自分がおじさんと呼ばれる年齢になってもおじさんのことって全然わからない。

 

 高校時代、学校のそばに駐車場があり、私の学校や隣の小学校の生徒だけでなく、その隣の図書館と資料館の利用客、さらにその隣の幼稚園の園児など幅広い町民が利用していました。

 駐車場の隣は鬱蒼と木々の生い茂る猫屋敷のような空き家で、高校生はその猫屋敷の前の道路に面したところに立って送迎を待っていました。

 夏休みのある日、私が部活の午前練を終えて迎えの車を待っていると、猫がすぐそばに寝転がっていました。暑い日だったためか、人馴れしているためか、カメラを構えても一向に動きません。しかも1匹だけかと思っていたら奥の方にあと3匹ほどいて、動物大好きな私は大興奮で写真を撮りました。

 しばらくして、写真撮影にも飽きて猫と話すなどしていると、駐車場に1台の車が駐まり、夏だというのにスーツを着てネクタイまで締めた色白でメガネの30代前半くらいのサラリーマンらしき男性が出てきました。通行の邪魔かな、と思ったのでどこうとすると、男性は私の隣で足を止め、スマホを取り出して猫の写真を撮り始めました。

 めっちゃ猫好きな人だったー、と少し驚いていると、私の視線に気づいた男性に、照れたように「あ、か、可愛いすぎませんか……」と言われ、「そうですねえ、かわいいですよねー」と答えると、男性は再び2、3枚ほど写真を撮って、車に戻り去っていきました。

 あの時、あなたもだいぶ可愛いですよ、と言っていたらどうなっていたんだろうかと思います。

眼鏡フェティシズム

 おじさんから咄嗟に出てきた言葉がまた良いな。「かわいいですよね」とかではなくて「可愛すぎませんか」なのが良い。心が口から溢れている。

 

ギター

 大学生の時に初めてギターを買って練習し始めた時の話です。

 当時住んでいた防音機能皆無なアパートでは思い切ってギターの練習ができなかったので公園で練習することにしました。
 それをギター経験者の友達に伝えるたところ練習を見てくれることになり、大学の授業の前に公園に集合してギターを練習することになりました。

 友達に、「右手の方は私やるから、左手頑張ってやってみ!」と言われて、スピッツのチェリーを小声で口ずさみながら二人で一つのギターを使って弾いていました。

 すると、自転車に乗ったおじさんがだんだんと近づいてきて、私たちの目の前でキュッと止まり、手をサムズアップしながら「いいね!」とだけ言って去っていきました。
 突然の出来事だったので、その瞬間は二人とも「?どうも!」という感じでしたが、後になってじわじわと嬉しく、友達はああいうことをいつか自分もしてみたいな〜と言っていました。

 ギターはまだ下手くそですが今思い出してもほっこりします。

望月

「いいね」と思った時に本当にサムズアップして「いいね」って言えるのかっこよすぎる。SNSでフォローしてもないのに流れてきたポストにいいねつけるのって現実だとこんな感じなんだろうな。かなり嬉しいものなのかもしれない。

 

スカート

 学生時代、男子ながらスカートをはくのが好きで、その日もズボンの上にスカートをはいたような服装で大学の近くを歩いていた。

 すると、車が一台私の近くに停まり、窓からおじさんが顔を出して「あなた女装に興味あるの?」と聞いてきた。

 私はどちらかというと男子としてスカートを履くのが好きだったので(女装も興味はあったが)「いえ、ないです」と答えたら、「あらそう」と言って去っていってしまった。

 あそこで「はい」と答えていたらどうなっていたのか……正直なところ、はいと答えた人生の方が今より面白かったんじゃないかとたまにふと思う。

パ川プ香

 面白すぎる。なんてドラマチックなエピソードなんだ。何者だったんだろう。
 女装がしたいというよりはスカートがはきたいって気持ちはわかるな。俺も布をヒラヒラさせたい。

 

ジム

 一時期、会員制のスポーツジムに通っていました。
 そのスポーツジムは、地下鉄の駅直結のホテルの2階にありました。

 私は地下鉄の改札を出て、地下一階にあるホテルの入り口から中に入り、エレベータに乗りました。
 同じタイミングで、小さめのボストンバッグをもったおじさんがエレベータに乗ってきました。
 荷物からして、この人もスポーツジムに行くんだなと思いました。
 エレベータには二人しかいませんでした。

