「今年の新入社員のタイプは○○型」というのを聞いたことはあるだろうか。

その年の特色になぞらえながら新入社員をラベリングしたもので、新社会人となる学生たちの就労意識を調査した上で、毎年3月頃に発表されている。

 

例えば、昨年の平成29年度は、ポケモンGOが大ブームだったこともあり「キャラクター捕獲ゲーム型」と命名されていた。

キャラクター(就職先)は数多くあり、比較的容易に捕獲(内定)出来たようだ。一方で、レアキャラ(優良企業)を捕まえるのはやはり難しい。

すばやく(採用活動の前倒し)捕獲するためにはネット・SNS を駆使して情報収集し、スマホを片手に東奔西走しなければならない。必死になりすぎてうっかり危険地帯(ブラック企業)に入らぬように注意が必要だ。

はじめは熱中して取り組むが、飽きやすい傾向も(早期離職)。モチベーションを維持するためにも新しいイベントを準備して、飽きさせぬような注意が必要(やりがい、目標の提供)。

このような感じで解説が加えられており、その年の新入社員の特徴をユーモラスに伝えてくれる。

要するに、「新入社員」をテーマにした冗長な謎かけである。

 

平成28年度は「ドローン型」、平成27年度は「消えるボールペン型」など、毎年趣向を凝らしたものが発表されているので、なんとなく知っている人もいるのではないだろうか。

 

 

実は、この「新入社員のタイプ」は昨年で発表を終了している。

 

毎年これを発表していた公益財団法人 日本生産性本部のHPを訪ねてみると

「平成29年度をもちまして、新入社員の特徴とタイプの発表を終了させていただきます。」

とある。

 

つまり、今年の新入社員は「○○型」と命名されないのだ。

 

これは由々しき事態である。

このままでは、先輩社員は「君らの代って○○型なんだってね?」とウザ絡みできない。

新入社員は「勝手にレッテル貼りすんな!」と憤ることもできない。

我々も「これはまったく、いかがなものかね?」と訳知り顔で講釈を垂れることもできないではないか。

 

 

こんなに手ごろに老成したユーモアが、このまま途絶えてしまうのは忍びない。

そこで、僭越ながらこの私が今年の新入社員のタイプを命名しようと思う。

 

 

平成30年度の新入社員は
「仮想通貨型」である。

 

・将来性はあるものの、一方で暴落する可能性もあるので銘柄の見極めが必要。

・活用するにはインターネットがなくてはならない(スマホ依存)が、世界中で使える(グローバル化)。

・管理主体がなく変動が激しいため、需要がないと見ると簡単に価値が落ちてしまう。

・従来の価値観では通用しないため、こちらが順応していかなくてはならない(新人受け入れ環境への配慮が必要)。

・流出(離職)の危険性もあり、きめ細かいシステム開発(丁寧な育成)が不可欠。

 

 

っぽいねえ!

 

 

本家と違い何の意識調査も行っていないが、まあ特に問題ないだろう。

全国の新入社員に幸あれ!

 

 

他の「文字そば」を読む