしいかもしれないけど、本来は例えツッコミってもっと身近なものだと思う。
キツい状況に置かれた時「地獄だ…」と呟いたり、厳しい人に対して「鬼かよ」と言ったりする。
これらも乱暴に言ってしまえば、例えツッコミであり、それが定型表現化したものだろう。
このように例えツッコミは我々の生活に深く根付いている。しかし、皆さんはまだその真の有用性に気付いていないかもしれない。
夫が思いつくナイスアイデアは、大体嫁に怒られます。
ARuFaのベスト文字そば
先日、不動産から電話があり、端的にいうと「あなたの家、取り壊します」と言われてしまった。
そのとき私はちょうど家でラーメンを食べており、2つの意味でめん食らったわけだが、不動産に詳細を尋ねたところ、「大家の意向であなたの住んでいるアパートを年内に取り壊すことになった」とのこと。
それはつまり……と思い、「最終的に家を取り壊すなら、支払った敷金も必ず全額返ってくるのですか?」と聞いてみると、「はい、最終的に取り壊すなら現状回復もクソもないですからね」と、不動産は笑って答えた。
これはすごい。
つまりは、何をしても敷金が返ってくるということだ。
嘘ばっか書くな。
ダ・ヴィンチ・恐山のベスト文字そば
「もうイヤ~!」と叫び、何もかも投げ出して走り去りたくなったことはないだろうか。私はある。
昼休み。昼食ついでに公共料金の支払いを済ませるために街に出た。
駅前のつけ麺屋が「カルボナーラつけ麺」という新商品を出していた。1200円。高いが新しいもの好きなので注文した。
「原宿のパンケーキに乗ってるクリームか」というほど大量のメレンゲが乗った麺をカルボナーラ風スープにからめて食べる。胃が終わってしまう料理だった。
幕を閉じた胃を抱え、公共料金の支払いをするためコンビニに向かう。
ダ・ヴィンチ・恐山のス~パ~クソバカ話です。
山口のベスト文字そば
突如、太平洋上に巨大な腕が出現し、世界は大騒ぎになった。腕はバックブローのモーションを取り、すごいスピードで日本に向かって動き始めた。あと数十分もすれば、ここ東京に激突する。
その腕の正体を私は知っている。
私が属している宗教団体の指導者・麗美様のチカラによるものだ。
一から十まで無い話ですが、こういうの読みたい日ってありますよね。
まきののベスト文字そば
先日、仕事中に必要なものが出てきたので近くのスーパーへ買い物に行くことにした。
出かける前、社内の一角に目をやると、凸ノ高秀がいた。少年誌での読切掲載経験が何度もありながら、オモコロでも定期的に特集を描いてくれる漫画家で、水曜日のオモコロラジオ枠を担当している。今日もその収録で弊社にやってきたのだ。私は凸ノと軽く挨拶をして、社内共有の自転車に乗り、外へ。
買い出しはすぐに終わり、寄り道などもせずに会社へ戻る。季節は本格的な冬。自転車で受ける風の冷たさにじっと耐えながら漕いでいると、前から凸ノが歩いてきた。おそらくラジオ収録を終わらせて帰路につこうとしているところだろう。
ちょっとちょっと~~~~~!! 二人ってそんなに良かったの~~~~?? も~~~付き合っちゃいなよ~~~~!! ねえねえ~~~!!
宇内一童のベスト文字そば
「ジャンボ尾崎が斜面を滑りおりてくる想像をしたら少し元気になれました」
Twitterで過去のツイートを見返していたら、2011年3月10日のツイートにそう書いてあった。本当に元気になれるのか?