 果たして、2階で私もおじさんもおりました。
 スポーツジムの入り口までいくと、「臨時休業」の立て札があり、二人して「あれっ!?」と顔を見合わせて驚き、その後、ひとしきりはにかみ合いました。
 恥ずかしかったですし、おじさんも恥ずかしがっていました。

TK

 なんて良い時間なんだ。全然知らんおじさんと恥ずかしがった時間。嬉しいとか得したとかではないし、忘れても人生になんの影響もないけど、こういう時間が記憶に残ってるのがすごく良いな。

 

酔っ払い

 大学生の時、バイトが終わって深夜に自宅に帰宅する途中、道でテディベアみたいな座り方をして泣いているサラリーマン風のおじさんがいました。
 どうやら酔っぱらっているようで、ぶつぶつ「んだよ…くそがよぉ…」となんらかの文句をつぶやきながら泣いていたので、刺激しないように気配を消して足早に前を通りすぎようとしたときに、いきなりおじさんが「なぁ!!にいちゃんもそう思うよなぁ!?」と同意を求めてきました。

 びっくりしたということもあったのですが、正直なにに同意を求められたのかもわからなかったため、下手に同意をしていいものかと思い、おじさんの前に立ち止まって「あ~、う~ん、え~と…」としばらく悩んでいたら、少し泣き止んでいたおじさんが「あんた…真面目だなぁ…」と言いながらまた泣き出してしまいました。

 泣き出したおじさんにおろおろしていると、おじさんが本当に急にびたっと泣き止んだかと思うと、「よし!!帰るわ!!」と言ってこっちに一目もくれずふらふらと立ち去って行きました。
 あまりのマイペースさに呆気にとられてしまい、数分その場に立ち尽くしておじさんの小さくなる後ろ姿を見送ってしまいました。

イエスもノーも言えないマン

 その一瞬ちゃんとおじさんに向き合った結果がただおろおろ迷うってことなのが酔っ払いにも伝わっていて良い。ただ迷っておろおろすることが知らん酔っ払いを励ますことだってあるんだ。

 

ブランコ師匠

 小学校低学年の時、友達と公園にあるタイヤを吊り下げたブランコみたいな遊具で遊んでたら、赤ら顔のおじちゃんが「俺が押してやるよ」って言ってきた。

 子どもの力じゃ出せないスピードで揺らしてくれるのがメチャメチャ楽しくて、自分も含めて友達全員で「ブランコ師匠だ!」って呼んではしゃいでた。

 あんまり楽しかったので、帰宅して母親にブランコ師匠の話をしてあげたらものすごくビミョーな表情をしていたのが悲しかったけど、今なら気持ちが分かる。

リトルミギー

 ブランコ師匠が善良なおじさんでも知らん子供が怪我した時に責任とれんのかよって話になるのでみんなはブランコ師匠にはならないでね。でも最高。こういうエピソード大好き。

 

食べっぷり

 一人で食事をしていた時でした。

 ご飯とお味噌汁のお代わりが自由な定食屋で 私がご飯のお代わりを頼んでいたら隣で食事をしていたおじいさんが 「いい食べっぷりですね。僕も何だか元気が湧いてきちゃったな」と声をかけてくれて、 それからおじいさんもお味噌汁のお代わりを頼んでいました。

 知らない人に声を掛けられ少し驚いたものの ニコニコとお代わりのお味噌汁をすするおじいさんにこちらも元気を貰えた気がしました。

ご飯は大盛り

 良い話だ……。美味そうに飯を食べてる人ってたしかに見ていて元気でるな。

 

相撲

 中学生のころ、部活が午前で早めに終わったので友達と近くにあった公園でブランコを漕いでいたとき。

 ふと視界の端からおじさんがこちらに歩いてくるのが見えたかと思うと、遊んでいた私たち(3人)に向かって「中学生?」と尋ねてきた。
「ヤバい、うるさくしてたかな…」と不安になっていると、「元気でええなあ」と言ってくれて、そこからしばらく部活は何か、などの質問に答えていた。

