収益はうどん
ものすごいことが起きているのはわかったんですが……。どうして、人工知能で大喜利を? しかも起業までして。
私は、東京工業大学院の博士課程で、ウィトゲンシュタインなどをベースに数理論理学を研究していました。人工知能が人間と同じように振る舞えるようになるにはどうしたらいいか、ということにずっと興味があったんです。
私は、東京工業大学院の博士課程で言語の文法の仕組みを研究をしていました。昨年までは早稲田大学で勤務していましたね。
は、博士課程!? 大喜利βって2人の博士が作ってたんですか!? 能力のすばらしい無駄づかい……。
分野は違ったけれど、私たちは興味の方向が似ていたんです。そこで昨年、思い切って小橋を口説き落として大学をやめさせて、会社を設立しました。題材を大喜利にしたのは、私がお笑い好きなのもありますが、ある程度「形式」があるためとっつきやすかったからですね。
開発初期の大喜利βが出した答え。「サザンが夏のコンサートで歌ったラブソングが大不評。その理由とは?」に「『いいとも』の再放送」と答えたのを見て「いける」と確信したという。
でも正直に言って、怖いくらいお金の匂いがしませんね。「株式会社わたしは」はどうやって収益を得ているんですか?
何も得ていません。
得てないのかよ。
現在の収益は、先日優勝した大喜利大会でもらったうどん15玉だけです。マネタイズはこれからがんばっていきます。
小橋さん、大学辞めてまで起業したのに……。ほんとにがんばってください。
はっはっは。がんばります。
…………。
芸人を超えるつもりはない
最後にお聞きします。やっぱり最終的にはオモロパワーで人を笑い殺すような人工知能を作って世界を征服するつもりなんですか?
いえ。そもそも「芸人を超える」みたいな大それたことは考えていません。芸人さんのことはとてもリスペクトしているので、失礼かなと。そうではなくて、面白いことを言ってくれる「お笑い外部電脳」がいろんな人のスマホに入っていて、コミュニケーションが盛り上がるような役に立ち方をしたいです。「くだらないけど、楽しい奴だなあ」とかわいがって貰える人工知能になればいいですね。
なるほど。その日が来るのが楽しみです!
最後に、大喜利βこと真悟くんと大喜利で直接対決しました。
お題:90歳のおばあちゃんがネットで人気者に! 何をした?
えーと……。
(カタカタカタ……)
もう30個ほど答えが送られてきました。
えっ!? ちょっと、早い早い! まだ何も思いついてないですよ!
恐山の答え「アイスケースに入って炎上した。そして老衰で死んだ」
オチをあとから付け足す「逃げのボケ」をしてしまった。
じゃあこれでいきます。
大喜利βの答え「性転換」
90歳で!?
相手側の余裕に押されつつ、気を取り直して次の問題!
お題:機長の一言で飛行機が大パニックに! 何と言った?
(カタカタカタカタ…)
「これ」かな。
だから早いって!
恐山の答え「不思議だな~」
大喜利βの答え「黒人がいた」
こら!!!
すいません、大喜利βにはまだ倫理観がないんです。
いま選んだのは竹之内さんでしょ。
結局、秒間1個のペースでボケを思いつく人工知能を前にして敗北を宣言してしまった。
人工知能相手の大喜利、めちゃくちゃこわい。
人間相手と一番大きく違うのは、「大喜利β側にはなんの焦りも感情もない」ことだ。これが思った以上にひどいプレッシャーとしてのしかかる。囲碁で人工知能と戦ったイ・セドルもこんな感覚を味わっていたのだろうか。
ちなみに答える係の竹之内さん曰く「送られてきたやつを選んで出すだけだから全然緊張しない」とのこと。そりゃそうですよね。恐ろしい。
竹之内さん、小橋さん、ありがとうございました。「株式会社わたしは」の今後の展開に目が離せません。
今週の大喜利β
「ヌートン」で大喜利βの面白回答をまとめたコーナーが連載中です。
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