試しに想像してみたところ、コレが意外とイケる。
70歳になった今もなお、現役プレイヤーとして活躍するゴルフ界の重鎮・ジャンボ尾崎。一見普通の短髪なのだがよく見るとえり足だけ長い、一種独特なヘアースタイルのジャンボ。身長181センチ、体重76キロ、恵まれた体格のジャンボ。
そんなジャンボが「袋田の滝カントリークラブ」にて、ゴルフ場のコースを回っている。その最中、急勾配になっているフェアウェイの前で、ジャンボはふと立ち止まる。
「ちょっと待って」
何?
zukkiniのベスト文字そば
小学生の頃、友人の誘いで海の岸壁で釣竿をたらし魚釣りに興じていたときのことだ。狙う魚も決めず、釣竿も仕掛けも餌に至る全てを適当に選んで挑んだ子供の魚釣り。
釣果といえば案の定ヒドいもので、貰ってきた小エビのような餌も海水でふやけてダメになるのを待つか、単純に外れるかしてただひたすらに餌を消費するだけの空しい時間。一匹も釣れぬまま気づけばほんの一時間足らずで餌は終わりに近い量になりつつあった。
そんな折、俺はふと、地面に落ちている一片の黄色い物体の欠片に気がついた。なぜアレが岸壁にと今なら不思議に思えるが、黄色いゴム状のそれは手に取ると少々派手ではあるものの消しゴムの一部であることが分かった。
最後のオチ、出来が良すぎるのでまだ信じてません。
どろりのベスト文字そば
既に有名な話ですが、ゲームソフト「スーパーマリオブラザーズ」の背景に現れる草と雲は同じ素材の色を変えて再利用したものである、という話をご存知でしょうか。
( 参考:https://www.nintendo.co.jp/n10/interview/mario25th/vol5/index4.html )
私がこの雑学を初めて知ったのは小学5年生の夏、当時通っていた学習塾の講師の自宅に招かれた翌朝の事だったと記憶しています。
この雑学を知った時点で、私の人生観は大きく変わりました。
3回読み返して、やっと30%くらい理解できた気がします。
山下ラジ男のベスト文字そば
ある日、バイトの休憩室にいると突然甲高いアニメ声が聞こえてきた
後輩がスマホゲーのサウンドをガンガンに鳴らしながら休憩室に入ってきたのだそして入ってくるなり聞いてきた
「山下さん声優詳しいッスか?」
正直あまり自信はなかったがここで「別に・・・」と返すほど無愛想ではないのと生来の見栄っ張りが災いして「まあまあかな?」と答えてしまったすると彼は目を輝かせながら
「じゃあ今からボイス流すんで当ててくださいよ!」
などととんでもないことを言う
「いきますね~」
ダメだ、もう止まらない『~♪』
「どうです?わかります?」突如始まった声優ドレミファドン
そんなつもりで言ったわけじゃないのに
オタクはよくクイズを出す。正解なら同志を発見できるし、不正解なら自分の知識を披露できるから。
おおきちのベスト文字そば
『原付試験に落ちるやつはバカ!あんなん勉強しなくても受かる』
そんな言説を昔から聞いていた。
事務手続きの際に毎回パスポートを持って行くのがめんどくさくなり「そのバカ免許でも取ったるか!」という感じで23歳の頃に原付の試験を受けた。バカでも受かるなら一夜漬けの勉強でいいだろう(知らない人の為に説明しておくと俺は英検4級を持っているし、日高屋のモリモリサービス券も持っている)しかし心配症なのでなんだかんだで1週間前から勉強はしていた。
免許試験に行った人なら分かると思うのだが、あそこの雰囲気は独特だ。違反者講習にいる人は当たり前だが「交通ルールを無視した人」が集い、原付の試験会場のほとんどは「最速で少しでも速い乗り物に乗りたい16歳」で、全体的なヤンチャ成分は多めである。
人生はこういう小さな悲劇の積み重ねでできた喜劇なのかもしれません。
かまどのベスト文字そば
僕は普通の人よりも外国人っぽい顔立ちをしているらしく、初対面の人から「ハーフですか?」「家系に外国人いる?」とよく聞かれる。