 すると、「実は俺な、昔相撲で優勝してんねん」と急に言ってきて、スマホで優勝した時の写真を見せてくれた。めちゃくちゃちびっこ相撲の時の写真だった。
 昔すぎるだろ、と思っていたらおじさんは最後に「近くに〇〇川ってあるやろ、あれ日本で1番汚いから絶対飲むなよ」と言って遠くへ去っていった。

 おじさんが去った後、私たち3人はしばらく喋れなかった。たまにその公園に行くとそのことをよく思い出す。

水無

 ちびっこ相撲、ツッコミ待ちだったのか、本当に人生のトロフィーにしてるのか微妙なところで触れづらいな……。添えられた川情報も、べつにいらねえけどなんか有益なおじさんになりたかったんだろうな。好きだなこのおじさん。

 

 マダムって「ギャル」とか「侍」みたいな、生き様のことなのかもしれない。

 

別嬪さん

 大学生の時、新聞の契約更新のために契約者の家を回るアルバイトをしていた頃 自転車で信号待ちをしていると、見知らぬマダムに「アンタ別嬪さんや!」と話しかけられ、信号が丁度変わりマダムがそのまま去ろうとしたのでテンパって「ありがとうございます…?」としか返せず、多分アレは「お姉さんもお綺麗ですね!」と返さないといけなかったな…とちょっと反省しました。

 その2時間ぐらい後に住所リストにあったスナックへ訪問した時、なんとあのマダムがお客様として座っていました。
 マダムはいきなりこちらを見るや否や近づいてきたのでさっきのことで何か言われるのかな?と思ったら「アンタ別嬪さんや!」と再び同じセリフを言ってきました。

 今度は間違わないぞ…!と「また会いましたね!お姉さんもお綺麗ですね!」と返したら、マダムは「は?意味わからん」と興味なさそうにそのまま無視して席に戻っていきました。
 一体なにがしたかったんだろう…

くもり

 俺が思うにこれはマダム照れ隠しだな。

 

ゴジラ

※汚い話なので気をつけてください。

 学生の頃、カラオケのトイレに入ったら大量のう◯こが便器の中に鎮座していた。

 汚いもの見ちゃったな…とゲンナリしつつ別の個室に入り用を済ませ、手を洗っているとおばさんが例の個室に向かっていったのが見えた。
 あんなもの見るのは私だけでいい、ここで被害を食い止めたいと思い「そっちの個室流れてないですよ!」と声を掛けたのだが、おばさんはわざわざ個室を覗き込みに行き「あらホントだ!こんなのゴジラのう◯こじゃない!!」と言い放った。

 あんなに秀逸な例えが咄嗟に出るおばさん、すごい。あとわざわざ見に行くのもすごい。

肉ライス太郎

 最高。

 

 駅のエスカレーターに乗っていると、後ろから駆け足で女性が追い抜いていき、私の少し前で転びかけました。

「大丈夫ですか?」と声をかけると立ち止まって、「急いじゃダメね!でもね!孫が産まれたのよ!」と話してくれました。
 嬉しすぎて馬鹿でかい声で「おめでとうございます!!!!」と伝えると、「今日はなーーんて良い日なんでしょ!」と言って、エスカレーターを降りて早歩きで行ってしまいました。

「なーーんて」の部分が本当に嬉しそうで、今でも耳に残っています。

もあめ

 本当に孫が産まれた時の老人って元気な鹿くらい軽やかに動くよね。

 

四葉

 冬に仕事で新潟の出張だった時、普段雪があまり降らない地域に住んでいるので、雪の量を完全に舐めており、薄着でバス停で吹雪に襲われていたところ、お婆ちゃんが「ここで待つよりあっちのバス停の方が本数多いよ」と教えてくれて、吹雪の中お婆ちゃんが別のバス停まで先導してくれました。

 バスを降りる時に四葉のクローバーの栞をくれて、「これから良いことあるからね」と声をかけてくれました。どれだけ不幸に見えてたんだろう…と感じたのを覚えています。

はたらきあり

 吹雪慣れしてる老人って異常に頼もしい。
 これ以外にも知らない人から四葉のクローバーをもらう話がいくつかきてた。「誰かにあげよう」と思って取っておくの素敵だ。

 

攻略法

 学生の時にやってたバイトの出勤初日、たまたまその日が最終出勤だったおばさんがいてそのバイトの攻略法(手の抜き方とか人間関係とか)を全部教えてもらったことがある

 おばさんに何の責任もないからこそかなり信用できる情報だった。

今ここにあるおもち

 最高の置き土産だ。

 

ワンピース

 高校生の時、母と洋服を買いにイオンに行ったときのことです。 試着室から出てきたのに母が近くにおらず、カーテンを開けたままキョロキョロしていたのですが、近くにいた知らないおば様に「あら!とっても似合ってるわね!」と褒めていただきすごく嬉しかったのを覚えています。

 その時試着したワンピースはもちろん購入し、友達と遊びに行く日に下ろしました。

 ワンピースを下ろした日、バス停でバスを待っているとまた別の知らないおば様から「お嬢さんお洋服が素敵ね」とまた褒めてもらい、安物のワンピースが一張羅になりました!

水餃子をみずぎょうざと呼んでしまいました

 知らんおばさん二人から褒められるってめちゃめちゃ自信つくだろうな。おばさんの言葉にはパワーがある。本当に超似合っていたんだろうな。

 

乗りな

 高校生の時の話です。

 バス通学をしていて、その日の朝もぼんやりとバス停でバスを待っていました。
 するとバス停前にいきなり車が止まり、車内から知らないおばさんが私に声をかけてきました。
 あまり内容は覚えていないのですが、とにかく「乗りな!」といった感じだったと思います。
 朝の通勤ラッシュの道路、周りにも迷惑だと思い急いで乗車しました。
 助手席で縮こまっているとおばさんは一方的にいろいろと話してくれました。

 おばさんは私の通う高校の関係者っぽい(教員ではなさそうな)感じでした。
 朝から暗い顔で自校の学生が立っていたため心配になり乗せてくれたようです。

 かなり元気のいい感じのおばさんで、まさにオカン!といった感じの雰囲気でした。
 動揺していたこともあり、とにかく「ありがとうございます」等々簡単な会話をしていたような気がします。

 無事高校に送り届けてもらい、おばさんはどこかへ去っていきました。
 当時は職員の方かな〜?とか気軽に思っていたのですが、結局卒業まで一度も見かけることはありませんでした。

今思うと無事でよかった

 かっっっこいい……なんてかっこいいマダムなんだ。困ってる人に「乗りな!」って人生で一度は言ってみたい。それはそうと投稿者さんは流されやすいタイプっぽいから気をつけて生きてほしい。

 

硬水

 賑やかではない観光地のコンビニで夜勤をしていた頃、明け方に金持ちそうなマダムがやってきて「あーた、こちらのお水、硬水と軟水ってどう違うの?」と問いかけてきました。

 夜勤も終わりかけでめちゃめちゃ眠いし、ミネラルウォーターも「エヴィアンは俺の口に合わねえ」ということしか知識がなかったので、「なんか、硬水?の方が口当たり?がいい?らしい?ですよ〜」と適当に返しました。

 ご購入され一口飲んだマダムは「なんか違うわねぇ〜」と捨て台詞を吐いて小型犬を連れて去っていきました。
 漫画に出てくるちょっと嫌味な婦人らしい人ドンピシャで忘れられません。

無記名

 こういう良くも悪くもない、ただ「こういうことがあった」みたいなエピソードも好き。ギャルらしいギャルとか、オタクらしいオタクにあった時みたいな感動があるだろうな。マダムらしいマダムを見るの。

 

 15年前、田舎に住んでいた中学生の頃、アピタでプリクラを撮るため駐輪場に着いた私は妙齢のおばさまにいきなり「バラの丘公園はどこにあるの?」と話しかけられました。

 アピタからバラの丘公園は自転車で30分はかかることを伝えるとおばさまは 「私実は男なの」「今日は初めて会う男性と公園で待ち合わせているの」とのこと。

 当時まだジェンダレスという言葉も浸透していませんでしたが、個性に理解のある私!になりたくて「え、全然男性って分かりません!綺麗ですねえ」などと返すと

 いたく喜んだおばさまに豊胸した場所を触るよう言われ、挙げ句の果てに互いにほっぺたにキスをし合う流れになり、アピタの駐輪場でおばさま(男)と女子中学生ほっぺたにキスをし合うという謎シチュエーションになりました。

その後普通にアピタのスーパーで見かけた

 すごく悩んでマダムカテゴリに入れた。ほっぺたにキスはすごいな。なんでそうなるんだ。本人がいいならいいけど。

 

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