大学生の頃、新入生同士で親交を深めるために「自分の第一印象を聞いてみよう」という時間があったが、そこでも
「アメリカ人っぽい」
「アラブ人っぽい」
「イラク人っぽい」という回答が揃った。「第一印象」を聞いているのであって「ナニ人に見える?」とは聞いていないのに。
かまど曰く「両親は純日本顔で、各パーツをちゃんと受け継いでるのに、組み合わせの妙で異国の仕上がりになった」とのことです。
日本進出した外資系企業のめちゃくちゃ仕事できる上司みたいですね。
マキヤのベスト文字そば
たまに、人に対して「これはどう努力しても勝てない」と、才能の壁を感じる事がある。
それは生まれ育った環境なのか、経験からくるものなのかわからない。
圧倒的な才能は時に、他人に別の道を選ばせる事もある。
「あれっ? もう神奈川ですか! 早いですねー!」
東名高速登り、運転に疲れて海老名のサービスエリアに停車したところで、助手席で眠っていた後輩の吉崎が目を開いた。
全然早くない。俺は名古屋を出てから5時間半、ずっと渋滞や眠気と戦いながら運転していた。コイツは一度も目を覚ますことが無かった。5時間半も助手席にいたら白雪姫でも2度は起きるぞ。
たまに強い「人運(ひとうん)」を持っている人がいます。マキヤもその一人なので、そのうちヤバい人に刺されて死ぬと思います。
夢顎んくのベスト文字そば
うつぶせ寝で育ったので唇が常に何かに触れていないと切なく、煙草がやめられない。
喫煙中に日記を書いていたら指の上に灰を落としたことがあり、その時は当方恥ずかしながら声さえ出てまいりました。以後、日記は止めたが煙草の方は止めていない。それほど吸いたいのだろう。
人が煙草を覚えるきっかけは、先輩に教えられたりストレス解消のためだったりと様々だが、僕は漫画「苺ましまろ」に登場する伸恵姉ちゃん(以下伸姉)に憧れて吸いはじめた。
明治の文豪のような語り口で独特の世界を紡ぐ「夢顎んく」。1センテンスたりとも気が抜けない文体をお楽しみください。
せとゲノムのベスト文字そば
ブルゾンちえみのキャリアウーマンネタは、お茶の間に強いインパクトを残した。
と同時に、もう一つの贈り物を私達に与えた。
「大きく間を取った後に短いフレーズを言うと面白い」ということを人々に広く気付かせたのだ。
これにより会話に革命が起きた。私は確かに目撃した。
ギャルが意識的に間を取ったのだ。あれは土曜日の夕方だった。
用事は忘れてしまったけど、私は山の手線の外回りに乗っていた。
おそらくその日いちばん面白いタイミングで「ニベア」が出てきた瞬間に遭遇した話です。
ナ月のベスト文字そば
俺は現在無職だが、働いていたこともある。これは二つ前の職場の話、俺がたった四日で辞めた職場の話だ。
当時百社以上から「お前はうちの会社には要らないけど、よそで雇ってもらえたら良いね。祈ってるぜ!」みたいなことを言われ続けておかしくなっていた俺は
「もう雇ってくれるならなんでも良いワン! 全部応募するワン!」
とヤケクソになりハローワークで目に付いた求人に片っ端から応募していた。どうかしていた。人間は社会的動物だから「お前は要らない」と言われ続けるとおかしくなるんだ。
こうやってエピソードに昇華できると思えばヤバい職場も悪くないので、次はもっとヤバい職場に当たって欲しいです。
文字そばに新機能が導入されました
以上、16人のレギュラーメンバーの傑作選でした。
ここでご紹介しきれなかった珠玉のそばもございますので、ぜひこの機会に「文字そば」をご覧頂けると幸いです。
今後も週3ペースで数が増えていきますので、実質その数は∞です。
そんな∞を楽しむための新機能が導入されました!
文字そば記事の最後に「ランダムで文字そばを読む」ボタンがつきました!
全ての意思決定を偶然に委ねたい、思考放棄の究極を目指すあなたに…。
まだ見ぬ良そばに出会えるかもしれませんので、お暇な時に試してみてくださいね!
今後とも「文字そば」をよろしくお願いします!